神薙家一族列伝 京に忍び寄る鬼の影 作:神薙家当主
奥義とは各職業毎に存在するその職業の必殺技。
編み出した者の名前が入る。
健康度を消費して放つ分術よりも遥かに高い威力を持つ。
ゲームでは心技体のパラメーターが一定値を越えると習得できたがこの作品中では敵との戦闘中や訓練中での閃きによるもの。
また、奥義は同じ職業の者に口伝でのみ伝えることができ、口伝で伝えられないとその奥義は次に同じ奥義を誰かが編み出すまで消えてしまう。
なお、奥義は俺屍1、2の物とオリジナルの物がある。
術や奥義の併せ
術や奥義は同じ術や奥義を使用できる者が複数人いると同時に使って威力を高める事が出来る。
これを併せと良い始めの者から順番に同じ術や奥義を使用する事で併せが発動する。
なお、ゲームとは違い併せの途中に敵の攻撃が挟まると失敗する代わりにゲームより強力な物となっている。
鬼人化中の術と奥義、併せ
鬼人化中は術や奥義の威力も上昇する。
また、鬼人化中は奥義の使用で健康度を消費しない代わりに鬼人化出来る時間が短くなる。
また、鬼人化中は術や奥義の名称が変わるため鬼人化している者同士でないと併せは出来なくなる。
術なら名前の戦闘に鬼人と付き、奥義なら名前の部分が鬼人に変わる。
術 花乱火→鬼人花乱火
奥義 双光柊斬→双光鬼人斬
鶴眼ノ宮攻略は順調に進み、鬼との戦闘にも慣れてきた。
最初は皆攻撃や防御しか進言する余裕が無かったが今では補助系の術や術の併せも進言してくる様になった。
葵は補助系の術を良く進言してくれるし椿は併せの進言が多い。
楓は少し早めに回復の進言をしてくれるあたり怖がりな楓らしい。
皆それぞれらしい進言をしてくれて私も助かっている。
お陰で初陣の割には奥までこれたと思う。
「当主様、どの迷宮も入口付近の『辺』、丁度中腹あたりの『中』迷宮最深部の『奥』の3つに別れています。
そして、どの迷宮にも辺、中、奥にはそれぞれ鬼となった神、鬼神がおります。
鬼神は元々神であった存在。
故に強いですが倒せば天界へ戻られる神もおります。
そういった神は交神相手になりますから、解放されるのが宜しいかと。
ただ、今回は初陣ですからご無理はなさらず。
携帯袋の中に引際の笛と呼ばれる道具を入れております。
これを吹けばどんな戦闘からでも必ず撤退できます。
何かあったら迷わず吹いてください。」
狼那が言った。
鬼神か。
元々は神様だったと言うのは黄川人が言っていた地上に降りた神々の事だろう。
この迷宮にもそんな神が3人もいるのか。
出会いたくは無いけど出会ったら戦うしか無いんだよね。
「鬼神か、会いたくはない相手だね。」
「黄川人様の話では昼子様を恨む者、神薙家に鬼を倒されると困る者、神薙家へ助力する為に敢えて敵となった者、神によって事情は様々ですが剣を交えずにすみそうな神はまず降りてはいないですね。
迷宮で会ったなら敵と思った方が無難かと。」
狼那が言った。
神を相手にするってのも嫌な話だ。
「うぅ、怖いよぉ。」
「そんなに奥まで行かなければきっと大丈夫よ。」
怖がる楓を葵が頭を撫でながら落ち着かせる。
「お母さん、火は後どれくらいですか?」
「そうね。火は3つって所かしら。もう少し奥で鬼を倒して帰還って感じかしらね。」
私がそう椿の問いに答える。
「そうですか、そろそろ技力も少なくなってきたので少し心配で。」
椿が言った。
確かに、皆技力は半分をきっている。
出来るだけ技力は温存しておいた方が良いかな。
わざわざ術でなくても倒せる相手だし。
「当主様、お待ちを。」
