なんて恐ろしい世界に転生してしまったんだ……。
「なんということだ……死んだと思ったら異世界転生してしまった。米花町があるとかここは名探偵コナンの世界に違いない。事件に巻き込まれたらどうしよう」
「えっ! もしかしてあなたも名探偵コナンを知っているんですか!?」
「あ、あなたも転生者なんですか?」
「そうなんですよ! いやあ、まさかコナンのファンだったからって100年前に逆行転生するとは思わないですよね!」
「ひゃくねんまえ」
「あっ、もしかして設定詳しく知らないタイプですか? 名探偵コナンは平成から令和の頃に活躍した推理小説家の工藤優作とその息子で探偵をしていた工藤新一を元ネタにしているんですよ。今は平成だからちょうどその時代なんですよ!」
「えっ、元ネタ? 工藤新一実在する?」
「そりゃあ実在しますよ。ちょっと古典に入るとはいえ、図書館に工藤優作の作品はだいたいおいてあったでしょう」
「別の意味で恐ろしい世界に生まれてしまった気がするぞ……。いや、待てよ。あの、すいません! 元ネタがあるとはいえ、実際にはあんな量の事件は起きていないですよね?」
「そりゃあ、あれはマンガですからね。短期間にあんなに事件が起きるなんて現実じゃありえないですよ」
「ですよね! ……これは助かったかもしれないぞ」
「あれは平成と令和の間に実際に起きた事件を元ネタに使ってるだけですから。数十年分の事件が一年間に凝縮されるとヤバいですよね」
「終わった……ヤバい動機の犯人も、春の季語の爆発も、ややこしいトリックを使う犯人も実在してしまうんだァ……」
「さすがに事件の関係者や犯人の名前はプライバシーの問題もあるから実名は使ってないらしいですよ」
「最悪だ、事件回避の難易度まで上げてきてやがる……」
「でも史実を元ネタにしてる割に、毒薬で子供になっちゃうのはなかなか攻めた設定使ってますよね」
「あっ、そこは流石にフィクションだよね助かった。そうですよね、腕時計型麻酔銃とかキック力増強シューズとかもヤバいですよね」
「えっ、知らないんですか? どっちも警察官の制式装備じゃないですか。この時代だとまだないですけど」
「あるのかよ」
「まあ、拳銃の発砲とは違ってニュースでも全然話題にならないですからね。警視庁24時みたいな番組だと割とでてるんですけど、興味ない人は知らないかぁ」
「めちゃくちゃ興味あるけど怖すぎて聞きたくない……。そういうネタを使ってるってことは、作者は警察に詳しいんですかね」
「あー、ペンネーム使って本名伏せてるからオタク以外にはあんまり知られてないけど、作者は工藤新一の子孫にあたるとか。事件の資料は実家にあったものを使っているらしいです。本人にも警察につてがあるんじゃないかとも言われてますね」
「事件が実際にあったという信頼度がマシマシじゃん地獄かよ」
「工藤新一の子孫だっていうのも元々は明かさないつもりだったらしいんですけど、眠りの小五郎のファンから苦情がきたから公表したんですよね。ちょっとアレな扱いですけど、本人の子孫が愛を込めてネタにしてるとなると文句も言いづらいし」
「ヒエッ、眠りの小五郎が実在してるし、しれっと新一と蘭ねーちゃんが結婚してる。公式カプのネタバレを食らった気分」
「僕も眠りの小五郎のファンでもあるし、せっかくこの時代にいるんだから推理するところリアルで見たいなぁ。ものは相談なんですけど、ちょっとなんかいい感じのトリックとかで事件起こしたりできませんか?」
「ヤバいこのままでは米花町にありがちな謎の動機で面倒なトリックの事件を起こすタイプの犯人にされてしまう」
「あっ、でも推理を間近で見るなら犯人になった方がいいのかな。被害者役の方お願いしようかなぁ」
「唐突な生命の危機。こいつは間違いなく未来の米花町の住民ですわ」
「大丈夫です、本当に殺したりしないんで。動機がバレないように口封じとかしないんで安心してください」
「嘘だこの世界は狂言誘拐が本当の事件になる世界なんだ騙されんぞ! おまわりさん、助けておまわりさーん!」
リアルの人物の経歴のままにキャラをつくったらリアリティがないと言われた話とか、比較的リアリティがあるレベルでキャラをつくったらリアルの人物に上を行かれた某ラノベの話とかを見た結果思いついたネタ。
リアリティどうこう言っててもリアルパイセンには敵わないみたいなのを二次創作系でやってみたくなった。