やはり俺が黒の組織に居るのは間違っている。   作:ひよっこ召喚士

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他の投稿作品を書いてたり、転職してから忙しかったりで、かなり久しぶりの投稿になりました。

まだ待っていてくださる方には大変お待たせしました。新しく見つけた方も良ければ気長に待ちつつ読んでください。




腐り目:File.3 Page.1

 

 

 

体育は好きとは言わないが嫌いではない

 

身体を動かし続けていれば思考を減らせる

 

付き纏う言葉を払い除ける様に身体を動かす

 

今も昔も俺のやってる事は変わっていない

 

過去があって今があると言うのにだ

 

学習出来ない自分が本当に嫌になる

 

そして嫌な気持ち(それすら)も振り払おうとする

 

本当に救われない、いや救いようがない

 

準備運動を終えるとラケットを握る

 

待っていれば誰かしらから声が掛かる

 

動ける奴だと良い、そんな事を考え待つ

 

一人見たことある顔が近付いてきた

 

「比企谷くん、一緒にやらせてもらえないかな? いつも一緒にやってる人がおやすみでね。それに比企谷くん、テニス強いから」

 

戸塚彩加…テニス部員、同クラス

 

助っ人に行く関係で話をすることがある

 

顔だけ見れば女子と大差ないが男子だ

 

骨格や筋肉の付き方から直ぐに把握した

 

なんでか知らないが妙に懐かれている

 

だがこいつは距離感を保っている

 

そのため接していて面倒には思わない

 

見た目と裏腹にそこそこ動けるのも知ってる

 

テニスの相手としては申し分ないだろう

 

了承すると意気揚々とコートに向かう

 

テニスを楽しんでいるのが読まずとも分かる

 

……いや、良いんだ……とにかくやろう

 

一般人と俺とでは色々と違いがある

 

相手との体力の差などを考えなければならない

 

それでも可能な限りはボールを打ち続けた

 

「やっぱりすごいね比企谷くんは!! ぺースは早いのに打ちやすい球を必ず返してくれるし、僕のミスもカバーしてくれてたし」

 

ある程度打ち合って気は紛れた

 

そう感じた所で終わりの鐘が鳴った

 

道具を片付け水分補給をする

 

その最中に興奮した様子で話しかけられた

 

取り繕う()()()の方がまだ良い

 

いつも通り対応すれば良いだけだからな

 

大した事はしてないと返すがはたして

 

コイツは裏がなく純粋だからこそ厄介だ

 

こういった手合には嫌味も通じない

 

「比企谷くんレベルだとあれが普通なんだ!!運動部全体を引き上げる腕前だもんね!!」

 

コイツは馬鹿な訳では無い

 

ただ人の悪意を疑わない

 

善意を信じすぎている

 

裏どころか世間にすら呑まれかねない

 

か弱さで言えば雛鳥と大差ない

 

今までどんな環境を生きてきたのか

 

箱入りだってこうはならないだろうに

 

あぁ…ある意味真逆なのだろう

 

人の善意を疑って

 

悪意ばかりを信じている

 

同属嫌悪という言葉があるが

 

対極過ぎるが故の反応なのか

 

自身でも覗くことは叶わない

 

真黒な心を思うと失笑する

 

そんな傍らで留まることなく話は進む

 

「比企谷くんに頼みがあるんだ。僕を鍛えてくれないかな?あ、もちろんテニスの腕前だよ」

 

去年と比べてどの部も人員が増えた

 

実績による影響は大きいと言える

 

練習等にも力が入ってるそうだ

 

引っ張る立場として負けれない

 

自分も少しでも強くなりたい

 

そんな思いから頼み込んでるらしい

 

明確にはしてないが噂はされている

 

俺が助っ人以外で関わろうとしないと

 

その情報くらいは知っている筈だ

 

その上でただ頭を下げて頼んでいる

 

なんとも純粋な事だろうか

 

これを受ければ煩い奴もいるだろう

 

コイツはともかく馬鹿は多い

 

権利だけを主張する愚者が出てくる

 

それを考えれば答えは分かりきっている

 

お願い、比企谷くん(【お願いね、あ■■の■】)

 

屈託ない笑み、くしゃくしゃの顔

 

真っ直ぐな瞳、沈痛な声

 

身体をもう少し動かしたい

 

「……俺が居る昼休みだけだ」

 

果たして昼まで居る日は何日か

 

くだらない考えで自身を誤魔化す

 

勝手に開いた口を抑えるには遅い

 

喜びの声から遠ざかろうと足早に去る

 

どうしようもない自分に嫌気がさした

 

逃げる気はないが今日は予定があった

 

どっちにしろ直ぐには出来ないだろう

 

必要な準備を整えておけとメモを残す

 

任務でないから足を来させるのは悪い

 

公共の交通機関を使い離れた家に行く

 

そこで着替えや物の準備が必要になる

 

今からなら目的地までの時間を含めて

 

余裕をもって間に合わせる事が出来る

 

だが予定になく嗅ぎ慣れた臭いが漂う

 

バス内の離れた位置でドサッと音がし

 

目を向けると男が血を吐いて倒れてる

 

若そうだが近くには杖も転がっている

 

顔色が悪く、汗を掻き、吐血している

 

物音なし、目立った外傷なし、毒殺か

 

