やはり俺が黒の組織に居るのは間違っている。   作:ひよっこ召喚士

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腐り目:File.7 Page.1


 

寒川家の別荘にある無駄に立派な医務室

 

俺は医者である一之宮の話を聞いていた

 

その近くに当たり前の様に寒川幸も居る

 

「傷も一見塞がってますが、まだ大きく動かすと開く可能性がありますのでお気を付けください」

 

二回目の診察になってようやくこの域か

 

程々に動けるならば護身程度は問題ない

 

一月目も日常生活は過ごせていたんだが

 

完治までまだ掛かると言うのが煩わしい

 

「一月で日常生活をおくれる様になった際も異常だったんですよ。普通ならば半年以上は掛かると言うのにこれなら後半月もあれば完治しそうですね」

 

「八幡くんが快調な様で私は嬉しいです」

 

呆れながら完治の目処を告げる一之宮と

 

ただただ他人の回復を喜んでみせる寒川

 

協力関係になった以上は切ることはない

 

だが完治すれば居続ける必要はなくなる

 

会話は面倒だがそれ以外は便利だったが

 

安全性を考えればセーフハウスが一番だ

 

そんな事を考えていると電話が鳴り出す

 

「もしもし」

 

『はぁい、フィーヌ』

 

耳元に聞こえてきたのは上司の様な同僚

 

後見的な意味でも組織内の力的にも上だ

 

それ以上に面倒事の予感には頭痛がする

 

「ベルモット…何か用ですか? 経過ならちょうど診察を受けて完治まで後半月と言われた所ですが」

 

経過報告が用件ならこれで終わるのだが

 

残念ながらベルモットの声は途切れない

 

『心配はいらないわ。今回は荒事じゃないから時間に余裕のある貴方に話が回ってきたのよ』

 

逃げ道をしっかり潰されては仕方がない

 

諦めながら荒事以外の仕事を思い浮かべ

 

「荒事じゃないと言うと探りですか?」

 

面倒な事には変わりないとため息を吐く

 

『えぇ、万が一始末の必要があれば別の者を動かす予定だけど、念の為に宇佐門を動かした方が無難よ』

 

当たって嬉しくない予想もあんまりない

 

ベルモットからの助言も余計なお世話だ

 

「言われなくてもそうしますよ」

 

そう返事をすると通話は向こうが切った

 

直ぐにメールが届いたので軽く目を通す

 

「お仕事ですか?」

 

確認してみるとそこまで急ぎでもない

 

だが相手に合わせて動く必要はあるな

 

それに確かにこれは宇佐門向きらしい

 


 

男は届いたメールを覗いて頭を抱えた

 

「面倒な事になりそうですね」

 

カフェ&バー"パロマドラダ"店内にて

 

携帯端末を覗き込んでため息を吐いた

 

そんな彼に唯一のバイトが問い掛ける

 

「宇佐門さん、何かあったの?」

 

出来ることなんて少ないが心配を示す

 

仕事に慣れて口調も段々軽くなったが

 

不安そうな声の雰囲気は少し重ためで

 

言葉の裏から確かな信頼が感じられる

 

そんなバイトの姿に宇佐門は微笑んだ

 

「店関係では無いので安心してください。知り合いに調べ物を頼まれてプライベートの予定が潰れそうなだけですよ」

 

なんてこと無いように伝えてはいるが

 

仕方がなさそうな声色に疲れが見える

 

「店以外でも働いてんの? プライベートまで削って倒れないでよ」

 

「大丈夫、自分の事は自分が一番分かっていますし、プライベートの予定も別の日に移せば良い話ですから、無理はしてませんよ」

 

「えぇ、本当なの? あまりそこいらへんは信用出来ないけど」

 

からかい半分、心配半分と言った所か

 

宇佐門も合わせて笑いながら応えてる

 

「疑り深いですねぇ…今度の休みには航空博物館に遊びに行く予定だって立ててるんですよ」

 

「へぇ、宇佐門さんもそういったものに興味あるんだ」

 

「実は知り合いに誘われてヘリの免許を取ってる最中なんですよ。実物はとうてい買えませんが色々と見て興味を持てばやる気も上がるかと思いましてね」

 

航空身体検査は何も問題なくクリアし

 

座学や飛行経歴に関しても修了済みで

 

既に後は国家試験を受けるだけと言う

 

「それは凄いと思うけど、結局知り合いの勧めで動いてるんじゃ宇佐門さんの純粋な休みではないんじゃ?」

 

難しい資格のあれやこれやは知らない

 

なんとなく凄いんだろうと称賛するが

 

それは休んでないのではと首を傾げた

 

従業員の追求には宇佐門も頭をかいた

 

「手厳しいですね。そうだ沙希ちゃんも良ければ一緒に行きませんか? 代金はもちろん出しますし、弟さんや妹さんが一緒でも構いませんよ」

 

