誠実な矢矧   作:Гарри

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08.「営倉で二人」

 ラバウル基地*1の営倉は、今日も昼から賑やかなものだった。その喧騒は、廊下一本分離れた場所にある、憲兵詰所まではっきり聞こえてくるほどだったから、全く相当なものと見なしてよかった。詰所にいた憲兵の内、ただの人間に過ぎない者たちが我先にと警邏(けいら)に出掛けてしまったのも、やむを得ぬことと言えただろう。しかし、彼らがとっとと何処ぞへ逃げ出してしまった後でも、残っていなければならなかった憲兵隊付艦娘*2らにとってみれば、これは実に恨めしい限りの裏切りであった。海軍からの出向組ではない、陸軍生え抜きの数少ない艦娘である揚陸艦娘「あきつ丸」などは、自席に座ってじっと耐えていたが、耳栓やイヤーマフをありったけ装着しようとする本能的な欲求との戦いに、ほとんど敗北しつつあった。

 

 その時である。詰所に備え付けられた電話が鳴った。とにかく耳に押しつけて営倉の騒ぎが聞こえなくなるようなものなら何でもよいと、あきつ丸は誰の追随も許さぬ速度で電話の下に馳せ参じ、受話器を手に取った。そして天に感謝した──基地の食堂で、日も沈まない内に酒を飲んで酔っ払った艦娘たちが、乱闘騒ぎを起こしたのである。姿形は少女であろうと、艦娘の力は常人を遥かに超越したものだ。これを鎮圧できるのは、艦娘以外には基本的に存在しなかった。憲兵隊付艦娘は、まさにこういった状況の為に配備されていた。

 

 乱暴に受話器を置いて立ち上がると、あきつ丸はその白い化粧面に喜色の赤らみさえ浮かべて宣言した。「出動であります」艦娘たちが一斉に動き出す。ラバウルの気候に合わせて着崩していた服装を引き締める者。鎮圧用の装備を点検する者。効率的な対処の為に、艦娘たちを幾つかの班に分けていく者。まるで大きな工業用機械のスイッチでも入れたかのように、一人一人が役目を果たそうとしていた。「それで」その動きがぴたりと止まる。「誰がこの場に残るのか?」あきつ丸は、天に哀願の念を込めて祈りながら、声の主を見た。だが籍と艦種を彼女と同じくする揚陸艦娘「神州丸(しんしゅうまる)」は、一向にそれを気にしなかった。

 

 なるほど、営倉を監督する者は絶対に必要であった。そこに入っているのは不逞の一般軍人のみならず、艦娘も含まれたからである。それに、万が一の話ではあるが、急病人が出ないとも限らなかった。そんな時に誰も詰所にいなかったせいで、適切に対処できなかったとなっては、責任問題にもなりかねない。誰かが、差し伸べられた蜘蛛の糸を振り払わなければならなかった。ここでそれを決める義務を持つ“誰か”は、陸軍所属にしてその場での最先任に当たる、あきつ丸その人であった。彼女は崩れ落ちるように腰を下ろすと、失望と呪詛のこもった蚊の鳴くような声で言った。それはどういう訳か、営倉からの騒音があってさえ、皆の耳に届いた。

 

「自分と神州丸が残るであります。現地指揮は、山汐丸(やましおまる)が執るように」

 

 艦娘たちは再び動き出した。部隊が肩を並べて詰所を出ていく寸前、指揮を任された特設護衛空母艦娘「山汐丸」は慰めるように言った。「あきつ丸先任、神州丸殿。帰りにアイスなど買って参ります」あきつ丸はせめてもの先任の意地で、平気そうな顔を取り繕って頷いたが、意味があったかどうかについては、彼女自身考えないようにするしかなかった。

 

