太刀川慶には愛する女がいた 。
そんな大切な女性が第一次大規模侵攻により 、 致命傷を負って攫われていたとしたら … ?

何故 、 太刀川慶がボーダーに入ったのか 。
そしてどんな思いでA級1位 , 総合1位の座を取っているのか 。



1 / 1
・ ワートリ夢小説
・ 夢主 = 太刀川慶の愛する女 (妄想)
・ 過去 、 現在 、 未来の捏造
・ 設定過度 、 過多 、 過剰の三拍子
・ 時系列行方不明 ・ 誤字 、 脱字 、 矛盾 ◎ / 語彙力 ×


太刀川慶が愛した女

彼 、 太刀川慶(たちかわけい)は強い 。

 

強硬排除派に属するA級1位太刀川隊隊長

No.1攻撃手(アタッカー)個人(ソロ)総合1位という抜群の戦闘能力を誇る現役隊員最強クラスの実力者 。

眠たげな目つきの黒目は虹彩と瞳孔に当たる部分がハイライトのない格子模様で特徴的な容姿だ 。

胡散臭い笑みを浮かべ 、 飄々とした性格に苦手意識を持つ者も少なくはない 。

だが 、 戦闘面では頼りになる 。 「 趣味はランク戦 」 「 好きなものはランク戦で勝つ事 」 というボーダー屈指 、 生粋の戦闘バカではあるが 。

戦術面の師は幼馴染みである月見蓮(つきみれん)が 、 剣術の師は本部長である忍田真史(しのだまさふみ)が 、 という錚々たる顔ぶれ 。

持てる才能や努力は全て戦闘に注がれているせいか否か 、 日常面では非常に残念な男である 。

数々の残念話(エピソード)をボーダーの隊員達に轟かせている 。

興味のある事柄にしか知性が働かせない 、 これまた残念で難儀な話である 。

 

 

 

─── 以上が〝太刀川慶〟の客観的な評価(・・・・・・)である 。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side : KAZAMA

 

 

「 殺したいほど 、 憎い奴がいるんだ 」

 

いつの日に聞いたか 、 あの男はこう言った 。

凍てつく氷のような瞳をした太刀川は明確な殺意を持ち 、 真剣な表情をしていた 。

その時 … いや 、 そういう時(・・・・・)はどんなことを言って返してやったかはあまり覚えていない 。

楽観的で馬鹿な彼奴がどうしようもなく恐ろしい顔をしているのはどうも心地が悪い 。

 

ただ … こうにも思う 。

──────〝太刀川慶〟の本質はそこにあると 。

 

 

 

 

 

8月29日は太刀川の誕生日だ 。

A級 ・ B級メンバーとの無限ランク戦をプレゼントすると嬉々とした様子でブースに駆け込んでいく 。

 

初戦の相手は好敵手(ライバル)であるS級隊員の(じん)だ 。

特別にノーマルトリガー使用を認められたらしい 。 次に小南(こなみ)出水(いずみ)米屋(よねや)緑川(みどりかわ)村上(むらかみ)烏丸(からすま) ___ と続いていく 。

 

 

風間(かざま)さんも戦おうぜ ! ! 」

 

「 ああ 、 今行く 」

 

 

きらきらと目が輝いている (ような気がする) 太刀川はいつもの如く孤月(こげつ)で急所を捉えてくる 。

オプショントリガー ・ 旋空(せんくう)で瞬間的に一太刀を拡張した太刀川の攻撃が肩を斬り裂き 、 緊急脱出(ベイルアウト)した 。

 

 

「 風間さん ! ! もう1回 ! ! 」

 

「 他の奴らとも戦ってやれ 」

 

「 えー 、 お … ! ! 忍田さーん ! ! 」

 

 

俺以外の奴を薦めたが 、 まさか忍田本部長のところに行くとは … 。

仲の良い師弟関係は良いことだが 、 大人なんだからそろそろ互いの立場を考えて行動しろ 。

 

 

「 あれ 、 太刀川さんは ? 」

 

「 迅 、 太刀川なら本部長と一戦交えに行ったぞ 」

 

「 風間さん ! ! いやぁ … ちょっと視えた(・・・)ものだから太刀川さんに話そうと思ったんだけどね 」

 

「 … 何が視えた(・・・)

 

 

