怨霊に殺されたらTS転生して二度目の人生でも色んな怨霊に絡まれるのだが   作:ササキ=サン

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お久しぶりです。生きています。忙しい職場でやりがいはあるけどブラックな毎日をおくっていますが、コロナにかかって自宅療養中に暇なので書きました。なので実質初投稿です。

今回はTS要素があまりない、主人公の過去と、屋敷での出来事が中心のお話なので、重い話です。久しぶりだと思うので、一話や二話を見返してきて、主人公がどういった人物なのか思い出してからこの話を見ることをオススメします。


つづきのつづき

 小学校生活が、とてもきつい。

 

 唐突で悪いが、誰しも、想像したことがあるんじゃないだろうか。小さな頃にタイムスリップして、小学生の子どもの頃の生活をする。仕事に囚われず、将来もまともに考えなかった自由な生活をもう一度。

 

 嘘つけ、大人の生活の方が絶対楽しいぞ。

 

 すでに習得済みで、面白みの欠片もないような退屈な授業を、毎日夕方近くまでちゃんとした態度で受けなければいけない。こんな拷問じみた話があるだろうか。なんで今さら足し算引き算をやらなければいけないんだ。頭がおかしくなりそう。

 

 小学校の授業は、高校と違ってちゃんとした姿勢で受けないとすぐに注意されるし、先生の巡回が頻繁なので、まともに内職もできない。退屈過ぎて死にそうだ。コナンパイセンはどうやってこの地獄を乗り切っているのだろうか。

 

 俺はなんとしても、この退屈で生産性のない時間への解決策を作り出す必要があった。

 

 なので、俺はいくつかの暇つぶしの手法を思いついた。

 

 一つはまず、内職である。教師の視線が向いていない時や、巡回のタイミング。それらを読み切り、バレない最適のタイミングで内職をする。この体の鋭い五感と、前世で鍛え上げた第六感を利用すれば、数年経ってなお内職発覚率0%である。

 

 内職の内容としては、落書きや宿題、英語の勉強やゲームの考察、その他色々な出来事の考察など、まあ、たくさんある。できればノートに書く……といった内容のものが好ましい。読書とかは暇つぶしには最適だが、バレるのであまりできない。先生の視線を盗むだけならともかく、小学生は同級生から告発される可能性がある。

 

 意外と頻度が高い内職は、英語の勉強である。これができれば将来の娯楽の可能性が広がる。例えばそう……Steamで日本語翻訳がされていないゲームを遊ぶことができるし、同じく日本語翻訳が出ていないMODを満足に遊べるようになる。

 

 英語のコンテンツにアクセスできるようになるということは、意識高い系だけではなく、娯楽的な観点でもかなり有用だ。この無駄に余った時間で、できるようになっておきたい。あと、これなら見つかっても意識高い系を装えば怒られなさそうだしな……。

 

 あと他にも、最近思いついた面白い暇つぶしがある。それは、学習指導要領を見ながら先生の指導や授業を内心で採点することである。

 

 学習指導要領とは、授業はこういうことを気をつけながらやろうとか、指導をする際にはこういったポイントを考えながらやろうという、教師たちのやるべき規範を示したものである。

 

ちなみに本屋に売っていて、100ページから200ページくらいある冊子だけど、お値段なんと200円くらいである。安い。ついでにネットで、無料でPDFで見ることができる。お手軽。

 

 学生の身としてはこれ自体、教師がこんなことを考えながらやっているのか……という視点で見るとかなり面白い。学校の裏側を知るというか、物語を読んでいて、衝撃の事実を知ったあと、前の話を見返して、これが伏線だったのかみたいな気持ちになる。

 

 ついでに、朝読書の時間に堂々とこれを読んでいるのを見たときの先生の顔が引き攣っていて、ちょっと面白かった。たしかにこの先生、あんまり学習指導要領の目標守れていないからなぁ……。

 

 まあ、先生も忙しいのだろう。前世でちょくちょく聞いていたが、夜職員室に電話をかけても普通に教員が出るあたり、深い闇を感じる。朝から夕方までだいたい一緒にいるから、授業の進行の計画とかいつ立てているのだろうか。経験で何となく……?まじ……?すごいなぁ。

 

 とまあ、このように。授業中のクソ暇な時間でも、俺はなんとかしのいでいる。この体は基本的にハイスペックなので、物事の覚えが格段と早いが、パイロットが俺なので、どうあがいても天才にはなれない。歳を取るごとにどんどんメッキが剥がれていくので、そこら辺は勘違いされないように大人しく過ごしている。

 

 それにしても、小学生ってすごいなって思う。休み時間とか、20分くらいしかないというのに、ダッシュで校庭まで行って、全力で遊んでいるんだもの。たったの20分、よくあそこまで全力で遊べているなぁ。歳を取ると、やはり時間の感覚が変わるのかもしれない。

 

あれが、若さか……。すげぇよ、通常の移動がダッシュだもん。校舎を出て、遊び場の遊具のあたりまで徒競走してやがる……。遊びはこれからなのに。

 

 窓から小学生の様子を眺めて、そのエネルギッシュな様子に俺は戦慄していたのだった。

 

 窓から眺めて……?察してくれただろうか。まあ、俺は小学生になっても普通にぼっちだった。馬鹿は死んでも治らないのなら、ぼっちだって死んでも治らないのだろう。

 

 時折、クソガキにちょっかいを掛けられることはあれど、幼稚園の頃よりも俺は平穏な毎日をおくることができていた。

 

 本日は晴れ。今日はなんにもないすばらしい一日だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 TIPS:むかしむかしの並行世界のおはなし。

 

 それはこの屋敷においては、ひどくありふれた結末だった。

 

 少年がいた。いつも一人ぼっちの、歪な信念を抱いた少年だ。

 

 彼は怨霊が蔓延る屋敷で、ある女性が怨霊に襲われているのを発見した。そして、見捨てることができなかった彼は、女性をなんとか救出した。

 

 それから、彼は女性と屋敷で様々な苦難を乗り越えた末に、ようやく屋敷を脱出できるというところで。

 

 女性に裏切られ、彼は殺された。

 

 女性のそれまでの善良な態度は、彼を騙すための擬態であった。

 

 屋敷の呪いの中核である、最も怨念を集積した存在。それは少年を弄ぶために、男性を最も騙しやすい美しい女性に姿を変えていたのだ。

 

 死んだあとも、少年は屋敷の地下牢に繋がれ、拷問を受けていた。

 

 実は少年は、拷問を受ける前に一度自害していた。邪悪な存在にもてあそばれてなお、自身の信念を貫ける自信がなかったのだ。だから己の信念を守るために、自らその生命を絶った。

 

 しかし、少年は死ぬことはできなかった。

 

 邪悪な存在に囚われ、精神を侵食された後では、自殺をしたという事実でさえ、夢の世界の出来事だと書き換えられた。

 

 どれほど隙をついて自害しようと、次に目を開けば元通りの惨状が目の前にあった。

 

「本当に男って馬鹿。私を助けなければ、こんなことにはならなかったのに」

 