思いがけない提案に川崎はたじろいだ

 

だが直ぐに慌てた様に首を横に振った

 

「えっ?!流石にそれは申し訳ないですよ」

 

「移動は僕の車がありますので交通費も心配しなくて大丈夫ですし、沙希ちゃんが良く話題に出す可愛い弟くんや妹ちゃんにも会ってみたいですしね」

 

川崎の動揺も関係なく話は進んでいき

 

「心配させたお詫びをしたいって沙希ちゃんも言ってたでしょう。近くで買い物や食事もしていけば下の子も十分楽しめると思うよ」

 

追撃を受けて休みの予定は確定となり

 

詳細を詰めてそのまま仕事へと戻った

 


 

軽いリハビリをしながら端末を手にし

 

繋がっている相手から情報を受け取る

 

「情報を掴めたら合図しますので家捜しの人材くらいは寄越してください。宇佐門だけで出来る事には限りがあるんで」

 

一人で出来る事などたかが知れている

 

後詰め用の人員は事前に確保しておく

 

『あれでもそれなりに名が知られているから不用意に動いて駒を減らし過ぎるのは避けたいそうよ』

 

「その為に探らされてる身としては面倒ですが…それに重要度が極めて高いと言う訳ではないんでしょう?」

 

下っ端では難しい仕事なのは確かだが

 

専門でない俺が選ばれる程度だからな

 

「とりあえず先に決まってた予定は変えられないんで宇佐門の航空博物館行きとアクアクリスタル行きは確定で、後はその時の状況次第ですが上手くやりますよ」

 

『それなら良いけど、悠長にしてるとまた急かされるわよ。T()i()m()e() ()i()s() ()m()o()n()e()y() ってね。期待に応えておいて損はないわよ』

 

それだけ告げまた勝手に通話が切れる

 

変に期待される方が面倒だと思うがな

 

それに応えた所で得だってあまり無い

 

情報関係は側近を使って欲しいものだ

 


〜Close〜

 

自ら切った通話先を見通す様に眺めて

 

分かりやすくも扱い難い相手へ溜め息

 

確かに手間は掛かるけど難易度は低い

 

それに対して自身の価値を一番に疑う

 

重用してなければわざわざ回されない

 

No.2からの仕事を何だと思っているの

 

器用貧乏だと自身の事を卑下するけど

 

それ以上に上からの信用度が高いのに

 

「自己評価が低いのも考えものね」

 

何を与えたとしても決して響く事なく

 

自らの闇に沈み込んで溺れ続けている

 

あぁ、私の可愛い可愛い最高の失敗作(フィーヌ)

 

熟成するその時までどうか割られずに







『0』

ベルモット「(側溝から)ハァイ、フィーヌ」
フィーヌ「シルバー・ブレッド撃ち込めってか?」

たぶん、八幡なら容赦なく撃ち込める。

「はぁい、〇〇」と書くことが結構あるけどその度にピエロが頭に浮かぶどうも作者です。チマチマ書いてますがまた結構空きましたが、お久しぶりです。

と言うことで今回から二作目の劇場版、14番目の標的編が始まる訳ですが、まぁ意図的ですが情報は隠し気味で始まってます。

なので仕事の内容、対象は誰なのか、原作との違いは生まれるのか、色々と皆さんも考えながら楽しんで頂けると幸いです。

前回の劇場版の時は一応、総武のイベントの終わりから劇場版へと入っていきましたが、今回は俺ガイル側の要素はかなり少ないかと。

一応時間が空いたので時系列だけおさらいすると、前回のFile6より今回のFile7の方が先に起こっていますので分かりにくいですがあしからず。

今回のClose枠はベルモットですが、まぁ文中にある様に直属の上司みたいな相手なので関わりは多いとだけ言っておきましょう。

今回はまぁコナンよりであり、舞台の裏側、コナンの気付かない場所で組織が動いていると言うのを上手く表現出来れば良いのですが、メインは宇佐門になるので何度も同じ事の繰り返しで申し訳ないですが、考えながらお楽しみください。

蛇足かもしれませんが、幾つかの設定は現在出てきている情報から推測しようと思えば出来ない事はないぐらい物が少しだけありますので、ある仕様に気付ければ今回のFileを読み解くのも簡単になるかと。

今、後書きを書きながら気付いたけど、次のPageで京華ちゃんの初登場になるのかな?まぁ、そこはあんまり重要ではないか…いや、何か組み込むのもありだけど、今回やる事じゃないな。

とりあえず今回のFileは今月中に書ききれたら良いなを目安に頑張りますので気長にお待ちください。

と言うことでグダクダ(後書きに40分かける馬鹿)書いてて長くなりましたが、そろそろいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。
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