___ サイドエフェクト

超感覚的な特殊能力の総称のこと 。

意味は 「 副作用 」 。 あくまで人間の能力の延長線上である 。

高いトリオン能力を有する人間の中には 、 稀にそのトリオンが脳や感覚器官に影響を及ぼして超人的な感覚を齎す ─── … それが副作用(サイドエフェクト)

 

___ 未来視

いくつかの有り得る未来(・・・・・・)を並列で視ることが可能な超感覚の副作用(サイドエフェクト)

所有者の名は(ブラック)トリガー使いのS級隊員 ・ 迅悠一(じんゆういち)

 

 

「 太刀川さんが暴走する未来だよ 」

 

「 暴走だと … ? 」

 

「 うん 、 原因は分からないんだけど … 。 100%(パーセント)の確率で誰かを(・・・)完膚なきまでに叩き潰す 」

 

 

極めて曖昧な内容だが 、 確率は非常に高い 。

飄々としたあの戦闘バカが 、 と言われてもどうにも納得出来ない 。

迅のサイドエフェクトを信用していない訳ではないし 、 むしろ迅がいなくては組織の存続は有り得ないのだから 。

ただ 、 きらきらと目が輝いている (ような気がする) 太刀川がいきなり暴走すると言われても … というような心情だ 。

 

神妙な面持ちで話していると 、 太刀川隊に所属する出水が 「 どうしたんですか ? 」 と問いかけてきた 。 傍には米屋と緑川 __ 通称 A級3バカの面子が揃っていた 。

 

 

「 … 太刀川はどこにいる ? 」

 

「 太刀川さんは … あそこです 。 誰かと話しているみたいですけど 、 あいつはB級ソロの … 」

 

門叶(とかない)だよ 、 門叶千影(とかないちかげ)

 

 

俺の問いに出水が答えると 、 付け足すように嫌悪感を隠さずに米屋が言った 。

陽気で社交的な性格の米屋の態度に驚きつつも話に出てきた〝門叶千影〟と言う男の話を聞く 。

 

 

「 … 彼奴 、 前に秀次(しゅうじ)に絡んできたんすよ 。 趣味が "追究" だとか言って 、 秀次の姉さんの話を無理矢理掘り下げてきたんで 」

 

「 随分と不躾な奴なんだな 」

 

「 あーそういや 、 俺 … つーか唯我(ゆいが)が絡まれてたな 」

 

「 俺も俺も ! ! 迅さんについて聞かれたよ ! ! 」

 

 

米屋の話に出てきた秀次 こと 三輪秀次(みわしゅうじ)は約4年前の第一次大規模侵攻で姉を亡くしており 、 復讐の為にボーダーに所属している 。

私事を追究されたりすれば 、 傍にいた米屋が嫌悪感を抱く事も頷ける 。

 

出水の話に出てきた唯我 こと 唯我尊(ゆいがたける)はボーダーの最大手スポンサー企業の御曹司であり 、 そのコネを使って太刀川隊に所属する最弱のA級隊員だ 。

恐らくコネについて "追究" されたんだろう 。

 

緑川の話に出てきた迅さん こと 迅悠一に関しては恐らくサイドエフェクトについて掘り下げられたのだろう 。 目の前にいる顔色の悪い迅を見れば分かるが 、 あまり気持ちの良い事ではなかったようだ 。

 

いずれにしても〝門叶千影〟という人物は非人格者であるようだが 、 一緒にいる太刀川は大丈夫なのかと迅に問おうとした時 、 迅の表情が強ばった 。

 

 

「 … これはまずい 。 風間さん 、 未来が動き出した 」

 

 

迅がそう言い 、 傍らの出水達3人が首を傾げた瞬間の出来事だった 。

 

 

 

 

 

___ ダァァァン

 

 

 

 

 

物凄い音がランク戦のロビーに響いた 。

太刀川を祝う為に集まったA級 ・ B級のメンバーが息を呑んでその方向を凝視した 。

 

太刀川が孤月を抜刀し 、 門叶の首に添えていた 。

音の正体はは抜刀の際に太刀川が踏み込んだ足音のようだった 。

あまりにも突然の出来事に驚愕し 、 放心していると不意に太刀川の表情に目がいった 。

その殺気を孕んだ真剣な表情を見たことがあった 。 凍てつくような氷の瞳には酷く覚えがある 。

 

 

「 ブース入れよ 」

 

 

低くそう言った太刀川は恐ろしい顔をしていた 。

門叶の襟首を引き 、 ブースに押し込むと公開設定で(・・・・・)10本勝負(・・・・)を始めた 。

勿論ではあるが 、 太刀川の圧勝である 。 迅の予知の通り完膚なきまでに叩き潰していた 。

 

孤月を納刀し 、 冷徹な目をした太刀川がブースから出てくる すっかり太刀川に怖気付いてしまった門叶は逃げ腰で口を開いた 。

 

 

「 ず 、 図星なんだろ ! ? "神童" と持て囃されていたアンタは女が死んだから変わった(・・・・・・・・・・・)って ! ! 」

 

 

あの(・・)太刀川が "神童" だと … ?

