元蜘蛛男で現蜘蛛女のヒーローアカデミア   作:りてらしー

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蜘蛛女のUSJ

 ヴィラン侵入事件の日の帰り道。

 私は出久と一緒に帰っていた。

 昼間の警報について出久に尋ねると、昼間の警報はマスコミ侵入によるものだったそう。

 つまり、あの二人のヴィランはマスコミ侵入を囮に校内へ入ってきていたようだ。

 用意周到だな。うーん、絶対なんかして来るよな明日。

 まあ、明日になってみないとわからないが。

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。

 私はヒーローコスチュームに着替えてバスの中で揺られていた。

 隣には出久と梅雨ちゃんが座っている。

 乗る前に飯田くんがバスの席順を指示していたが全く違うバスの構造だったことにより無駄になる。哀れ。

 乗っている間に暇になり、自然と雑談が始まる。

 話してる内容はやはりみんなの個性に関してのようだ。

 あ、出久に話題いった。

 梅雨ちゃんが私を挟んで出久に話しかける。挟まれるの気まず。

 ん?オールマイトに似てる?

 あー、確かに、パワーはオールマイト並みだと思う。オールマイトのパンチの風圧だけなら私も直に感じたし。出久のフルパワーパンチも見る限りは同じぐらいだと思う。

 

「でもよぉ、梅雨ちゃん。オールマイトは自分の体は怪我しねえぜ?似て非なるあれだぜ」

 

「あ、そのことなんだけど…僕、個性の出力をある程度制御できるようになったおかげで怪我しなくなったんだ」

 

 ああ、そういえば昨日緑色のばちばち鳴ってるやつをまとえるようになったんだったな。私が教えたのに忘れてたわ。

 出力は5%程度でもヴィランに通用するのは私が身をもって証明しているのでこれで出久も体を壊さない武器を手に入れたわけだ。

 あ、そろそろつくらしい。私結局誰とも会話せずぼーっとしてただけだったな。

 

 

 

 

 

 

 USJに入って少し。

 相澤先生と宇宙服みたいなのを着た人がなんか話してる。

 少しみんながざわざわしてて聞き取りづらいけど、若干聞こえてくる。

 

「…活動限界…まで…ったみたいで」

 

 宇宙服の人が三本指立ててる。それを見て相澤先生がため息をつく。

 活動限界?三本指?それで、宇宙服。つまり宇宙。

 ウルトラマンかなにか?

 あ、話し終わった。

 

 

 

 宇宙服の人はウルトラマンではなく13号というヒーローらしい。13号先生はウルトラマンになる個性でもなくブラックホールというなんでも吸い込むめちゃつよ個性を持っているらしい。

 出久とお茶子ちゃんによると13号は災害救助を主にやっているヒーローらしい。

 13号先生が話した内容は、個性というのは簡単に人を傷つけることのできる力で、それは人を助けるために使いなさい。という話だった。

 みんな拍手してる。実際いい話だった。

 

 その時、スパイダーセンスが反応する。

 

「相澤先生!13号先生!来ます!」

 

 これで何も来なかったら恥ずかしいな、なんて思いながら叫ぶ。

 突然、USJの中央の広場に、見覚えのある黒いもやが大きく広がる。

 その中から、大量の悪意を持った人間たちが現れる。

 最後に、脳みそが剥き出しの巨漢と、職員室に侵入していた黒いもやの男と体中に手がくっついた男が出てくる。

 

「な、なんだ?入試んときみたいな、もう始まってんぞパターン?」

 

 いいや、そんなわけはない、あれは…。

 

「あれは、あいつらは…ヴィランだ」

 

「13号は生徒を守れ!」

 

 そう言って、相澤先生は中央の広場に向かって走り出す。

 

 

 

 中央広場に降り立った相澤先生は周囲のヴィランを相手取り、首に巻いていた布を器用に扱い、投げ飛ばしたり、体術で数を減らしていく。

 すごい、これがプロのヒーローなのか。

 だけど、あの巨漢だけはダメだ。

 あいつに対して私のスパイダーセンスは恐ろしいほど反応している。あいつは、簡単に私たちを殺せるだけの力を持っている。

 

 

 外していた、マスクとフードを被る。

 

「さあ、みんな、避難しますよ!」

 

 13号先生が避難誘導を行う。

 

 私が今あの場に行っても、あの巨漢を倒すことはできないかもしれない。

 だが、あれを相澤先生に一人で相手させるのは絶対に無理だ。

 相澤先生が弱いんじゃない。あれが強すぎるんだ。

 

「ごめん、先生!」

 

