やはり俺が黒の組織に居るのは間違っている。 作:ひよっこ召喚士
最低限生活に必要な私物を詰め込んでいく
他には学校で必要になるもの一式全部もだ
それだけがあればきっと問題はないだろう
逆にいらない物は全て此処に仕舞っていく
普段なら肌身離さずに持ち歩く武器の類も
今の状況では証拠を差し出すのと変わらん
そうせねばむしろ自分の首を締めてしまう
仕事の時は手間をかけるが用意してもらう
相手が信用出来る前提になるが頭は無事だ
そこらへんの判断を間違う気は更々ないな
傷の辺りは痛むし身体の動きも完全でない
それでも輸血などもあって血は足りている
それならば後はやるべきことをやるだけだ
お前にはそうする事しか出来ないのだから
そうすれば何も問題なく今回も乗り切れる
荷物をさくさく仮拠点へと運び込み終えて
用意されている食事を取ったら支度をする
体育や助っ人はやる気がないと断れば良い
座ってるだけで良い授業は休息と変わらん
だから送り迎えなんてものはしなくていい
「長距離を歩くのはあまり良くないと思うんですが」
目立ちたくないと言う俺の前提を忘れるな
今まで無かったってのに送り迎えしてみろ
何事かと注目を浴びるのは決まってるだろ
お前の家の車だとバレたらどうなると思う
既に決まっている事を蒸し返す寒川を諭す
こいつは何処か抜けているが馬鹿ではない
でなければ異様な状況であっても認めない
手を取る関係になるのはお前が決めたんだ
寒川幸としてではなく協力者として考えろ
「……はい」
根が善良な共犯者なんて言うのは初めてだ
だがこいつが裏切らない限りは続く関係だ
適当に落し所を用意して納得させれば良い
騙してしまえば簡単なのに何故そうしない
今回は時間がなくて断ち切ったが問題ない
初めから譲ってやるのはむしろ問題だろう
決まれば早めに動こうと荷物を持ち向かう
いつもとは全く違う道程を進んで学校まで
もちろんバス等は使わないと話にならない
あまりバスに良い思い出は無いが仕方ない
流石に通勤や通学と被ってると人が多いな
優先席に座るかと考えたが報せたくはない
何処が何処と繋がるか分からないこの世界
下手をして情報が漏れたら面倒極まりない
火傷の痛みは押されても問題はないだろう
頭の怪我は殴られなければ触れる事はない
問題があるとしたら外れた肩と腫れた腕だ
服を着ていれば外から分からない怪我だが
狭い車内で押されるだけでも激痛が走った
何なら荷物を持つだけでも痛かったからな
そんな時にバスが信号を曲がり人も斜める
体幹が良く勢いの殺せる者ばかりではない
それなりの圧が腫れた腕へと伸し掛かった
「ッ………」
息が漏れるのさえ抑え込んで痛みに耐える
普通なら叫び声を上げる様な激痛を呑んで
表情が歪んでしまうのは抑えきれはしない
普段から良い表情でない分誤魔化しはきく
とは言え朝からこれでは消耗が激し過ぎる
少しでもマシになるのならば睡眠を削ろう
そうして無駄な空白になるが早くに出よう
治るまで一ヶ月は掛かると一之宮は言った
ゲームでないのだから経過でもマシになる
それでも二週間は痛みと戦わないとならん
二三日ならば耐え忍ぶのも考えただろうが
半月ともなればマイナスの方が圧倒的だろ
計画の大筋と離れないならば変えても良い
頭の中でシミュレートしたいが余裕がない
流石にバスの動きまでは頭に入っていない
狙撃予定なら信号の連動も含めて覚えたが
とりあえずバスの動きに集中して耐え続け
ようやく降車予定のバス停まで辿り着いた
途中からは総武の制服も見るようになった
流石に乗車してからしばらくはなかったが
俺へ向けられた視線の幾つもが面倒の種だ
これまで乗っていないバスに俺が居た事実
それが校内で広まるのは確定と思っておく
耳に入り学校側がとう動くか次第になるが
どういう風に捉えられるかも含め対策する