DANGERをダンガーと読み 、

パソコンのコンセントが抜けている事に気付かずに壊れた ! と大騒ぎし 、

フルーツグラノーラに入っているドライフルーツを全部食べた ___ と日常的ダメ人間が ?

何の面白い冗談だと思ったが 、 門叶の表情には嘘が見えない 。 まさか本当に 、 と信じそうになる 。

 

 

「 だったらどうした ? 」

 

 

いや 、 着目すべき点はそこではない 。

太刀川が変わった ? その理由は女を失ったから ?

初めて聞いたばかりの事で事態の収拾がつかない 。

 

 

「 はは 、 笑えるな ! ! たかが女1人で(・・・・・・・)人が変わ 、 」

 

 

鋭い一閃と同時に 、 光が飛んだ 。

一瞬にして抜刀された太刀川の孤月により 、 門叶は緊急脱出(ベイルアウト)させられた 。

立派な隊務規定違反であるが 、 厳罰は軽いだろう 。 何人もの人間が尋常ではない太刀川と門叶の様子を見ているのだから 。

 

 

「 はーっ … 迅 ! ! 風間さん ! ! もう1回戦おうぜ ! ! 」

 

 

殺気を孕んだ氷のような瞳をした太刀川はぎらぎらと嗤ってみせていた 。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side : IZUMI

 

太刀川さんの誕生日の一件から 、 かれこれ1ヶ月は経とうとしている 。

あの日 、 個人ポイントの剥奪や3日の謹慎があったものの割と軽い厳罰で済んでいた 。

迅さんや風間さんの口添えがあってのことだと書き記しておこう 。 太刀川さんは知らないだろうけど 。

元凶の門叶も1週間の謹慎の厳罰を言い渡されたと噂で聞いた 。

 

ただ一つ 、 疑問だけが残る 。

何故 、 太刀川さんは … と考えて頭を振った 。

確かに気になるが 、 それでは門叶の "追究" と同じ類いの興味本位になってしまうからだ 。

 

 

「 おい 、 出水 」

 

「 三輪じゃん 、 どうした ? 」

 

「 太刀川 … さんは見なかったか 」

 

 

酷く焦燥に駆られている三輪はそう言った 。

迅さん … は 、 まぁ別として 。 太刀川さんに対して苦手意識を持つ三輪が何故 ?

 

 

「 いや 、 防衛任務は夜からだしなぁ … 太刀川隊(うち)の作戦室に」いないから 、 ランク戦とかじゃね ? 」

 

「 そこは探した … 出水も見かけたら連絡してくれ 。 一刻も早く太刀川さんを見つけなければならない 」

 

「 何でそんな必死なわけ ? 」

 

 

今日が10月6日だからだ 、 と三輪は言った 。

だからなんだ ? と思考する 。 誰かの誕生日とか ? と考え 、 ついこの間三輪の誕生日を祝ったばかりだと消去する 。

 

 

太刀川(やつ)は危険だ 」

 

「 は 、 待てって … 何で太刀川さんが ? 」

 

「 … 無事に見つかったら 、 な 」

 

 

意味深な言葉を残し 、 三輪は去っていった 。

本部を暫く歩いていると 、 何人もの人が太刀川さんの居場所を聞いてきた 。

三輪を含めた13人 。

風間さん ・ 迅さん ・ 月見さん ・ (あずま)さん ・ 冬島(ふゆしま)さん ・ 嵐山(あらしやま)さん ・ (つづみ)さん ・ 二宮(にのみや)さん ・ 加古(かこ)さん ・ 来間(くるま)さん ・ 沢村(さわむら)さん ___ それから忍田本部長 。

