「よし、そろそろ行くか」
俺は読んでいた手帳をポケットにしまい自室のベッドから立ち上がると、もう一度身だしなみを確かめるために鏡の前へと向かう。
今、俺はいつものような動きやすい格好ではなく、執事が着るような燕尾服を身に纏っていた。
どうしてそんな格好をしているのかというと、今日は少し前にユリエールと約束した舞踏会について話し合う日だからである。
鏡の前で服に付いたしわや折れ目を治し、くしで髪を整える。そして念のため右腕の包帯の結び目を確認すると自室を出る。
自室から出ると、お昼時ということもあってか貴族やメイド、執事達とひっきりなしにすれ違う。
「アレが"テンセイシャ"と呼ばれる者か。最近の事件には全てアレが関わっているのだろう?」
「ああ、それに人知を超えた力を持っているらしい。私達に危害が加えられると思うと...なんとも恐ろしい」
わざと俺に聞こえるほどの声量で陰口を叩く貴族。
前回と今回の事件に転生者が大きく関わっていたせいか、貴族達の俺と他の転生者に対する評価は地の底まで低下し、それにより発生した一部の貴族達の嫌がらせによりこの城にいた他の転生者はその数を順調に減らしている。
数日前までは城の中を歩いてみればチラホラと転生者の姿を見かけたものだが、今やその姿も見当たらないほどだ。国王も色々対策を立てていてなんとか王都からは出てはいないらしいが。
本当にいつしかこの城魔王軍に乗っ取られるんじゃないだろうか。『真に恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方である』なんてよく言ったものだ。
俺はそんな彼等の陰口を無視しつつ堂々と長い廊下を進む。
こちとら今まで散々貴族に反抗してきたんだ。今更こんな罵声を浴びせられたところで俺の心はちょっとしか傷つかない。外野は勝手に言ってればいい。陰口の内容からしてその事件を俺が全て解決しているくらいの情報も知らなさそうだし。
「まったく、そもそも貴族ですら無い平民が堂々と城に居座っている時点で私は我慢ならないんだ。アレも自分の立場を自覚して大人しくしていれば良いモノを...」
「他の者達は城から消えているのになぜアレはしぶとくしがみついているのか....そんなに権力が欲しいのか、浅ましい」
しかし、よくそんなに暴言が尽きないものだ。暇なのだろうか。あと権力が欲しいのはお前だろ。
そんなことを考えつつ、彼等の間を通り過ぎて集合場所である中庭へと向かう。
中庭へたどり着くと、俺は目的の人物であるユリエールを探す。しかし、時間にも関わらずその姿はどこにも見えなかった。
「まだ来てないみたいだな...それならしばらく待つか」
俺はそう言って木の下に座り、何もしないのも時間の無駄なので戦闘で使う道具の点検を行うことにする。と言っても、俺が戦闘に使う道具は糸と魔導札くらいだが。
「あ、意外と糸が傷ついてる。またハイデルさんに貰いにいかないと...」
なんでも、この糸はハイデルさんの奥さんが制作している特別製なんだそうだ。どうして奥さんがこんな物を作り出せるのか問いただしたい所だが、聞かない方がいいんだろう。世の中には知らなくてもいいことは沢山ある。
「魔導札もなぁ...無限に魔力を持ってるし詠唱も要らないからすごく使いやすいんだけど、やっぱりちゃんとした魔法職じゃないから威力が落ちるんだよなぁ...威力を高めようとして沢山魔力を込めたら暴走して爆発するし、量で対抗しようにも魔導札を大量に買えるほど金持ちじゃないしな俺。城勤めなのに」
リヒター戦であれだけ使った後に判明したのだが、どうやら魔導札はスクロールと違い世間の需要が少ないためその分結構な金が掛かるらしい。初級魔法でさえ出費としてはバカにならないのだ。これをプレゼントとして束で渡したミツルギさんの金銭感覚は狂っているのではないだろうか。
そんなことを考えつつ、俺は彼女が来るのを待つ。しかし、
「いやホントに来ねぇな」
約束の時間はとっくに過ぎている。流石にこれだけ時間が経過しているのに来ないとなると心配になってきた。
とりあえず落ち着こう。落ち着いて考えよう。どうして彼女は来ないのか。
可能性としては3つある。
