カーテンが開く音と共に差し込まれた日の光により、目を覚ます。
俺はまだ寝ぼけたままだったが体を起こし、ベッドへと座る。
「おはようセイヤ、いい朝だな」
すると、頭上から何やら声がする。顔を上げてみると、それはクレアだった。
クレアは、俺が顔を上げたのを確認すると満足そうに一度頷き、そのまま俺に向けカップを差し出す。
「ほら、眠気覚ましにコーヒーでも飲むと良い。私が入れたんだ、味は保証するぞ」
俺は彼女に差し出されたコーヒーを飲みながら、自分に今起きている状況を理解する。
というかこのコーヒー美味いな。流石味の保証はすると自分で言うだけはある。
「どうしたんだよクレア?朝から俺の部屋に来て。何か用事でもあるのか」
「ああ、そうだったそうだった。そういえば、私は貴様に用事があったのだ」
クレアは俺の飲んだコーヒーのカップを台所に置くと、思い出したかのようにそう言って、
「突然で大変申し訳ないが、死んでくれ☆」
そう言って、彼女は満面の笑みで躊躇なく腰の剣を抜いた。
神さま。一体俺が何したって言うんだ。
「うおおおおおお!!」
俺は廊下を疾走する。もちろん、それには一切の余裕も無い。
何故なら、俺の真後ろには何故か怒りが天限突破しているクレアが、ものすごい勢いで追いかけてくるからだ。
本来であれば、そんなものは俺の一番のお役立ちチートの『身体強化』で一瞬だと思うだろう。実際俺もそう思い、城を破壊しないように加減してはいるが、最大の強化を施し逃げている。
しかし、彼女からはなぜか逃げ切れない。走っても走っても後ろをは振り向けばそこに彼女はいるのだ。ホラーゲームかな?
「マデェェェェェェェ!!セイヤアアアアア!!」
ホラーゲームでした(絶望)
いや怖えよ!下手したらシュレイブニルよりお前の方が怖えよ!!
というかどうして引き離せない!?おかしいよ!アイツ絶対おかしいよ!
「なんでお前はそんなに怒り狂ってるんだよ!俺なんもしてねぇだろうが!」
「何もしてない?....何もしてないだとおおおおお!!!」
うわぁスピード上がったぁ!?
クレアと俺との間がジリジリと縮まっていく。
「そうだろうとも!確かに貴様は私には何もしていないだろうなぁ...直接には!!」
「間接的にもなんもしてねぇよ!あと最近お前ら寝不足でロクに俺と会話してねぇじゃねぇか!!」
俺がそう言うと、何故だかクレアは殺気が増大する。何か彼女の地雷を踏んだらしい。
「最近、アイリス様と話しているといっつも貴様の話のことばかりだッッ!貴様が今日はこんなことを話してくれたとか!こんな話が面白かったとか!いつも楽しそうで私としても嬉しい!ありがとうございます!」
「どういたしまして!でもそう言うことなら別に俺追いかけられる必要無いよね!?」
「それはそれとして私は貴様のことが心底羨ましくて妬ましい!!」
完全に私怨だ!
クレアは目から血涙を流しながら、さらに俺との距離を縮めてくる。
「それに!貴様の話はアイリス様の教育に悪い!敵城を包囲し城内へ食料を持ち込ませないことで相手を飢え死させて敵国を滅ぼすとか、そんな戦い方は王の戦い方ではない!この話をアイリス様から聞いた時、私は卒倒しそうになったぞ!」
「だってアイリスが兵法の授業で自国の兵士を犠牲にしないで相手を倒す方法が知りたいって言うから!」
あの時は俺も兵法っていう現代では聞くことの無い単語にテンションが上がってたんだ!しょうがないだろ!
そんな言い争いをしていると、俺たちは城の少し外側にある円型の広場へとたどり着く。どうやら、がむしゃらに追いかけているように見せかけて、ここに追い込まれていたらしい。
「よぉぉし、もう逃げられんぞセイヤァァ」
クレアは目を血走らせながら、腰の剣を抜いていく。あまりにも失礼だが、今の彼女はどっかの殺人鬼にしか見えない。
「あーもう!そっちがその気なら俺もやるよチクショウ!死にたくないし!」
俺は剣製を発動させ自身の手に剣を作り出す。
辺りには少し風が吹いている。それはお互いの髪を揺らし、またお互いの闘気を辺りに循環させてゆく。
「....ハァッッ!!」
初めに動き出したのはクレアだった。
俺は彼女が振り下ろした剣を自身の剣で受け止め、切り払うようにして弾き返す。
「ここ最近、私がアイリス様と会話する回数は極端に減った!今まではアイリス様の警護をするのは私、アイリス様の教育を監督するのは私、夜アイリス様が眠れなくなった時一緒に寝てあげるのは私だった!全て私だったんだ!!」
「レインは!?」
「アイツは知らん!!」
ひでぇ!