現ボーダー発足時のメンバー 、 太刀川さんと同じく20歳のメンバーばかりの豪華な面々だった 。

太刀川さん嫌いの二宮さんが探しているくらいだ 、 と事の重要性に漸く気付いた 。

 

 

 

(ゲート)発生 (ゲート)発生 座標誘導 誤差5.22

近隣の皆様はご注意ください

 

 

 

耳馴染みのある警報が鳴り 、 不意に昼の防衛担当は三輪隊だったかと思い出す 。

先程まで太刀川さんを探していた三輪も今は任務かと納得した 。 防衛任務前で焦っていたのも頷ける 。 太刀川さんを探すのは緊急性がないと結論をつけ 、 作戦室に戻ろうと踵を返す 。

 

 

「 出水くん ! ! 」

 

柚宇(ゆう)さん 、 どうしたんすか ? 」

 

「 太刀川さんが ! ! 」

 

 

作戦室に戻ると 、 オペレーターである国近柚宇(くにちかゆう)さんが飛び込んできた 。

酷く動揺した様子で太刀川さんの名前を繰り返す 。

 

 

「 三輪隊に保護されたって … ! ! 」

 

「 は 、 何で警戒区域に ! ? 」

 

「 分かんないよぉ … 今医務室だって 、 」

 

 

防衛任務でもないのに警戒区域にいるなんて … と医務室に駆け出した 。

途中で廊下を走るなと注意を受けたが 、 そんなことお構い無しに太刀川さんの元へ直行した 。

 

 

「 太刀川さん ! ! 」

 

「 … ああ 、 出水か 」

 

 

憔悴した様子の太刀川さんがベッドに寝ていた 。

周りには三輪隊の面々と太刀川さんのことを懸命に探していたメンバーが囲んでいる 。

驚く俺を他所に 、 年長者 且つ 最も偉い立場にいる忍田本部長が話を切り出した 。

 

 

「 何故 、 警戒区域にいたんだ 」

 

「 言いたくない 」

 

「 慶 … ! ! これでは1ヶ月前の二の舞だ ! ! 」

 

「 それでも言いたくない 」

 

 

二の舞 … ? 門叶との一件でも今のように何も事情を説明しなかったのだろうか 。

太刀川さんは酷く冷たい目をしていた 。

尊敬する師の前でこんな表情をするのか 、 と思考が別の場所へと飛んだ 。

 

 

「 太刀川 、 それでは話が進まないだろう 」

 

「 何かしらの処分を下せば良いだけの話じゃん 。

俺は何でも良いよ 。 自宅謹慎 ? ポイントの剥奪 ? トリガーの使用禁止 ? それとも … 降格とか ? 」

 

「 太刀川 … ! ! 」

 

 

初めて太刀川さん(この人)が恐ろしく感じた 。

ランク戦の時に感じる強者の格とはまた違う 。

平然とした表情で言う太刀川さんがまるで知らない別人のように感じた 。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 太刀川さんは死にたいの ? 」

 

迅さんの言葉に太刀川さんは首を横に振る 。

安堵したのはつかの間 、 壊れそうや笑みを浮かべた太刀川さんは胸元を探り 、 チェーンにかかり揺れる銀色の指輪(シルバーリング)を取り出した 。

 

 

 

 

 

「 会いたいだけだ

俺がこの世で1番愛している女にな 」

 

そう言い 、 そっと銀色の指輪(シルバーリング)に唇を寄せた 。

哀愁漂う太刀川さんに俺は何も言えずに俯く 。

安価に見える指輪が鈍く輝いているように感じた 。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side : MIWA

 

遠征部隊の帰還から数時間後 、 裏切り者の玉狛(たまこま)支部にいるであろう(ブラック)トリガー使いの近界民(ネイバー)の元へと太刀川率いる合同部隊が走る 。

"他者のトリガーを学習してコピーする" トリガー故か 、 決行が今晩と太刀川によって判断された 。

 

A級1位太刀川隊隊長 ・ 太刀川慶 。

約4年前 、 現ボーダー発足時に同期として入隊した人で迅と同じく食えない部類の男 。

剣の腕は信用 ・ 信頼に値するが 、 日常生活に関してはまるでダメ 、 見本にしたくない大人断トツ1位 。 飄々したあの男にも何かの事情があると察した 。

太刀川(あの男)自身の誕生日(8月29日)大規模侵攻が起こった日(2月21日) 、 それから … 太刀川が愛した女性に会いたくなる日(10月6日)は毎年死にたいと言わんばかりの顔をしている 。

