やはり俺が黒の組織に居るのは間違っている。   作:ひよっこ召喚士

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組織関連でない怪我をして三ヶ月経った頃

 

寒川家のお抱え医師から診察を受けていた

 

治療や診察も()()()となると慣れたものだ

 

「あれ程の大怪我を重ねて何故この短期間で回復するのか……医者としては不思議でなりませんよ」

 

診察結果は殆ど完治していると告げられた

 

死にかけた割に治れば呆気なく拍子抜けだ

 

「気を抜いてるかもしれませんが、殆どと言った様にダメージ自体はまだ残っています。()()()()早々無いと思いますが無茶な動きはしない事です」

 

別に気にしないが言葉に棘が刺さっている

 

治りかけで潜水した事を根に持っているな

 

まぁ保証こそ出来ないしする義理もないが

 

何時までも負傷してるのも面倒に違いない

 

「でもたしか八幡くん出かけるんですよね?」

 

寒川の言う通り数日後には出かける予定だ

 

だが仕事との関係は一切ないので問題無い

 

ある意味仕事の皺寄せの結果とは言えるが

 

ただのボランティアへの参加に危険は無い

 

「学業の都合で必要な物を止める権利…いや、私達に比企谷様の行動を決める権利はありません。ですが、少しでも良いのでご自愛ください」

 

分かったと示す様に形だけでも頷いてると

 

携帯端末から連絡を報せる音が鳴り響いた

 

「まさか、またお仕事ですか?」

 

鳴っているのは仕事用じゃないと否定する

 

メールの受取と共に送った人物の確認する

 

そこには"小町"と妹の名前が書かれていた

 

ベルモットの悪戯で無いことに安心しつつ

 

何かあったのではないかと内容を見ていく

 

段々と自分の顔が険しくなったのが分かる

 

普段と違う難しい表情に寒川が訊ねてきた

 

「何か大変な事でもあったのですか?」

 

「いや…前に約束したから会えないかって言う連絡が来ただけだ」

 

そう言うと寒川もこの表情に納得した様だ

 

この二人は俺の予定を大体知ってるからな

 

「確か…八幡くんは休んでた分の皺寄せでボランティアの日以外のお休みは仕事でしたよね?」

 

その通りで今から予定の調整なんて無理だ

 

多少は時間も作れるだろうが確実にバレる

 

組織に小町の存在が、小町に組織の存在が

 

なら会わなければ良いだけの話だと言うが

 

「悩んでると言う事は八幡くんも会いたいんですね。それならボランティアに連れて行ってはどうですか? お相手は小学生のようですし、中学三年なら担当の先生次第では手伝いを認められるのでは?」

 

到底無理な話と一蹴するには可能性が高い

 

ボランティアの担当はよく知っている相手

 

奉仕部の顧問であり生活指導である平塚静

 

ボランティアの紹介の際に連絡先も貰った

 

だが、こんな都合のよい事を頼めるものか

 

一抹の不安を抱きつつ駄目元で番号を押す

 

「はい、平塚です」

 

何回かコール音を聞いてから無事に繋がる

 

番号を渡してないから誰かも分からないか

 

悪戯と思われない様に此方も名前を告げる

 

「休み中にすみません。比企谷です」

 

「おお、比企谷か!! 渡しておいてなんだがお前から電話が掛かってくるとは思わなかったよ。それで何の用かな?」

 

驚いた後に何故か知らんが嬉しげな様子だ

 

此方としては話を切り出し安くて良いか…

 

「あの、もう直ぐ例のボランティアがありますよね」

 

「あぁ、千葉村のだろう? 何か予定でも入ってしまったのか? 足りない出席の代わりになりそうな物は少ないからこれが駄目だと少し調整を考えるのは大変になるが文化祭で何かするか、生徒会関連の手伝いとかが一応考えられるが……」

 

俺を心配し、頼まずとも次の案を提示する

 

この人はなんでそこまでするんだろうか?