 美しい女性の姿を模った何かは、少年を嘲笑った。

 

「……」

 

 全身に無数の傷を負った少年は、虚ろな目でその独白を聞いていた。

 

「お前もそう思うでしょ?」

 

 何かは少年に同意を促した。いつものように、愚かな偽善者にその行いを後悔させて、悦に浸ろうとしたのだ。

 

「……いいえ」

 

 だが、少年は否定した。

 

「は?」

 

 血が飛び散る。

 

 ころころと、少年の指が地面に転がった。

 

 少年の苦悶の声をあげながらも、何とか情けない悲鳴をあげることを我慢した。

 

「もう一度、言って?」

 

 怒りを灯した目が少年を覗き込む。

 

「……」

 

 気に食わない答えならば、さらなる苦痛が与えられるだろう。

 

 少年は息を吸い込み、震える声を必死に整える。

 

 それでも、変わらない。

 

「後悔はしていません」

 

 ぶつ。

 

 鈍い音。

 

 まるで粘土でもちぎるように、いとも簡単に少年の手首は千切られた。

 

「――ッッ!!!!!」

 

 少年は必死に歯を食いしばった。もはや生きることは諦めた。いかに尊厳を保って死ぬか、少年はそれだけを考えていた。

 

 何度も何度も少年は暴行を加えられる。

 

 執拗に、執拗に。少年は後悔することを求められた。

 

 認めてしまえば、きっと楽に死ねたのだろう。

 

 だが、少年は最期まで認めなかった。

 

 

 

 ――確かに、俺は騙された。疑わなかったのは愚かなことだったのかもしれない。

 

 ――でも、それは結果論だ。あの女性がトラップだと思いもしなかった俺の視点では、あの場で女性を見捨ててしまったら、俺はどんなときでも誰かを見捨ててしまうクズになってしまう。

 

 ――それは信念だ。賢さじゃない。騙されたって、助けられる誰かを見捨てるクズにならないことが、俺にとって最も重要なことなのだ。

 

 ――だから、後悔はしていない。後悔したら、正しい行いをしようとした自分を否定することになってしまうから。

 

 

 

 そんなことを考えていた少年だが、その思いを言葉にしてはいなかった。

 

 少年は基本的に他者と言葉を交わすことがほとんどないので、自分の考えを伝えようという意識が欠けているのだ。

 

 だから、少年は殺された。何度も何度も殺された。

 

 でも、結局のところ最期まで認めることがなかったから。

 

 邪悪な何かは、アプローチを変えることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 TIPS:むかしの並行世界のおはなし。

 

 あるところに、弱い父親がいた。

 

 彼はシングルファザーであった。娘が一人いたが、仕事が忙しくてしっかり面倒を見ることができなかったから、娘を児童養護施設に預けていた。

 

 善良ではない。しかし、クズというほど良心が欠損している人間でもなかった。

 

 時々ながらも、機会を見つけて娘に会いに行っていた。

 

 そんな生活の最中、ある日彼は酔っ払った勢いで、会社の同僚から教わった都市伝説の儀式を行った。

 

 そして、この屋敷の惨劇に巻き込まれた。

 

 

 

 怨霊に襲われ、精神がズタボロになりながらも、彼は何とか生き残っていた。

 

 そんな最中、彼は独特な雰囲気をまとった少年に遭遇した。

 

 彼はこれ幸いと少年と行動を共にしようとしたが、少年は生存者に化ける怨霊がいるということを理由に、そそくさと立ち去ってしまった。

 

 しかし、少年との再会は思った以上に早く訪れた。

 

 怨霊に追われ、今にも追いつかれそうな時になって、彼は少年に命を救われた。

 

 少年は怨霊をぶん殴っていた。今まで怨霊から逃げることしかしていなかった彼は、その光景に目を丸くした。

 

『なぜかは知りませんけど、殴れるので殴りました』

 

 訪ねたら、若干顔を青くしながらも少年は答えた。少年は殴ること自体はできても、あまり気乗りしないようであった。

 

 彼もそれに乗じて、怨霊相手に殴打を試してみたが、殴るどころか怨霊に触ることもできず、呪いによって死にかけることになった。

 

 少年は集団行動がとことん苦手なのか、その場を立ち去ろうとしてはいたが、それでも一応心配だったのか離れたところで彼の様子を伺っていた。そんな最中に彼は殴ることができるのか実験して、怨霊に殺されそうになっていたので、少年は泡を食ったように駆けつけ、怨霊を追っ払った。

 

 結果、彼と少年はようやく行動を共にすることになった。

 

 彼はそこそこのコミュニケーション能力の持ち主で、社会人として働いている経験もあるので、ある程度上手に少年とやり取りをすることができた。といっても、彼が一方的にいろいろな話をするという形のコミュニケーションで、少年自身はあまり自分のことを話そうとはしなかった。

 

 少年はこの異常な屋敷において、非常に心強い存在であった。怨霊に唯一対抗でき、どのような状況でも取り乱さずに冷静。コミュニケーション能力は低いものの、彼が危機に陥れば命を顧みずに助けようとする。彼にとって少年は理想の協力者であった。

 

「大人なら、もうちょっと頑張ってくださいよ……」

 

 いつもの無表情で、呆れたような視線を彼に向ける少年。おおむね、この屋敷の探索においては、彼が色々と死にかけて、少年がそれを慌てて助けるということが多く続いた。

 

 少年は積極的に彼と交流を取ろうとはしなかったが、まったく会話をしないというわけではない。彼が自身の身の上の話をする機会がいくつかあった。

 

 彼が普通に話をしても、基本的に反応が薄く、関心がなさそうな様子を見せる少年であったが、自身の娘の話をすると、少年は少し違った反応をした。

 

「最近、娘も大きくなってきて……まだ小学校の中学年くらいなんだけど、どういう話をすればいいのかだんだん分からなくなってきてな。ちょっと、顔を合わせる頻度が少なくなってきて……でも、こんなことがあると娘にすごく会いたくなってくるよ」

 

 彼が愚痴っぽく言うと、珍しく少年は彼の方をまっすぐ見つめていた。

 

「……そうですか」

 

 おや、と。初めて、彼は少年との会話に手応えのようなものを感じた。

 

「ああ。娘にもう一度会うために、絶対に生きて帰らないとな」

 

「……」

 

 少年は彼をじっと見つめていると、何かを思い出すように目を閉じた。

 

「必ず、娘さんのところに生きて帰ってくださいね。あなたの行動は、危なっかしいです」

 

 言外に、何回お前は死にかけたんだと、呆れたような少年の視線が彼に向けられた。

 

「どんな親だろうと、親は子どもにとってかけがいのない存在なんですから」

 

 少年はいつも通りの無表情だったので、彼にはその顔から少年の心情を読み取ることはできなかった。

 

 しかし、彼は初めて少年と心を交わすことができたような気がした。

 

 その後、隙あらば単独行動を始めそうな少年の動きは鳴りを潜め、どこか彼を守るように行動するようになった。

 

 以前から少年のことを、人付き合いは苦手そうだけど良い子ではある、と思っていた彼は、その思いをますます強めることになった。

 