一度だけ刃物を自身に向ける姿を見てからは放っておけなくなってしまった 。

現ボーダー発足時のメンバーや同い歳の連中も同じような感じだろう 。

 

きっと近界民(ネイバー)を恨んではいない 。

──────〝太刀川慶〟はこの世を憎んでいる 。

 

 

 

 

 

「 なるほど 、 "未来視" のサイドエフェクトか 。

ここまで本気(・・)のおまえは久々に見るな 、 おもしろい … おまえの予知を覆したくなった 」

 

「 やれやれ 、 そう言うだろうなと思ったよ 」

 

 

"旋空" で瞬間的に拡張された一太刀が放たれる 。

玉狛支部と本部長派が組み 、 敵となった迅と嵐山隊が屋根へと飛び上がり 、 攻撃を躱していった 。

 

太刀川の指示で出水と共に陽介《ようすけ》と合流し 、 嵐山隊の方へと向かう 。

嵐山 ・ 時枝(ときえだ)木虎(きとら)が待っていた 。 佐鳥(さとり)はいない 。

 

 

「 嵐山隊 … 何故玉狛と手を組んだ ?

玉狛は近界民(ネイバー)を使って何を企んでいる ? 」

 

「 玉狛の狙いは正直知らないな 、 迅に聞いてくれ 」

 

「 何だと …… ! ? 」

 

近界民(ネイバー)をボーダーに入れるなんて 、 普通なら有り得ない 。 よっぽどの理由があるんだろう 。 迅は意味のないことはしない男だ 」

 

「 そんな曖昧な理由で近界民(ネイバー)を庇うのか ! ? 近界民(ネイバー)の排除がボーダーの責務だぞ ! ! 」

 

「 おまえが近界民(ネイバー)を憎む理由は知ってる 。

恨みを捨てろとか言う気は無い 。 ただおまえとは違うやり方(・・・・・)で戦う人間もいるってことだ 。

納得いかないなら 、 迅に代わって俺たちが気が済むまで相手になるぞ 」

 

 

射手(シューター)である出水の両攻撃(フルアタック)に見せかけた両防御(フルガード)に 、 佐鳥が引っかかった事で戦いの火蓋が切られた 。

狙撃手(スナイパー)を片付ける為 、 陽介を向かわせる 。 相手の方も木虎がカバーに向かっていった 。

 

 

 

 

 

___ ドンッ

 

 

 

 

 

「 誰か飛んだぞ 」

 

「 誰だ ? 」

 

 

 

 

 

___ ドンッ

 

 

 

 

 

「 また緊急脱出(ベイルアウト) … 今度は誰だ ! ? 」

 

“ 「 風間隊の歌川(うたがわ)くんね 。

太刀川くんもダメージが大きい 。 形勢はかなり悪いわね 」 ”

 

「 … 迅 …… ! ! 」

 

「 やれやれ 。 どっちが足止めされてんのか 、 分かんなくなってきたな 。

こりゃマジで早く片付けないとやばいぞ 、 三輪 」

 

「 分かっている ! ! 」

 

 

拳銃型の通常弾(アステロイド)と突撃銃の通常弾(アステロイド)の撃ち合いをし 、 突撃銃の炸裂弾(メテオラ)を躱す 。

出水が射手(シューター)用トリガーの変化弾(バイパー)誘導弾(ハウンド)を放つ 。

時枝に防御されたが 、 鉛弾(レッドバレット)で嵐山の左足に当てて機動力を削ぐ 。

 

 

「 よしよし … 足が止まったな 。 シールドごと削り倒してやる …… ! ! 」

 

「 出水 、 後ろだ ! ! 」

 

「 "テレポーター" か ! ! 」

 

 

頭と心臓部を守ったと出水は十字砲火(クロスファイア)を褒めながら片膝をついた 。

戦闘を続行すると 、 陽介と木虎が飛び出てきた 。

 

 

「 弾バカ ! ! 出番だぞ ! ! 」

 

「 誰が弾バカだ ! ! ハチの巣にするぞ 。

"アステロイド" … ────── マジか 」

 

時枝(とっきー)と木虎の片足か 、 まぁ損はしてないな 。 あとよろし〜〜〜 」

 

当真(とうま)さんにおいしいとこ持ってかれたな 」

 

「 これで3対2 、 しかも2人とも足は封じた 。

このまま捻り潰すぞ 」

 

 

民家に沿って動き 、 後退していく嵐山隊を追う 。 嵐山と木虎は路地裏へと入るが 、 出水を制して作戦を立てる 。

迅を信頼する嵐山は誘い(・・)に必ず … 確率的には十中八九乗ってくるだろう 。 佐鳥はまだ生きているから狙撃に警戒し 、 嵐山のいる場所へと向かった 。

 

 

「 嵐山さん見っけ … "メテオラ" ! !