 居残りの二人を除いたみんなが出ていった後、あきつ丸は彼女のデスクに突っ伏して、じたばたと手足を振り回し、苛立ちを空にぶつけて発散しようと試みた。唯一それを見ることのできる立場にあった神州丸は、規律に厳しい性質だったが、先任の奇行を見て見ぬふりをする優しさくらいは持ち合わせていた。一しきり暴れた後、あきつ丸は突っ伏したままぐったりとして動きを止め、覚悟を決めたような低い声で言った。

 

「今度の会議で防音房室の製作が却下されたら、最早、口枷を使うしかないであります」

「本艦は防音化には反対だが、かと言って貴様、口枷は虐待になるぞ。まず間違いなく大騒ぎ*3になり、陸海軍間の深刻な対立を招きかねない。分かっているだろう」

 

 神州丸に言われるまでもなく、あきつ丸はそれを了解していた。それでも、叶わないとしても、口に出して言いたかった。彼女はそれ以上何も言わなかったが、心の中ではこう叫んでいた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ラバウル基地の営倉は、そこに所属する人員の多さを示すかのごとく、多数が設けられている。が、そこに度々入るような馬鹿をやる艦娘や一般軍人は、そうそういるものではなかった。ラバウル基地の憲兵隊にとっての不幸は、何にだって例外が存在するという事実そのものだった。あきつ丸が呪う営倉の住人、夕雲型駆逐艦十番艦「涼波(すずなみ)」は、戦況さえ十分に好転すれば不名誉除隊待ったなし、とも噂される、各鎮守府や、基地、泊地に一人は存在する類の、端的な表現で言えば、問題児だったのである。

 

 涼波が問題を起こすようになった切っ掛けは知られていないし、本人もいつから自分がそんな風になったか、よく覚えていなかった。艦娘訓練所を出て、ラバウルに着任した頃の涼波は、新兵故の向こう見ずさ、元気さこそあったが、何かを仕出かすというほどの逸脱性は有していなかった。だが、ふと気づいてみれば、彼女は月の半分かそれ以上を営倉で過ごし、給料の三分の二を罰金の支払いに充て、ラバウル勤務の憲兵の個々人を知るようにさえなっていた。何も問題を起こしていない時は、その辺を巡回する憲兵に向かって、気軽に挨拶さえした。返事は滅多に返ってくることがなかったが、海軍の艦娘たちはその一点だけで以ても、涼波をひとかたならぬ駆逐艦娘と見なし、敬意を払った。

 

 彼女が起こす騒動は大抵、一線を越えた規模の賭博だとか、公の場での飲酒だとか、消灯時間を無視しての私的な宴会といったような、海軍生活に慣れた艦娘がやりがちなもので、独創性には欠けていたが、たまに天啓でも降ってきたかのように、あらぬことをやった。例えば、憲兵が基地内のパトロール中など、職務に臨むにおいて被ることを規定されている、制式ヘルメットへの悪戯である。

 

 装備品は普段、詰所脇の施錠された備品室に保管されているものなのだが、涼波は髪型を変え、姉妹艦に扮した上で出向組の艦娘を装って詰所に忍び込み、備品室の鍵の型を取った。後はその型に合わせて鍵を用意すれば、封印は解かれたも同然だった。犠牲になったのはあきつ丸を始めとして、基地付憲兵のほぼ全員だった。あきつ丸は、持ち前の注意深さのお陰で、憲兵隊付の艦娘の中では唯一被害を免れた神州丸に、事務ハサミで己の髪をざくざくと切って貰ったこと、そして内装のクッションが接着剤まみれのヘルメットを半泣きで頭から引っぺがしたことを、何年経っても忘れなかった。

 

 これだけのことをしても涼波が除隊させられたり、転属にならないのは、彼女の艦隊旗艦であり、ベテランの軽巡艦娘「能代(のしろ)」が、自分の艦隊に欠かせない人物として涼波を擁護し続けていた為である。実際、海の上での涼波は優秀だった。よく旗艦を補佐し、他の艦隊員に気を回すことも苦としなかったから、艦隊の雰囲気は常に士気旺盛に保たれていた。能代の提督は、自分の隷下に新しい艦娘がやってくると、必ず能代の艦隊で涼波の補佐の下、その艦娘に実戦を経験させた。これは抜群に効果のある訓練となり、初の実戦で新兵が恐怖に呑まれるのをどうやって回避するか、頭を悩ませていた他の提督たちは、しばしば能代の提督に助力を願った。

