お気に入り1000突破感謝
なんか急に伸びたけど、どうしてなんでしょうか。
負けた。
まだ、私が守る側だと思っていた出久に、どんな状況、形式であれ負けた。
成長していることを実感してうれしい気持ちもあるが、恥ずかしい。
昨日の今日で追い越されたんだけど。どうした急に。
結果は私が二位で一位が出久。三位が轟くん四位が爆豪くんとなった。
そして続々と後ろの人が続いてゴールに到達してくる。
出久に声をかけようとすると、出久はどこかに視線を向けていた。
どこに視線を向けているのか?確認すると金髪のがりがりの人を見つめていた。
誰だよ。
「やっほ、出久」
「あっ!?八菜さん!」
「声かけただけなのに、どうしたのそんな驚いて」
「い、いや、ちょっと考え事してて…」
「考え事って言うと、あの席に座ってる金髪の人?さっき見てたよね」
「えっ!?気づいたの?」
「うん。それで、あの人は誰なの?見覚えがないこともないんだけど」
「えっと、あの人はオールマイトのマネージャーの人で…」
「オールマイトのマネージャー?へー。そんなすごい人なんだ」
「う、うん。それで、僕が活躍したらオールマイトに連絡してくれるみたいだから、ちょっとアイコンタクト取ってたっていうか…」
「なるほどね。そういうことか」
出久はオールマイトにやっぱり気に入られているのか。
「あー、えっと」
いろいろ恥ずかしいとか、悔しいとか、うれしいとかあるけど、言うべきは一つ、だと思う。
「一位おめでとう。出久」
「ありがとう、八菜さん。ところで…」
どうした。
「僕は、君を守れるぐらい強くなれたかな」
「なに?まだあのこと気にしてるの?」
「あ、えっと!昨日みたいに責任を感じてるみたいなんじゃなくてね。えっと」
まあ、なんとなく違うのはわかるけども。
「君が助けを求めた時に、僕が役に立てるぐらいになれたかなって」
「…。なにそれ、どういう質問なの?」
思わず吹き出してしまう。
「ええっ!?なんか僕おかしい事言ったかな…」
「いや、おかしくはないけどさ…」
うーん。どういう意図の質問か全くわからん。
「まだまだ、かな」
出久が悲しそうな目をしてる。ちょ、罪悪感わくからその目やめてくれ。
「まだ、体育祭は始まったばっかりだよ。なんで私を守れるぐらいって指標にしたかわかんないけど、私より強くなりたいんだったら、体育祭を優勝してよ。私も、決勝で待ってるから」
出久はそれを聞いて悲しそうな目を決意した目に変えて、頷いた。
どうやら、私が決勝まで行くことは信じてくれているらしい。優しいやつだ。
こんな約束までして、私決勝まで行けなかったらどうしようかな。
ミッドナイト先生の次の種目決定だ。
「第二種目は…これ!騎馬戦!」
騎馬戦。騎手と騎馬に分かれて第一種目の順位で割り振られたポイントを奪い合って勝敗を決めるらしい。
ポイントはハチマキに書いてそれを首から上にまく。
一位1000万ポイントとかいう、無茶苦茶なクイズ大会にありがちな大どんでん返しのポイント配分だ。
実質的に、このポイントを奪いさえすれば勝利の、つまりは一千万ポイント争奪戦。
出久、決勝まで来れるかな。
制限時間15分、チーム決め交渉兼作戦会議15分の計30分。
騎馬が崩れても失格ではないけれど、騎馬崩し目的の攻撃はアウト。
そして、上位4チームが本選出場。
うーん。私の個性で蜘蛛の巣ウェブ撃ちまくって足場悪くしてその後ウェブでハチマキ奪いまくってもいいな。
ただ、体の動きにくさからして騎手をしたいんだよな。
騎手をやらせてくれそうで、騎馬にも向いてて、ある程度個性を把握して連携が取りやすい人…
出久、かなあ…。
「出久、よかったら組まない?」
「えっ」
「さっき、あんなこと言ったけど、私を守れるぐらいじゃなくても、お互いに助け合えるぐらいには強いからさ。組んでほしいな」
「八菜さん…いいの?僕、一番狙われると思うけど」
「いいよ、別に。逆にさ、全部奪っちゃおうよ」
「ありがとう、八菜さん。えっと、僕は増強型だし、騎馬をやろうと思ってたんだけど、いいかな」
「もちろん。私も体動かしにくいし、騎手やりたかったんだ。えっと、他の人選は出久に任せててもいいかな。すこし休ませてほしいんだよね」
「それはいいけど、大丈夫なの?やっぱり、体調が…」
「大丈夫、気にしないで。ほら、時間なくなっちゃうから頼むよ」
「う、うん!」
さて、私は十五分仮眠をとらせてもらおう。
