これは前夜祭のように入念に準備する。サーヴァントとマスターのお話です。
それは一か月も早い内に行動を移していた。
『私が作りました♪霊薬に耐えうるカカオです♪』
そうメッセージを添えて、七色に輝く巨大なカカオを我が子のように抱きしめて微笑む、農家の格好をして汗水流している清姫が移った写真が彼の下に送られた。
「………」
彼は嚙み締めるように下唇を嚙み、滴る血の所為でナイチンゲールに捕まり医務室に移送される事になった。
それを見ている我々カルデアスタッフの一年に一度の大イベント、バレンタインデーの備えの準備に取りかかれと言う、神の神託に違いない。
これが送られた時、マスターの顔色は悪かったので、医務室から生還したらハーブティーなどで心を落ち着いてもらおう。
バレンタイン。彼の地元に置ける日本に置いて、女性の恋人が好きな男性にチョコを渡すイベントだ。
長い月日が流れ、友チョコなるものもでき、親しい人にチョコを渡す日と成り始めた行事なのだが、彼こと、人類最後のマスター、藤丸立香にとっては命に関わるイベントとなってしまっている。
なぜか当日に起きる謎の事件がある中で、彼はサーヴァント、英霊達からチョコをもらったり渡したりしているのだ。
それは良い、彼が慕い、慕われている証である。
だが中には影法師でも、本当の恋はしたいのと言わんばかりに、感情が重い物を渡したりしていると言う事態。
我々、カルデアスタッフ並び、一部良心的なサーヴァントが一丸となり、彼を守っていた。
「ふっはははははっ!!来たか、愛の狩人達よッ!! 今宵もまた、共犯者を攫いに来たか」
夢や心を通して、異性の彼の心を物理的に手に入れようとする者から、それを守る心のセキリュティーがいた。
「マスターこれを、新薬だ。これなら如何なる病気も治る」
医学の神による、胃の洗浄並び、怪しい薬の中和剤を共に食べると言う暴挙。
ここまでやるならもらわなければいいじゃないかと言うだろう。ただ、彼らは人類に協力する人材であり、彼にこれらを渡すのは、全て好意によるものだ。受け取ると言う選択肢しか、我々には残されていなかった。
最近は薬は効かないと知ると、味か中身に拘るようになり、媚薬など、日々更新されている。清姫による謎のカカオプラントは発見できなかったのが痛い。清姫は物理的に解毒剤を突破して、マスターのハート(物理)を手に入れる気らしい
後は量である。良心的なサーヴァントはその辺は機を使い、小さなチョコなどにしてくれるのだが、一部のサーヴァントは心を奪い取る気で大きいチョコを渡している。
チョコの中には神霊が作った物まである始末。本人が食べると言う選択肢しかないが、一度食べた後は身体に取り込まれる前に解毒薬などを飲んでもらう。神が作った物を食すとはそういうものだ。
尚、この制度ができたのは、玉藻の前ランサーが媚薬を持ちいり、マスターをおいしくいただこうとしたところ、赤王などのサーヴァントに見つかり、しばらくの交戦後、全員でおいしくいただこうと言う話に纏まったところ、食堂の守護者ことエミヤが救い出したと言うケースがある。
「安心してくれ、もう答えは出ている………」
そう無数の宝具を前に、ローアイアスを構えながら戦地へと歩む彼はまさに英霊だったと、当時のカルデアスタッフは語り続ける。
「大丈夫かい? 無理ならその日に食べきる事を辞めて方が良いよ」
「いえ、せっかくいただいたものですので。迷惑をかけますが頑張ります」
今宵のバレンタインデーは戦争が起きるだろう。新たに彼のことを夫と言うサーヴァントと恋人としか見ていない二人の妖精騎士が現れた。彼女達もまた、なにかしらの準備をしている。
ハベトロット曰く、モルガンのお嫁さん力がマイナス値に向かってるんだけどと言う謎の言葉に戦慄しつつ、我々は一か月後の戦いへと備える。
しかしと思う。
彼も男性として良い歳頃だ。誰かにもらい、嬉しい事があるだろう。
そう言った感情に刺さる薬も盛られた事があるが、彼のそう言った感情は毎年満ちていた。
「それは一体、誰からの物で満たされているんだろうねえ」
「おそらくそれはブラックボックスであろう。我々がおいそれと近づいていかんよ君」
そう新所長は言い、私もそれに同意する。
こうして来たるべき日に備え、恋する乙女達と大人達の戦いは続くのである。
メディアリリィ「はい惚れ薬ですね、それはこちらに♪ 新作をどうぞ♪」
ハベトロット「マイナス値がどんどん加速している!?部屋でどんなチョコを作ってるんだモルガンっ!? アルトリアまで食堂に言ったりしてるし」
エミヤ「大丈夫だよ、もう答えは出ている」
清姫「ルンタッタールンタッター♪旦那様の心を手に入れる~おいし~おいし~カカオチョコ~♪」
こんな日常だろうな。