 

 そういったことが回り回って、涼波を危ういところでラバウルに留まらせていたのである。また、彼女の熱心がここのところ憲兵隊にばかり向かっていたのも、九分九厘の海軍の面々にとっては小気味よく感じられていた。そうでないのは出向組の艦娘だけで、彼女たちの犠牲はコラテラル・ダメージとして致し方ないものと見なされていた。

 

 憲兵隊の艦娘の中でも、涼波は、特に神州丸に対して対抗心を燃やしていた。ヘルメットへの悪戯に引っかからなかった神州丸は、その後の涼波の起こした騒動でも常に彼女の上を行き、先手を取って未然に犯行を防いだことも、一度や二度ではなかった。なので最初、涼波は神州丸を多少気に入らなかったが、同時に、何処か彼女を好んでいることも認めていた。他の憲兵や憲兵隊付艦娘たちは、涼波を要注意人物としてマークし、場合によってはやや強引にでも持ち物検査を行ったり、付きまとうような行いもあったが、彼女は決してそういった先入観や決めつけによる振る舞いをしなかったからだ。そうしてある日、涼波がからかい半分に神州丸へと挨拶をして、律義で堅苦しい挨拶が返ってきて以来、涼波は神州丸への親しみのこもった敬意を、包み隠さず見せるようになったのだった。

 

 もちろん、敬意を払うからと言って、涼波が危険な遊びをやめる訳ではなかった。彼女は相変わらず率先して憲兵隊の平穏な日常を壊して回ったし、毎日のように営倉に入れられては、何度となく脱走を図った。出撃の為、一時的に営倉処分を解除された際には、帰港してもわざわざ戻って行きやしないだろうと噂する者たちを尻目に、自室に帰るかのように堂々と営倉へ進み入り、どっかと室内中央に座り込んだ。初めてこれを見た折には、流石の神州丸も「戻ったのか」と呟き、涼波は「出撃は出撃、脱走は脱走だろう?」と言い返したものである。すると神州丸は、滅多にないことだが、くすくすと笑ったのだ。傍でそれを見たあきつ丸は己の目を疑い、その日の内に病気休暇を申請して眼科に受診し、両目二.〇の診断を得たという。

 

 憲兵たちが一番涼波にうんざりした点については──四六時中と言ってもいいほど、彼女が営倉の中で大声を出して歌ったことだった。ただ恐らく、憲兵たちよりもっとうんざりしたのは、隣の房室に居て音の暴力を食らった、別の軍人や艦娘たちであろう。事実として涼波が歌うようになってからというもの、ラバウルの綱紀はかつてない水準に高まった。素人歌手の隣の房室で鼓膜をなぶられ続けるくらいなら、品行方正になった方がマシだというのが、人々のもっぱらの評判だった。憲兵隊は涼波を黙らせようと試み、それが駆逐艦娘の強情さ故に失敗に終わると、ある重大な決定を下した。涼波専用の防音房室を造り、そこに彼女を放り込むこととしたのである。神州丸はこの特別扱いに反対したものの、結局彼女の意見は通らず、房室は改造され、憲兵たちは静けさを取り戻した。で、涼波にまつわる出来事においてはいつものように、神州丸は正しかった。そのことが分かったのは、房室改造から暫く後である。

 