憂鬱になってる暇もなく教室に向かい座る
机に無事な腕を載せそれを枕に頭を預ける
眠る様な体勢を取ってれば邪魔は入らない
授業も教師次第だが流せる所は流していく
聞かずとも分かる内容だからどうでもいい
とりあえず出る時間を早くするのは確定だ
制服が見え始めたのは四つ前のバス停から
それくらいなら普段は歩いても大丈夫だが
避けられる面倒と使う体力が割に合わない
無駄に消費して回復を遅らせるだけだろう
表でも使えるセーフハウスを思い浮かべる
バスを利用してもおかしくない場所は三つ
そのどれかに引っ越した事にするのが無難
元より一人暮らしなのは学校側も知ってる
誤魔化せてこれたから引っ越しは初めてだ
学校に知られてる物はという意味だけども
だからこそ放課後に届け出れば問題はない
懲りずに家を特定しようとする奴は出るか
他の拠点に移れない今だと無視は出来ない
そして懲りない馬鹿以外にも注意は必要だ
前の件で二三年は大丈夫だとしても一年だ
教えられたり共有してない限りは知らない
勘違いした奴らが動く可能性は十分にある
それとなく前の件についての噂を流せるか
騒いでる今なら情報は回りやすいだろうし
それこそチェーンメールでも事足りるだろ
集団で動かれなければ対処も出来なくない
当面の計画の見直しはこれぐらいだろうか
他にあればその時に対応すれば良いだろう
そうしていつも通り適当に一日を過ごして
情報を流すのを促すためのメールを流して
最後の授業が終わると直ぐ職員室を目指す
住所と通学路の登録の変更をしに向かうと
どうにも運が悪いのか平塚教諭に出会した
「比企谷か、職員室に来るのは珍しいな。いったい何の用だ?」
「引っ越して住所と通学路が変わりました。変更に関する書類をください」
好かないが仕事に関してはきちんとこなす
端的に用件を伝えれば必要な書類をくれる
情報は頭に入ってるからその場で記入して
お願いしますと提出して帰ろうとした所で
「比企谷、少し良いか?」
なんでこの人は俺に関わろうとするんだか
やはりこの人は好きになれそうにはないな
面倒極まりないというのに嫌いにも成れず
聴こえなかったで通すには距離が足りない
距離の遠さを飛び越えて来る様なこの人を
諦めて何ですか?と振り返り返答を待った
認めてしまうことだけはしたくないだろう
すると場所を変えると生徒指導室へ入った
周りと遮断したこの場を選ぶ様な話なのか
疑問に感じながらも話し手の動きを待った
「面倒を嫌うお前だから単刀直入に訊くが、その引っ越しの要因、もしくは引っ越しに付随して何かトラブルは無いか?」
何処までも際限なく教師をしてくる人だな
この人の様な人がいやそんな人は居ないか
仕事ではなく果たすべき役割を果たしてる
この人が居たらなんて下らない夢を捨てる
そう言った点だけで見れば尊敬に値するが
俺はもう俺なんだ既に終わっているんだよ
いやとりあえず何一つ問題はないと答える
「それならば良い。後はお前一年の頃から三者面談を行っていないが「無理ですね」返答が早いな……」
「両親は共働きですし、時間は取れませんよ」
「そうか二年からは受験について考え始める奴も多いから担任も気にしてたが、まぁ出席日数は危ういが比企谷なら何処でも行けるだろう」
何処でも行く事が出来る頭を持ってるのと
本当に何処にでも行けるかは別の話だがな
話は終わりかと思ってるとまだ続きがある
「最近少しだが雪ノ下の様子が変わった。そして今更過ぎるがお前が顔を出さなくなった直後から由比ヶ浜も大きく変わった。何か君が関わってるんじゃないか?」
そう言うと平塚先生は二人の変化を語った
雪ノ下は融通が利き話し方の鋭さが減った
由比ヶ浜も行動的になり成績が良くなった
そんな事を言われても知ったことではない
何一つ変われない俺への当て付けだろうか
あいつらが勝手に変わっただけの話だろう