 それから、彼と少年は脱出への手がかりを求めて、屋敷を探索していった。

 

 順調、とは口が滑っても言えない有様であったが、少年の尽力により探索はなんとか進んでいき、ついに脱出の糸口を発見することができた。

 

 しかし、それからの探索はさらに困難を極めることになる。

 

 脱出の方法を見つけたことで焦ったのか、怨霊たちの襲撃や罠の悪辣さがより激しさを増したのだ。

 

 少年一人なら危なげなくこの屋敷を脱出することは可能だったかもしれない。怨霊が少年に触れると、謎の反発が発生し、怨霊を弾き飛ばすことができるため、少年単独ならばかなりの確率で生き残ることができたであろう。

 

 しかし、少年には守らなければいけない存在がいた。同行していた彼は、怨霊に捕まればわずかな抵抗はできるものの、一気に無力化されることになる。だから、少年は彼を守るために必死に動き回ることになった。

 

 謎の反発によって少年が守られているといっても、その力は無制限に使えるわけではない。使えば使うほど、精神的な疲労が少年に蓄積していった。

 

 使っている少年自身は、その力の本質は自身の他者を拒絶する心にあると勘付き、怨霊を弾き飛ばす現象は、心のエネルギーを利用した一種のスキルなのだと理解していた。

 

 いつの間にか拾った怨霊を切り裂くことができる短剣も含めて、怨霊相手には非常に有力な反抗手段を持っている少年であるが、はっきり言ってしまうと足手まといである彼を連れての屋敷の探索は、少年に尋常ではない負担をかけていた。

 

 だから、そのことを彼はひどく気に病むことになる。

 

 こんな恐ろしい屋敷に閉じ込められながらも、少年は表情を一切動かすことなく様々な脅威に対処していたが、やはり疲労が溜まっていくのか、徐々に憔悴していく少年の様子に、彼は大人としての不甲斐なさを強く感じていた。

 

 少年がこんなに頑張っているのに、俺には足を引っ張ることしかできていない。

 

 そんな負い目が、彼を地獄へ引きずり込んだ。

 

 

 

 屋敷に仕掛けられた巧妙な罠により、彼は足に怪我を負うことになった。移動速度が低下し、怨霊から逃げ切ることが難しくなってしまった。

 

 そこに複数の怨霊が押しかけてくる。逃げることができなくなった彼と少年は、怨霊を倒す方向に戦略をシフトした。ただし、怨霊とまともに戦うことができるのは少年だけであったが。

 

 少年は息を荒げ、肩で息をする。多くの怨霊を短剣で切り裂いたが、未だに怨霊たちの襲撃は絶えない。

 

 少年の戦う力はどんどん成長していく。最初に会った頃は、せいぜい少し運動神経が優れている程度の動きであったのだが、怨霊たちとの戦いを経るごとに、少年は徐々にアクションゲームの主人公のように現実離れした動きができるようになっていった。

 

 少年はそのことについて、この屋敷は物理法則がおかしくなっている不思議な空間だからこそ、こういったことができるのだろうと推測を語り、イメージが大切だと彼に説明をしてくれたが、少なくとも彼はどれだけイメージを膨らませても、少年のような動きをすることはできなかった。

 

 ――俺の存在が、あの子に途方も無い負担をかけてしまっている。

 

 もう、彼は分かっていた。自分がいなければ、少年はとっくにこの屋敷を脱出することができていたであろうことを。今だって、あれほど素早く動き回ることができるなら、彼を置いて逃げる気になれば、いつだって怨霊たちから逃げおおせることができるはずだ。

 

 彼は少年の奮闘を見守ることしかできない。

 

 彼は足手まといでしかない。

 

彼の罪悪感は頂点に達した。自分が本当に生きるべきなのか。自分に問いかける。答えは分かりきっていた。

 

 だからだろうか。

 

 ピシリと、彼の足元に亀裂が走った。

 

 ガラガラと、足元が崩れる音。

 

 あまりにも唐突な足場の崩壊。急に現れた深い穴が彼を飲み込んでいく。

 

 あ、死んだ。彼は自身の死を直感した。

 

 少年は驚愕に目を見開きつつも、凄まじい速度で彼のもとへ駆け、落ち行く彼を救うために腕を伸ばした。

 

 

 

 しかし。

 

 ドン、と。彼は少年を突き飛ばした。ここで手を取ってしまえば、高い確率で少年も落下に巻き込んでしまうから。

 

 

 

「え……」

 

 その瞬間を、少年は時が止まったかのように感じた。

 

 

 

「ごめん」

 

「今までありがとな」

 

 

 

 そして、彼は深い穴に落ちていった。

 

 落ちる最中、少年の絶望に染まった表情が見えた。

 

 

 

 ――初めて、無表情以外の顔を見た。

 

 ――本当に、ごめんな。

 

 

 

 最期に少年にそんな顔をさせてしまったことが、大きな心残りだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 屋敷にはどうやら地下が存在するようだ。

 

 何故か存在する水深の深い地下水路に落ちたことで、彼は奇跡的に一命を取り留めた。

 

 かなり長い時間落下したため、ここは相当深く掘られた場所なのだろう。

 

 彼は怪我をした足を引きずりながら、何とか水路から這い上がり、薄暗い地下通路を見渡す。

 

 通路には点々と小さな明かりが灯っている。ここはどこなのだろうか。もしかしたら上の屋敷に通じる場所があるのだろうか。

 

 ――死を覚悟して少年の手を振り払ったというのに、なんだか奇妙な場所に迷い込んでしまった。

 

 彼は怪我をした足を引きずりながら、地下の壁を杖のように支えにして、地下の探索をすることにした。死を覚悟はしたものの、別に死にたいわけではない。まだ少し、頑張ってみよう。

 

 しかし、やはりこの屋敷はそこまで生者に優しくはなかった。

 

 地下であろうと怨霊はいたし、むしろ見たことがないような大柄な男のような怨霊……いや、あれは幽霊というには少しジャンルが違うような気がした。まるでジェイソンみたいな、どちらかというと、怪人……であろうか。

 

呪い殺すのが怨霊であるのならば、あちらは物理でぶち殺されそうな雰囲気があった。

 

 彼は怪我をしていたため、逃げるということができず、主に水路などに身を潜めて怨霊や怪人をやり過ごした。

 

 薄暗い地下の通路を彷徨い続け、結構な時間が経過した。

 

 彼の体調は悪化していた。怪我による負傷に加えて、水路に何度も身を潜めたため、常時濡れたままでいることになった彼は、体温をどんどん奪われ、体力をひどく消耗させることになったからだ。

 

 ゆっくりと歩きながら、彼は冷たい気配を感じた。

 

 この屋敷に来て何度も怨霊に襲われてきたからか、彼は怨霊が発する独特の気配をなんとなく感じることができるようになっていた。この感覚は、この地下通路の探索において何度も彼の命を救っていた。

 

 彼は慌てながらも、音を立てずに水路に入り、通路の方から見えないように身を潜める。

 

 冷たい気配と、小さな足音。

 

