~食堂〜
大和の艤装をバラしたユキは夕張、明石と共にみんなのいる食堂にやってきた。ちょうど開いたばかりのため多くの艦娘でごった返しており、みんな楽しそうに食事をしていた。咲達は大きなテーブルを空けて貰っていたらしく、全員で座って雑談していた。こちらに気づいたのか手を振っている。
「ユキちゃん、こっちよ」
「お待たせ〜。先に注文しても良かったのに」
「いろいろ話を聞きたいそうよ。さっきの艤装の点検とか、あなたのこととかね。」
「それは食べながらにしようよ。ある程度は答えるからさ。」
そういうとユキは鳳翔を呼んだ。ここでの食事の摂り方は鳳翔か間宮、手伝いをしている艦娘に注文するか、自分で作るかの2通りである。今回は呉鎮の人たちがいるため鳳翔を呼んだのだ。鳳翔にそれぞれが料理を頼み、ユキは手伝いに行った。昼から仕事があるため皿を運んだりする程度の手伝いだ。鳳翔は慣れた手つきで料理を作っていき、11人分の料理を15分で作りあげた。ここでは普通なのだろうが、流提督たちは度肝を抜かれている。
「はい、おまたせ〜。あれでも余裕もってる方だよ。よいしょっと。詳しい話は食べながらね。それじゃあ、いただきま~す。」
しれっとトンデモ発言をしたユキに詳しく聞くと、元々大人数相手に料理はしていたらしい。ただ、今ほど早いわけではなく、できたものから出していく形で運営していたようだ。すると次第に鳳翔の疲れが見え始めたため、ユキが手伝うようになったらしい。その後、ユキと一緒に効率化を図り今の早さになったそうだ。その話を聞き、大和は興味を持った。
「凄いですね。私も料理はするので効率化の方法に興味があります。」
「ハムっ、ん〜、簡単だよ。時間かかるやつから先にやってその合間の時間にすぐに済むやつをやるんだよ。同じ時間の料理なら使えるキッチン使って同時進行かな。」
「それは……1人だと私にはできない…かな…はは」
「大丈夫。最初は手伝ってもらってやっていくと次第に料理の次の工程がわかるようになって1人で回せるようになるよ。まぁ、鳳翔さんみたいに料理に長けた人でも3年かかってるから、大和だと5~7年ってところかな?」
5~7年、料理に長けている鳳翔ですら3年だと聞くと気が遠くなる。だが、それだけの技術を身につけているからこそ中央鎮守府の艦娘が強いことに納得がいった大和は満足していた。大和との話が終わったあと、翔鶴と瑞鶴、五十鈴、秋月にとある提案をした。
「そうだ、五航戦の2人と五十鈴さん、秋月の艤装に問題がなかったからうちの鍛錬メニューやってみる?多分今日中に演習は無理そうだから。」
「え!いいの!やってみたい!」
「ちょっと瑞鶴、少し落ち着きなさい。」
「だって、元帥さんの艦隊がやる鍛錬だよ!絶対ためになるって!」
「まだ元帥さんは許可は…「別にいいわよ」え!いいんですか?!」
「うちの子達も鍛錬ばかりで暇だと思うし、あなた達が居てくれると気分転換にもなりそうだしね。私も久々に流君と話したいから演習は明日とかでもいいかしら?」
「はい、構いませんよ。」
「元帥さん!ありがとうございます!」
「いきなりで申し訳ありません。私も楽しませていただきます。」
空母の2人(特に瑞鶴)は大いに喜んだ。五十鈴と秋月もここでの鍛錬内容が気になるようでソワソワしている。そんな五十鈴はユキに聞いた。
「五十鈴達も鍛錬を受けていいのかしら?」
「いいよ〜、五十鈴さんはソナーの限界に挑戦してもらいたいからちょうどいいし、秋月は空母と合同で出来るメニューがあるから試してほしいんだ。駆逐たちが遠征ばかりで暇してるから」
「分かったわ。どんな鍛錬なのか楽しみにしてるわ。ね、秋月?」
「はい。秋月が力になれるのでしたら喜んで。」
やる気が出てきた2人。大和と武蔵も鍛錬ができると聞いて喜んでいる。
「ありがとう。そうだ、明石と夕張は機材使ったりするからそっちの手伝いをお願い出来る?大和と武蔵は艤装の希望を聞きたいから工廠に来てほしい。大丈夫、2人も艤装の修理したら鍛錬メニュー用意するから。」
「あ、ああ、ありがとう。私としてはすぐに鍛錬したいが大和の艤装のこともあるから仕方あるまい。」
みんなやることが決まり、食事後もゆっくり話していた。今は13:00前だが、14:00までゆっくりすることにした。艤装のことや元帥との出会いなど、詳しいことは答えなかったが、ユキに親のような存在がいたこと、その人から咲はユキを託されたことを伝えた。
「咲さんには小さな頃からお世話になりましたが、ユキさんとはかなり長い間一緒にすごしているのですね。」
「あなたと出会ったのはユキちゃんが私を心から信頼してくれたあとだからね。最初はなかなか信頼してくれなくて困ってたのよ。でも、あの子がいてくれたからそこまで警戒されなかったのよ。」
「あの子?一体どんな人なんですか?」
「ふふ、あなたがよく知っているはずよ。それに…」
「何してるのよ!」
咲がなにか言おうとした時、食堂の端の方から大きな声が聞こえた。全員が振り向くとテーブルいっぱいの料理を食べている艦娘とそれを見てあたふたする3人の艦娘がいた。その幼い容姿から暁型の子達だと気づいた。食べている子は後ろからしか見えないが、髪型からして暁型の4番艦電だろう。大和と武蔵は自分と同じ量を食べる小さな艦娘に絶句している。すると、ユキが立ち上がり暁型の子達の元へ行った。