 避難誘導でみんなが逃げている方向とは逆に、ウェブを地面に発射して、それを引っ張って加速しながら広場へと跳びだす。

 私が今すべきことは、とりあえず相澤先生の援護だ。

 

「私が来た!なーんて、言っちゃってみたりして!」

 

 相澤先生の背後から襲い掛かろうとしていたヴィランに落下の勢いを乗せたキックをくらわせる。

 

「雲嶋!?お前、何してる!早く逃げろ!」

 

「相澤先生、私の個性って危険感知があるんです。それで、危険感知の反応にも度合いがあってですね」

 

「わかった、もういい!隙を見てここを離れろ!」

 

「話ぐらい聞いてくださいよ。それでですね、私の個性の反応の段階は四つ程に分けられるんです。まず、一段階目、視線を向けられたとき。二段階目、攻撃をされそうなとき。三段階目は相手が自分を殺す手段を持っているとき。四段階目は、為す術がないとき」

 

「お前の口ぶりから察するに、今このヴィランたちの中に四段階目の反応があったんだな。だが…」

 

「ヒーローは守ることが仕事だ。確かに、お前たちもヒーローの卵ではあるが、まだ卵だ。俺たちからすると、お前たちはまだ守られる立場なんだ」

 

「私はフライングで孵化済みの雛鳥ですから、大丈夫ですよ。ほら、早くこいつらだけでも片付けましょうよ」

 

「はぁ…これが終わったら、反省文を作文用紙3枚にまとめて提出すること。わかったな」

 

 戦闘許可が出た。これでこのチンピラどもを片付けられる。

 

 巨体の男と、腕からナイフを生やした男が襲い掛かってくる。

 

「お話終わってくれるまで待ってくれてありがと。どう?君も私とお話するってのは」

 

「するわけねーだろ!バカにしてんじゃねえぞ!」

 

「そっかあ、それは残念」

 

 殴りかかってきた巨漢の拳をよけ、そのままその腕をひっぱる。

 バランスを崩した男は地面に倒れる。すかさずウェブを乱射し、地面に貼り付けにする。ヴィジランテでよくやってた手口だ。なんでか爆豪くんにもやったけど。

 

「君のナイフ、鋭そうだね!豆腐ぐらいなら切れるんじゃないかな」

 

「豆腐だと?テメエコラア!」

 

 ナイフを突き出してくるので体を反らして躱し、そのままナイフを蹴り上げ、更に回転しながらナイフ男を蹴り飛ばす。尾白くんがやっていた回し蹴りを見よう見まねでやってみた。武術ってすごいかも。

 

「相澤先生、どーですか?私!そこそこやれるでしょ?」

 

「油断するな、雲嶋。…ッ!まずい!あいつ!」

 

 黒いもやがいつのまにかいなくなっている。

 

「後ろか!」

 

 さっきまで私がいたところを見ると、黒いもやのドームが出来上がっていた。

 

「相澤先生、多分あいつ、みんなを散らして各個撃破しようとしてます!」

 

「チッ、クソ…。雲嶋、ここの雑魚を片付けたら散らされたやつらを探しに行け!」

 

「ダメです、先生が探しに行ってください」

 

「わかった、もういい!先に片付けるぞ!」

 

 私はどうでもいいが、相澤先生を死なせるわけにはいかない。

 相澤先生の指示に従えないのは申し訳ないけど、許してほしい。

 そんな話をしている間にもヴィランが襲い掛かってくる。

 

 ちょうどいいや、相澤先生がさっきやってた布を巧みに操った捕縛術。真似してみよう。

 

「確か、布を巻いて、上に持ち上げて、ひっぱる、んだっけ?」

 

 襲い掛かってきた三人のヴィランにウェブを発射する。

 そして、上に持ち上げる際に、ウェブを絡ませる。そして、最後に。

 

「一気に、下に引っ張る!」

 

 すると、ヴィラン同士がぶつかり、倒れる。

 

「すごい!できた!」

 

 出来たけど、相澤先生と比べるとだいぶ抜け出す隙があったな。難しい。

 

「お前は命を賭けた戦いの途中で何を喜んでんだ…」

 

「あ、ごめんなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 チンピラを粗方片付け終わった後。

 相澤先生の戦い方を途中に見ていたが、実に有意義だった。

 布で出来ることは大体ウェブでもできるので、いろんな技術を見て学ぶことが出来た。

 

「よし、雲嶋、これぐらいでいい。早く行け」

 

「いや、ですから…」

 

 今まで待機していた手の男が私にも向かって走り出す。

 

「相澤先生!相手の狙いも私みたいです!早く!行ってください!」

 

「…すぐに、助けに戻る!」

 