 彼は通路の方を見ないよう目をつぶる。

 

 ――怨霊の気配を感じたら、彼らを見ないほうがいいと思います。どうしてかは知りませんが、たぶん、彼らは普通の人間よりもずっと視線に敏感です。見ただけで、どこから見られているのか、一瞬で逆探知されます。

 

 少年が言っていた怨霊への対処法。それを思い返しながら、必死に水路の中に自身の気配を隠し続ける。

 

 冷たい気配は、中々遠ざかっていかない。

 

 今まで遭遇した怨霊は、割とすぐにどこかへ行くのだが、今回は中々気配が遠ざかることがなかった。

 

 5分、10分ほどだろうか。

 

 水路の冷たい水に慣れてしまう程度に、時間が経った。

 

 気づけば、彼は怨霊の冷たい気配を感じなくなっていた。

 

 ようやく通路の方に戻ることができる。彼は安堵の息をついた。

 

 地下通路は広い。通路が3メートルほどの幅があり、その横に付随するように同じく横幅3m程度の水路が流れている。そして水路の反対側の壁には、親切なことに明かりが点々と灯っていた。

 

 光量は弱く、水路側になるとほとんど真っ暗になってしまう程度の淡い光だが、光源を持っていない今の彼にとっては、その明るさは太陽の光に負け劣らないほどのありがたい灯火であった。

 

 よいしょっと、彼は水路の中から通路にあがろうとする。

 

 あれ、暗い。

 

 この位置はもうちょっと光が届いていたはずなのに。彼はそんなことを考えた。

 

 まあ、ここが一定の間隔で通路の壁に設置してある光源から、ちょっと遠い場所なのだろう。少し手元が見えづらいが、まあなんとかなる。

 

 通路のふちに足をかけて、彼は学校のプールと同じように水路の中から這い上がる。

 

 そしてふと、彼は手元に足を見つけた。

 

 足?

 

 足。

 

「――っっっ」

 

 バシャンッと、驚いて彼は水路の中に落ちた。

 

 立っていた。彼の前に、何かが立っていた。

 

 ――もし怨霊から逃げ切れなくなったら、耳を塞いで、できるだけ怨霊を見ないようにしてください。あれらは基本的に精神攻撃しかできません。怖がらなければ、大半の攻撃を無力化できます。見ないで、聞かないで、娘さんのことでも考えながら、できるだけ自分の殻に籠もっていてください。

 

 ――そうやって時間を稼いでくれたら、私が助けに行きますから。

 

 少年の言葉を思い出して、彼は咄嗟に耳に手を当てて、通路の方から顔を背けた。

 

 ばくんばくんと、激しい心臓の音が響いている。

 

 やばい、やばいやばいやばい。

 

 どうする、どうするどうする。

 

 このまま逃げるには、たぶん機動力が足りない。そして少年の言っていたような対処をするにしても、少年が助けに来てくれなければ意味がない。

 

 なんせ自分から救いの手を振り払ったのだ。いくら心優しい少年でも、愛想を尽かしてしまっているだろう。

 

 どうする。あまりにも手詰まりだ。少年と離れると、こんなにも打つ手がないのか。

 

 

 

 女。

 

 

 

 女の顔。

 

 通路から顔を背けたはずなのに。

 

 真正面に、逆さの女の顔があった。

 

 まるで無理やり引っ張って伸ばしたような、不気味な縮尺の大女。首が、胴が、不気味に折れ曲がり、まるで深い深い礼をするように怨霊が彼の顔を覗き込んでいた。

 

「あ」

 

 無表情。

 

 唇が動いて。

 

 口が広がって。

 

 あんぐりと口を開けているのだろう。その変形は、あまりにもおぞましい。

 

 黒い穴が、鼻を、目を、どんどん顔のすみに追いやった。

 

 もはや顔の8割以上が黒い穴で。

 

 喰われる。

 

 そして、急速に黒い穴が迫ってきた。

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああっっっっっっっ!!!!!!!」

 

 

 

 彼は悲鳴をあげた。

 

 そしてそれが、彼の断末魔の叫びとなった。

 

 

 

 しかし。

 

 ――キラリと、白い何かが光った。

 

 

 

「え……」

 

 女の顔に、見覚えのある短剣が刺さっていた。

 

 すぅっと、女の怨霊が消えていき、水路にパシャっと短剣が落ちた。

 

 

 

「――ようやく、見つけました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おっさんが落ちていった。

 

 どうして。どうして、拒んだ。

 

 ぐるぐる回る動揺を、俺は無理やり抑え込む。

 

 まだ目の前に敵はいるのだから。

 

「邪魔っ!」

 

 衝動的に、飛びかかってきた怨霊をぶん殴った。おっさんがいたら、絶対に口にしなかった言葉とともに。

 

 人前では常に敬語を心がけるが、こんな奴らの前では、飾るような真似をする必要性を感じなかった。

 

 馬鹿。馬鹿馬鹿、馬鹿。おっさんの馬鹿。

 

 おっさんへの罵倒がとめどなく溢れてくるが、おっさんがああいった行動を取った理由を、俺は十分に理解できていた。

 

 足手まといになることに罪悪感を感じていたのだろう。気持ちは分かる。こんな危険な場所で、年下の子どもに命がけで守ってもらわないと生きられないなんて、あまりにも屈辱的だろう。

 

 だから、あの行動には理解ができる。共感もできるのだ。

 

 でも、でも、違うだろう。

 

 あんたには帰りを待っている娘がいるんだろう。

 

 プライドなんかより、他人なんかより、ずっと大切なものがあるだろう。

 

 どうして。どうしてそんな選択をした。

 

 ふざけるな。残された子どもが、どんな思いをすると思っているんだ。

 

 親に置いていかれた子どもが、どんな思いをすると思っているんだ。

 

 ふざけんなよ、おっさん。

 

 

 

 気づけば、怨霊たちは殲滅していた。

 

 屋敷を走る。脱出の道を目指して、走る。

 

 おっさんのことは本当に腹立たしいが、切り替えは大切だ。おっさんは死んだ。あんな風に落ちていって、生きているわけがない。

 

 生きているわけがないのだ。

 

 だから、こんなに息を切らして走る必要なんてないはずなのに。

 

 理性では分かっていた。

 

 分かっていたんだ。でも、納得ができなかったから。

 

 俺は、脱出とは全く関係ない地下への道を見つけた。

 

 しかし、まるで門番のように、巨大な怨霊がそこに立ちふさっていた。

 

 長い髪の巨大な老婆。二足歩行では廊下に体が収まりきっていないからこそ、四足歩行で、歪に手足を動かして蠢いている。

 

 今まで見た中で一番おぞましく、強い力を持った怨霊だった。これと戦わなければいけないと考えただけで、目に力を込めて、涙が滲んでくるのを抑えなければいけない。

 

 ああ、そうだ。やっぱり俺は怖いんだ。当たり前だ。幽霊が出るようなテレビ番組は意図して見ないようにしているし、間違えてそういった話を見たり聞いたりした夜は、震えながら眠ることになる。俺はホラーが苦手なのだ。