狼那がそう言って私達の歩みを止めた。
「どうか、したの?」
「えぇ、非常にマズイ事態になりました。」
狼那がそう言ってごくりと唾を飲み込んだ。
「人間と言うものは時に恐ろしいものよのう。
自らの命を守る為に他人を簡単に差し出す。
そうはなりたくないものよのう。」
声がした。
男の声だ。
普通の声のはずなのに威圧感がした。
強い。そう私達に感じさせる声だった。
「貴方様はっ!?」
「おぉ、狼那か。
久しいものよのう。
黄川人について行ってから何年経つか。
あの風雲児についていくのも大変であろう。
我も神としてあの者の行く末を見てきた。
黄川人は随分と大変な目にあったものよのう。」
そこにいたのは灰色の髪をした男だった。
「お久し振りにございます。
「その者達が神薙家の一族か。
昼子がまた何か企んでおるのだろう。
我に神薙家の者共に稽古をつけて欲しいと言ってきおったわい。
昼子の企みにのるのは少し癪ではあるが神との間に子をなす一族。
その力量を見てみるのも良かろう。
それに、天界では戦闘などせんから体がなまってしまう。
たまには動かさねばな。
黄川人からもここで待ち構える様に言われておるし黄川人も何か企んでおるのだろう。
人の企みに荷担するのは好きでは無いのだが。
ま、それも面白かろう。」
大隅爆円と狼那が呼んだ神は私達に向けて術を放ってきた。
「させません!白羊盾!」
攻撃は咄嗟に狼那が召喚した式神によって守られた。
「ふむ、腕を上げたか。狼那。
だが、我が見たいのはそなたの実力では無い。
神薙家の実力だ。」
爆円がそう言って今度は距離を詰めて来た。
「お母様、防人です!」
「母さんに速瀬!」
「お母さんに陽炎だよ!」
3人が進言をするより先に私へ術をかける。
爆円の狙いが私だったからだ。
「くっ!」
私も薙刀で応戦する。
相手は素手だがさすがは神。
かなり強い。
「お母様にお雫です!」
楓が咄嗟に回復をしてくれる。
「母さんに武人!」
椿が私に武人をかける。
「てやぁ!」
爆円に向けて薙刀を払う。
爆円は分かっていたかの様に簡単にかわした。
「今です、白浪の併せ、行きます!」
楓がそう言って併せの起点となる。
「併せるわ、楓!」
椿が楓の白浪の併せに併せた。
「私も!白浪!」
葵も白浪に併せる。
「私も・・・って暇無いか!」
私が併せようとするもそれよりも早く爆円が私に詰め寄る。
「併せを邪魔しなくて良いんですか?」
「うむ。今はそなたの相手をしておる。
それに、白浪の併せ程度我には効かん。」
「白浪の併せ!せーのっ!」
「「「わっしょい!」」」
私と斬りあって爆円が離れた隙に楓が併せを出す。
しかし、爆円に直撃した白浪だったが全く効いている様子は無かった。
「その程度の術では我は倒せんぞ!」
「ならば!」
椿が突っ込んで行く。
「椿!」
私の声よりも早く椿が爆円に吹き飛ばされる。
椿の腹部からは血が滲み出し椿が腹を押さえながらゆっくりと立ち上がる。
「まず1人。」
爆円が言った。
「椿!そうだ、お雫!」
楓が椿に駆け寄って術をかける。
しかし、それは悪手だ。
「楓!ダメよ!今椿に近付いたら!」
「2人目だ。」
葵の叫び声も虚しく楓の背中にかかと落としが決まる。
「嘘・・・」
葵がその場で膝をつく。
姉妹2人が目の前でやられて完全に戦意喪失してしまった様だ。
「このままじゃ・・・
狼那、後をお願い。」
私は静かにそう言って静かに深呼吸をすると薙刀を地面に突き刺した。
「私の身体に流るる鬼の血よ、今ここに滾れ。
私の身体を鬼人と化して鬼を討つ力に変えろ!
