やはり俺が黒の組織に居るのは間違っている。 作:ひよっこ召喚士
爆破の時間が来たというのに何も起こらなかった。蘭も無事に救出されて下で合流出来た。もうダメだと思っていた分本当に良かった。
だけど不思議なのはなんで蘭は赤を切らなかったんだ。赤は好きな色だし、ラッキーカラーだから選んでもおかしくない。
それを知っていたから犯人である森谷帝二も罠として赤の色を用意した筈だからな。本当に嫌な手を使ってくれる。
赤を切るなという引きずられながら叫んだ声が届いたとは思えないし、助かった今としては届いていなくて良かった訳だが、やっぱ謎だな。
こうなりゃ本人に確認するのが手っ取り早いだろうとそのまま蘭に声を掛ける事にした。
「そういえば、新一兄ちゃんが不思議がってたよ。蘭なら絶対赤いコードを選ぶと思ってたのに、なんで青いコードを切ったんだろうって?」
「だって、切りたくなかったんだもん。赤い糸は新一と……つながってるかもしれないでしょ?」
それを聞いて顔が熱くなるのは感じた。きっと耳が赤く染まっている。そんなつもりは蘭にないのは分かってるが思わねぇ所で不意打ちを喰らったな。
そんな事を考えているとパスンと言う音と共にパトカーのガラスに穴があいた。そして意気消沈した顔でパトカーに乗り込んでいた森谷帝二の額にも穴があいていた。
「なっ狙撃か?!辺りを警戒するんだ!!」
「念の為に急いで救助者達を移動させます!!」
パトカーの向き、フロントガラスを割って森谷帝二の額を狙えるポイントは彼処らへんか。
暗さに加えて距離がある…どうにか確認出来ないか辺りを見渡すと狙撃で慌てて逃げ出した野次馬が落としたオペラグラスを拾った。
「なっ?!」
見据えたビルの屋上には顔は見えなかったが黒ずくめの服装をしたおそらく男が居た。狙撃を終えて既にスコープからは目を離しこちらには気付いていない。
そしてそのまま男はスナイパーライフルを仕舞うとくるりと背を向けて去っていった。
綺麗に一発の弾丸で狙撃された。他に殺された者はなく、二回目の狙撃がなかった事から狙いは森谷帝二だけだったのだろう。
捕まった際は殺して貰う様に頼んだ可能性とかもあるが、あれだけ自信満々にしていた事からは考えにくい。
となるとまず浮かぶ理由は恨みだが、まだ公表もされてない状況で森谷帝二を撃ったという事は何らかの手段で情報を手に入れてない限り、犯人を突き止めたって事だ。
かなり頭が切れるのは間違いない。救助者の安全を確保してから直ぐに警察も狙撃位置を割り出して調べたが痕跡は何も残ってなかったらしく、迷宮入りとなった。
一連の放火及び爆弾事件は解決したがみすみす犯人を殺されてしまった事で警察はバッシングを受けているそうだ。博士の家でテレビのニュースを見ているとどうもやるせない気持ちになる。
「そう気を落とすな。犯人が殺された事も狙撃犯についても思う所はあるじゃろう。だが爆破を防いだ事は誇らしく、蘭くんの無事は喜ばしい事じゃろう?」
ぐだぐだしてたら博士が励ましてくれる。そりゃ犯人を突き止める事は出来たし、蘭が無事だった事には安心したけどそれとこれとじゃ話が違うんだよ。
「そうは言ってもよぉ博士、黒尽くめの奴らの手がかりかもしれねぇ奴をこの目でおさめておいて何も出来なかったんだぜ。もっと早く確認出来てたら何か分かったかもしれねぇしよぉ」
犯人についての手がかり一つでもあれば警察のバッシングも少しは弱くなっていたかもしれないと思うとやっぱりなぁ。
「しょうがないのぉ。それじゃあ犯人追跡メガネに望遠機能でも付け足しておくから次に期待してうだうだするのはおしまいにするんじゃ」
「そんな事が出来るなら最初から付けといてくれよぉ」
撃った直後であれば顔の確認が出来たかもしれない。メガネならば目があっても偶然で済むから危険もねぇだろうしな。
「わがまま言うでない。追跡機能だけでもそのメガネに詰め込むのにどれだけの技術を組み込んだか……」
「分かった分かった、だから小言は勘弁してくれよ。黒尽くめの奴の事を除いてもちっと落ち込んでんだぜ」
「およ、他にも何かあったかの?」
博士はもう忘れているみたいだが俺としてはあれ程敗北感を味わったのは初めてだぜ。
「ほら東都環状線の爆弾の場所をみつけた奴だよ」
「あぁ、あれの事か!!あれのおかげで子どもたちも無事で済んだ訳じゃし、東都環状線の方も被害は減ったじゃろ」
「俺は直ぐに分からなかったのに電話先の奴は情報を聞いて直ぐに当てたんだぜ」
そりゃ被害が減るのは良いことだけど悔しい思いはどうしても湧いてくるんだよ。それとその相手には不信感もあるしな。
「あぁ、子どもたちが探しても見つからず、電車停車後も姿は確認出来なかったそうじゃな。それと君に言われてあゆみくんの探偵バッチを預かって調べたら指紋も消されていたからのぉ」