1つ目、なんらかの事故やら事件があって来られなくなっている可能性。これはまぁ無いだろう。なんらかの事故や事件が起きた場合、現在警戒体制が敷かれているこの城ならきっと騒ぎになっている。
2つ目、単純にこの約束を忘れている可能性。これは俺がなりかけていたものである。いやだってしょうがないじゃん?あれだけの事件が起きて変わりゆく環境の変化に必死に対応してたから俺の頭の中そればっかりよ?手帳に書いてなかったら完全に忘れてたわ。
そして3つ目だがーー俺の評判を聞いて、彼女が逃げ出した可能性だ。
正直、この可能性が一番高い。今や俺はこの城の中で犯罪者予備軍か容疑者と同じ扱いをされている。彼女が俺に再び会うのを怖がるのは自然な流れだろう。納得はできないが。
まぁ、どんな事情があったとしてもこの場に彼女が居ないのであればここで待っていても仕方ないか。
俺はそう考えると木から立ち上がり、その場を後にしようとした。その時、
「セイヤー!」
俺を呼ぶ声が聞こえてくる。振り返ると、待ち人であるユリエールがこちらに向かいひどく焦ったように走ってくる姿があった。
遅れて来てしまったことで怒られると思っているのか、彼女の顔には恐怖の感情が浮かんでいた。
たしかに遅れてしまったことは事実だが、俺はそれだけで怒るほど器の小さい人間ではない。どれ、ここは彼女を安心させるため一声掛けるとするか。
「そんな焦らなくても、全然怒ってないからなー!ゆっくり歩いて来て良「助けてー!!」....なんて?」
ユリエールから城の中とは思えない悲鳴が返って来たことに、俺の頭は一瞬フリーズする。
よく見ると、走る彼女の後方にはそれぞれカブトムシ、クワガタムシ、ハチを巨大化させ、二足歩行にしたかのような3体のモンスターが彼女の後を追走していた。
なるほど、彼女は別に遅れたことを気にかけていたわけじゃなくて、アイツらに追いかけられていたから走ってきていたのか。なるほどなるほど.....。
「.......はぁ!?」
なんで!?なんで城内に当たり前のようにモンスターが居るの!?どう考えてもおかしいだろ!!あまりにも常識外れだったから一周回って納得しかけちゃったよ!!
と、とりあえずあのモンスターはなんとかしよう。幸い敵は三体、それもあんまり強くなさそうだ。食後の運動的な感じでパパッとやってしまおう。
「『剣製』!」
俺は詠唱と共に自身の周囲に数本の剣を投影する。
アーチャーの記憶から学んだものとして、『剣製』とは本来投影魔術と呼ばれる魔術(魔法と何が違うのかはわからないが)から派生した特典という物がある。だから俺が今までしてきた「剣を作り出す」というイメージでは剣を浮かせたり飛ばすことが出来なかったのだ。
「全投影過程終了....一斉射出!」
そして俺がそう叫ぶと自身の周囲に固定されていた剣は弾丸のような速さで虫達に向かい飛んでいき、その身体に深々と突き刺さった。
虫達はけたたましい鳴き声を上げて地面をのたうち回る。
「今のうちに俺の後ろまで走って来い!」
そう叫ぶと、ユリエールは一目散にこちらに駆け寄ってくる。見える所に怪我は無いみたいだ。よかった。
俺は彼女の状態を目視で確認すると、再び虫達の方へと向き直る。
虫達は痛覚が存在しないのか、剣で貫かれているのにも関わらず緑色の血を流しながらゆっくりとこちらに近づいてくる。
「流石は虫、想像以上に生命力は高いな。だったら....これならどうだ?」
俺は目を閉じ、奴らに突き刺さった剣に意識を集中させる。
そしてその中に内包された魔力を認識すると、その魔力を暴走させる。
すると奴らに突き刺さっていた剣は次第に崩壊していき、内側から目のくらむほどの光を放つ。
「
瞬間、轟音と共に剣は爆発する。衝撃波が木々を揺らし、発生した爆炎は虫達もろとも周辺の草木を延焼させる。黒煙が晴れると、そこには小さなクレーターのような物ができていた。
俺はすかさず冒険者カードを取り出し、討伐したモンスターの項目を見る。そして項目欄の表記が3つ増えていることを確認すると、安堵のため息を吐く。
「おい、もう大丈夫だぞ」
そう呼び掛けると、俺の後ろにある木の裏からユリエールは恐る恐る顔を出す。
「....ホントに?ホントにいなくなったの?」
「ホントだホント、いなくなったよ。だからさっさとそこから出てきて状況を説明しろ。こんな城の中でモンスターに追いかけられるとか普通じゃないからな?」