恐らくふぐ毒であるテトロドトキシン

 

男がふぐの肝を食った可能性もあるが

 

ざわめきが広がって、バスは停車する

 

警察が来るまで、いや来ても帰れまい

 

また無駄で面倒な事に巻き込まれたな

 

俺の手荷物は細工もありまず大丈夫だ

 

携帯で当たり障りないメールを送った

 

下手なことさえしなければ問題はない

 

十分経ったくらいか警察がやってきた

 

「千葉県警の(もとい)照彦(てるひこ)です。皆さん順番にお話を聞かせてもらう事になりますがご協力お願いします」

 

取り仕切る役の刑事は二人だけだった

 

微妙な時間の為乗客は20人も居ない

 

その内の一人が聴き取りの担当の様だ

 

別々に聴いて纏めるよりは効率的か?

 

明らかに関係ないであろう乗客もいる

 

それを考えるとそこまでかからないか

 

現場の保存や身元の確認と同時に進み

 

程なくして俺の聞き取りの番となった

 

「先程紹介しましたが千葉県警の基照彦です」

 

「比企谷八幡、総武高校二年」

 

「やはりあの八幡くんですか、天才高校生と有名な」

 

有名税とはよく言ったものだが面倒だ

 

関係のないことに時間を使いたくない

 

適当に話は切り上げ質問に答えていく

 

何処に居たか、何か気付く事はあるか

 

あの男が倒れた際には何をしていたか

 

聴かれるであろうと言ったものばかり

 

淡々と答えていくだけで直ぐに終わる

 

「協力ありがとう。状況からみても害者との関係性からも君は問題ないだろうから直ぐに開放されるよ。もうしばらく辛抱してくれると助かる」

 

聴き取りが終わって数十分が経った頃

 

調査をしていた警官から報告が入った

 

報告を聴いた刑事は運転手を呼び出す

 

「鑑識の結果、害者からは神経性の毒物が検出しました。また、バスの座席にある手すりからも同じ毒物が出たそうです」

 

「害者は障がい者だったからな。座る位置は補助をした運転手のあんたが好きに決めれるんじゃないか?」

 

「そ、そんな私は知りません?!本当です!!」

 

嘘ではない、驚き、焦り、恐怖の感情

 

混こぜの心のまま必死に否定している

 

表情の引き攣りと声の震えが痛々しい

 

間接証拠もとい状況証拠しかない現状

 

しかも案内と毒が見つかった事実だけ

 

これだけでは十分な理由に足り得ない

 

逮捕が難しく検証となれば面倒になる

 

障がい者、杖、手摺、毒物…足りない

 

乗車位置に時間は、持ち物は何がある

 

他にも何か、何かが此処には足りない

 

「……犯人がこの中に居ない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君の言った通り障害者手帳からも毒が検出された。カード化した手帳を確認と称して受け取り、その際に毒を付着させて返したのだろう」

 

伝えるならこの人が良いと予想を話し

 

運転手の疑いも晴れ乗客も開放された

 

「害者が寄った施設を調べたら職員とトラブルがあった事が確認され、直ぐに調査した結果毒物を見つけ犯人は逮捕された。おかげで誤認逮捕することにならずに済んだ。感謝しかない」

 

目立ちたくないと俺の活躍はなくなる

 

礼もこの場だけになるから些か重たい

 

だが話とやらはそれだけではない様だ

 

「俺はあまり詳しくないが天才というのはこういった事件(もん)にまで分かるもんなのかと驚かされた。だかな俺としては本当に()()()()かと疑問にも思っちまうんだが……そこんところどうだ? 比企谷八幡」

 

興味からか知らないが此方に踏み込む

 

其方がその気ならば此方も踏み込もう

 

あんた犯人に対して怒りは無かったな

 

害者に対しての慈しみも少なかったな

 

むしろ犯人への同情が途中で強まった

 

真相が解明して、報告を受けてからだ

 

警察以外の人間を安心させる為の平静

 

場馴れしていて取り繕うことが出来た

 

理由付けは色々と出来そうだけど……

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()中道(なかみち)和志(かずし)刑事」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

面倒に違いないがもう終わったことだ

 

これ以上引きずっても仕方のないこと

 

そう割り切って進む足に意識を向ける

 

わざわざこっちまで来てくれてるんだ

 

アイツラ(ジン・ウォッカ)と違って長く待たせては悪い

 

目的地は組織の手は掛かってない場所

 

エンジェル・ラダーと洒落た名のバー

 

あまり俺としては好きじゃない名だが

 

とは言え裏の目的で使われる事が多い

 

出入りしても怪しまれる事のない立地

 

そして個室があるために話をしやすい

 

従業員に話し掛けて相手の名前を出す

 

既に着いていた様で席へと案内された

 

「なんや、ワレにしては遅かってんな()()()()

 

「不可抗力なんだが待たせてすまない()()()()





フィーヌ、もとい八幡は意外と組織内や組織関連の顔は広めです。付き合いの長さだけで言えばベルモットやジンが一番ですが、仲の良さで言えば二人以上の幹部は何人かいます。

Page.1とあるようにまだ続きますが、このまま連続で投稿……という訳にはいかず、続きの構成自体は出来てますが、まだ書いてないのでのんびりお待ち下さい。

読んでくれている方々に多大なる感謝を。
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