 

 幸い、地下に進もうとしなければ、この怨霊と戦う必要はないのだろう。体格や気配を考慮すれば、この怨霊はこの場からあまり動くことはできない。

 

 おっさんは死んだ。脱出に関係ない地下なんて、行く必要はない。おそらくおっさんが落っこちただろう地下に行ったところで、馬鹿なおっさんの死体が転がっているだけだ。

 

 でも。でも。

 

 俺はまだ、諦めることができなかった。

 

 歯を食いしばって、心を奮い立たせる。

 

 俺は短剣を構えた。

 

 

 

「邪魔だ。どけよっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 懐かしい声を聞いて、不覚にも彼の涙腺は一瞬で破壊された。

 

 少年。その姿を見て、彼は安心すると同時に驚き、狼狽した。

 

 衣服や肌のところどころが赤黒く汚れ、以前見た時よりもずっとボロボロな様子。無表情ながらも疲労の色は隠せず、足取りもどこかフラフラとしていた。

 

「あ、えっと……」

 

 そして彼は、少年と最後にどのような別れ方をしたのかを思い出し、気まずくなった。

 

 彼としては、見捨ててもらった方がよいと思って行動したのだ。なのに、これでは余計に迷惑をかけてしまっている。

 

 顔を合わせづらい。助かったのは嬉しいけど、また迷惑をかけてしまった。複雑な心境が彼を支配する。

 

「……」

 

 少年はそんな彼に無言で手を差し伸べた。

 

「とりあえず、あがってください。体を冷やすのはよくありません」

 

 彼は差し伸ばされた手を取ろうとして、途中でその動きは止まった。

 

 俺がこの手をとってもいいのだろうか。そんな迷い。

 

 しかし、彼は手を強引に握られ、思ったよりも強い勢いで通路に引っ張り出された。

 

 その荒っぽさに、彼は戸惑った。

 

怒っている……。少年は無表情だが、彼はその怒りをはっきりと感じた。

 

「どうして、死のうとしたんですか」

 

 その質問は脈絡もなく切り出された。

 

「え、あ……その……」

 

 彼は上司に怒られているような気分になった。年下相手に情けないという心情はあったが、同時に納得もしていた。

 

「足手まといで、申し訳なくてな……」

 

 彼は誤魔化すように笑った。

 

「俺が金持ちだったり、美少女だったりしたら、もうちょっと恩返しができたんだろうけど……」

 

 言ってて、俺って本当に情けないな、と彼は感じた。

 

「馬鹿にしないでください」

 

 ガッ、と。彼は少年に胸ぐらを掴まれた。

 

 無表情ながらも、少年の瞳には何か激しい情動が渦巻いていた。

 

「あなたの恩返しなんて欠片も期待していません」

 

 少年の論は、彼が思っているよりもずっと攻撃的であった。

 

「娘さんを、捨てるつもりですか」

 

「いや、そんな気は……」

 

「そういうことです。あなたの行動は」

 

 取り付く島もなかった。たぶん、おそらくという推測の言葉を使うことが多く、断言することがあまりない少年にしては珍しい、断定の……強い言葉だった。

 

「あなたがここで死んだら、現実ではあなたはおそらく行方不明になります。そうなったら、娘さんの目線では、父親が自分のことを疎ましく思って、どこかに行ってしまったように見えるはずです」

 

 少年は目を伏せた。その様子はどこか悲しげで、そして同時に何か別のことを思い返しているようにも見えた。

 

「親は、どれだけ疎んでも、嫌いだと思い込んでも……親なんです。赤ん坊としてこの世に生まれて、初めて信頼した人間なんです。子供は親を通して人間を学ぶ。だから、親に裏切られたら、何もかもを疑ってしまうような人間になってしまうんです」

 

「……ごめん」

 

 一瞬、少年の言葉が娘の言葉のように聞こえた。娘に責められているように感じて、彼は一層心苦しくなった。

 

「娘さんは待っていますよ」

 

 少年は断言した。

 

『――またね、パパ』

 

 娘の言葉を、思い出した。

 

「父親として思い出してください。あなたが背負っているものは、あなたの命だけではないはずです」

 

 そう言って、少年は彼の胸ぐらを掴んでいた手を離した。

 

 少年の言葉は、たしかに彼の心に届いた。

 

 彼は大切な存在を思い出すことができた。

 

「……行きましょうか」

 

 柄にもないことをいったといわんばかりに、気まずげに、少年は目を伏せた。そして先導するように、彼に背中を向けた。

 

 彼は落ちていた石を拾った。

 

 

 

――ガンッ

 

 

 

「っっ……??」

 

 頭から血を流して、少年は倒れた。

 

 彼の持つ石には、べったりと少年の血が付着している。

 

 そして再び、振りかぶる。

 

「仕方ないよな??」

 

 ごっ ごっ

 

「仕方ないよなああっっ??」

 

 ごっ ごっ

 

「だって、だって俺」

 

 ごっごっ

 

「もう、死んでるんだからっっ???」

 

 血が飛び散る。何かが、致命的に壊れた音がした。

 

「はは ははは ははははははは」

 

 彼は笑っていた。

 

 泣きながら、笑っていた。

 

 ――ご、メん  ゴメ  ん ナ … …

 

 そして、惨劇が再び繰り返される。

 

 邪悪な何かは、最期まで折れなかった少年に舌打ちをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 小話:どこかの幼子のお話

 

 車が道路を走る。

 

 後頭部座席に座る、一人の幼子。

 

 幼子はじーっと外を見つめていた。

 

 記憶に焼き付けるように。必死に。ひたすらに外を眺めていた。

 

 もし。

 

 もしどこかに置き去りにされても帰ってこれるよう、この道のりをしっかりと忘れないように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 TIPS:終わらない世界のおはなし

 

 少年は屋敷を探索していた。怨霊が蔓延る、恐ろしい屋敷だ。

 

 そこには様々な死が潜んでいて、油断すれば少年はすぐに命を落とすだろう。

 

 そして、少年と同じ生存者にさえ心を許してはいけない。屋敷に満ちる狂気が、怨念が生きる者の心を蝕んでいる。きっと、絆を結んだ友人でさえ、目に映る生者すべてを殺そうとする殺人鬼に変わるかもしれない。

 

 また、怨霊が生者に擬態することさえもあり得るのだ。この屋敷で生き残りたいのなら、不安でも、簡単に人を信じてはいけない。

 

 ましてや、誰かを救おうとすることなど。

 

 少年は知っていたのだ。

 

 ――でも。

 

「……だれ、ですか?」

 

 諦めたように、静かに泣いている幼い少女を、少年は見捨てることはできなかった。

 

「私は……」

 

 言いよどむ。少年は人とのコミュニケーションが苦手だ。幼い子供とは、どのように接すればいいのかよく分からない。

 

 そもそも、本当にこの子と話す必要があるのだろうか。

 

 少女の年齢は小学校の低学年ほどだろうか。よくこんな場所で生き延びることができたと、少年は思った。

 