 

不思議に思いつつ本題に入ろうと声を遮る

 

「いや、そうではないんです。ボランティアには行けるので当日はお願いします」

 

「それなら良かった。それじゃ電話の用件は一体なんだ?」

 

君は事前に挨拶するタイプじゃないだろう

 

正しいが失礼である認識と共に訊ねられる

 

「そのボランティアに一人同行者を連れてきては駄目でしょうか? 俺の妹で中学三年生なんですが」

 

「ふむ、君の妹か…此方としては少しでも手が増えるなら問題はない。中学三年なら問題なく動けるだろうし、ボランティアとは言え高校の活動に参加するのも良い経験になる」

 

「それなら「だが…」何かまだあるんですか?」

 

お願いしますと続く前に声が間に挟まった

 

先生的に大丈夫でも厳しい可能性もあるか

 

そんな事を考えながら向こうの話を待った

 

「いや、単純に理由を訊いておきたいと思ってね。君がそんな事を頼むのは珍しいどころの話ではないだろう。それに押し付けられたとは言え責任者だからな。参加者について把握しておく必要はあるのだよ」

 

同行自体に問題がないのであれば良かった

 

だが理由か…この場で咄嗟に嘘はつけない

 

後々に発覚するのが目に見えているからな

 

仕方がないのでそのままを語ることにした

 

中身はさておき予定が立て込んでいること

 

妹から会いたいと連絡がさっき届いたこと

 

それでボランティアへの同行が浮かんだと

 

「なるほどな。そういう事なら構わんよ。それにしても比企谷にもそう言った悩みに振り回され、大人に相談しようとする子供らしさが見えてなんとも嬉しい気分だ」

 

俺の事でなんでこの人が嬉しくなるんだが

 

前後の繋がりの見えない発言に頭が痛いが

 

小町との約束が無事に果たせるのなら良い

 

最後に礼だけ伝えて切ろうと思ったその時

 

「忘れてたが総武の学生じゃないから念の為に親御さんからの許可はきちんと取っておく様にしてくれ。それと中学に此方で連絡を入れれば君の妹に内申点を追加できるかもしれんが話をしておこうか?」

 

親御さんねぇ…伝えた所で取らないだろう

 

中学の方も下手に伝わったら面倒になるな

 

「妹に伝えておきます。望んだらお願いしたいですが、それは直ぐに確認した方が良いですか?」

 

「いや、なんならボランティアの日に直接聞くでも問題はないが……」

 

「そうですか、それなら本人に確認してください。それではありがとうございました」

 

「お、おい…」

 

最後に声が聞こえた気もしたが気の所為だ

 

そう言う事にして話を終わったものとして

 

小町にボランティアの事をメールで伝えた

 

参加の意思は喜びに塗れながら返ってきた

 

もう一度返信して俺も改めて準備を整える

 

良い時間になる事を意味も無く祈りながら

 


〜Close〜

 

見守るべき生徒である雪ノ下

 

そして彼女の友人の由比ヶ浜

 

二人の他に同じクラスの戸塚

 

多くの者に彼は影響を与えた

 

学業は優秀の言葉に尽きない

 

学業のみならず運動面でもだ

 

だがやはり生徒らしさのない

 

誰より大人に近く感じる子供

 

そんな者だからこそ気になる

 

「反応があったのは親と中学の話の時だな。それと彼の妹と言うと報告にあった比企谷小町くんだろう」

 

生活指導の立場は伊達でなく

 

隠された動揺も僅かに気付き

 

何かが繋がった様な気がした

 

そして話の内容を振り返ると

 

部活の報告書を机から出した

 

【ファミレスにて当校生徒、『比企谷八幡』の妹、『川崎沙希』の弟と遭遇。その際に『川崎沙希』の最近の生活について『川崎沙希』の弟より相談を受け、状況改善に向けて話し合いを行った。その数日後『川崎沙希』の生活状況が改善、学校での姿も踏まえて依頼者が問題なしと判断し、依頼の取り消しを確認】

