やはり俺が黒の組織に居るのは間違っている。   作:ひよっこ召喚士

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あることないこと吹き込まれでもしたか

 

まさに親でも殺されたのかという雰囲気

 

実際に死んだのは唯一の家族である姉だ

 

力強く睨んでいるが瞼は少し震えている

 

結構厳しい監禁状態に置かれている様だ

 

分かりたく無いがジンのやり方じゃない

 

あった事をただ嫌らしくネチネチと語る

 

ジンがするとすれば恐らくそんな所だろ

 

ブラフは使えど偽りを吹き込みはしない

 

嘘がバレて希望を持たれたくないだろう

 

殺すなら偽の希望を抱かせたりもするが

 

シェリーは組織の都合上殺せないだろう

 

となると考えられる答えは一つしか無い

 

「ベルモットでも来たか?」

 

「……?!……まさか本当に……」

 

俺が来る事まで読んで吹き込まれたのか

 

相当まいってるのは確かか、意志が弱い

 

普段の強気な態度と違い完全に張りぼて

 

小動物の威嚇の方がまだマシだと言える

 

「あの人がなに言ったかまでは知らねぇよ。ただ何か吹き込むやり方はジンらしくねぇと思っただけだ」

 

()()の性に対する恨みや執念の根深さよ

 

何があったのか事の詳細までは知らない

 

それでも滲み出る凄まじさは知っている

 

気分が良いのだろうこれで()()は終わる

 

ついでとばかりに憂さ晴らしまでやって

 

それで俺に当たられても困るんだけどな

本当にそうか?何も期待してないのか?

「……お姉ちゃんは死んだのよね?」

 

「そうだな」

 

シェリーの中でも確定してしまった情報

 

否定してやる意地の悪さは持っていない

間違った優しさなんてもっての外だろう

「……貴方が殺したの?」

 

「あぁ」

 

瞳が揺れている確かめたくてしたくない

 

確定させたくないのは誰の為なのだろう

 

自分の為か姉の為か、俺の為な訳はない

そんな答えだけは存在しちゃ駄目だろう

なんで?!

 

荒げて大きくなった声は何処か掠れてる

 

なんで殺したのかを訊いてる訳では無い

 

なんで()()(親友)を殺したのかを訊いている

 

知りたがった何故殺されたかではなくだ

 

組織へではなく俺に声を荒げているのだ

 

そして問いに対する答えは単純なもんだ

 

「裏切ったからだ」

何度も何度も忠告はしてやった筈なのに

簡潔的で分かりやすいこれ以上ない答え

なんで組織を抜けようなんて考えたんだ

組織を裏切ればこうなる事は分かる筈だ

自分が死んだ後の事を何故考えないんだ

それなのにある筈もない希望に縋りつき

組織を信じて、なんで俺を信じないんだ

その結果がこの状況なのだから笑えない

俺もシェリーもこれで独りなんだからな

「……それだけなの?……あなたもそうなの?……」

 

縋るものを求める姿は姉妹らしさがある

こんな所にいてもなお何処か純真な姿が

それでいて諦めの悪さまで持ち合わせて

芯が強くて最後まで抗うその心の強さが

明日に願った所で何になるというんだか

俺にはないそれが何処か眩しく見えてた

「恨むなら自分を恨め」

俺はそうした…否そうするしかなかった

「……帰って……」

 

弱く呟いた言葉は否定かはたまた失望か

 

どちらとも違うがその言葉に嘘はないな

 

慣れた感覚と違う拒絶に俺はただ従った

 

ニヤついてるジンを無視して施設を出て

 

そのまま車に乗り込むと直ぐに走り去る

 

あぁ気持ち悪い、夢見が悪くなりそうだ

 


 

最近はなかったがまた嫌な夢ばかり見る

なんでかなんて自問をするつもりはない

不機嫌さを隠す事なく高校へと出向いた

 

人付き合いの悪い俺へと声は掛からない

 

戸塚彩加も遠巻きに此方を見てるだけだ

 

何処までも変わらないいつも通りの日常

 

適当に授業を受けてたまに助っ人に入る

 

今日も作業をこなす様に過ごす筈だった

 

目の前のこいつが声を掛けてこなければ

 

「やぁ、この前は申し訳なかったね。後からやってきて仕切りだしちゃって、空気も少し悪くなったみたいで失敗したよ」

 

上辺だけの笑顔と謝罪を携えた葉山隼人

 