 その日、涼波の艦隊は、彼女を抜きにして出撃していた。これは罰の一環で、一向に態度の改善を見せない涼波への脅迫も兼ねていた。自分がいない間に、家族にも等しい艦隊が死の危険に襲われるかもしれないことを思えば、今後少しは大人しくなるだろうという目論見だった。これはかなり効いたのだが、涼波の房室に同じ提督の下、別の艦隊で勤務している艦娘の一人がやってくると、話が変わった。彼女は、能代以下、涼波の穴埋めとして急遽艦隊に加わった補充の艦娘を含む全員が、作戦海域で消息を絶ったと涼波に教えたのだ。艦娘の二個艦隊を乗せたヘリ二機で構成された捜索隊が、三時間後に出るとも聞いて、涼波は憲兵たちに出してくれるように懇願した。隊に参加して、能代たちを見つけたらちゃんと戻ってくるから、と彼女は訴えたが、無駄だった。

 

 憲兵たちは警邏に出かけていき、憲兵隊付の艦娘もそれぞれの日常的任務を片付ける為に詰所を出た。残ったのは神州丸だけで、他の憲兵たちが彼女さえいれば涼波なんてどうにでもなる、と思っているのは明白だった。そもそも、彼女の為だけにしつらえられた営倉に閉じ込められているのに、何ができるものか、と彼らは考えていた。

 

 無論、涼波はその答えをずっと前から知っていた。出撃から素直に戻ってきて、神州丸を驚かせた日から。出撃ごとに、彼女は工廠で艤装整備に用いる薬品や塗料を僅かずつちょろまかし、房室内に持ち込んでいた。それを房室の扉の一部、主に蝶番部分やそれに近い箇所に塗布し、その部位の剛性を弱め続けていたのである。涼波は逸る心を抑え、じっと待った。ヘリが出発する直前に合流し、無理やり捜索隊に加わるつもりだった。幸い、営倉にも時計くらいは置いてあったので、時間に遅れたり、逆に早すぎたりすることは恐れずに済んだ。捜索隊の出発まで残り三十分ほどになるまで待って、駆逐艦娘は行動を開始した。

 

 やることは至って単純、これまで弱めてきた扉の一部分を壊し、こじ開けて出ていくだけだ。しかしそれを、神州丸に見つからず、気取られずに行わなければならなかった。今、涼波のいるこの建物を出て、工廠に無事たどり着きさえすれば、艤装も燃料も弾薬も何とかしてみせる。ただ神州丸だけ、乗り越えることができたなら、万事はうまく行く筈なのだ。涼波はそう信じていた。

 

 腐食させた部分に力が加わるように、体当たりを行う。余り大きな音が立たないように気遣いつつ、何度かそれを繰り返すと、確かにべきりと音が聞こえた。もう少しだ! 涼波は自身の体に、かっと熱いものが駆け巡るのを感じた。そのせいで、一歩だけ、余分に強く踏み込んでしまった。許容できるよりも大きな音を立てて、扉が壊れ、体当たりされて乗った勢いのまま、床へと叩きつけられる。涼波は思わず口元を押さえ、僅かに一秒、ここ暫くで最大最悪の失敗を味わった。けれど、彼女は失敗を失敗のままにしておくことは、何の足しにもならないと知っていた。

 

 すぐさま、賢しらに計画していた何もかもを忘れて、脱兎のごとく駆け出す。神州丸が脱走犯を取り押さえに現れる前に、工廠へ向かい、艤装と物資を手に入れなければならなかった。もし彼女が立ち塞がるなら、殴り倒してでも乗り越えていくつもりだった。ところが、営倉から出て廊下を半分ほど行ったところで、涼波は不審に思った。彼女が知っている神州丸なら、もう目前に立っていたっていい筈なのだ。なのに、彼女はいなかった。廊下のもう半分を走り、詰所の出入口を見る。ドアは半開きになっていて、今しがた出掛けたかのようだった。幸運の女神が自分に味方しているのか、悪趣味な罠に過ぎないのか、悩む余裕はなかった。

 