 相澤先生がその場を離れてくれる。

 これでいい。これで。

 手の男が向かって来る。逆に、突っ込んでやろう。

 走ってくる男にウェブを発射し、くっつけようとするが、男がウェブを手でつかんだ瞬間ぼろぼろと崩れていく。

 

「マジで!?」

 

 相手の間合いに入った。スパイダーセンスが反応する。三段階目。

 物体をぼろぼろにする個性は生物にも問題なく発動するようだ。

 手を突き出してくる男とバックステップで間合いを取る。

 

「触れられたら一発アウトに近い個性なんて、ずる過ぎるでしょ!」

 

「お前、生徒だよな?なんで生徒が逃げずに俺たちに立ち向かってんだよ」

 

「なんでって、ヒーローの卵だから、とかじゃないかなあ」

 

「あークソ…」

 

 再び男が走って向かって来る。

 どうする。触れられたらどれだけの勢いでぼろぼろになるかわからない。

 …肉弾戦しかない。ウェブを発射しても触れられたら終わりだ。

 まずは、カウンターを…!

 再び、手を突き出してくる男。

 

「そういえば、ずっと気になってたんだけど、その手ってハンドメイドなの?それとも、買った?」

 

「…黙ってろ!」

 

「あれ、怒らせちゃったかな。でも、怒るべきは私たちの方だから、怒らないでよ」

 

 手を跳躍で避け、男ではなく地面にウェブを発射し、それを引っ張る。

 

「私お得意、ジャンプアンドウェブキーック!」

 

 男の顔面を蹴り飛ばし、吹っ飛んだ。

 

「どーよ…って、油断も隙もないな」

 

 後ろから二人雑魚が襲い掛かってくる。

 まとめて横なぎに蹴り倒す。

 

「…正直、舐めてたよ。そんで、すっげーうざいな。お前」

 

「そー?君のその前髪のほうが長くてうざいと思うけど」

 

「俺を一回蹴っ飛ばした程度でいい気になるなよ。本命は…」

 

 スパイダーセンスが再び大きく反応する。

 

「俺じゃない」

 

 後ろから、濃密な死の気配が漂って来る。

 瞬間、私は顔面に激痛が走る。後頭部が掴まれている感覚。

 

「教えてやるよ…そいつは対平和の象徴、怪人脳無だ」

 

「なに、その名前…脳みそ見えてるのに、脳無?知ってる?矛盾って。こーゆーこと」

 

 言いかけた瞬間再び顔を上げた私を地面にたたきつける。

 痛い。ヴィジランテ活動でこんな経験をしたことは一回もなかった。

 

「マスクを取れ、脳無」

 

 指示を受けて、脳無が私のマスクを剥ぎ取る。

 

「お前が絶望に歪む顔を見せてくれよ、ヒーローの卵…!」

 

「…バーカ、絶望なんて、するかよ」

 

 腕を折られる。痛い。骨折なんてことは個性が強くなってから一度もなったことはない。

 黒もやが帰ってくる。何を話しているんだ。聞こえない。いまいち頭に入ってこない。

 だめだ、集中しろ。意識をしっかりともて。

 

「……帰ろっか」

 

 その瞬間、出久が脳無に殴りかかっているのが見えた。

 そして、その出久に男が手を伸ばしているのも。

 

 

 

 相澤先生が、ここに残っていれば。

 男の個性を消して出久を助けることが出来ていた。

 私が、指示に従っていれば。

 また、なにもできないころに逆戻りだ。

 

 

 

 

 

 

 いいのか、それで。

 ずっと助けを求める声を無視し続けるころに戻っていいのか。

 

 

 

 

 

 

 そんなわけはない。

 いいわけがない。

 

 なら、動けよ。

 動け、体。

 動け。動け動け動け。

 

 

 

 

 

 

 いつかの記憶。誰かが俺に語ってくれた。

 

『僕が憧れてるスパイダーマンってヒーローの話、してもいいかい?』

 

『    が憧れているヒーロー?    より、強いの?』

 

『ああ、強いさ。僕なんかよりね』

 

『どんな個性があるの?』

 

『彼はね、超パワーを持っているんだ。オールマイトにも匹敵する超パワーをね。倒れたビル一つを持ち上げることだってできるんだ』

 

『すごい!ねえ、他にはなにかあるの?』

 

『ああ、手首から蜘蛛の糸を発射することが出来るんだ。僕みたいにね。こんなふうに』

 

 誰かが、ウェブを発射するときの手のポーズをする。そして、手首から糸を出す。

 

『    ってスパイダーマンなの?』

 

『違うさ、けどね。僕の個性を使うとき彼をイメージするよ』

 