失敗したと理解してもなお直さないのだ

 

みんなで仲良くというスローガンを掲げ

 

クラスの顔へ出馬する姿は滑稽と言える

 

だが掲げた以上は撤回する事は許されず

 

出来ない事を出来てる様に見せるその姿

 

ピエロの方がまだ笑えるだけ優れている

 

帰った俺に対する報告のつもりだろうか

 

あの後どうなったのかまでも話しだした

 

俺が帰ってテニス出来る奴がいなくなり

 

勝負も出来ずそのまま解散となった様だ

 

戸塚側に由比ヶ浜が居たのは痛かったか

 

そっちの空気も悪くなり三浦も帰ったと

 

それを宥めて纏めた後にまた問題発生か

 

「謝罪もそうなんだけど、実は君に頼みがあってね」

 

遠回しさに腹はたつが逆に分かり易いし

 

よく分からん感情を向ける奴よりマシだ

 

コイツを無視するのは少し憚られるしな

 

なんの要件で来たのかも察しはついてる

 

表用の携帯から一つのメールを呼び出し

 

画面を見せれば葉山も直ぐ本題に入った

 

「君は本当にすごいな。僕がなんで来たのかまで分かるなんて……そのチェーンメールについてどうにかしたいんだ」

 

少し前からクラス内で回りだしたメール

 

内容は下らない数人をターゲットした物

 

『戸部は稲毛のカラーギャングの仲間でゲーセンで西高狩りをしていた』

 

『大和は三股かけてるクズ野郎』

 

『大岡は練習試合で相手校のエースを潰すためにラフプレーをした』

 

この三つの内容が飛び交い広がっている

 

俺からすればだからどうしたと言う話だ

 

葉山が俺に持ってきた理由も分かり易い

 

現実を知っててなお止まない理想主義者

 

そんな葉山に自分で確かめる勇気は無い

 

それでもこいつは少し変わってきている

そして変わりきれてない姿に安堵してる

「送り主を突き止める方法はないかな?」

 

俺が葉山を知る様に葉山も俺を知ってる

 

俺なら容赦をすることは絶対にないとな

 

気にしていただけの傍観者にはならない

 

中途半端には終わらせないと言う宣言だ

 

表沙汰にしたくないあたりは甘過ぎるが

 

劣等感を抱き嫌悪する俺に頼むんだから

その感情の間違いに気付いてはくれるな

それなりの覚悟があって此処に立ってる

 

「報酬になるか分からないけど職業体験の俺の行き先、君が決めてくれて良い。それなりに便乗する人もいると思うよ」

 

言葉を聞いて俺は引き受ける気になった

 

弁護士志望だったか、清濁併せ呑む姿を

 

白黒だけで済まない灰色を見せられたか

 

中々に厳しい家庭勉強を強いられてるな

 

もしくは自ら望み渦中に飛び込んだのか

 

「県内って指定はなかったよな?」

 

ある程度は覚えているが念の為確認する

 

急に此方から話を振って驚いてはいたが

 

直ぐに返答を返せるあたりは分かってる

 

「あぁ、日帰りで行けて移動費を用意出来る距離であれば結構自由に決めれるらしいよ」

 

進学就職関係で東京方面の希望はいるし

 

先輩だと関西まで行った人もいるそうだ

 

うわさ話とかからだろうが情報は使える

 

一番そういった話をしてくる奴は一年(一色)

 

学年が違うと入る情報に違いが出ている

 

二年の事は葉山なら簡単に知れそうだな

 

「でも遠過ぎると誘導もそう上手くいくか……」

 

高校生であれど資金面はマチマチだろう

 

近場の電車賃すらも惜しい奴だっている

 

だが全員を向かわせる必要性はないのだ

 

「都内であれば後は何処でも良い。ある程度がそっち方面に行くように仕向けろ」

 

明日にでもメールの主は特定してやろう

 

学校に連絡する様な家族はいないからな

 

そのまま帰らずに動くことが俺は出来る

 

土日も含めればかなり時間を確保出来る

 

アリバイにしても良いし、仕事も選べる

 

時間に余裕があるというのは貴重な事だ

 

私用だが道具を借りようとアジトへ赴く

 

メールについて調べるが直ぐに終わった

 

この程度であれば辿るのは誰でも出来る

 

浮かび上がった名前も想像通りの結果だ

 

その名前を葉山にメールで送ってやった

 

