会場は騒然となる。
列に並び、俺に暴言を吐いていた貴族は、まさか怒鳴り上げられるとは思わなかったのだろう。全員ポカンとしている。
関係ない貴族達も、皆一様に驚いていた。その人達についてはごめんなさい。
「貴族なんだから何言っても許されると思ってんのか!あぁん!?お前らはまるで赤子のようにこの世界を自分中心に、求めれば周りが自分達の思い通りに右往左往して世話を焼いてくれる。臆面もなくまだそんな風に考えてやがんのか!」
「私達は貴族だ!そんなことは当たり前ーー
「甘えるなッッ!今の世の中はそんなことを言ってられるほど平和じゃねぇんだよ!大体、俺や騎士達、それに他の貴族が魔王軍の襲撃に全力で対処してる時テメェら何してやがった!言ってみろッッ!」
そんな俺の言葉に奴らは何か言おうと、必死に目を左右に動かしながら考えている。しかし、しばらく経っても彼らからは何も言葉は出てこない。
「貴族が優遇な扱いを受けるのは、領地を整え、非常時には領民を導く!そういう仕事が存在しているからだ!何もしない貴族の権力なんざそこいらの犬にでも食わせてろ!」
「黙れ!平民ごときが我々に意見するのか!」
駄目だ、コイツらの話聞いてるとガキと口論してる気分になる。まぁ、こんな貴族に対して言い返してる俺もガキなんだけどさ。
「その平民が居なくちゃお前ら息もできないだろうが!じゃあ聞くが、その平民が作る布が無くてお前らは服が着れるのか!平民が作る食べ物がなきゃ飯も食えねぇだろ!」
俺がこんなことを言ったところで、コイツらの明日の生活は何一つ変わらないのだろう。だから、今俺がやっていることに何も意味はない。
だが、この世界は今、魔王軍の襲撃にあっている。なら戦力はその中心、王都に集中している方が都合がいい。だからわざわざ国王は俺に頭を下げてまでここに残ってもらおうとしたのだろう。もしかしたら俺の考えすぎかも知れないが。
それなのにコイツらは、その王の判断を自分達のプライドのためだけに全てふいにしようとしているのだ。俺はそいつが堪らなく気に入らない。
「ーー静まれ、王の御前で無礼であるぞ」
すると、その口論を静止する声が掛かる。声の主は、先程魔法をかけてくれたお姉さんだ。しかし、その声には先程までには無かった重厚感がある。
「も、申し訳ございません、王よ!」
その声に先程俺の言葉に反論していた貴族はすごすごと引き下がる。
すると、その言葉を聞いた王が口を開く。
「よい、少し騒ぎが大きくなったが、あれも意見の一つだ。貴殿の意見にも一考する価値はある」
「では王!」
「だがなーーこれは私、ベルゼルグ・ワイルド・ソード・エイムズが決定した事だ。わかるな?」
凄まじい威圧感を感じる。それを向けられていない俺ですらこのレベルで感じるのだから、本人に向けられたものは相当だろう。
彼らは首を縦にブンブンと振ると、その空気に耐えきれなくなったのか足早に部屋を出ていく。やーい、追い出されてやーんの。
「セイヤくん、君も少し外で頭を冷やしてきなさい。一応、王命だ」
あ、俺もですか。
「ふーんふーん♪ふふふーん♪」
謁見の間から王命で追い出された俺は、部屋へと戻り、鼻歌交じりにベッドでゴロゴロしていた。
いや、追い出された、という表現は適切ではないだろう。
俺は正直、ああいう堅苦しい会合のようなものが嫌いなのだ。おそらくそれを王様は察してくれたのだろう。たぶん、きっと、おそらく。
「あ、そういえばシュレイブニルを倒した後にちゃんと冒険者カード見ていなかった」
俺はポケットから冒険者カードを取り出し、それを眺めてみる。シュレイブニルを倒した時には焦っていたから気づかなかったが、結構色々な所が変わっていた。
「おっ、レベルが結構上がってる!」
思わず俺は大きな声を出してしまう。
いや、しょうがないじゃん?俺今まで純粋に異世界の雰囲気を楽しんだ事無かったんだよ?