 だから、疑念しかなかった。少なくとも、少年が体験してきた様々な出来事を思い返せば、こんな非力そうな少女が生きていられるはずはないのだ。

 

 それにこの少女を見ていると、ひどく……痛む。

 

 少年の体が傷ついているわけではない。心が傷ついているわけでもない。なのに、少年は痛みを思い出す。それが何かは分からない。ただ、この屋敷で生き抜いていく上で培われた第六感が、幼い少女を助けることに警鐘を鳴らしていた。

 

 また、裏切られる。殺される。痛い目にあうぞ。

 

 ああ、分かっている。なんとなく、分かってはいるのだ。その先どうなるのかを。

 

 ――それでも。

 

 

 

「私は、あなたを助けにきました」

 

 少年は恐怖を押し殺して、震えを取り繕って、少女に手を差し伸べた。

 

 敬虔な信者が教えに殉じて死んでいくように。

 

 少年は自身の信念を貫くことを決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 幼い少女を怨霊から守りながらこの屋敷を探索することは、少年に非常に大きな負担をかけた。それはきっと、駄目なおっさんを守りながら進むことよりずっと困難な道のりだった。

 

 幼い少女は、生きることを諦めがちな子どもだった。

 

「お兄ちゃんの迷惑になるから、私は死んでもいいの」

 

 光のない目で、少女はそう言った。

 

 少女の思いに対して、少年は共感を覚えていた。少年だってそうだ。この屋敷で、誰かの力を借りて、その誰かを危険に晒さないと生きられないなら。誰かにすがらないと生きていけないというのなら、少年は一人で戦って、死ぬことを選ぶ。

 

 少年は言葉に詰まった。

 

 説得の言葉に迷っていた。少年は直感していた。ここで掛ける言葉を間違えれば、きっと少女はどこかで死を選ぶ。

 

 目を瞑って、考える。考えて、考えて。

 

 その末に、少年は正解を探すことを止めて、自分の思いをぶつけることにした。

 

「私は、大人が嫌いなんです」

 

「小さな子供が助けて欲しいと泣いているのに、誰も助けてくれない大人が」

 

「そんな大人になりたくないから……』

 

 少年は少女の前に小指を差し出した。

 

「約束します。あなたを、必ず外の世界に返します」

 

 そして少女は、戸惑いながらも小指を結んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 間の小話:少年と幼い少女の会話

 

「ねえ、お兄ちゃん」

 

「なんですか?」

 

「どうしてヘンゼルとグレーテルは、自分を捨てようとした両親のところに帰ろうとしたのかな?」

 

 屋敷の一室で、幼い少女は手元の絵本を見ながら問いかけた。

 

「そうですね……」

 

 童話。ヘンゼルとグレーテル。親が子どもを森に捨てようとして、森の奥深くまで入っていったところ、子どもはぱんくずを道に落としていき、子どもを森に置き去りにしようとした親の目論見をくじいたお話。その後のお話は……ひとまず関係ないので割愛しよう。

 

 少年は幼い少女がどうしてこのような質問をしたのか、その意図も、そういった質問をする少女の境遇にも、なんとなく見当がついていた。

 

 ――どうせ家にたどり着けても、同じようにまた捨てられてしまうだけなのに、どうして。

 

「疎まれている……は難しいですね。嫌われていると分かっても、そばにいたかったから……そこが安心できる居場所だったから、ですかね」

 

 幼い少女に合わせて少し表現を変えつつも、少年は思い浮かんだことを述べた。

 

「ふーん……」

 

 期待しても無駄なのに。変なの。そう呟いて、少女は少年に抱きついた。

 

 少年はそんな少女を優しく抱きとめて、何かを思い出すように目を閉じる。

 

 そして心をほぐすように、優しく、優しく、少女の頭をなでた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 TIPS:終わらない世界のおはなし2

 

 それから、様々な死線を少年は乗り越えた。少年が死にかけた数は片手の指では数え切れない。少年はいくつも重症を負いながらも、折れた腕を筋肉とイメージで無理やり動かすという意味不明な荒業の果てに、脱出の一歩手前までこぎつけた。

 

 エントランス。とても大きな屋敷の玄関。ここを抜ければ、橋を超えて現世に帰れる。そんな場所で。

 

 少年たちは絶望に遭った。

 

 

 

 不定形ながら、奇妙に人の形を保ちつつも、濁った灰色の粘液を吐き出し続ける冒涜的な何か。

 

 身長は3メートルを超え、細くもあり、太くもある、不定形のシルエットは、見るだけで人の心をかき乱し、正気を失わせる。

 

 それは怨霊とは違う、もっと高次な生命体。時空さえも歪んだ特異点に迷い込んだ、外来の生命。立ち向かうことさえ叶わない格上の存在。

 

「逃げろっっ!!」

 

 取り繕う暇もなく、とにかく少年は少女を突き飛ばし、玄関の先の出口へ少女を送り出し、今までで最も心を奮い立たせ、冒涜的な何かに攻撃を仕掛けようとして――

 

 

 

 ――少年は吹き飛ばされ、激しく壁に叩きつけられた。

 

 

 

「あ……え……?」

 

 少女には何が起きたのか、ほとんど理解できていない。ただ、血溜まりに沈む少年の姿が鮮明に写った。

 

「お兄ちゃん……?」

 

 屋敷の探索の中で、唯一の頼れる存在であり、その心強さから兄と呼んで慕った存在。それが気づけば、あんな簡単に……。

 

 少年は叩きつけられ、即死していた。

 

 頭蓋は割れ、心臓を含めた内臓はぐちゃぐちゃに破裂し、全身の骨はボロボロに砕けた。

 

 もうじき、次の惨劇が始まるのだろう。

 

 必ず守ると決めた存在を守れなかった無念を魂に刻みつけて、少年の惨劇は続く。

 

 きっとそれは、少年の魂がぼろぼろに擦り切れるまで続く無限の地獄なのだろう。

 

 ズン。冒涜的な何かが、歩を進めた。残ったか弱い命を踏み潰すために。

 

「お兄ちゃん……」

 

 少女は静かに涙をこぼしながら、諦めるようにうつむいた。最も頼れる兄貴分の死は、少女に生を諦めさせるには十分すぎた。

 

 冒涜的な何かは少女に狙いを定め、腕を振りかぶり、叩きつける。そして少年と同じように少女を殺した。

 

 

 

 ――しかし、それは未然に防がれた。

 

 

 

 振りかぶった腕のような何かが壁に叩きつけられた。それは途中で切断されたのだ。

 

 気づけば、いた。

 

 冒涜的な何かと少女の間に、血まみれになりながらも短剣を持った少年が、そこにいた。

 

少年の目に光はなく、誰かがその姿を見れば、ゾンビと誤解するようなひどい惨状だった。だが、それでも少年は確かにそこに立っていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『約束ね』

 

 <児童福祉施設 ○○学園>

 

『良い子にしていたら、必ずお母さんが迎えに行くから』

 

 女性は泣いている小さな男の子に、小指を差し出した。

 

 男の子は目をこすりながら、赤く腫れた目でじーっとその小指を見つめる。

 