うおぉ … 耐えるなー嵐山さん」

 

「 深追いするなよ 、 木虎の奇襲を警戒しろ 。

嵐山さん 、 アンタの有能な部下はどこに行った ?

アンタを囮にして奇襲するんじゃないのか ? 」

 

 

態とらしく誤魔化す嵐山に鉛弾(レッドバレット)を撃ち込む 。

瞬間移動(テレポート)した先には当真さんの狙撃がある 。

 

 

 

 

 

___ ドンッ

 

 

 

 

 

木虎の奇襲は当真さんに向かい 、 俺と出水の片腕は佐鳥の "ツインスナイプ" で落とされる 。

 

 

 

 

 

___ ドドンッ

 

 

 

“ 「 三輪くん 、 作戦終了よ 。

太刀川くんと風間さんが緊急脱出(ベイルアウト)したわ 。

奈良坂(ならさか)くんと古寺(こでら)くんも撤収中よ 」 ”

 

 

作戦は失敗し 、 近界民(ネイバー)の始末は叶わなかった 。

迅も嵐山も何も分かっていない … 近界民(ネイバー)の本当の危険さを 、 失った者でなければ 。

 

 

「 甘く見てるってことはないだろう 」

 

 

嵐山は迅が母親と師匠を亡くしていると言った 。

じゃあ何故だ ? 何故 、 近界民(ネイバー)を許すことが出来る ? 俺が間違っているとでも言いたいのか 。

 

 

「 三輪のように敵討ちだけが入隊の目的じゃない 。 遠征部隊に選ばれている太刀川さんなんかはきっと近界民(ネイバー)を許したくないはずなのにボーダーの利益を優先しているだろう ? 」

 

「 ! ? 嵐山さんは 、 太刀川さんについて何か … 」

 

「 … あぁ 、 太刀川さんのご両親と話す機会があっただけだが … 致命傷を負った大切な女性が近界(ネイバーフッド)へ攫われてしまったと聞いている 。 生存確率も薄いが … もしかしたら太刀川さんはその女性を救ける為にボーダーに入ったのかもしれないな 」

 

想像以上に俺は何も知らなかった 。

だが 、 やはり近界民(ネイバー)は許せない 。 敵を排除することは間違っていない 、 よな … 。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side : TATIKAWA

 

「 ごきげんよう 、 慶くん 」

 

可憐な乙女 ──── 金糸を編む如く繊細な金髪(ブロンド) 、 宝石のように鮮烈な赤瞳(ルビー) ──── が姿を現す 。

白と赤の装束を纏う彼女は神社の巫女をしている 。

竹箒で掃除をする姿にまるで物語の中にいるようだと揶揄い混じりに言い合えるくらいの仲である 。

 

 

「 お 、 祈織(いのり)さん … ! ! 」

 

 

美しい彼女の名前は鈴鹿祈織(すずかいのり)

小さな頃から親しい大学生の近所のお姉さん (20) 。 俺の初恋は4つ歳上の祈織さんで 、 今も変わらず 。

お嬢様の通う女子大に通い 、 巫女として神社で働く優しくて他人思いで面倒見が良い善い人 。

 

 

「 課題は終わらせたのかしら ? 」

 

「 え" … ! ! 」

 

「 あらあら … 見せてご覧なさい 、 力になるわ 」

 

 

俺にとって祈織さんは特別な存在だった 。

憧れであり 、 恋心を抱く相手で大切に想っていた 。

また 、 祈織さんにとって俺は特別だったと思う 。

俺以外に優しく接するところを見たことがないし 、 断言は出来ないが彼女は俺に良くしてくれた 。

 

 

「 祈織さん ! ! これ 、 」

 

「 まあ 、 指輪 … ? 私に ? 」

 

「 おう ! ! 俺と祈織さんでお揃いだぜ 」

 

 