『へー』

 

『それでね、八菜。彼はこれ以外にもスーツ越しにだって壁に張り付けたり、怪我や病気がすぐに治ったり、危険を感知したりすることが出来るんだ」

 

『危険を感知って、敵の攻撃が分かるってこと?』

 

『ああ、そうだよ』

 

『つよいね!いっちばんつよい!」

 

『ああ、とても強いよ。だけどね、一番の強さはそれじゃない』

 

『一番強い?どんな個性なの?』

 

『個性じゃないさ。八菜。彼の一番の強さは』

 

『何度倒れても、何度だって起き上がる。それが一番強いんだ』

 

『…?でも、一度も倒れないのが一番強いよ?』

 

『ははは。そうだね。だけど、生きていくなら、絶対に倒れてしまうものなんだ。それでも絶対に起き上がる。それが一番強いんだ。僕は八菜にそうなってほしいと思ってるよ』

 

『うーん、よくわかんないや』

 

『いつか、わかるさ』

 

 そう言って、大切な、俺の憧れの誰かは俺の頭を撫でてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スパイダーマンって、さぁ…」

 

 折れていない左腕に力を籠める。

 

「何度でも起き上がるんだ」

 

 脳無の腕に押さえつけられる。それでも、籠め続ける。

 

「何度倒れたってね」

 

 右腕の骨折と頭の怪我を治す。右腕にも力を籠める。

 

「絶対に、起き上がるんだってさ!」

 

 上半身を起き上がらせる。その瞬間拘束から抜け出し、脳無を裏拳をくらわせぶっ飛ばす。

 出久に手を伸ばしている男の腕をへし折った後、服を掴み黒もやへとぶん投げる。

 

「やあ、出久。元気してる?How are you?」

 

「八菜さんッその怪我…!」

 

「だいじょーぶだいじょーぶ。もう治ったし。というか、折角個性の制御方法教えてやったのに怪我しやがって」

 

 遅れて、峰田くんと梅雨ちゃんがやってくる。

 

「八菜ちゃん、私たちは、どうすればいいかしら?手短に教えて」

 

「すぐにこの場を離れて逃げてほしいかな。私はこいつらを相手するから」

 

「相手する…って、今ぼこぼこにされてたじゃんかよ!できるわけねえって!」

 

「ぶどうくんよ、大丈夫さ」

 

「私は、スパイダーマンだ。立ち上がるんだ。何度だって」

 

「八菜さん…」

 

「ほら、早く行きなよ。三人とも」

 

「だめだ、八菜さんその体力じゃ…!」

 

「もー、大丈夫だって言ってんのに。仕方ないなあ。ほら、三人固まって」

 

 ウェブを三人に巻き付ける。そして、そのウェブの一端を掴む。

 

「逃がしてあげるから!一瞬でね!」

 

 個性把握テストのハンマー投げの要領でUSJ入り口までぶん投げる。

 

「世界記録狙えるんじゃないかなあ。人間ハンマー投げ三人の部門とかで」

 

「お前、どうやって脳無から逃げた」

 

「あ、やっほー。おかげさまで強くなれました」

 

「ふざけんな…追い詰められて覚醒とか、主人公かって…ふざけんな…!」

 

 男が喋っているうちに、突っ込む。

 

「あれ?また力が強くなっちゃったかな。こんな急に」

 

 私が踏み込んだところにはクレーターが出来上がっていた。

 

「まあ、いいさ!」

 

 男の目の前に飛び出して顔面にパンチを喰らわせぶっ飛ばす。

 

「死柄木弔!」

 

「次はお前!黒もや!」

 

 黒もやの胴体にウェブを発射し、引っ張る。その勢いで胴体であるだろう部分にドロップキックを喰らわせる。

 倒れた黒もやにウェブを乱射し、動けないようにする。特に、顔のあった部分に念入りに乱射して視界をふさいでおく。

 

「よし、最後に、話が通じるか分かんないけど脳無。お前だ」

 

 脳無からの反応はない。あれ?