壁にウェブで自分の体を固定して目を閉じた。
「…なさん、八菜さん!起きて!もう始まるよ!」
出久の声で起こされた私は、周りに常闇くんとお茶子ちゃんがいるのを確認した。
「ああ、おはよう、みんな」
「おはよう…じゃなくて、もう始まるんだよ、八菜さん」
「あ、おっけー、じゃあ、騎馬組もうか。多分だけど、前は常闇くんだね?で後ろがお茶子ちゃんと出久って感じかな」
「すごい!よくわかったね!やっぱ八菜ちゃんすごいわ!」
「照れる」
「雲嶋、なんか寝ぼけていないか…?」
「うん、八菜さん今寝ぼけてると思う」
失礼な。
「じゃあ、八菜さん、伝えた作戦通りによろしくね」
「ああ、うん。任せといて」
首に巻いた鉢巻をウェブで首に張り付ける。これで取られにくさが随分上がっただろう。
出久の作戦は、基本的に常闇くんのダークシャドウで防御に徹する。詰められたらお茶子ちゃんのゼログラビティと出久の超パワーの個性で逃げ回るらしい。私は何をするかと言うと…
「常闇くん!目の前の騎馬に攻撃して相手が後ろに下がった瞬間ダークシャドウ一回下げて!」
「了解した!」
ダークシャドウを下げてもらい、その瞬間に目の前にいる騎馬のハチマキにウェブを発射し、引っ張って奪う。
「何ッ!?俺のハチマキが!」
「鎌切!早く取り返しますヨ!」
「奪えた!もう一回防御に徹して!」
「アイヨ!」
ダークシャドウが再び出てきて防御に徹する。
よし、いい感じだ。
今のところはよさそう。
「八菜さん!障子くんのところ右から来てる!でも、騎手が見えない!」
右をみると、複製した腕でドームみたいなものを背中に作ってる。あれの中にいるのか。
でも、誰がいるんだ?
「ごめん、八菜ちゃん!靴に峰田くんのもぎもぎが…!」
「お茶子ちゃん、靴脱いで個性発動させて!それで出久は脱出!」
『了解!』
お茶子ちゃんが無理やり靴を脱ぎ、個性を発動させる。その瞬間、出久がジャンプし、騎馬ごと宙に浮く。
その瞬間、爆発音が響く。
「蜘蛛女ァァァァァ!」
「かっちゃん!?八菜さん!かっちゃんが飛んできた!」
「絶対来ると思ってたけどさ!というか、それがありなら私も出て行っていいよね!」
下を見て、敵の少ない地帯を把握する。そして、その方向に騎馬を蹴り、出久たちを地面に送る。
「お茶子ちゃん!地面に着地したら個性解除して!」
「そ、それ、八菜ちゃん大丈夫なん!?」
「だいじょーぶ!安心して任せなさい!」
まさか空中戦を行うことになるとは思っていなかったが、適当に一発殴って距離とればおっけーかな。
「蜘蛛女ァ!一人で俺の事相手できると思ってんのか!」
「当然!じゃないと一人で来ないよ!」
ウェブを爆豪くんに発射し、それを引っ張り急接近する。
それを見越していただろう爆豪くんは私に手のひらを向け、爆破する。
おそらく、痛みで怯んだところでハチマキを奪う作戦だったのだろうが…。
「てめ、なんでッ…!」
ごめんな、痛覚なくなってんだわ。
私が爆破の煙の中から一切怯んだ様子を見せずに、ハチマキに手を伸ばしているのを見た爆豪くんは器用に爆破を使い、体を反らす。
仕方ないので、キック一発食らわせて離脱する。
その瞬間、浮遊感が失われたので地面に着地したであろう出久たちのところへと向かう。
ウェブを会場の屋根に発射し、会場全体をウェブスイングで一周する。
「やあ、観客の皆さん!楽しんでいってねー!お、そこの坊やのオールマイトパーカー、イケてるね。友達も持ってたよ」
ウェブスイングしながら叫んだそれで、観客が沸く。楽しんでくれているらしい。
一周したところで、出久たちを見つけたのでそこに向かう。
「常闇くん!そこに飛び降りるから、ダークシャドウでキャッチして!」
「任せろ!行けっ!ダークシャドウ!」
「アイヨ!」
ウェブスイングをやめ、ダークシャドウにキャッチしてもらう。
「ちょっと、八菜さん?!観客の人沸かせるために無駄に会場一周したでしょ!」
「いやぁ、なんのことだか。騎馬見失ってたからなあ」
「ウチ、ほんとに個性解除していいんかドキドキしとったんやけど…」
「まあ、終わり良ければ総て良し!みたいなね?」
「雲嶋よ、お前の戦闘を見ていたが、爆破をもろに喰らっていただろう。大丈夫なのか?」
「ああ、大丈夫大丈夫、爆豪くんも威力は抑えてくれてたみたいだし」
何にも感じてないだけだけど。ちょっと熱いかなってぐらい。
というか、痛覚無いって便利じゃないか?