「あ、ユキさん」
「大丈夫、僕の知り合いだから」
そう言い近くまで行くと雷がユキに気づき助け?を求めた。
「あ、ユキさん電がおかしくなっちゃったの。一体どうしたらいいの?」
ヨシヨシ「大丈夫、電はおかしくなってないよ」
「で、でも!今もこ…「ユギざーん、いなづまがおがじぐなっだ〜」」
「落ち着いて暁、あそこ見てみな」
ユキに言われ、食堂の入口の方を見るとハンカチを持った電が立っていた。お手洗いにでも行っていたのだろう。
「お姉ちゃん、お待たせし…「いなづま~」
「はわわわ、一体どうしたのです?」
「え、え!どういうこと?!電が2人?!」
「хорошо、これは驚いた。でも、この電はどこの電なんだい?」
艦娘は妖精の奇跡により誕生する。そのため各鎮守府に同じ艦娘が2人存在することもあるのだ。しかし中央鎮守府には、改装が多く艦種が変わる千歳、千代田のような艦娘以外は複数人いないのだ。つまり、目の前にいる電は別の鎮守府の電ということになる。
「全く、着いたなら連絡のひとつぐらい送ればいいのに。」
「ちゃんと言ったはずなのです。昼頃に着くと」
「だから、着いた時に連絡してって!」
流提督は驚いていた。ユキが自然に目に前にいる電に話していたことに驚いたが、先程の電の「昼頃に着く」という発言は自分の秘書艦も言っていたことに驚いていた。こんな偶然があるだろうか?そんなことを考えていると…
「呉鎮守府は赤城に任せてきたから心配は無いのです。中央鎮守府に行くと言ったら絶対に会いに来ると言うはずだから出張だから任せたと言ってきたのです。」
「それ、絶対バレてるよ。はぁ〜、赤城母さんに怒られても知らないからね、お母さん」
『え…えー!!』
その場にいた元帥と明石以外驚いていた。ユキの口から確かに聞こえた「母さん」という言葉。しかも空母の艦娘「赤城」のことも「母さん」と言っていた。流提督は、呉鎮守府という言葉で目の前にいる電が自分の秘書艦であることを確信した。しかし、ここに来て多くの謎が増えてしまった。
「あ〜、みんな落ち着いてね。とりあえず、詳しいことは今夜にでも話すよ。時間が無くなっちゃうから工廠に行ってくる。大和と武蔵も行くよ。」
「あ、ああ…」
「2人には艤装づくりの時にでも話すよ。母さんは咲さんと流さんと一緒にいてよ。」
「分かったから早く行ってくるのです。」
そうしてユキは、大和と武蔵を連れて工廠へ向かった。ほかのメンバーもそれぞれ鍛錬メニューを体験しに行き、流提督は咲と電と共に執務室に向かった。
~工廠〜
ユキはバラした大和の艤装を前にして胡座をかいて大和の要望を聞いた。
「さてと、大和はどんな艤装がほしい?」
「ほしい艤装ですか?そうですね、私は遠距離射撃をメインにしたいですね。」
「了解〜。そうなると…主砲を命中メインにして、火力をギリギリまで上げよう。本当なら遠距離から一撃で沈めるのが1番なんだけど、そうなると砲身が持たないし、当たらなくなっちゃうからね。」
そういうと、ユキは艤装を作り始めた。開発は基本的に明石が行うが、オーダーメイド作成及び、艤装の作り直しはユキが行う。というより、ユキにしかできないことなのだ。個人の要望に応える装備は、明石が妖精の力を借りてもできない。今現在そんなことが出来るのはユキだけなのだ。
「少しの要望でここまで合わせられるのか?」
「僕の場合は、作る前にその艦娘と話したり、今までの戦闘データを貰うんだ。それを元に艤装を作るからその子にあった艤装が作れるんだよ。」
「私の場合は話したからですか?」
「そうだね。大和の場合はバラす前の艤装の状況から考えてそうしてるよ。ただ、また同じように艤装を使われて壊されるのはやだから、なるべく強度は上げたよ。」
「その…ごめんなさい。」
「まぁ、誰かのために命を張れることはいい事なんだけどね。ただ、命は大切にしてね。」
そういうとユキは大和をギュッとした。
「ユキ……さん?」
「大和達は命のやり取りをしているからいつか失ってしまうということは分かってる。僕自身もそれはしっかり教えられたし、身をもって体感してる。でもね、知り合いが、仲良くなった人達に二度と会えないのは辛いんだよ。だから、どれだけボロボロでも、艤装が使えなくなったとしても、必ず帰ってきてね。」
「はい、約束します。大和型の誇りに誓って」
「私も約束しよう。必ず生きて帰ってくるさ。勝利という土産を持ってな。」
「2人とも…ありがとう」
3人はしばらくの間抱きしめ合った。3人で約束を誓った後、本気を出したユキが3時間で大和の新しい艤装を完成させた。時間は18:19だったためさすがに鍛錬はできないと思い、全員でお風呂に入ることにした。鍛錬を受けていた呉鎮守府のメンバーがボロボロの状態でお風呂に浸かっていたため、大和達は嫌な予感を抱きながら浸かった。今夜はユキの話を聞くことになっている。先程の工廠でのこともあり、なにか苦しい過去があると思いながら2人はその時を待つことにした。
今回は謎の多いユキの謎がさら増えてしまった話でした。
赤城と電をお母さんと呼ぶ理由は一体?!
次回は今回の最後でボロボロになっていた艦娘たちのお話と、その間の呉鎮の話を書こうと思います。どこかで設定集を出す予定です。
それでは皆さん次回をお楽しみに
感想待ってます(´ω`)
それと皆様、Happy New Year