 涼波は走った。走って、走って、事情を知らぬ艦娘や兵士たちから「今度は一体何をしているのか」という視線を向けられながら、彼女は工廠に飛び込んだ。工廠付の明石は、来ると思っていたと言わんばかりの反応で、涼波を見るやただちに彼女の艤装を出した。既に燃料、弾薬共に補給されており、やるべきは身につけることだけの状態だ。装備を済ませ、礼もそこそこに発着場に向かう。警衛の兵もいたが、彼らは涼波を集合時間に遅れそうになって急いでいるだけだと勘違いしたのか、声を掛けることもなく彼女を通した。そうして涼波がとうとうヘリの前に到着した時、捜索隊は一個艦隊ずつに分かれて二機のヘリに乗り込むところだった。両艦隊の総指揮を執っていた重巡艦娘は、手を振って「早くしろ」と示し、それで話は決まりだった。

 

 後は、大したことは起こらなかった。涼波は捜索隊と共に能代が消息を絶った地点に移動し、事前情報と経験に基づいて、能代がどういう選択を下したかを推測した。総指揮の重巡艦娘は彼女の意見を尊重し、それは正しい判断だった。現場到着から数時間の後、捜索隊は装備や燃料、弾薬のほとんどを失い、ほぼ漂流状態の能代たちを見つけたのである。どういう事情でそんなことになったのかは、もっともっと後まで分からなかった。能代も他の艦娘たちも疲労困憊で、ヘリの中で事情聴取をできる状態ではなかったせいだ。しかし、ともあれ、艦隊の誰一人として欠けてはいなかった。涼波は捜索隊の中で誰が果たしたよりも、ずっと大きな役割を担えたことに、心から満足した。

 

 ヘリがラバウルに戻ってくると、発着場にはあきつ丸の率いる憲兵隊付艦娘が大勢で待ち構えていた。涼波は抵抗せず、両手を上げて彼女たちに降参した。そのまま親しみ深い営倉まで連れて行かれて、扉の壊れてしまった馴染みの房室の代わりに、その隣室へと放り込まれる。音を立てて扉が閉じ、次いで覗き窓が開くと、苛立ちで震えるあきつ丸の声が「次歌ったら口枷を噛ませるであります」と告げた。涼波の返事を待たずに、窓が閉まる。やれやれ、と苦笑して彼女が振り返ると、そこには神州丸がいた。床の上に正座し、遂に営倉から逃げ出してみせた駆逐艦娘をじいっと見つめて、言った。「馬鹿なことをしたな」涼波は、これから待ち受けるものが何であろうと、覚悟はできていた。精一杯虚勢を張り、笑顔を作って言ってやった。

 

「これで初めて、ようやっと白星一つってとこかな? それとも、あんたがあたしの脱走の責任取らされて一緒に営倉入りしたってことで……二つ?」

 

 相手の挑発的な態度にも、神州丸はにこりともせず、また、鼻を鳴らすような真似もせず、だが穏やかに言った。

 

「脱走できたのは当然だ。本艦も、初めて警備を怠ったのです。あなたを悲しませたくなくて」

 

 涼波はそれを聞いて、大いに赤面した。

*1
太平洋南西部のパプアニューギニア近隣、ビスマルク海沿岸に存在する海軍基地。前線にほど近い拠点の中では、物資も人員も比較的潤沢だった。所属する艦娘たちの練度においては、最前線たるトラック泊地等と比べ一段落ちるものの、その士気は極めて高かった。

*2
戦争末期までは、艦娘を鎮圧できるのは深海棲艦か艦娘だけで、ただの人間にはどうにもできない、という考えが主流だった。憲兵組織においてもこれは同じで、陸軍は数少ない陸軍艦娘らの多くを憲兵隊へと配属している。が、それでも足りなかったので、やがて海軍艦娘を出向させ、艦娘関連の案件に関わらせるようになった。彼女たちは「出向組」と呼ばれ、しばしば憲兵隊外の艦娘たちからは、陸軍にさらわれた哀れみの対象としてか、そうでなければ裏切り者であるかのように見られた。

*3
戦争中、憲兵隊による反抗的な艦娘への非人道的な拘束が映像付きでリークされ、問題になったことがあった。この事件については、「練習巡洋艦 鹿島」著の「砕けた奥歯」(朝潮出版)に詳しい。


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