沈黙を答えとして生徒指導室から出ていく
帰るつもりの俺を更に引き止める声が響く
「待って比企谷くん!!」
「戸塚か……」
同じクラスでありあれ以来話してない相手
一度勝手に期待した期待するだけの相手だ
教室からつけてきてるのは分かっていたが
貰った書類を書いた時間だけならまだしも
生徒指導室で話した時間も待ち続けたのか
何がしたいのかは分からないが待ってやる
そうすると俺へと目を合わせて口を開いた
「この前はせっかく手伝いを了承してくれたのに、比企谷くんの善意を裏切る様な真似をしちゃってごめんなさい」
そう言い地面に着く様な勢いで頭を下げた
違うだろ俺が勝手に期待しただけだろうに
ざっと周りを見渡すが辺りに人の姿はない
今も前も調子の悪さ以上に狂わされている
尾鰭の付く噂が流れる心配はなさそうだな
何故そう真っ直ぐに生きる事が出来るのか
さて一心に頭を下げ続けているがどうする
諦めた俺では一生分からない事なんだろう
正直な所でもう関わる事はないと思ってた
だがその真っ直ぐさは眩しい物なんだろう
だからこそ今ここで終わりにしてしまおう
目を奪われる資格も無いのに立ち止まった
簡単な話だと言うのに出来ないままでいる
それが何故なのかは薄々気付いてるだろう
未だに戸塚に対して期待している俺がいる
未練がましく普通を生きる戸塚を見ている
「別にいい…謝られる様な事じゃない」
「それでも謝りたかったし、伝えたかったんだ。中途半端な事をしてごめんなさい。そして
やっぱり何故だかあいつと重ねてしまった
勝手な理屈で勝手に帰った俺へと謝罪して
踏み込んで来ない点はやりやすくて良いさ
手伝いの礼を笑顔で述べる戸塚が分からん
だがやってる事は
分からないという事は分かり合えない事だ
なのに拒否反応が起きないのは何故なんだ
分り合えない相手にどうするかは知ってる
関わらなければ良いそれで解決するだろう
血は足りてて悪夢は見ていないというのに
口が思考に反逆するかの様に制御出来ない
「俺はお前を許す…………また声を掛けろ」
許すなんてどの口が言っているのだろうか
「……!! うん!!」
満面の笑みの例えになりそうな顔で頷いた
今はテスト前だしそう呼ばれないだろうが
仮に声が掛かったとして腕をどう誤魔化す
この口は何を考えているんだろうな本当に
二週間いや一週間は無いことを祈ってると
戸塚がこの後お詫びをしたいと言ってきた
「ファミレスになっちゃうけど手伝ってくれてたお礼も合わせて奢りたいと思ってて時間があるなら一緒に行ってほしいなぁなんて」
別にいいと言っても戸塚は聞かないだろう
利き腕は使えるから食事は問題なく出来る
このまま行ってしまう方が後腐れもないか
そう決まると近いサイゼへと二人で向かう
あまり混んでなく入店して直ぐ案内された
奢りだからと食い荒らす程落ちぶれて無い
そもそも金に困る様な仕事ではないからな
とは言え身体を戻す為ある程度腹に入れる
ドリアとドリンクバーにすると戸塚に言う
「それだけで良いの?」
奢りなのに?という事かと思ったが違うか
そう言えばそこそこ食うのを知られてるな
俺は身体を鍛えてて必要エネルギーも多い
仕事が入る日は昼から良く食っとくのだが
同じクラスならその姿を見た事あるからか
動いてないし予定も無い日はこんなもんだ
そう伝えると納得したようで店員を呼んだ
自分の分の注文も伝えて改めて向きなおる
「比企谷くんはテストもいつもトップだよね。ぼくは赤点はとらないけど勉強しないと全然だからこの時期は大変でさ。それで……」
話題に困るかとも思ったが戸塚が良く喋る
だから相槌を打ったり意見を言えれば良い
頭を働かせずに話すのもたまには悪くない
「あっ、飲み物がなくなったから取ってくるね。比企谷くんも無いみたいだけどついでに入れてこよっか?」
「いやそれは良い…俺も一緒に行く」
