ほんの少し慎重になったスバル君を異世界に投入する話   作:面白い小説探すマン

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六話

 

「スバル。相手はアナスタシア様と同じ、王選候補者の方だ。礼を尽くしても尽くしすぎることはない」

 

 喰われた。

 

 赤い口。

 

 薄暗い口内。

 

 吐き気を催す異臭。

 

 鋭い牙に絡まった血に染まる銀髪。

 

 焦点が定まらずに体がふらつく。自分が立っているのか座っているのかさえ分からない。

 

「スバル?」

 

 反応のないナツキ・スバルにユリウスが声を掛けた。

 

「おぇぇぇぇぇ」

 

 ナツキ・スバルは胃の中身を床にぶちまける。自分が吐いたゲボの上に倒れ込むとナツキ・スバルは気絶した。

 

 

 再び目を覚ますと、見慣れた自分の部屋の天井が目に映る。ゲボにまみれた礼服から寝間着に変えてくれたようだ。

 

 頭蓋を粉砕された死の記憶が薄れてきたと思ったら、再び植え付けられる死の記憶。しかも、今回は頭からの捕食だ。ナツキ・スバルは死に戻りをしてしまった事実に喉の奥から激情が込み上げる。

 

 一度目は頭蓋を粉砕され、二度目は生きたまま喰われた。どちらの死にも甲乙付けがたい。ナツキ・スバルはぼんやりと天井を見つめていた。

 

 

「エミリア様はお帰りになられたよ。スバルの体調が優れないことを知って日を改めるそうだ」

 

 二度目のループと同じ台詞がユリウスから告げられる。虚構を見つめるナツキ・スバルはいつの間にか眠りについた。

 

 

 そして翌日、二度目のループ通りエミリアの訪問が行われる。

 

「改めまして、先日はありがとうございました。体調が悪いって聞いたけどスバルは大丈夫?」

 

 目の前に座るエミリアの顔を見て、前回のループの最期の記憶を思い出した。自分を必死に治そうとしてくれた横顔。ナツキ・スバルは罪悪感で死にたくなる。この少女に自分を殺そうとする気持ちは1mmもない。

 

 むしろ問題なのは後ろで控える青髪のメイド─レム。恐らく彼女だけが自分が発する魔女の残り香とやらを感知できる。そして、魔女教に相当な恨みを持っていた。今もナツキ・スバルを殺したくて仕方がないだろう。しかし、表立ってレムと二人きりにならなければ殺されることはない。なぜなら、殺そうとするのは彼女の独断であるため、必ずエミリアやユリウスに知られない場所と時間を選ぶ筈だ。

 

「それで、何かお礼をさせてほしいの」

 

 自分は1日、死の衝撃で寝込んでしまった。このまま行けば、前回のループと同じ結末を辿るだろう。ユークリウス邸に突如として現れた犬を巨大化させたような謎の獣。かつてナツキ・スバルが見た王都を凍らせた獣と比べれば規模も小さいが、それでも脅威となることは間違いない。ひとまずはユークリウス邸の安全を確保する必要がある。

 

「ユリウスから聞いたんだけど、エミリアちゃんって魔獣を寄せ付けない結界石ってやつを作れるんだってな。それをこのユークリウス邸に付けてほしい」

 

 エミリアが訪問する前にユリウスから魔獣に関する情報を聞いて、それに対する最善策を考えた。外からの侵入を防げれば魔獣に齧られることはなくなるだろう。首のないエミリアの姿を思い出して、ナツキ・スバルは気持ち悪くなった。

 

「え?そんなことでいいの?」

 

「ああ」

 

「スバル」

 

 今まで静観していたユリウスが口を挟む。

 

「この地域に森はあるが魔獣の被害がここまで届くいたことは一度もない。それでは無駄骨になってしまうのではないか?」

 

 当然の反応だ。二度目の世界は既にナツキ・スバルの中にしかない。

 