身バレを防ぎたいにしてもちと怪しいのぉ。なんて博士は言っているがそれだけで済ませて良い話ではないと俺の勘が言っている。
爆弾の情報で直ぐに日照センサーなんて言葉が一般人から出てくるか?それに閉鎖された電車内で子ども三人から隠れる技術も怪しく思える。
子ども達に姿を聞いたが服装に怪しい所はなく、雰囲気が怖かったことしか分からず手がかりなんてねぇ。はぁとため息を一つ吐いているとテレビから爆破事件関連のニュースが流れた。
『米花シティービルの爆破事件時に米花シネマワンに居たとされる寒川グループの代表取締役寒川大蔵氏の長女である寒川幸さんの行方が分からずにいましたが、今朝方に大蔵氏からの証言で爆破したビルから逃げ出した後で寒川家専属の医師による治療を受け千葉県にある別荘で療養中との事が分かりました』
『寒川グループは鈴木財閥には及ばなくても日本で生きてりゃ一度は聞く名前ですからねぇ。それに寒川幸さんが進めてるプロジェクトも多いと聞きますし、取りやめになったり遅れが出たりした際の経済への影響が心配ですねぇ』
「へぇ、幸さん彼処に居たのか」
「何じゃ知り合いか?」
「園子の関係でな。蘭とパーティに言った時に知り合って話した事があるんだけど、まぁ普通に良い人だよ」
おっとりしてる所もあればしっかりした面もあるし、ちょっと不思議なお嬢様だ。園子には負けるが好奇心が強めな人で俺が探偵やシャーロックホームズの話をした時に楽しそうに聞いてくれたのを思い出す。
「幸さんあれでバリバリ働ける人だから怪我とか酷いと会社への損害は出るだろうな。たぶん園子や蘭も心配してそうだなっと噂をすれば……」
新一の携帯電話に表示されたのは蘭の文字、博士に音を出さないように伝えて蝶ネクタイ型変声機を用意し、ボタンを押した。
『あ、新一? あのねこの前の米花シティービルに幸さん居たらしいのよ!!』
「へぇーそうだったのか知らなかったが無事なのか?」
小声で白々しいと博士が呟く、心の中でうっせーと思いながら蘭の言葉を待つ。
『ニュースでは大怪我はないって言ってるし、園子も大蔵さんに確認したら擦り傷と本当に軽い火傷が少しある程度らしくて今療養してんのは疲労を顧みて念の為らしいよ』
「何処も酷くなってないんなら良かったな」
あの人も護身程度に動けるが蘭程ではない。全く何も出来ない園子よりはマシだが、あの場にいてそれぐらいで済んだんなら良い方だろ。
『それでね幸さんが大蔵さんに心配ないから来なくて良いって強めに言ったらしくて、仕事を放って行ったら怒られるから代わりに見舞いに行ってくれないかって園子に言ってね。急な話だけど折角だから私も行こうかなって思って、新一は来れない?新一も幸さんとよく話してたでしょ』
「あぁ、そりゃあ行きたい所なんだが昨日駆けつけた時もかなり無理しててな。本当に時間が取れそうにねぇんだよ」
『もう!!いっつもそればっかりなんだから……まぁ映画は見れなくなったけど来てくれたから許してあげるわよ』
「俺も悪いとは思ってるんだぜ。あぁ、そうだそれならあのメガネのガキを連れてってやれよ」
『コナン君を?』
「アイツも色々と知識はあるし、俺と同じくらいホームズや他の推理小説も読んでるから幸さんと話が合うだろうからよ。それじゃあ、ちょっと忙しいからまた今度かけてくれ」
『あっ、ちょっと、新一?!』
怒声が響いてくるがそのまま切って携帯電話も一時的に切っておく。ふぅ~これでなんとかなるだろう。
「その姿でお見舞いに行って大丈夫なんじゃろうな?」
「あー小さい頃に会ってるけど流石に分かんねぇよ。幸さんそういった所は抜けてるから、蘭が預かってる子だって紹介すればそうなんだ〜で終わると思う」
「そう言うんなら心配な気持ちは分かるから止めはせんが、気をつけるんじゃぞ」
わぁってるよと新一兄ちゃんからって事でなんか見舞いの品を用意しとくか?っとコナンの方に蘭から電話が掛かってきたな。用件は分かってるがしっかり対応するか。
『0』
さて原作と違い森谷帝二の死亡をもって時計じかけの摩天楼の終わりとなりました。殺したのはいったい誰なのかそれもいずれ分かるでしょう。
予想などは自由ですが感想に書いても正解とも不正解とも言えませんのでそこはあしからず、どうしても正解かを確かめたい人はメッセージを送ってください。正解教えてくださいは無しです。
さて次からFile5になりますが初っ端から一波乱起きそうな予感がありますね。というかFile5は中々に忙しくなりそうです。ボロボロなのにね
評価や感想、お気に入り登録ありがとうございます。チマチマ書き続けていくので今後もよろしくお願いします。(Fileの節目なので足したちょっとした挨拶)
それではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。