『腸狩り』になったスバル~エルザの肉体にTS憑依~   作:腸狩り

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episode.1 転生したら黒髪巨乳美女だった件

関東地方の某県にて、ある不登校の少年がいた。彼の名前は菜月昴。

彼はその性格が災いしクラスから孤立していた。そして、高校の卒業も差し掛かった三年生の終盤で遂に不登校になってしまったのだ。それ以来彼は一度も学校には行っておらず、引きこもりの生活を続けていた。

彼が外に出るのは、本やゲームを買いに本屋やゲームショップに行くときくらいである。

その日のスバルは、夜食を買うために近くのコンビニに行っていた。

手に持ち合わせているお金は、夜食を買うために持ってきたお小遣いくらいである。

 

(今月も厳しいな…、引きこもってる手前お小遣をもねだるのも恩着せがましいし…。)

 

(やってないゲームでも売るか…。)

 

手持ちで持っているお金は、夜食の弁当を買うために持ってきた500円玉と100円玉2枚、10円玉6枚と一円玉7枚だけだった。そのうち10円玉一枚はギザ十の十円玉である。ギザ十はスバルが以前買い物をしたときにお釣りの中に入っており、以来願掛けとして財布の中にいれている。

スバルはこのギザ十を、どうやら使いたくはないらしい。

 

スバルは夜食を買いにいくついでに、コンビニの雑誌棚で週刊誌の漫画の立ち読みをしていた。

週刊誌の表紙には大きく「新連載!」の文字が掲げられている。

 

(TS転生か…少年誌でTSネタは少しニッチ過ぎねえかなあ…)

 

どうやら異世界転生モノのようだ。

それも「異世界に転移して美少女の姿になる」という内容らしい。

スバルは銀髪の美少女キャラが性癖だった。

部屋のポスターや漫画、ラノベやフィギュア類を見る通り、筋金入りの銀髪好きである。

スバルはふと、自分がTS転生したらという想像を始めた。

 

(銀髪美少女になったオレか…。色白で鈴を鳴らしたような声色で…)

 

銀髪の美少女になった自分を想像をするスバル。

 

(氷魔法の使い手ってのはどうだ、フィジカルもクソ強くて素手でも戦えたりとか。)

 

(生まれも特殊な生まれで、伝説の魔女とそっくりなせいで人々からは忌み嫌われてたりするんだ。)

 

銀髪の美少女になった自分が氷上の上を駆け回っている。

 

(そうだ、トゲ耳はどうだ。「エルフ」…いや、それじゃあ普通だな…)

 

いまいちインパクトが足りないと思うスバル。

 

(人間とエルフのハーフの「ハーフエルフ」ってのはどうだ。)

 

スバルの中で、自分がTS転生したイメージが固まっていく。

 

(なんかまだ物足りねえなあ…猫のマスコットとかいたりしたら面白そうだな。)

 

銀髪美少女の横に、銀色の猫のようなマスコットがふわふわと浮いている想像をした。

 

(そうだ、本気を出したら実はこのマスコットはクソ強いみたいな設定だと面白ぇかも知れねえな…。)

 

さながらラノベ作家ばりに思考を巡らせ、妄想にふけるスバル。

スバルは完全に自分だけの世界に入ってしまっていた。

しかしスバルの心の中には、少しだけわだかまりが残っていた。

 

(いや違う!オレは銀髪美少女が大好きだけど…、自分がなりてえわけじゃねえんだよ!)

 

自分自身で解釈違いを起こすスバル。

彼は銀髪美少女が大好きだが、自分自身がなりたいわけじゃないのだ。

 

(やっぱ銀髪美少女は自分の手で愛でるに限るな…)

 

スバルの銀髪美少女になるという妄想は、自分自身の手であえなく頓挫した。

 

「チッッ…。おい…うるせえぞ。」

 

声が漏れていたのか、隣で立ち読みをしていた男性客が軽くスバルの脇腹を肘で小突いた。

 

「ぁ…すいません。すぐどくんで…」

 

(くだらね…、そんなの現実にあるワケねえし…。オレがラノベ作家になるわけでもねえしな。)

 

隣の客から睨まれ怖気づいたスバルは400円の弁当と140円のスナック菓子と160円のお茶を手に取り、会計を済ませコンビニの外へと出ていった。

生憎週刊誌を買う金は持ち合わせていなかったので、次にコンビニに来た時に買うことに決めた。

 

外に出ると、あたり一面は暗く闇夜に包まれている。車の通りもまばらで、人通りもほとんどなかった。

 

(はあ…暗ぇ…。そうか、もう夜中の11時だもんな。職質とかされなきゃいいんだが…。)

 

