恣意的情報非開示型整合性皆無系文体非論理的展開連続男女出逢似非軽文学 作:若かりし頃を思い出して
「なるほど。将来に対する見通しを隣の席になった、という好機を通じて妙齢の女子と、ついでにタイプの女子と語り合ってあわよくばする事もやぶさかではないと意気込んだのだが、将来以前にその場における見通しが甘く、意気込むだけで終わってしまった。相席で愛接近するのはもう少し先……と」
僕は彼女に今日の出来事について話した。僕の無駄多き知識が刻み込まれた頭脳を持って、来し方一日のむにゃむにゃを要約し、それを彼女がさらに要約した。多分、彼女は現代文が得意だと思う。しかし、あまりにも直裁にものを言い過ぎなのではないだろうか。潸然と僕が泣き出しても構わないのだろうか。泣いてやろうか。まぁ、そんな度胸も愛嬌もらっきょうも持ち合わせていないから、こうなっているのだけど。
「これが恋なのかな……」
「所詮は一過性の精神錯乱。春に桜が散る様に、直ぐに終わって綺麗で何にも産み出せない」
「そうなんだけどね……僕が感じた衝撃は、名に恥じぬ驚きの濃度を持った一日で、刺激的な会話で、致命的な快感で、必然の初会合で、偶然の再開だったからさ……ついね」
「冷静に零細に振り返ってみたら? 恋した青春にただの一つたりとも生産性があった?」
「いや、初めての一目惚れだったんだよ」
「…………え?」
「…………え?」
僕と彼女の目が合った。僕はつい先程、自分が何と愚かな解答と思考をしたかに気付き、後悔した。僕と彼女の目が合う事はほとんどない。彼女はいつも空とか虚空とかよく分からない所を向いて独り言を呟いている。だから本当に予想外だったのだろう。僕が"青春"と言われて"僕の過去の学校生活"について振り返った事に。僕は自他共に認める程に振り返る必要性を何一つ持たない非生産的な学校生活の記憶と経験を保有しているが、こうも素直に驚かれるとちょっぴり悲しい。何で悲しみを覚えながら彼女の端正な顔を間近で視なきゃならんのだ。驚いた顔もマジ可愛いが、どうせならもっと正当なシチュエーションで見たかった。僕は転校生に一目惚れしたばっかりだが、彼女の事を可愛いと思わないわけじゃない。虚しいぐらいに素直な童貞だった。
「……でも、すきなら何でアプローチしないの?」
「すきだからだよ。もっとお互いを知ってから、信頼を築いてからじゃないと」
「恋愛が駆け引きとでも? いい加減気付いたら?」
「……どういう事かな?」
「恋愛が駆け引きなら、偏差値60超の奴はみーんな恋人いる。そうじゃないから古今東西の創作でいつまで経っても使われて、古今東西いつまでも人間は悩んでる。多分」
彼女は思ったよりこの話題に食い付いて来ている。気のせいかもしれないが、喋り方がいつもより柔らかい気がした。いつもより会話をしているという感触があった。彼女は案外、こういう俗っぽい事とかの話題の方が好きなのかもしれなかった。彼女も年頃の女の子なわけだし、当然と言えば当然だったが、僕はそれに凄く違和感を感じた。そして、違和感を感じた事も感じて、僕は自分の事を酷く傲慢で他人への配慮が足りない人間だと思った。誰だって、他人なんぞに型に嵌められたくないハズだから。
「何で、すきになったの?」
「人をすきになるのに理由なんているかい?」
「他者に好意嫌意を抱くのに理由がいらないなら、何ですきになったのか、という問いへの合理的な論理的な応えは存在すると思うんだけど」
「……思うんだけど?」
「……何?」
「意外だなって」
「喧嘩売ってる。その気概は買う」
「何の利害があってそんな事するんだよ。ただ……単純に、その声から聴こえてくる言語にしては聞き慣れない単語の羅列だったから」
今まで、彼女とここまでラフに会話をする事はなかった。彼女も積極的だが、僕も積極的になっているのかもしれなかった。恋をすれば人は変わる、という事か。彼女はここに来るまでに買っておいたいつもの牛乳パックをぎゅうっと握ると、思いっきり投げ捨てた。彼女はポイ捨てを悪いと思わないのか。いっつも先生に見つからない様に僕が拾って行ってるというのに、感謝も誠意も感じられない。いや、実際に面と向かって言われると"自分が良い事を誰に感謝されるまでもなくやっている感"を無くしてしまって少し困るからコソコソとやってるのだけど。
「どういう娘?」
「すきになった人の良い所を挙げろって事? そりゃあ無理な話だね」
「……何で?」
「そんなの皆まで言わなくても……」
「……?」
「……ライトノベルとかは読んだ事ある?」
「昔のなら。シャナとかキノとかタイラーとかスレイヤーズとか」
「じゃあ分かるんじゃないかな。すきな人の良い所を具体的に挙げろっていうのは、嫌いな奴の良い所を具体的に挙げろってのよりも遙かに面倒くさい作業なんだよ」
「さぎょう、めんどう」
「だって、わざわざ挙げずともすきって断言出来るからこその一目惚れなんだから」
「そういうものなの?」
「そういうものだよ、多分」
「断言出来てないね」
「心の中ではしてるからね」
「それは世界にないのと同義。視えないし、触れられない。偽物よりも、低い」
「じゃあこの胸の高鳴りも偽物以下って事だね」
「そりゃあ勿論。一過性の精神錯乱だから」
僕は笑った。彼女は空を見上げた。もしかしたら彼女は、恋というものに興味があるのかもしれない。何だか哲学めいた事を呟き、牛乳をポイ捨てする事に抵抗を覚えない程の倫理観を持ち合わせ、壁掛け時計を持ち歩く様な感性をしていて、恋を一過性の精神錯乱と切り捨てる彼女は、ベタな話だけど恋に憧れているのかもしれなかった。ラノベの読み過ぎだね。
相変わらず『彼女』が何言ってるか意味不明な方用解説
・興味のある話題だとダジャレ成分が減って、独り言から会話に近づきます
相変わらず『地の文』が何言ってるか意味不明な方用解説
・『僕』はラノベの読み過ぎです
挙げたライトノベルのラインナップに納得出来ない方用解説
・ここで『男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子にクビを絞められている。』とか言われても困るでしょう?
会話が意味不明という方用解説
・少し酔っているかもしれません。年末年始ですし
描写が薄い、と感想を投げてきたネッ友用解説
・題名に忠実な作品なのです
これからの展開
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