鬼人化!!」
私が叫ぶと心臓がどくん、どくんと鼓動が強く、速くなる。
そして、それと共に私の額には角が2本生える。
髪は桜色に爛々と輝き始め、眼も紅蓮に輝く。
歯には鋭い犬歯が生え体が軽くなる。
鬼の血を浴びたせいか私には鬼の血を一時的に強く出して鬼と同等の力を得られる。
もちろん、自らの命を蝕む術故に連発は出来ないし効果時間もあるから長期戦は出来ない。
だが、それでも余りある力だ。
「はぁ、はぁ、鬼人化はこんなにも凄いのね。
力が溢れるわ。
だけど、自我を保つのが大変ね。
少しでも気を抜いたら鬼に墜ちそうだわ。」
私は静かに呟きながら薙刀を手にする。
「大隅爆円!神薙家初代当主の名に掛けて貴方を討つ!
私の家族は殺させないわ!」
私はそう言って爆円に薙刀の刃を向ける。
「ほう、鬼人か。それも面白かろう!」
爆円はまっすぐに私を見据え、私に襲いかかる
鬼人となった今ではそんな爆円の行動が見える。
鬼人になり身体能力と共に反射神経も高まっているのだ。
「ほう、ただほざくだけでは無いか。
そう言うだけの力はある様だな。」
爆円はそう言って少しずつ後ずさる。
だが、私の鬼人化ももう終わりが近い。
やはり、コントロールが上手くいかないから無駄に鬼人の力を使っている様だ。
上手くコントロール出来ればもっと長持ちするだろう。
「はぁぁぁ!!!!」
私は私の出来る限りの速度で薙刀を振り回し爆円へ連続で斬りつける。
その速度は既に鬼の物。
爆円以外は私の斬撃を追えていない様だ。
爆円の顔を見ると額に冷や汗が見える。
体力はまだある。
鬼人化ももう少しならいける。
ここは、押しきらなきゃ。
私は手を止める事無く薙刀を振るう。
防戦一方だが確実に防いできた爆円の身体にも少しずつだが傷が付き始める。
段々と私の攻撃を防ぎきれなくなっている様だ。
「まさか我が傷を負うとはな。」
爆円がやっとの事で私の猛撃から抜ける。
私の鬼人の力も底を尽き始め、髪や瞳の輝きは薄れていった。
「はぁ、はぁ、はぁ、」
「我も力が振るえぬがそなたももう終わりの様だな。」
爆円が膝を地について言った。
私は最後の力を振り絞って薙刀を握り直す。
「家族は私が守るんだ!だから、貴方はここで倒す!
これが私の奥義!
私がそう叫んで薙刀で爆円を2度、薙ぎ払う。
「なんと言う強さ。
鬼人の力か。
人間に負けるとはな。
だが、それも面白かろう。
その力、その心、忘れるで無いぞ。
鬼の力はそなたの力だ。
しかし、同時にそなたを鬼に変える力でもある。
本当に家族が大切ならその力、御してみよ。
出来ねばそなたが家族を斬るだけだ。
それだけあれば此度の鬼の大将も討ち取れるであろう。」
爆円はそう言うと天へと昇って行った。
「さぁ、狼那帰るわよ。」
私は薙刀を杖代わりによろよろと立つと狼那に言った。
「かしこまりました。当主様。」
狼那がそう言って軽々と楓と椿を担ぎ上げる。
私は葵の肩を借りて屋敷へと帰還するのだった。
柊の奥義
今回新たに柊が奥義を習得しました。
ゲームであれば初代が初陣で奥義を習得は出来ません。
能力値的に足りないからです。
この小説では閃きによる物なので使えた感じです。
今回の後書きは柊の奥義について説明します。
双光柊斬(そうこうひいらぎざん)
健康度消費:15
薙刀で敵前列を2度薙ぎ払う奥義。
通常攻撃よりも高い威力で2度薙ぎ払う為通常攻撃3回分程度の威力を持つ。
健康度の消費量は中量程度で気を付けながら使えば連発も出来る。
範囲技であり、ボス戦よりも複数の敵相手に活躍する奥義。