「突然だけど用事を思い出しちゃったわ!という訳で私はこれでーー」
「逃がさんぞ?」
俺はそう言って逃げ出そうとするユリエールの肩を掴む。
本当はこんな厄介事は今の俺の精神衛生上関わりたくない。本当に関わりたくない。だけどここで見逃してしまえば後々もっと厄介なことになる恐れがある。そんなのは死んでもゴメンだ。
「離して!私これからアレがソレする用事があるから!」
「どれだよ」
言い訳にしても適当すぎるだろ。舐めてんのか。
まあこうして逃げ出そうとしている時点でまともな理由じゃないのは確定的に明らかだ。多少手荒になってしまっても問題無いだろう。
「俺お前が来るまでだいぶ待ってたんだけどな?誇り高い貴族様は遅れた理由も説明できないんですかねぇ?」
「....わかったわよ話すわよ!話せば良いんでしょこの悪魔!」
「悪魔扱いはやめろ。傷つくだろうが」
俺はようやく罪悪感を感じ始めたのか正座をするユリエールの周りに逃げられないよう糸を張り巡らせる。これで万が一彼女が逃げ出そうとしたとしても素早く捕縛することができる。
「よし、じゃあ話してもらおうか。....ちなみに嘘をついたり、誤魔化そうとしたらこいつを飲ませるからな?」
俺はそう言って懐から1つのポーションを取り出す。
「....何よそれ?」
「記憶を消すポーション。副作用でバカになる可能性アリ」
「思いっきり禁薬じゃない!?」
「まあ本当のことを言えば良いだけの話だ。簡単だろ?」
「完全に脅しじゃないのよ!?最低!最低よアンタ!この鬼畜!邪神!」
「邪神扱いもやめろ。傷つくだろうが」
「だっていつのまにか腕生えてるし!少なくとも人間ではないでしょ!!」
「これは色々事情があんだよ。深くは考えんな」
俺は取り出したポーションを懐にしまいつつ、しゃがみこむことで彼女と目線を合わせる。
「それじゃあ聞くが、なんでお前はあんなのに追いかけられていたんだ?そもそもアイツらは一体なんなんだよ?」
「....それを話すためには、まず私の家系について説明しなければならないわ。私達キリエス家は代々錬金術を専門として研究を続ける一族なの。そしてその使命は、一族の一人である私にも当然回ってくる物だったのよ。だけど、錬金術は魔法と違って触媒と錬成陣さえあれば魔力を使わずにいろんな事ができる代わりにその難度も高いの....結果、私のやろうとしていたことと全く違う方向に錬成は行われて、あの悲しきモンスターは誕生してしまったのよ....」
彼女はそう言って自嘲するように儚げに微笑む。
「.....長い、簡潔に言え」
「錬金術やってたら失敗しちゃった☆」
「思いっきり自業自得じゃねぇか!魔王軍に襲われてるのかと思って心配した俺の気持ちを返してくれよ!」
コイツマジで張り倒してやりたい。
だがここでコイツを〆てしまっては、後々舞踏会の現場に侵入する事が困難になってしまうだろう。
俺はため息を吐きつつ、彼女の周りに設置した糸を回収する。
「というかなんで虫で錬成なんてしたんだよ?余計に魔王軍の手先なんじゃないかと疑ったじゃねぇか」
「それはお父様が錬成をする時に使う生物の素材で一番簡単なのが虫だって言うからその通りにやっただけよ....まぁその一番簡単な素材で私は失敗した訳だけど....うぅ」
「自分で言っといて落ち込んでんじゃねぇよ!反応に困るだろうが!ほら、今回は失敗したとしても今度は成功するかもしれないだろ?な?」
どうして本来被害者であるはずの俺が、加害者である彼女を慰めなきゃいけないのだろうか。これがわからない。
「まあそういうわけでその虫達に追いかけられていた所にたまたまあなたがいたから、私は助けを呼んだのよ」
「どういうことだ?たまたまな訳ないだろうが。ほら、3日前に約束しただろ?舞踏会について色々話し合おうって」
俺がそう言うと、彼女は頭をひねり考える様子を見せる。そしてしばらくすると、ようやく思い着いたかのようにして手を打ち、
「もちろん覚えていたわよ!ええ!もちろん!」
「お前その演技力でよく嘘をつこうと思ったな」
貴族の令嬢だから今まで嘘なんてほとんどついた事が無いんだろうが、それでも分かりやす過ぎないか?将来が心配になるレベルだぞ。