本文は簡潔にそいつの名前だけを書いた

 

 

 

 

 

『大和』

 

 

 

 

 

それから三日も経たずにそいつは消えた

 

家庭の事情で転校したと聞くが怪しいな

 

葉山は個人的にお話はしたと言ってたが

 

その葉山からの報酬は確かに受け取った

 

東京方面に向かう奴等がそれなりに居る

 

それでいながら行き先は散らばっている

 

誰が何処に行っててもおかしくない様に

 

あえてそうなるように考えて喋ったのか

 

「一人減って四人チームが二つ出来る様になってるけど、僕の所に来るかい?」

 

まだ行き先は提出していないんだけどね

 

そう言い笑って魅せる姿は様になってる

 

まだということはかなり上手くやったな

 

話を少し溢すだけで誘導に成功した訳だ

 

そうした技術も将来に向けてなんだろう

 

申し出に関しては追加か次への掛かりか

 

ただより高いものなんてないとは言うが

 

確かにその方が動き易いかもしれないな

 

増額された報酬は有り難く受け取っとく

 

体験の当日は悪くない物になりそうだ

 

気分もマシになった所に水を差すメール

 

表でなく裏用の携帯からの報せに苛立つ

 

諦めて目を通すがあまり嬉しくない物だ

 

「死んだかテキーラ」

 

気兼ねなく関われる相手は貴重なんだが

 

そう思いながら悲しまない自分に嗤った

あいつ(宮野)と彼の何が違うと言うのだろうか

表に居座るだけで生きてはいないこの姿

葉山は俺に劣等感を抱いてるが間違いだ

誰よりも出来損ないのピエロな自分では

一番にくるのは同族嫌悪以外にないだろ

周りを笑わす事なんて出来ないのだから

間違いと知ってなお繰り返す馬鹿同士だ

せめて嗤ってやらなければ場も保たない

だから俺はアイツの観客でいてやるのだ


 

職業体験の日は意外と早くにやってきた

 

適当な所を調べて悪くない場所を選んで

 

葉山グループ男子三人と東京都へ出向き

 

職業体験を早々に終わらせて帰路に立つ

 

話したくなる内容なんてものは何もない

 

今の仕事を辞めれる訳もないのだからな

 

「本当にやっべー。働くのって大変ってよーくわかったわ」

 

「お前、本当かよ。その割にはしゃいでたろ」

 

「はは、良い勉強になったなら良かったじゃないか。大岡だって楽しくない訳では無いだろ?」

 

一人減っても騒がしさに変わりはないな

 

むしろ一人減った事を誤魔化してるのか

 

それとも減ったから騒がしくなったのか

 

確認するつもりは無いが上手く回してる

 

「それでこのまま少し遊んで行こうよ隼人くん」

 

「良いなそれ」

 

「学校にバレたら不味いから本当に少しだけなら」

 

「よっしゃー流石隼人くん分かってる〜ヒキタニ君はどうする?一緒に来ちゃう?」

 

サッカー部で一番話し掛けてくる戸部翔

 

読み間違いをそのまま渾名にする阿呆だ

 

阿呆であるが故に悪意なくノリで生きる

 

この誘いもこいつなりの善意なのだろう

 

どうにかしろと視線を送ると葉山が動く

 

「比企谷くんは何かと忙しいし、遅くなったら悪いから無理に誘ったら悪いよ」

 

「んー、そっか。わりぃヒキタニくん。それでも中々遊べないから今度時間あったら遊ぼうな。あ、サッカーでも良いからさ」

 

「野球部もまた来てくれると助かってる。またな」

 

それぞれから挨拶をきいて別れ一息吐く

 

これで本当に帰る訳はなく仕事に向かう

 

東京都での拠点に出向いて情報を入れる

 

数日猶予はあるので今日は準備に徹する

 

職業体験の予定は確定してなかったから

 

武器や足など考える事など幾らでもある

 

こっちの方でしか会えない奴にも会うか

 

長時間千葉を離れる事は少ないのだから

 

此方でやる事はなるべくやっておきたい

 

色々と考えながらも準備は進んでいった




『21』



ジン「俺の車……」



なんか色々考えながら書いてたらもう一話出来ちゃった。そして結果的にチェーンメール&職場体験までFile3に纏めてしまいました。

そして次のFile4も何ならもう書き始めてます。東京方面にやってきた八幡、いったい何に巻き込まれるのか、お楽しみに。

それではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。
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