 そして小指を結び、約束を交わした。

 

 ――いいこにするから、はやくむかえにきてね

 

『うん。嘘ついたら針千本のーます。指切った!』

 

 そして、女性は去っていく。

 

『またね、■■』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 嘘つき。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私は、大人が嫌いなんです』

 

『小さな子供が助けて欲しいと泣いているのに、誰も助けてくれない大人が』

 

『そんな大人になりたくないから……』

 

『約束します。あなたを、必ず外の世界に返します』

 

 ――約束したから。

 

 砕けた骨を、気合で動かす。

 

 心の熱だけで、無理矢理に体を立ち上がらせる。

 

 痛みも、恐怖もすべて置き去りにして。

 

 ――俺は(・・)、絶対に約束を守る。

 

 短剣を振り抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はや、く、にげぇ……っ、ろ……」

 

 喀血。少年は声を出しただけで、ゲロのように大量に血を吐き出した。

 

 少年はもはや死んでいる。動いているのは、ただの奇跡。生命が完全に機能を停止する前のほんのわずかな時間と、約束を守るという執念。そして異常な空間による累積の奇跡の産物。

 

「おにい、ちゃ……」

 

「はや……っ……く……」

 

 意を決したのか、少女は走り出した。涙をこぼしながら、少年の最期の意を汲んだ。

 

 気づけば、冒涜的な何かの腕は元通りになっていた。

 

 冒涜的な何かの視線が少年に向く。

 

 来る。

 

 少年のこの屋敷で鍛えられてきた直感が告げる。

 

 少年は咄嗟に体をそらして――

 

 

 

 ――攻撃を躱しきれなかった左半身が、そのままえぐり取られるように消失した。

 

 

 

 あまりにも早すぎる一撃で、少年は左の腕、肩、胸を抉り取られた。

 

 そこまでで、稼げた時間は一秒にも満たない。まだ、少女は屋敷から出る扉にすらたどり着けていない。

 

「っっっっっ……!!!!!」

 

 歯を食いしばる。人生最期の馬鹿力。残った右手に構えた短剣で、なんとか攻撃を――

 

 

 

 グシャッッッ!!

 

 

 

 思わず、少女は振り向いた。

 

 冒涜的な何かが振り下ろした腕。床に空いた大きな穴。盛大にとび散った赤い液体。

 

「あ……」

 

 大好きだったお兄ちゃんが、水風船がはじけるように殺されてしまったことを、少女は理解した。

 

 ぺたんと、少女は崩れ落ちた。

 

――やっぱり無理だよ、お兄ちゃん。

 

 顔を覆って、涙をこぼす。諦観が再び少女を覆った。

 

 

 

「大丈夫」

 

 

 

 少女は顔をあげ、前を見る。

 

 そこには少年が立っていた。

 

「お兄ちゃん……どう、して……?」

 

 背を向けたまま少年は答えた。

 

「幽霊になりました」

 

「え」

 

「別に珍しくもないでしょう。ここでは」

 

 ――さあ、早くおいきなさい。

 

 少年は幼い少女の背中を押した。

 

 現実の理解さえもまともにできぬまま、少女は不思議な力に押されて、玄関に向けて走り出した。

 

「お兄ちゃん、私、わたし……!」

 

 幼い少女は何かを少年に告げようとした。しかし、戦いは始まってしまった。もはや少女の声は届かない。

 

 少女はその場から逃げることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 肉の軛から解き放たれ、死の中に自らをおいた少年は強かった。

 

 生前ならばまともに視ることすら敵わなかった冒涜的な何かの一撃を、音でも光でも振動でもない、第六感で完全に捉えることができた。

 

 振り下ろされたしなる腕を、短剣で弧を描くように受け流し、その流れのままに蹴りを叩き込む。

 

 時を捉える。心から溢れる熱をもって、魂を加速させる。

 

 短剣で斬りつける。一太刀。二太刀。

 

 反撃。横薙ぎに振るわれた腕による一撃を、バク転のように躱す。二太刀入れ、反撃を躱すまでの攻防。この間、わずか一秒にも満たない。

 

 空を踏みしめ、短剣を振るう。既に死んだ身。少年は物理の法には囚われない。一閃、二閃、三閃。

 

 冒涜的な何かの背中から2つの腕が生えてきた。複腕。4つの腕による連撃。

 

 霊体といえども、まともに受ければ存在ごと消し飛ばされるだろう一撃。未だなお存在する少年と冒涜的な何かの大きな格の違い。それでも、少年は立ち向かうことを止めない。

 

 ――カラカラと、風車のごとく。

 

 4つの腕が、振るわれた勢いのままに壁に叩きつけられた。

 

「?????」

 

 思わず、何かは首をかしげた。

 

 冒涜的な何かの腕は、振るわれる最中で切断され、そのまま飛んでいったのだ。

 

 攻撃を当てたと思ったら、回転して、腕を切られた。

 

 攻撃の勢いを逆に利用されたのだ。それを一瞬で四度繰り返した。

 

 冒涜的な何かは初めて、目の前の矮小な存在に欠片ほどの脅威を覚えた。

 

 だから、もう少し力を込めて戦うことにした。

 

 

 

 

 

 

――遊ばれている。

 

 少年は冒涜的な何かとの攻防の中でそう直感した。

 

 少年は死んだことで、今まで触れたことがない様々なものに触れ、戦う力を劇的に伸ばすことができたが、それでもなお、この目の前の存在には遠く及ばない。

 

 それに、少年が正気を保っていられる時間も無限ではない。

 

 この屋敷で死んだ者は、この屋敷の呪いに取り込まれ、怨霊と化す。少年は本来この屋敷に取り込まれるところを、気合と根性で踏ん張っているだけに過ぎない。一瞬でも気を抜けば、少年は瞬く間に屋敷に取り込まれ、そこら中にいる怨霊の仲間入りを果たすだろう。

 

 長い間戦っているように思えるが、まだ少女が逃げ出してから1分程度しか時間が経っていない。人外の速度で戦闘しているからこそ、普通の幼い少女が屋敷から逃げ出すまでの時間が、あまりにも長く感じてしまう。

 

 状況は依然として絶望的であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦いの最中、遂に少年は膝をついた。

 

 屋敷の呪いに意識を引っ張られる。

 

 

 

 

 

 

『可哀想に。■■のお母さん、蒸発したそうよ』

 

 夕日が差し込む中、職員さんの声を聞いた。

 

『ひどい、あんなに素直で良い子なのに』

 

『旦那さんを作ることができたと聞いたから、安定した家庭を作れて、そろそろ引き取りに来られると思ったんだけどね……』

 

『本当に、可哀想……』

 

『可哀想だね、■■……』

 

 職員はあなたを見て、嗤った。

 

 

 

 

 

 

 みんながあそんでいる。

 

 おにごっこ。かくれんぼ。なわとび。ドッジボール。とてもたのしそう。

 

 でも、きまりはまもらなければいけません。

 

 ちゃんと、いいこになるために。

 

 みんなはぜんぜん、きまりをまもりません。

 