「ユリウス、頼む。結界石の配備を受け入れてくれ。」

 

 しかし、二度目のループから未来を知るナツキ・スバルにとってこの願いは何としてでも通さねばならない。ナツキ・スバルの瞳の中に王都の時と同じ光を感じたユリウスは頷く。

 

「わかった。君が言うなら何かあるんだろう。私はそれに従う」

 

「いいのか?」

 

「ああ」

 

「ありがとう」

 

 ユリウスの同意も得て、本日会談の後、エミリアによって結界石が配備をされることとなった。

 

「ボクも君にお礼をしなきゃね」

 

 そして次はエミリアの契約精霊─パックによるお礼。これに関しても既に内容は決まっている。

 

「そうだな!!それならしばらくの間、猫吸いさせてくれ!!」

 

 死の痛みによって傷ついた自分を癒すことだ。そしてその後は二度目のループと同様、4日後にロズワール邸へ向かうことが決まった。

 

 

 ナツキ・スバルは部屋で寝転がりながら考えを巡らせていた。

 

 一度目のループでエミリアが訪問した日である昨日を1日目として考える。一度目のループでは4日目の朝にロズワール邸へ向かうこととなり、その道中で魔女教徒の集団に遭遇。レムの疑いが限界を超えてエミリアの前で殺された。

 

 今回と同様、二度目のループでは5日目の朝にロズワール邸へ向かうこととなったが、4日目の夜に謎の魔獣がユークリウス邸に出現。自分とエミリアは喰われて死亡した。

 

 その他にもあった事と言えば、1日目にユリウスが王選候補者であるエミリアよりも優先した事態。

 

 2日目に、ミミがおじょーなる人物と共にユークリウス邸を去ること。

 

「結局おじょーって誰だ?」

 

 今まで一度も遭遇したことがないおじょー。

 

「2日目ってことは、今日いなくなっちまうのか!!」

 

 ナツキ・スバルは部屋を飛び出した。ここを逃したらミミはいなくなり、おじょーへの手掛かりが消える。今回のループで何としても突き止めるべきだと判断した。策を講じるにしても情報収集が第一だ。

 

「いた!!」

 

 ユークリウス邸を駆け回ることしばらく、遂にミミを発見した。ビニール袋からスナック菓子を取り出すことも忘れない。

 

「ミミ!!」

 

「んにゃ?おにーさん、だーれ?」

 

 相も変わらず忘れられていることに胸が締め付けられるが、喉に流し込んで恒例の自己紹介をする。

 

「俺の名前はナツキ・スバル。無知蒙昧にして天下不滅の無一文だ!!」

 

「おおー!!」

 

「んじゃ早速だけど、これやるよ」

 

 ナツキ・スバルはスナック菓子の袋を開けると一つ食べてミミに差し出した。ミミは匂いを嗅いだ後にすぐさまがっつく。ナツキ・スバルが手を出す隙はない。何度世界を繰り返してもミミは変わらないようだ。ミミが食べ終わったのを見計らって話を再開する。

 

「美味かったようなら何よりだ。ところでミミはどうしてここにいるんだ?」

 

 この答えは既に分かっているがいきなりおじょーのことを尋ねるのは不自然だ。

 

「ミミはおじょーの付き添い!!」

 

「おじょーの付き添いかー。おじょーって誰だ?」

 

「おじょーはおじょー」

 

 やはりミミからおじょーの正体については聞き出せない。

 

「おじょーって今、この屋敷にいるよな?どこにいるんだ?」

 

 核心に迫った問いをミミにぶつける。

 

「それはいえなーい!!」

 

「言えない?一体なんで?」

 

「おじょーに言うなって言われてる!!」

 

 

 ナツキ・スバルは再び部屋に戻るとミミの言葉について考えた。

 

「俺に言えないってどういうことだ?」

 

 おじょーについての謎が深まる。ナツキ・スバルに知られる事で何か不都合があるのだろうか?