ここに来てからずーっと厄介な出来事に巻き込まれてたし、やっと落ち着けると思ったら魔王軍襲来で右腕欠損ですよ。やっぱこの世界イカれてるわ。
あらためてカードをよく見てみると、自分が持ってきたチートがスキルの欄に記載されていた。一応この世界では、チートはスキル扱いらしい。
「....ん?」
俺はそんなスキル欄をしげしげと眺めていると、奇妙な事に気づく。
「...あの、いや待って?流石におかしいから」
俺の身には異常なことしか起こらないのだろうか。
いや、まだ三つ目のチートが消えただけなら分かる。そんなことやらかす奴なんて、あのクソ駄女神くらいしか心当たりが無いからね?悲しい事に。
……やっぱりアイツ殴るだけじゃ済まねぇわ。次会った時は地獄の底に沈めてやる。
だがチートが増えたのは本当に分からない。何故増えた。お詫びのつもりなのだろうか。だったら魂の欠損を治してくれ、頼むから。
何故か名前も『剣製』って無駄にカッコいい名前だしーー
「あ」
そこで俺は一つの心あたりが浮かんでくる。
このスキルは俺が倒したシュレイブニルが持っていたスキルなんじゃないだろうか。戦っている時にしょっちゅう剣飛ばしてきたし。
正確に言えば、これはシュレイブニルが寄生していたあの身体が持っていたスキルだったのだろう。どうやらシュレイブニルを倒したことで、俺はシュレイブニルの魂ごとその身体の持ち主の力も経験値として吸収したらしい。
...あれ?でも確か経験値の吸収ってその人に魂がある。つまり精神的に生きている状態じゃないとできないんじゃなかったか?
ってことはあの身体の人、シュレイブニルに取り憑かれながらも精神的には生きてたって事にーー
「よし、やめよう!もう考えるのはやめよう!倒したんだしもう関係ないって!」
そんなことは考えないで、今は手に入れたチートのことを考えよう。じゃないと今日一人で眠れなくなりそうだ。
それにしても剣製か...ザ・異世界って感じで良いな、カッコいい。
何より、これで一切使い道の無かった無限の魔力に使い道が出てきたことは大きい。
俺はさっそく能力を試しに使ってみることにし、部屋の中に十分なスペースを取る。
そして能力を発動するために手の中に剣を作り出すことをイメージする。
「いくぞ!『剣製』!」
俺がそう叫ぶと、俺の手の中に光と共にシュレイブニルとの戦いで使っていた物と瓜二つの剣が現れる。
なるほど、どうやらこれは言葉の通り、自分の頭の中でイメージした剣を作り出す能力らしい。
……何故だろう。名前が剣製なのに他の物も作れる気がする。最新型の釣り竿とか。
しかし、まだまだ剣をあまりスムーズにイメージできない俺の力では、奴のように空中に剣を複数展開とかはできないようだ。
まぁ、これから練習していけば良い話だ。問題はない。
俺はカッコよく、それに使いやすい能力を手に入れたことに喜びつつ、再び惰眠を貪るためベッドへとダイブしようとする。するとーー
「あの、セイヤ様……」
扉の向こうからアイリスの声がする。俺は突然の事に少し混乱したが、すぐに我に返り、手の中の剣を消すと、扉を開け、アイリスを中へと招き入れる。
「どうしたんだよアイリス?まだ式典が終わる時間には早いだろ?」
俺がそんなことを聞くと、アイリスは少し恥ずかしそうにして、
「あの、少しあなたとお話ししたいことがありまして、それで式典の方を抜け出してきてしまいました」
すっごい可愛い。
思わずそう言いたくなるのを拳を力一杯握り締める事で相殺する。
危なかった、危うく俺が社会的に抹殺される所だった。
「えっと、それで話したい事って?」
俺はそう聞きながら、アイリスの座る椅子を用意する。
アイリスは俺の用意した椅子に座り、少しの間息を整えるかのようにすると、
「……どうして、あなたはこの国を助けてくれたのですか?」
不安気な目で俺にそんなことを訪ねてきた。
早く原作の所書きたいけどストーリー的に全然先....どうしよう。
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