ここ最近、自転車の窃盗が増えているらしくスバルの居住区付近では警察が夜間パトロールを行っていた。

スバルの人相の悪さはスバル自身も自覚しており、高校入学の時のクラス写真に写っていたその姿はまるで警察署に張られている指名手配犯ポスターのようだと自負していた。

そして実際、スバルは過去にこの人相の悪さが災いし職務質問をされたことがある。

その際は自身の身分が高校生であることと、自分の父親の顔が広く警察官にも知り合いがいたということでなんとか難を逃れた。

スバルはこの日ほど、自身のコミュ障ぼっちぶりを呪ったことはなかったという。

 

(オレは人相が悪ィけど、そんな指名手配犯ってわけでもないし、今回は大丈夫だろ。)

 

しかし今日は、いつも愛用している黒いジャージを着て外に出ている。

傍から見れば不審者そのものだ。黒い服を着ると職務質問をされやすいという話も聞いたことがある。

実際、スバルが過去に職務質問を受けた時に着ていた服装も黒だったことを思い出した。

 

(寄り道せずに一直線に家に帰ればなんとかなるか。)

 

そう思い、コンビニの敷地から外に出ようとした。その時だった。

 

 

 

 

 

 

まばたきをしたその一瞬で、目の前の景色が、突然切り替わったのだ。

 

 

 

「………え?」

 

 

 

 

 

あたり一面が、中世ヨーロッパ風の景色に切り替わった。

獣人が町中を闊歩し、竜が馬車を引いている。

先程までスバルは、日本の関東の地方都市の住宅街にいたはずだった。

しかし目の前に映っている風景は、見慣れた現代日本の風景とは程遠いまるでファンタジー作品のような光景だった。

それに日が昇りあたり一面は昼になっていた。太陽が照り、まるで春のようにポカポカと温かい。

風が吹き、スバルの肌を撫でる。

自分はこんなに薄着をしていただろうか。今の時期は冬の真っただ中だったはずだ。

こんな薄着だと、風邪をひいてしまいかねない。しかし寒さを感じないほど辺りは暖かくなっていた。

 

(一体なんだ?まさかオレはたった一瞬で地球の裏側にでも拉致されてしまったのか?)

 

自分は拉致されたのではないかと疑うスバル。しかし地球の裏側に、ブラジルの位置にこんなヨーロッパのような建物が建っているなんて聞いたことがない。

 

(いやいやまさか…流石にドッキリだろ?そこにいる竜も獣人も、きっと特殊メイクかなにかで…。)

 

(オレの誕生日がエイプリルフールだからって…こんなことしなくてもいいのに…。)

 

スバルは父と母のドッキリを少し疑った。スバルの誕生日は4月1日だった。

世間的にはエイプリルフールと呼ばれる日付である。あの父と母なら、自分を勇気づけるために大掛かりなドッキリを行っても不思議ではない。

しかしスバルの両親は普通の家庭だった。仮にやれたとして、いくらスバルのことを溺愛してるとしても、こんな大それた計画を行うための資金を出すとは思えない。それにあの二人が、息子を誘拐まがいなことをしてドッキリを行うだろうかと、スバルは疑問を浮かべた。

 

自分が陥っている状況を整理し、思案に耽っていたその時だった。

 

スバルは自身の服装の違和感に気付いた。自分はジャージを着ていたはずだ。

それなのに、自分の体を撫でた風の感覚は直接自分の肌に当たったような感覚だった。

胸から腹にかけてが、まるで布を当てていないかのような感覚だ。

それに、自分の髪の毛はこんなに長かっただろうか。

肩まで届くその髪は、毛先に行くにつれウェーブがかかっている。

首元には、紫のファーが巻かれていた。

 

 

違和感の正体ははそれだけではなかった。自分の身長はこんなに低かっただろうか。

普段よりも5~6cmほど、目線が低いように感じたのだ。

違和感はそれだけではなかった。胸に重量感を感じ、股間に虚無感を覚えている。

それはまるで「ない」はずのものが有り、「ある」はずのものがないような感覚であった。

疑惑が確信に変わっていく。

スバルはおそるそそる、目線を下にやっていった。

 

「……!?」

 

そこには、自分の肉体にあるはずのない豊満な双丘が実っていた。

男であるはずのスバルにはあるはずのないそれは、スバルの肉体に起きた異変を視覚で知らせてくれた。

そして服装も、スバルが着慣れたジャージではなく胸元が大きく開いたようなローブの服装になっていた。

 

そこでスバルは、自身の体に訪れた異変を確信する。

 

緊張のあまり唾を呑む。

スバルにとっては一瞬の出来事のはずなのに、その唾を呑む動作がとても長く感じていた。

 

「オ、オレ…」

 

「オ、オレ…女になってるー!!!??」

 

普段のスバルの声とは違う、落ち着いた大人びた女性の声が町中に響き渡る。

 

「というかこれって、異世界TS召喚ってヤツ〜!!!??」

 

 

 

 

ナツキ・スバルは見知らぬ異世界に異世界召喚され、黒髪巨乳美女になってしまったのだ。

 

 

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