「ねーね!練習試合勝ったよ!」
元気にやうが言う。今日の練習試合は強豪校だったのでやうはいつもより高いテンションで結果報告をした。
「おめでとうあそこの高校に勝てるなんてすごいや」
「練習がんばったもん。かてさんはどうだった?」
「男子は完敗」
落ち込んでないように思わせるようにヘラヘラしながら言った。うちの部は男子弱小だが、女子部はかなり強かった。
「でもがんばったもんね〜」
やうは優しく俺を慰めた。負ける前提で試合をしてた俺には少しダメージを受けた。
「あ、じゃあ勝ったから駅前のカフェ奢ってくれるよね?」
この前に電話で約束していたのだった。
「あーっ」
強豪校に勝てるとは思ってなかったので、すっかり忘れてた。さっき、ジュース買って残りのお金は数百円しかない。
「忘れたなあ。そんなこと言ったっけ?」
「言ったし!もー!かてさん!」
やうは俺の肩をぽかぽかと叩く。
やうのすべてがかわいいのでもう一緒カフェに行かなくてもいいかなっとさえ思った。
「そういえばかてさん、明後日マラソン大会でしょ?頑張ってね」
やうは俺に声援を送った。来た。ここで僕は交渉することにした。
「うん。今年は入賞めざすよ。あ、もし入賞できたらキスして」
俺はからかいながら言った。
「かてさんすぐ身体求めるんだから。ん~もしできたらね。入賞って10位でしょ?去年何位だっけ?」
「42」
「なら、いいよー。がんばってねかてさん」
意外にもすんなりと受け入れた。
「もちろんがんばる。てか、付き合ってるのにまだキスしてないの酷くない?」
「えー。だって恥ずかしいもん。あ、もう家だ。じゃあねかてさん。頑張って」
彼女は笑顔で手を振った。
「うん。じゃあね」
やうは知らない。俺は3ヶ月前から死ぬ気でマラソンの練習をしてきた。雨の日も風の日もやうはご褒美系なら言うこと聞いてくれやすい。作戦通り。やうと俺のファーストキスまであと2日。
マラソン大会当日。俺は全力でマラソン大会に挑んだ。ただ無心でキスへ近づいた。何度も走った距離。それでも辛かった。それでも走った。そして終わった。
走ってる時順位は意識してなかった。審判から順位の札をおれは受け取った。目の焦点が合わずにその札を見た。12だった。俺はその場で倒れ込んだ。
呼吸が整い、12位という順位を受け止めた。悔しかった。努力が足りなかった。やううう。
ゆっくりと帰りへ向った。目の前にやうがいた。
「おつかれ」
そう言うと、やうは僕の唇を奪った。
頭が真っ白になった。
口に入った僅かなやうの体液は高揚感が襲った。
身体が熱くなった。
マラソンのときよりずっと体温が高くなるのを感じた。
「な、なんで。12位だよ?」
俺は顔を真っ赤にしながら聞いた。
「知ってる」
やうは笑顔で答えた。
「約束は10位でしょ?」
「忘れたなあ。そんなこと言ったっけ?」
彼女は照れながら笑顔で答えた。
やうは美味しいそうにケーキを頬張った。
「こんなことあったよね~かてさん。めっちゃ顔赤くしてたし」
やうは笑いながら言った。
「わ、忘れたなあソンナナコト」
「じゃあ、なんでここのカフェ連れてって奢ってくれたの?」
やうは笑顔で聞く。
「わ…」
「かてさん!忘れたなあはダメだよ」
僕達は笑いあった。
この物語はフィクションです
モデルはいますが、許可はとってます