 

「脳無ウウウウ!そいつをぶっ殺せエエエエ!」

 

 死柄木弔が叫ぶ。

 その瞬間、脳無が動き出す。

 

「なるほど、指示がないと動けないのか。おいおい、指示待ち人間って社会問題なんじゃないのー?」

 

 間合いを詰められたので一度距離を取る。

 さて、どうしよう。

 なぜかは分からないが今私の力は体を動かした感じオールマイトにも匹敵するんじゃないかと思うぐらいまで引き上げられている。

 これなら、あいつにも対抗できるかもしれない。

 試してみよう。

 もし仮に倒れても。

 

「起き上がれば、いいんだからなあ!」

 

 脳無の両肩にウェブを発射しそれを引っ張りドロップキックを喰らわせる。

 そのまま脳無に張り付き、ウェブを脳無の肩からわきの下まで通す。

 そして、ウェブを掴んで脳無を蹴って跳んで間合いを取り、腕を引きちぎる。

 

「腕をちぎるぐらいなら許してほしいなあ。そんなに強いんだしね」

 

「残念だったなあ…」

 

 脳無はちぎれた腕の断面から肉を生成し、ちぎった腕を再生させていた。

 

「脳無にはショック吸収と超再生の個性があるんだよ!お前じゃ勝てねえ!」

 

「ああ、そうなんだ」

 

「教えてやろうか?脳無には、えぐって削るような攻撃が効くぜ?」

 

「ああ、そうなんだ」

 

 えぐって削るとか出来んし…。

 それなら、やることは決まったな。

 脳無の右ストレートが飛んでくる。

 それに左拳を打ちつけて相殺する。

 すかさず脳無は左拳で私を狙って来る。

 同じように右拳を打ち付けて相殺する。

 そこからは加速していくように殴り合いが始まった。

 襲い掛かってくる拳に、嵐を幻視した。

 

 正直に言って、私は劣勢だった。

 体格の差でリーチが違い、反撃に出ることが難しい。時々攻撃を躱してパンチを腹に食らわせたりするが効いている感触がしない。そして、単純な力負け。

 オールマイト並みのパワーを持っていると私は思いあがっていたが、そんなことはない。あっても精々半分程度だろう。

 だから、反撃もできず、逃げることもできない戦いなんて。

 

 私が負けるに決まっている。

 

 私は脳無のパンチに追いつけずに壁にぶっ飛ばされる。

 倒れてしまうが、すぐに起き上がる。

 

「そう…そうだよね。これが強さなんだ」

 

「何度倒れても、何度でも起き上がればいい」

 

「そう。これでいいんだよね」

 

 脳無に突っ込もうとするが、USJの入り口で爆音が鳴る。

 なんだ?何かを殴ったような音…。

 

 金色の髪と巨体が見えた。

 

 オールマイトだ。

 

 これで、みんなの安全は確保できたな。

 あとは、私がどうにか、こいつを倒すだけだ。

 と、思ったが、オールマイトは私のもとへと跳んできた。

 

「雲嶋少女!大丈夫か!」

 

「ええ、大丈夫です。あの脳みそヴィランたちは私が全部やるので、他のみんなのところへと向かってください」

 

「大丈夫だ、安心しろ。君がひきつけておいてくれたおかげで相澤くん…イレイザーヘッドが今ちょうど君以外の生徒全員の避難を完了した!後は君だけだ!」

 

「そう、ですか…よかった…」

 

 緊張の糸が切れてぶっ倒れそうになるが耐える。まだ終わっていない。

 

「オールマイト、手のヴィランと黒もやヴィランの二人ですが、あちらは正直に言って弱いです。気にしなくてもいい。ただ、あの脳無と呼ばれている脳みそヴィランが強すぎます。オールマイト並みの超パワーを素で持っているうえに、ショック吸収と超再生という二つの個性を持っています。えぐるように削る攻撃が有効だと言っていましたが、そんなことが出来る個性は今ないです。だから…」

 

「ショック吸収の限界を超える。だね」

 

「はい。私も今あなたの半分程度の力を持っているので、微力ながら加勢します」

 

「大丈夫さ。気にするな。雲嶋少女」

 

「しかし、ショック吸収に加え、あなた並みのパワーだと、オールマイトが圧倒的に不利です!」

 

「雄英の校訓を覚えているかい?私はその言葉が大好きでね」

 

 

 

プルス・ウルトラ(更に向こうへ)。ヒーローとは限界を超えていくものさ。今、君が限界を超えて頑張ってくれていたようにね」

 

 

 

「後は、私に任せて、休みなさい」

 

 

 

 オールマイトが、私に背を向けて脳無へと歩いていく。

 あれが、トップヒーローの背中。

 

 

 

 

 

「ガァッ…!?」

 

 突然、全身を激しい痛みが襲う。しかし、その痛みもすぐになくなる。

 吐き気がする。頭が揺れる。視界が点滅する。

 思考が安定しない。

 限界を超えた分の徴収ってことだろうか。

 そして、猛烈な睡魔が私を襲って来る。

 

 

 

 とっくの昔に限界を迎えていた私は、壁際で倒れて、気絶した。

プロフィールで一話取ったりした方がいいですか?

  • とれ
  • とるな
  • 後書きで済ませろ
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