 がっきゅうのルール。がっこうのきまり。どうとく。まもるべきことは、しっかりまもりましょう。

 

 そういうと、みんなはわらいました。

 

 ぼくは、なかまはずれにされました。

 

 

 

『可哀想、可哀想……』

 

 みんなはあなたを嗤った。

 

 

 

 

 

 

 授業参観の日。

 

 あなたはたくさん挙手をして、たくさん発言をして、しっかりと授業に集中して取り組みました。

 

 あなたは授業で大活躍でした。

 

 そして放課後、下校時間。みんなはお母さんやお父さんと一緒に帰っていきます。

 

 雨が降っていました。あなたは雨が降ることを知っていました。でも、傘は持ってきていません。

 

 あなたは、傘を持ってきて欲しかったのです。

 

 あなたは一人で、雨に濡れながら帰りました。

 

 誰もあなたを見てはいません。

 

 雨はざーざーっと降っていて、あなたは全身ずぶ濡れです。

 

 これでは目から涙がこぼれても、ちっとも分からないでしょう。

 

 

 

 

 

 ――ふと、雨は遮られました。

 

 

 

 

 

 傘を差し出す手。あなたがずっと求めていた、母親の温もり。

 

「ごめんね、遅くなって」

 

 いつの間にか、あなたはお母さんに抱きしめられていました。

 

「遅い、遅いよ……」

 

 あなたはそうこぼして、目から涙があふれて――

 

 

 

 ――少年は目の前にいる女性を短剣で突き刺した。

 

 

 

「どう、して……■、■……」

 

 そして目の前にいた女性は消えていった。縁を断ち切る短剣で突き刺したのだ。その縁は、二度と結ばれない。

 

 母親は本物だったのか、それとも呪いの偽装だったのか。そんなことは、少年にとって酷くどうでもよかった。

 

「人のトラウマを抉れば、呪いに呑まれると思ったか?」

 

 残念だったな。少年は呪いを嘲笑った。

 

 

 

 

 

 どうしてあんなクズのせいで、俺が心に傷を負わなければならない。クズのことなんてひどくどうでもいい。むしろついさっきまで忘れてたわ。あんなクズのことなんて。ここをほじくり返せば呪いに引きずり込めると勘違いされたのが、ひどく心外で、あまりにも馬鹿馬鹿しい。

 

「ああ。そうか、だから」

 

 ひらめき。非常に不快なものを見せられたせい、いや、おかげともいうべきか。俺は自分の勘違いに気づけた。

 

 そうだ。だから俺は断ち切りたかったんだ。

 

 短剣に付随した、縁を断ち切る力。幽霊を拒み、弾き飛ばす力。それらはすべて、一つの力だった。

 

 空に短剣を創る。一本、二本。三、四……いくつもの数を超え、無数に。

 

 これが俺の力。短剣は何かすごい業物が偶然手に入ったのではなく、自分が最も受け入れやすい形で発露した、力の一端だったのだ。

 

「すいません、取り乱しました」

 

 わざわざ首をかしげながら待ってくれた、案外紳士的かつ冒涜的な何かに向けて、せめてもの謝罪をする。

 

「仕切り直しです」

 

 空に浮かぶ無数の短剣を一つに集約させ、長剣を創り、構える。

 

 時間稼ぎの目標は……だいたい残り2分もあれば、逃げ切ってくれるだろうか。さあ、第3ラウンドだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 幼い少女が走る。

 

 走って、立ち止まる。そして、声をかけた。

 

「お兄ちゃん……」

 

 ほぼ全ての力を使い果たした少年は、屋敷の壁に寄りかかりながら、静かに帰ってきた幼い少女を見つめた。

 

「ごめん、ごめんね……」

 

 少女は泣きながら、拾ったガラスの破片を振り上げる。

 

 そして、少年に向かって振り下ろした。

 

 この屋敷に巣食う呪いに少女は逆らえない。

 

 だって、もう少女は死んでいるのだから。

 

 幼い少女は既に怨霊となっている。この子はもう、屋敷の外には出られない。

 

 

 

 ――鋭い刃が、幽体の身を貫いた。

 

 

 

 幼い少女が持っていたガラスの破片は少年の振るう短剣に砕かれ、返す刀で少女は短剣に体を貫かれた。

 

「あ、あははは、ごめんね、お兄ちゃん……」

 

 慕う兄を傷つけなくて良かったという安堵と、それでも大好きだった存在に刃を振るわれたというショック。

 

 幼い少女は泣きながら笑っていた。

 

 ふと、少女は自身の体と心が軽くなっていくことに気づく。

 

「お兄ちゃん……?」

 

 少女は気づいた。

 

 自分がこの屋敷の呪いから、解き放たれていることに。

 

「待って、待って、お兄ちゃん……」

 

 少女の存在が浮いていく。呪いによって縛られた魂が、輪廻の輪へと戻っていく。ようやく少女は真っ当に死ぬことができて、真っ当に、次の人生を歩むことができる。この終わりなき苦痛から、解放されることができる。

 

 最後に少年は少女の頭を撫でた。

 

 ――今度は、幸せに生きてくださいね……。

 

「お兄ちゃん、私、まだ何も……――」

 

 言い終えることもなく。少女は旅立っていった。

 

 それを見送り、少年は指切りをした小指を眺めると。

 

 そこで何もかも力尽きて、屋敷の呪いに呑まれていった。

 

 最後に残った一欠片の縁切りの力は、幼い少女の解放に使われた。だから、少年は再びこの屋敷に囚われる。念入りにその力と記憶に封をされて。

 

 惨劇は終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 小話:どこかの幼女のお話

 

 俺は車に乗っていた。

 

 昔から、車で知らない場所に来るたびに、置き去りにされて捨てられる妄想が頭に浮かぶ。

 

 思えば、子どもの頃は捨てられる夢ばかり見ていた。

 

 ……どうでもいい。

 

 俺はちょっかいを掛けてくる姉を無視するように、目を閉じて、意識を闇の中に落とした。

 

 外の景色を一瞥もしないまま。

 

 

 




ホラーかと思ったらFateとかドラゴンボールが始まった話。

冒涜的な何かさんは、クトゥルフ的なものですが、特に元ネタはありません。クトゥルフ風味の筋肉ゴリラのすごく強い化け物みたいなイメージです。最後の戦いの結果ですが、何かさんが遊んでいる最中に世界との縁をぶった切られ、屋敷の世界にいられなくなったので、主人公の判定勝ちでした。

作者の性癖を語りますが、私はお話を創ると、一番最初に格好いい主人公を思い浮かべます。そしてその時の格好良さは直近の様々な出来事に影響を受けますが、ぶっちゃけ、チートでもいいからいかに主人公が苦しい思いをするかを考えます。なぜか。それは様々な課題をスマートに乗り越える主人公よりも、泥にまみれて、ボロボロになりながらも強敵に立ち向かう主人公の方が格好いいと思うからです。

だから、今回のお話では主人公をたくさん痛めつける必要があったんですね。

辛い過去がありながらも、必死に頑張る主人公……いいよね……。そういう性癖です。
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