 

端的に書かれてる依頼の流れ

 

生徒の生活関係なら相談しろ

 

そう言いたい気持ちもあった

 

だが教師に言えない事もある

 

依頼者や対象への配慮だろう

 

だからこれもマナー違反だが

 

『はい、雪ノ下です』

 

「休みにすまんな。私だ平塚だ」

 

少しでも手掛かりはないかと

 

比企谷の妹と会った雪ノ下に

 

休みで悪いと思うも連絡した

 

学業やボランティアの事など

 

なんてことない話をしてから

 

「一つ訊きたいことがあるんだが良いか?」

 

『訊きたいことですか、それはいったい?』

 

雪ノ下も不思議そうな声色だ

 

此方が本題だと気付いている

 

だからこそ内容を気にしてる

 

「活動報告を見たんだが、君は比企谷の妹にあったそうだね。その時の様子を少し教えてくれないか?」

 

『……幾ら先生でもそれはプライバシー的にだめなのでは?』

 

悩んだのが伝わる間をおいて

 

それとなく断わりを返される

 

だがここで止まってられない

 

そんな予感から食い下がった

 

「これはオフレコでお願いしたいんだが彼と妹もボランティアに参加する。その為の把握だから私の仕事の範囲内だ」

 

大いに詭弁に溢れた言い方だ

 

生徒や仕事を利用するなんて

 

普段は絶対にしたくない事で

 

してはならない事に違いない

 

それでも雪ノ下を言い包めた

 

『そう言う事でしたら、比企谷君とその妹の小町さんについて私が見聞きした様子をお話します』

 

そうして雪ノ下から話を聞き

 

その異様さに流石に驚かされ

 

声を漏らしそうにもなったが

 

平静を装い礼を伝えて切った

 

「親との縁を切っていて、妹とも三年間あっていないとは……出席日数は仕事の関係でだろうが…どんな家庭状況だったんだ? それに家を出ておいて中学は何も把握してないのか? そんな訳がないだろう!!」

 

取り繕った書類に価値はない

 

まだ見えてない事がある筈だ

 

私は再び携帯端末を取り出す

 

「すまない私だ。あぁ、今日は頼みがあって連絡を入れたんだが、少し調べて欲しい事がある」

 

古い知り合いに電話を掛けて

 

直ぐに頼み事について伝える

 

渋られたが必要な事だと言い

 

無理をきいて貰う事が出来た

 

時間が掛かると考えていたが

 

報せは思ってたより早く届き

 

その情報にじっくり目を通す

 

「イジメにネグレクト、『細かく調べずとも簡単に調べられました』か……ふざけるな!!」

 

教師として到底認められない

 

杜撰で適当な中学のやり方に

 

知っても何も出来ない自分に

 

やり場のない怒りを叩きつけ

 

「……とりあえず準備を念入りにしよう。ボランティアで問題の起きない様に……」

 

特大の爆弾である生徒を想い

 

ずっと出来る事を考え続けた

 

彼は生徒で子供で私は教師(大人)

 

ただやるべき事をやるだけだ






『0』


八幡『ボランティアと言う形でなら泊まり込みで千葉村に行けるぞ』
小町『ヒャッホー!!イエーイ!!オラオラオラウラァ!!ウレシー!!コマチイッキマース!!』
八幡「喜びに塗れてやがる……」


とりあえず締め切りを伸ばしに伸ばしてですがようやく投稿できました。続きも書き始めてますので少しだけお待ち下さい。

今回で平塚先生が八幡の過去におけるおかしな事の一端に触れました。少し危ない行動ですが学校関係、いわゆる表における過去なのでセーフです。

現段階では組織や八幡にも気付かれていませんし、直接調べた人も見つかってません。連絡先はコナン側の原作キャラと知り合いの設定にしており、その伝手を使っての今回の行動です。

それではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。
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