花が舞うよう微笑んだ彼女の白い手を取り 、 そっと右手薬指に填めた 。

決して高価なものではない指輪だったが 、 彼女が俺と共にいてくれるような未来の証として渡した 。

高校生の俺を拒絶せず 、 彼女はいつも指輪を填めて過ごしてくれていた 。

 

ただ彼女は優しすぎた 。

────── 俺のせいで祈織さんは … 。

 

 

「 慶くん … ! ! 」

 

「 え 、 なんで … 祈織さん ! ! 」

 

「 バイバイだね 、 慶くん 」

 

「 待っ … 俺を置いていくな 、 祈織 ! ! 」

 

 

第一次大規模侵攻 、 2月21日 。

近界民から攻撃を受けそうになった俺を庇い 、 脇腹から肩に致命傷を食らった祈織さんは(ゲート)の向こうへ攫われた 。

 

宙に舞う鮮血は 、 まるで宝石のような鮮烈な赤瞳(ルビー)ととても似ていた 。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side : SUZUKA

 

「 祈織さん … ? 」

 

玄界(ミデン)の兵士に懐かしい名を呼ばれた 。

眠たげな格子模様の瞳と視線が合い 、 時が止まったかのように動けなくなった 。

 

近界最大級の軍事国家 "アフトクラトル"

通称『 神の国 』は玄界にて "金の雛鳥" を捕まえる作戦を決行していた 。

玄界遠征部隊のメンバーは精鋭 。 (ホーン)トリガー使いと(ブラック)トリガー使いで構成されている 。

 

私の名前はエイル 。

国宝級 (ブラック)トリガー ・ "月の廻(ペリトロペー)" の使い手 。

形状は巨大な円月輪(チャクラム) 。 効果は触れたトリオンを吸収(・・・・・・・・・・)し 、 自身を中心にトリオンの流れ(ストリーム)を引き起こす 。

投擲で吸収して回帰 ___ トリオンの流れ(ストリーム)で防御 。

またトリオンの流れ(ストリーム)攻撃(トリオン)が触れると吸収される 。 "卵の冠(アレクトール)" に似た性能で 、 "蝶の楯(ランビリス)" に匹敵する防御や援護に優れたトリガー 。

 

 

「 いのり 、 さん … ! ! どうして 、 」

 

「 私はアフトクラトル ベルティストン家直属

グレース家のエイル … ─── 敵は排除致します 」

 

「 待ってくれ … 俺を覚えていないのか ! ? 」

 

 

一つの巨大な円月輪(チャクラム)を投擲し 、 彼の肩や頬を掠めてトリオンの流れ(ストリーム)をつくりだす 。

次に二つ 、 三つ 、 四つ ___ と円月輪(チャクラム)を出現させ 、 周囲の兵士からも着実にトリオンを吸収し 、 大きなトリオンの流れ(ストリーム)をつくりあげる 。

 

玄界(ミデン)の弾とトリオンの流れ(ストリーム)が衝突し合い 、 新たに弾から吸収したトリオンは渦を巻いてトリオンの流れ(ストリーム)に乗っていく 。

 

 

「 祈織さん ! ! 俺だ 、 慶だよ ! ! 」

 

「 人違いでしょう ? 私はアフトクラトルの 、 」

 

「 違う ! ! アンタは俺が愛する鈴鹿祈織だよ ! ! 」

 

 

どくりと脳に電撃が走った 。

まるで走馬灯のように知らない記憶が駆け巡る 。

 

いつの間にか空は黄金色に輝いていた 。

薄暗い雰囲気は消え去り 、 隊長 ・ ハイレインの策略によって敵陣に取り残されたのだと悟る 。

彼に生身のまま 、 ぎゅうと抱き締められた 。

 

 

「 その指輪が証だ … 」

 

「 ────── … 慶くん 」

 

「 祈織さ 、 」

 

 

 

 

 

___ ドカンッッッ

 

 

 

 

 

突如 、 私のトリオン器官が爆発した 。

彼の名前を呼んだ途端 、 起爆した心臓部(それ)により生身に戻った私は内側から弾け飛んだ 。

 

 

「 あ 、 あ … 祈織さん ! ! 死ぬな ! ! 」

 

「 けい 、 くん … ────── 」

 

 

意識が深く深く沈んでいく 。

────── あなたを愛してるから 、 ずっと … 。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side : No

 

太刀川慶という男には愛する女がいた

 