 

「ミミから辿らなくてもユリウスからって手があったか!!」

 

 ここはユリウスの屋敷。おじょーがユリウスの屋敷に泊まっているならユリウスが知らない筈がない。さっそくユリウスを探して聞くことにした。

 

 しかし──

 

「すまないスバル。それは彼女から言うなと言われている」

 

 ユリウスはミミと同じ答えを返した。ミミと同じくおじょーの居場所については明かせないらしい。

 

「おじょーって一体誰なんだ?」

 

「それも言うことができないんだ」

 

「なんでだよ?」

 

「わからない。あの人にはあの人のお考えがあるようだ」

 

 

 結局、ユリウスからも何も引き出せないまま、自室に戻って来てしまった。

 

「ユリウスにもか……こりゃ相当徹底してんな」

 

 ユリウスが駄目な以上、この屋敷の使用人も同じ答えを返すだろう。こうなった以上、僅かな手掛かりから自分で答えを導くしかない。

 

「今日にはもう帰るんだろ?」

 

 だというのに、ナツキ・スバルに知られたくない理由とはなんだ?

 

「何かを警戒してんのか?」

 

 思い付くのはユークリウス邸に出現する魔獣だが、ユリウスも最初結界石の配備は必要ないと言っていた様に魔獣を警戒しているとは思えない。それを警戒できるのは二度目のループを体験したナツキ・スバルだけだ。

 

「ん?待てよ?」

 

 ユリウス・ユークリウスは騎士である。その上、ルグニカの貴族でもある男だ。剣と魔法に秀で王の側近である近衛騎士さえ務められる力量を携えている。だからこそ浮かび上がる違和感。

 

「お考え……か」

 

 先程の会話でユリウスが口にした言葉。あのユリウスが敬称を付けた。かなり上の立場であるユリウスがだ。

 

「おじょーはユリウスよりも偉いってことか?」

 

 偉いだけではない。敬称すら付ける人物。その情報で点の一部が線となって繋がる。

 

「1日目のユリウスの途中退席はおじょーを出迎えることか」

 

 王選候補者であるエミリアよりも優先されるおじょー。

 

「同じ王選候補者か!!」

 

 ナツキ・スバルが思い付くエミリア以外の王選候補者。ユリウスが熱弁し、忠誠を捧げるその人物は──

 

「アナスタシア・ホーシン!!」

 

 そのアナスタシアがどうしてナツキ・スバルを警戒する?

 

「俺の事を間者か何かだと思ってんのか?」

 

 突如、ユークリウス邸へ乗り込んだナツキ・スバルをアナスタシア陣営へのスパイだと疑っている?

 

「それなら一応筋は通る……か?」

 

 しかし、それを考えた所で現状は何も変わらない。自分がスパイと疑われてようがいまいが、4日目の夜に出現する魔獣をどうにかしなければならないことには変わらない。

 

 ナツキ・スバルの二日目は終了した。

 

 

 次の日の朝、ナツキ・スバルは剣を振るっていた。もうここまで来れば後はもう、4日目の夜の魔獣と5日目の朝のロズワール邸への出発を残すのみ。やれることは全てやった。今はここに来た目的である剣の修行に専念するのみだ。

 

「おにーさん。精が出ますな」

 

 隣にはミミが立っていた。

 

「え?」

 

「ところでおにーさん。あの美味いやつはもうないの?」

 

 どういうことだ?ここに来て突如発生するイレギュラー。

 

「ミミは昨日ここを出たんじゃないのか?」

 

 一度目、二度目のループでは、共にミミは3日目の朝を迎えたときには既にいなくなっていた。

 

「そうだったんだけど、おじょーがもう一日ここにいるって!!」

 

 ナツキ・スバルは素振りを止めて考え込む。

 

「おにーさん。もう終わりー?」

 

 分からない。一体何がそうさせた?一度目と二度目、そして今回では何が違う?