「俺はてっきり、妙な噂の流れてる男には関わりたくないって約束をすっぽかされたとばかり思っていたんだが」
「?、あなたってそんな悪い噂を流される人とは....まあちょっと考えなくもないけど。それに所詮噂は噂、会ったこともない他者の意見なんて私の行動を制限する理由にはならないわ!」
そう言って彼女は高らかに笑う。
なるほど、彼女は噂についてあまりよく知らないのか。理由に関してはちょっとどうかと思うが他の貴族達よりはよっぽど良い。
「まあ、そう言ってくれるならこちらとしてもありがたい。そんじゃあさっそく始めるか。つっても舞踏会のルールとかしきたりなんかは大体勉強したし、やる事といえばお前とのダンス練習くらいだけどな?」
「ああ、だから今日は平民には似合わないしっかりとした服なんて着てるのね」
「一言余計だがまあそうだ。ただまあ今回はお互い初めてってのあるし、そこまで厳しくはやらねぇよ。お前の相手に困るほどのダンスの実力ってやつも見たいしな。さて、礼儀に基づくならこう言うんだっけな....私と踊っていただけますか、
俺は人を揶揄うような笑顔を浮かべ、劇場の演者のように手を差し伸べる。
「それ絶対嫌味よね!?見てなさい!完璧に踊り切って鼻を明かしてやるんだから!」
俺の言葉に反応し、プンスコと怒る彼女はそう言って俺の手を力強く握った。
俺はその手を引っ張ることで彼女を地面から立たせると、中庭の少し広くなっている所まで一緒に歩く。そして左手は握りしめたまま、腰のあたりに右腕を回すと、ゆっくりと踊りを始めていくのだった。
「........」
「ごめんなさい。本当にごめんなさい」
俺は追い詰められたサラリーマンのように見事なDOGEZAをキメ散らかすユリエールを見下ろしながら言葉を紡ぐ。
「俺は、人とは向き不向きのある生き物だと思っているんだ。剣が上手いやつ、料理が上手いやつ、魔法が使えるやつ。人間一人一人にはそれぞれ自慢ができるような長所が存在するし、それと同時に自分ではどうしようもできないほどの短所なんていうのも存在する物だ。だから百歩譲ってあれだけ啖呵切っておいてダンスが壊滅的にできないのはこの際置いておくよ?」
まあ正直ステップが壊れかけのロボットみたいな挙動になってたり、5秒に1回は転びそうになるとか中々のツッコミ所はあるんですけど。
「でもさ.....転びそうになったから支えてやってんのに、パニックになったついでに俺を錬金術で爆破するのだけはどうにかなんねぇかな!」
「ごめんなさい!本当に!本当にごめんなさい!」
ユリエールにパートナーができない理由がわかったわ。あれだ、コイツはダンスの上手さ以前にパートナーを粉☆砕するからなのだろう。
そりゃあこんな一緒に踊る相手を爆破する奴とは組みたくないわな。爆弾魔かよ。
「というかお前錬金術の発動には触媒と錬成陣が必要だって言ってたよな?触媒は多分どっかに隠し持ってるとして、錬成陣はどこにあるんだよ?」
「錬成陣自体は単純だったり得意な錬金術であればそこまで大きい物は必要無いのよ。だから私の場合、錬金陣はここに入れてあるわ。ほら」
彼女はそう言って自分の手につけている手袋を外す。するとその下にある彼女の手の甲には錬成陣のような入れ墨が貼られていた。
なるほど、たしかにそのくらいの錬成陣の大きさで錬金陣が行使できるのであれば入れ墨のように身体の一部にしてしまった方が便利なのだろう。今回はそれが裏目に出ているのだが。
「じゃあ今すぐ俺に触媒の方を渡せ!毎回こうもポンポン爆破されるとこっちの耐久力にも限界がくるんだよ!」
「嫌よ!この錬金術は私がまともに使える唯一の錬金術なの!私のアイデンティティを奪わないでよ!それに錬金術っていうのは周りにある一番触媒にしやすい物を無差別に触媒にするから下手したらあなたの持ち物とか服が触媒になる可能性が....」
「ああああああもう!ままならねぇなぁオイ!」
やばい、すごい投げ出したい。ダンスが下手なだけならと思って『ああ、やってやる』とかキメ顔で言わなきゃよかった。
胃が痛い、主にストレスで。癒し、癒しが欲しい。最近アイリスとなんか顔を合わせずらいせいで癒しの供給が全くできていない。差し当たっては今度アーチャーに会ったら一発くらいぶん殴っておこう。
ーーなんでさ!