心の臓を失った彼女は白い部屋で眠る

 

 

 

 

 

生涯 永久的に眠りから覚めることはない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最期とも言える時に愛を囁いた彼女

 

愛の呪縛にずっと雁字搦めに生きる彼

 

 

 

 

生涯 軽薄な笑みを添えて戦いに臨むだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

● 太刀川慶の愛する女性

約4年前 : 第一次大規模侵攻にて致命傷を負い 、 近界(ネイバーフッド)に攫われたが 、 巡り巡ってアフトクラトルの遠征部隊の一員として第二次大規模侵攻で襲来 。

 

 

鈴鹿祈織(すずかいのり)

太刀川慶の初恋を奪った近所のお姉さん (24) 。

4つ歳上で女子大に通い 、 巫女として働いていた 。 神社の神主の娘で竹箒の似合う(うら)若き乙女 (仮) 。

金髪(ブロンド)赤瞳(ルビー)を持つハーフ系の顔立ちのくせに巫女 。

優しくて他人思いで面倒見が良い典型的な善人 。

 

 

・エイル

立場 : ベルティストン家直属 グレース家の淑女

玄界遠征部隊の国宝級(ブラック)トリガー使い ((ホーン)なし)

隊長 ・ ハイレインに溺愛されており 、 連れ帰れないとなった時 「 玄界(ミデン)に置いていくくらいなら 、 いっそ自分の手で … 」 と心臓部に埋め込んだ爆弾を起爆 。

 

◽︎ 国宝級(ブラック)トリガー ・ "月の廻(ペリトロペー)"

形状は巨大な円月輪(チャクラム) (最大生成数は四つ) 。

効果は触れたトリオンを吸収(・・・・・・・・・・)し 、 自身のトリオン体を中心にトリオンの流れ(ストリーム)を引き起こす 。

投擲で吸収して回帰 ___ トリオンの流れ(ストリーム)で防御 。

またトリオンの流れ(ストリーム)攻撃(トリオン)が触れると吸収される 。 "卵の冠(アレクトール)" に似た性能で 、 "蝶の楯(ランビリス)" に匹敵する防御や援護に優れたトリガー 。

✽ イメージ :『 グラブル 』のカルメリーナの武器

 

◽︎ パラメータ ((ブラック)トリガー装備時 )

・ トリオン : 48 , 攻撃 : 14 , 防御 . 援護 : 26 ,

機動 : 9 , 技術 : 6 , 射程 : 12 , 指揮 : 1 ,

特殊戦術 : 5 , トータル _____ 121

 

« 祈りと癒しのヒロイン »

・ 歳下の幼馴染みに愛され 、 将 (記憶消去済み) に愛され 、 永遠の眠りにつく悲劇のヒロイン

銀色の指輪を外したことはないし 、 記憶を消されたとしてもやはり幼馴染みを愛していたというオチ 。 将の執念が恐ろしい 。 自分の手でとか有り得ない 。 そもそも爆破したら死ぬんじゃ … というツッコミはなしの方向で 。

 

 

 

 

● 太刀川の地雷を踏んだ男

門叶千影(とかないちかげ) (16)

地雷を踏んだら 、 完膚なきまでに叩き潰された挙句首チョンパで緊急脱出(ベイルアウト)させられたB級ソロ隊員 。

趣味が追究とか言う非人格者 。 三輪の地雷も踏み 、 迅の気分も害したヤバい奴 。 A級3バカもドン引き 。

 

◽︎ ノーマルトリガー

«Main»
«Sub»

・ 孤月
FREE TRIGGER ・

・ 旋空
FREE TRIGGER ・

・ シールド
シールド ・

・ グラスホッパー
バッグワーム ・

 

◽︎ パラメータ ( ノーマルトリガー装備時 )

・ トリオン : 5 , 攻撃 : 7 , 防御 . 援護 : 6 ,

機動 : 8 , 技術 : 6 , 射程 : 2 , 指揮 : 1 ,

特殊戦術 : 2 , トータル _____ 35

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END




彼 、 太刀川慶の殺したいほど憎い奴は "自分自身" である 。
愛する女性に庇われ 、 挙句の果てに攫われてしまったことから自責の念に駆られている 。
彼女にもう一度巡り会い 、 永遠の眠りについてしまった今 ── 彼は自身を二度と許せなくなったと 、 冷徹な目をして風間蒼也に言った 。

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