後遺症とは言いつつも、全然メリットだ。
「八菜さん!大量に来てる!」
「おお、マジでたくさんだね」
前方から向かって来る轟くんのところの上鳴くんが放電でまとめて潰そうとしてる。
「常闇くん!防御!」
「ああ!」
ダークシャドウが電気を防いでくれた。しかし、向かってきていた大量の組はその放電でやられたみたいだ。おまけに、創造した棒で後続を凍り付けにして壁まで作ってる。
意図せず助けられた。一つの組だったらまだやりやすい。
「よし、多分他の組はこれで諦めて他を狙うか、粘ってこっちに来ようとして来る。どちらにせよ、しばらくは目の前のを相手するだけでいい!」
「八菜さん、粘ればいいよね!」
「そう!そういうこと!」
五分ほど耐えただろうか、私の予想通り、他のやつらは漁夫の利を狙っているのか何なのか、攻めてこない。
「よし、このまま粘れれば…」
スパイダーセンスが反応する。
「逃げるよ!各々個性発動して!」
「え?急に何を…!」
「よし!もういいや!私がジャンプすればいいしな!」
個性発動してもらう予定だったが、間に合わない気がしたのでジャンプで跳びあがる。
その瞬間、轟くんの組の騎馬が前方に今までの速さとは比較にならないほど速く動いていた。
おそらく、飯田くんのエンジンの個性。私が障害物競走でやったような一回限りの大技。
私が跳んでいなければ、おそらくハチマキを奪われていただろう。
「常闇くん!キャッチよろしく!」
「またか、何回させるつもりだ…!」
先ほどと同じようにキャッチしてもらい、再び騎馬を組みなおす。
「もう残り時間は短いはず!逃げ続けよう!」
「八菜さん、轟くんのペア右から来てる!」
「じゃあ、出久が適当に処理しといて!」
「適当って…ああ、もう!わかったよ!」
その瞬間、爆発音が再び響く。
またか、また来たのか、爆豪くん…!
「蜘蛛女ァ!1000万は誰にも渡してねえだろうなぁ!」
「もちろん!爆豪くんにも渡さないけどね!常闇くん!爆豪くんの処理は任せた!」
「ああ!ダークシャドウ!最後の試練だ!」
「ゼッタイマモルゼ!」
「お茶子ちゃん!私に個性発動しといて!いざとなったら逃げる!」
「うん!」
若干の浮遊感があるので正常に個性は発動しているようだ。
瞬間、右側から風圧を感じる。
「出久、大丈夫?その威力だと上限だいぶ超えてるよね」
「轟くんの組が詰めてきたから…個性使ったんだけど…ちょっと、出力上げ過ぎて…轟くんの組は吹き飛ばしたからもう来る時間はないはず…!」
「よし、よくやった!後はじゃあ爆豪くんだけ!常闇くん!大丈夫!?」
「今のところはな…しかし、個性の使い方が巧い…気を抜いたら攻め入れられそうだ…!」
「分かったぞ、鳥頭…!テメエの個性、光によえーんだなァ!じゃあ、これを食らわせたらどうなるか…!」
スパイダーセンスが反応すると同時に、出久が叫ぶ。
「…!八菜さん!目をふさいで!」
目をふさぐと、激しい光が発生した感覚と、ダークシャドウの悲鳴が聞こえる。
「くっ、爆豪め、スタングレネードか…!」
「これであとはテメエだけだ!蜘蛛女ァ!」
「悪いけど、これは渡さないよ!」
騎馬から、跳び上がる。
ゼログラビティを使ってもらっていたおかげで弱いキックでも随分跳びあがれた。
これで諦めてくれるとうれしいんだけどな…!
「待てや!蜘蛛女!」
まあ、そんなわけもなく、再び、空中戦が始まる…というところでマイク先生のタイムアップの実況が放送される。
「よし、逃げ切ったぞ…!」
「クソが、蜘蛛女ァ…!」
「ちょ、終わったんだから一回地面に戻ろうよ、あと、無重力で何もできないから私も地面に引っ張って行って」
「ふざけんじゃねえ!」
とか言いつつ普通に私の手を引っ張ってゆっくり地面に向かっていってくれる。なんだかんだで優しいじゃん。
地面に降りるとすぐにみんな駆け寄ってくる。
「みんな、ほんとにありがとう!ほんとに!ほんとに!」
「出久も活躍してたのに。まあ確かに、みんな活躍してたけど」
「うんうん!常闇くんのダークシャドウ強かったね!」
「ああ、ダークシャドウの新しい使い方を学べたいい機会だった」
「うん、お茶子ちゃんのゼログラビティのおかげで最後逃げ切れたし、ほんと助かった。みんな、お疲れ様」
ああ、勝ててよかった…。
それにしても、今回の騎馬戦はとてもいい連携ができたのではないかと思う。
ゼログラビティと超パワーで脱出、ダークシャドウで防衛…あれ、私は?
い、いや、まあ。最後の飯田くんのあの速いやつ避けたの私だし…うん。活躍しただろう。
とりあえず今は、勝ったことを喜ぼう。そうしよう。
プロフィールで一話取ったりした方がいいですか?
-
とれ
-
とるな
-
後書きで済ませろ