「どうすりゃあいいんだよ!錬金術の暴発は致命的すぎるだろ!一歩間違えれば危険物扱いされて会場から追い出されかねないんだが!?そもそもダンスが驚くほどできてない!いくら舞踏会まで時間があるとはいえヤバすぎるんだよ!」
「そこまで言わなくてもいいじゃない!そうよ!私は壊滅的にダンスをするという才能に欠けててついでにパートナーを爆破する不器用っ子よ!でもしょうがないじゃない苦手なんだから!大体アンタは平民だからダンスなんてでき....てたわよね。しかも私のフォローを完璧にこなしながら......ねぇ、もしかしてアンタってどっか辺境の貴族だったりしない?出身はどこなのよ?」
「貴族じゃねぇよ。れっきとした平民だわ。出身はーー」
俺の言葉はそこで不意に止まる。
どういうことだ。たしかに俺は少し前まで自分の出身を覚えていたはずだし、それをアイリスに少しぼかしながらも話したこともあった....はずだ。そもそも自分の出身地を忘れるなんて普通じゃ有り得ないことだろう。
一体いつからだ?いつから俺は自分の故郷を忘れた?
俺は自身の記憶に混乱しながらも、これだけははっきりと自覚する事ができた。
俺の身体に、なにか異常なことが起こっている。
「.....どうしたの?すごく顔色が悪くなってるけど」
「ああ、大丈夫、たいしたことじゃない。ただちょっと昔食に困って虫を食べてたことを思い出してさ....」
「やめてやめて!さっきまで虫に追いかけられてたから余計に嫌な話よそれ!」
「そう、あれは3年前の暑い夏の日のこと......」
「もういい!もういいから!聞いた私が悪かったからああああ!」
彼女は首をぶんぶんと振りながら涙目で俺の口を塞ごうとしてくる。
よかった、とりあえず誤魔化すことはできたらしい。
「とにかく、舞踏会までには最低限のダンスのセンスと爆破癖を治してもらうぞ。というかそれが出来なきゃお前を笑ってきた奴らを見返すとか夢のまた夢だぞ」
「わかってるわよ、そのためにアンタをバディを組んだんだから。よし、明日から猛特訓よ!」
「そうだな、ただ明日は勘弁してくれ。やらなきゃいけないことがあるんだ」
「えー」
「えーじゃねぇよ。俺にもいろいろやる事があるんだよ。代わりに練習方法の詳細を書いておいたから、まずは基本的な動きを覚えてくれ」
俺はそう言って数枚の紙をユリエールに手渡す。
「じゃあ次会うのは明後日だな。それまでにステップくらいは踏めるようになっておくんだぞ?」
「アンタこそ!私の錬金術に耐えられるように防御力上げときなさいよ!」
「やっぱりテメェはまずその爆破癖をどうにかしやがれ!!」
やっぱりコイツをパートナーにしたのは失敗だったかもしれない。俺はそう思わずにはいられないのだった。
崩壊率30%
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王都でのストーリーは大体決まっているんですが、長いです。どうすればいいでしょうか?
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王都での話をフルで書いても良いんだゾ☆
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早くアクセルに行くんだよ。あくしろよ
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ちくわ大明神