「このままではいずれ、貴様は私の一週間に一度の癒しであるアイリス様とのお、おおおおお風呂も奪いかねない!!」
「おい、鼻血出てんぞ。あと俺男だから。ついでに言うならそんなのを一週間に一度の癒しにすんな」
コイツはもうダメだ。いろいろダメだ。
「だから貴様をここで消す。何、安心しろ。本当に殺すことはしないさ。ただ記憶を消すポーションを飲ませて、王都の入り口までお送りするだけだ」
「.....ちなみに副作用とかは?」
「運が悪いと馬鹿になる」
何一つ安心できねぇよ!
クレアは殺気をさらに高め、こちらに向けて疾走してくる。
俺はそんなクレアに対し距離を取りつつ、剣製でナイフを創造しそれを投擲していく。
「無駄無駄ァ!こんな眠っちまいそうな攻撃で、我がシルファニア家が代々保有する魔道具を装備した私が倒せるかぁ!!」
「こんなことにお前ん家の魔道具使うなぁ!ご先祖が泣くぞ!」
クレアはそんな俺の投擲を剣で捌き、再び俺に剣を振り下ろしてくる。
俺はそんなクレアの剣撃を躱しつつ、さらにナイフを投擲していく。
「どうしたセイヤ!距離ばかりとって時間稼ぎか!無駄だ!既にこの辺りの警備は買しゅ.....もとい説得してある!助けなど来ないぞ!」
「汚ねぇ!流石貴族汚ねぇ!」
警備を買収してまで俺を排除したいかこの金持ちが!!
だが、こんな所で城を追い出されるわけにはいかない。アイリスはたしかにここ最近は自身の欲を口に出したり、自分で行動できるようにはなったが、今のままではこのイカれた王国をまとめ上げるには未熟なのだ。
俺はクレアの振り下ろした剣を受け流すと、彼女の頭上へと跳ぶ。
そして、そこで
「お前の負けだ!くらえ!」
俺の引いた糸は、それぞれの糸と糸とで絡み合い、瞬く間にクレアを拘束していく。
まさか魔王軍の幹部を生捕りにしようと思ってハイデルさんにアドバイスをもらったこの技の最初の被害者がクレアだとは思わなかったが、まあうまくいったので良しとしよう。
「これはッッ!クソッッ、離せえええええ!!」
クレアはなんとかそこから抜け出そうとするが、絡み合った糸は彼女を厳重に捕縛し、そこに拘束する。
俺はそれを確認すると、大きく息を吸い込み、
「アイリスー!!」
「やっ、やめろおおおお!!分かった!私が悪かったからそれだけはやめてくれええええ!!」
クレアに対し、最も有効な攻撃を叩き込んだ。
「ったく、冷静になって考えてみろ。俺がアイリスに対して出来ることなんてそんなに無いんだぞ。特に風呂とか無いから。それに、お前から離れていくのも別に悪いことばかりじゃないだろ。そういうのは自立っていうんだよ」
しばらくして、大人しくなったクレアに対し、俺はそう言って彼女のポケットから記憶を消すポーションとやらを没収する。
「だって、アイリス様が最近私に構ってくれなくて.....休日はほとんどの時間貴様と一緒にいるし....」
「子供かお前は!!」
コイツ、もしアイリスが嫁に行ったりなんかしたらどうなるんだろう。婚約相手を切り殺したりしないだろうか?不安だ。
「とにかく、今度からはもうこんなことをしないでくれ!心臓に悪い!」
運が悪かったらさっきの戦いで俺、ハートキャッチ(物理)されかねなかったからな。
「分かった。以後気をつけよう」
「本当に気をつけてくれよ....」
俺はクレアの拘束を解くため、剣製で作りだした物を全て消そうとする。
その時ーー
「おやおや、ここですか。城内での許可を得ていない戦闘行為は禁止されているのに、戦闘をした愚か者がいるのは」
今まで感じていた威圧感とは比べ物にならないほどの威圧感を携え、ハイデルさんがこちらに向かって歩いてくる。
やばい、ハイデルさんがマジでキレてる。
なんかドドドドドっていう文字が周りに具現化してるし、周りの空間が歪んで見える。
俺は、そんな姿のハイデルさんへと向かいゆっくりと歩き出すと、
「ハイデルさん、あの人です」
「了解致しました」
堂々とクレアを突き出した。
「ちょっと待ってくれ!待って!?いや待って下さい!ごめんなさい、私が悪かったからこの拘束を外してくれ!お願いだ!セイヤ!?セイヤ様ー!!」
セイヤくんは城内のいろいろな人からアドバイスをもらっています。
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