 

「分からねぇ」

 

「なにがー?」

 

 しかし、これはおじょーを探る時間が一日伸びたということでもある。

 

「ミミ。おじょーの部屋って分かるか?」

 

「それはいえなーい!!」

 

 やはり誰かから聞き出すことは出来ない。自分の力で探るのみだ。

 

「やってやるよ」

 

 アナスタシア・ホーシン。その面絶対に拝んでやるぜ!!

 

 

 素振りを終えたナツキ・スバルは庭に寝転がって青空を眺めていた。エミリアは約束通り、ユークリウス邸に結界石を付けてくれたらしく、壁に等間隔で淡い光を放つ緑の石ある。

 

「ヤッホー!!スバル」

 

 パックが上から覗き込んできた。

 

「いい天気だな、パック」

 

「スバルは何をしているんだい?」

 

「んーにゃ、ちょっと考え事をな」

 

 ナツキ・スバルはパックを持って、その腹を自分の鼻に押し付けた。

 

「スーハースーハー」

 

 パックで呼吸しながら考えを巡らせる。

 

 考えることとはそう。アナスタシア・ホーシンについてだ。ナツキ・スバルが一方的に思ってるだけかもしれないが、アナスタシアには勝負を仕掛けられたと思っている。その勝負とはアナスタシアを見付けられれば自分の勝ち、見つけられなければ自分の負けだ。男としてこの勝負には負けられない。

 

「どうするかねぇ」

 

「何が?」

 

 アナスタシアを探す方法についてだ。屋敷の部屋をしらみ潰しに探してもいいがそれだと相手は納得しないだろう。どうせやるなら相手を納得させた上で勝ちたい。そうなってくると、アナスタシアには自分から居場所を知らせるヒントのようなものを出してほしいところだが。

 

「そんなヘマしないよなぁ」

 

「ヘマってなんだい?」

 

 ユリウスの話ではアナスタシア・ホーシンはホーシン商会を束ねるやり手の会長だ。もしかしたら今、この瞬間もナツキ・スバルの様子を観察しているかもしれない。

 

 ナツキ・スバルは庭から起き上がってユークリウス邸の全貌を見上げる。ここから見える窓の部屋には多くの使用人も住んでいるため、ただ動きがあるだけで当たりを付けるのは無理だ。

 

「スバルってば本当にパックの匂いを嗅ぐのが好きね」

 

 離れた場所から見ていたエミリアが近くにやってきた。

 

「おー、エミリアちゃん。結界石の件、ちゃんとやってくれたんだな、ありがとう」

 

「どうってことないわ。助けてもらったお礼だもの」

 

 こんないい子を疑うなんて、あの時の自分はどうかしていたと、ナツキ・スバルは心底思う。この子を助けるためにもユークリウス邸に出る魔獣はなんとかしなきゃな。

 

 そうだ。今はアナスタシアよりも魔獣だ。ナツキ・スバルは結界石の見回りを行うことにした。

 

 

 次の日。ロズワール邸へ向かう前日の日がやってきた。今夜、ユークリウス邸に魔獣が出現する。ナツキ・スバルは念入りに結界石を見回りした。ミミはアナスタシア、もといおじょーと共にユークリウス邸から去ったようだ。

 

 勝負は俺の負けでいい。それよりも優先することがあるからな。何としてでも魔獣からこの屋敷を守らなくては。

 

 

 そして──運命の夜がやってくる。

 

 ナツキ・スバルは自室で待機していた。腰にククリナイフを装備しようと思ったが止める。前回はそのせいでレムからの疑いが更に強くなってしまった。

 

 さて、屋敷の中は結界石もあって安全な筈だが一応見回りしておくか。

 

 ナツキ・スバルが部屋の扉を開くと───

 

 

 目の前にはどこかで見たような巨大な犬の魔獣がいた。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!」

 

 間違いない!!アイツは前回のループの最後に自分を食い殺した存在だ!!