何かを混ぜられる心配は流石にしていない
単純にやってもらう事に対し違和感がある
それ故に断ったが戸塚は少し悲しげになる
だから咄嗟に別の提案をしたが正解の様だ
ドリンクバーまでの道はそんな遠くないし
取られても困る様な物は今は持っていない
仮に置き引きが居てもこの距離なら気付く
まぁそんな事は言えないので貴重品は持つ
そうして二人でドリンクバーへと向かうと
「由比ヶ浜さん、これは何処にお金を入れるのかしら」
「へっ?!えっと、これはお金を払わなくても良いんだよゆきのん!!」
どうにも出会う率が高い気がしてならない
戸塚に二人を引き寄せる効果でもあるのか
そんなあり得ない考えが過る程度に最悪だ
戸塚も俺とあの二人の関係性は知らないが
あまり良い仲で無いことは覚えてたようで
どうするか此方に視線で問いかけてきてる
パッと引き返しても気付かれるのがオチだ
諦めて向かうしか無いと頷いて歩み寄った
「あっ、さいちゃんに比企谷くん。えっと、やっはろー」
「……久しぶりね二人とも」
「由比ヶ浜さんに雪ノ下さん、こんにちは、二人もご飯?」
近寄ったはいいがその後を考えてなかった
どうするか考えていると戸塚が応えている
「先に淹れてる」
何かしていれば話さなくても問題ないだろ
そう思って自分の飲み物をゆっくり淹れる
確かに以前と雰囲気は変わっているかもな
戸塚と二人の会話を耳を向けて拾っておく
向こうはテスト勉強をする為に来たらしい
此方がただ食事に来た事が向こうに伝わり
俺と戸塚の関係修復を知り声が震えている
表情を見ていないので確証はないが罪悪感
他に不安等も声に滲んでるのが読み取れる
「淹れ終わったから先に戻る」
向こうが何を感じていても俺には関係ない
だと言うのにわざわざ理由を口にしている
戸塚に悪いが先に席へと足を進めていると
「あれ?もしかして…お兄ちゃん? お兄ちゃんだ!!」
確かめる様な不安そうな声を此方に掛けて
顔を見て喜色満面の笑みを浮かべ抱き着く
それは俺の実の妹である比企谷小町だった
今日は色々と嫌な巡り合わせがある日だな
占いなんて非科学的な物は信じていないが
今日の俺の運勢は最悪だなと溜息を吐いて
持ってた苦いコーヒーを一気に呑み干した
『24』
小町「お兄ちゃんだ!!」パリーン
店員「コップゥ?!」
まぁ、ドリンクバーで出会うという事は小町ちゃんもドリンクバー目当てで来てるという事で、コップを持ってるのは当然、そしてその状況で駆け寄って抱き着けばコップはこうなります。
もう三が日も過ぎましたがあけましておめでとうございます。私は年末の少し前に盲腸かもと診断され、年末年始は少々痛みに苦しんでおりましたがなんとか生きて書いてますので今年も何卒よろしくお願いします。
そしてやはりボロボロの八幡、それでもやる事は多いしトラブルはお構いなしにやってきます。
戸塚との関係値は回復出来た分、前よりも少しプラスなぐらいかな。雪ノ下と由比ヶ浜はまだまだこれからかなぁ。まだマイナスですね。ただ次回からどうなるかですね。今までは関わりがなかったけど少しずつ関わる機会が増えていきます。
そして最後の最後ですがこの作品で初登場小町ちゃんです。出てきてませんが店内に大志くんも居たりしますが
大志「帰ってこないなぁ」
とドリンクバーから壁で見えない席で一人座って帰りを待っている状況ですね。ちなみに両親の事もあり外でお兄ちゃんの事は話してないので、仮に見えてたら余計に落ち着かなかったかもね。
と言う事で次回から依頼に関する話に入りそうですね。解決までは流石にいかないかな。原作より危険度マシマシになってるのでね。どんな展開になるのかそしてどの様に解決されるのか、お楽しみに。
それではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。