 

 急いで扉を閉めて鍵を掛ける。ドゴン!!ドゴン!!とひしゃげていく扉。突破されるのも時間の問題だろう。

 

「緊急脱出!!」

 

 こんなこともあろうかと用意しておいたロープを伝って屋敷の外に降りる。

 

「どういうことだ?結界石があれば魔獣は中に入れないんじゃないのか?」

 

 尽きない疑問。ユークリウス邸の中ではあちこちで破壊音が鳴っている。あの魔獣は一匹ではない。その可能性に思い至り、背筋が寒くなる。しかし、一方で屋敷から出てくる魔獣はいない。

 

「結界石の効果か!!」

 

 外から魔獣の侵入を防ぐために取り付けた結界石が魔獣をユークリウス邸に閉じ込める檻となってしまった。

 

「そんなバカな!!」

 

 ユークリウス邸に閉じ込められたユリウスやエミリア、使用人達の生存は更に絶望的となる。

 

「クソ!!」

 

 ナツキ・スバルは壁に取り付けられた結界石を一つ握ると、屋敷の中へと駆け込んだ。

 

 ユークリウス邸の中は地獄と化していた。あちこちにばら蒔かれた臓物。壁を汚す大量の血。そして、体の一部を食い散らかされて息絶えた使用人。

 

「おぇぇぇぇぇ!!」

 

 夜に食べた物が食道を逆流してくる。ひとしきり胃の中身を吐き出すとナツキ・スバルは歩みを進めた。

 

「そんな……」

 

 破壊された数々の部屋。涙を流したまま死んでいる使用人。

 

「違う……俺は……こんな……」

 

 ナツキ・スバルが結界石で魔獣を閉じ込めなければここまでの事態にはならなかっただろう。

 

 遠くから激しい物音がする。

 

「誰かが……戦っているのか?」

 

 そこにいたのは騎士、ユリウス・ユークリウス。そのユリウスと相対するのは──

 

「そろそろ貴方のお腹の中身が知りたいわ」

 

 『腸狩り』エルザ・グランヒルテだった。

 

「なんで、アイツがここに!?」

 

 ナツキ・スバルが叫ぶ間にユリウスは追い詰められていく。エルザと魔獣による連携攻撃。ユリウスは徐々に傷が増えていき──

 

「アハハハハ!!」

 

 エルザに腹を切り裂かれた。力なく倒れ付したユリウス。ナツキ・スバルはただ見ていることしかできない。肉に餓えた魔獣はユリウスを噛み砕いた。

 

「ちょっと。もう少し長く中身を見たかったのだけど」

 

「ごめーん。でも、これ以上『待て』するのはかわいそうだったから」

 

「あああぁぁぁぁあ!!」

 

 ナツキ・スバルは全速力で逃げる。ユリウスが負けた。喰われた。もうどうすることもできない。屋敷の外を目指してただがむしゃらに走った。

 

 窓を突き破って庭に出る。月明かりがナツキ・スバルを照らした。

 

「あ……え……あ……」

 

 月明かりを背後に立てられた十字架。ナツキ・スバルを黒いフードの連中が取り囲んだ。その十字架には磔にされ数多の槍で体を貫かれた少女がいた。

 

「れ……む……」

 

 頭と手足は在らぬ方向へねじ曲げられている。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!」

 

 ナツキ・スバルは黒いフードの連中を掻き分けて走った。

 

 走った。

 

 走った。

 

 走った。

 

 走った。

 

 走った。走った。走った。走った。走った。走った。

 

 

 そして、転んだ。

 

 咄嗟に手をついて頭から突っ込むのを回避する。地面から手を離すと──

 

 

 手が取れた。

 

「がぁぁぁ!!」

 

 足を見てみると転んだ足が取れていた。

 

 耳が取れる。

 

 鼻が落ちる。

 

 体が崩れる。

 

 

 ナツキ・スバルは凍りつき、その体は氷となって砕け散った。

 

 

 

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