やはり俺が黒の組織に居るのは間違っている。 作:ひよっこ召喚士
待ち合わせ場所へ向かうとあの金髪が居る
まぁ、俺が呼んだから居るのが当たり前だ
むしろ居なかったら何かしらしてただろう
「フィーヌ、遅かったですね。そちらが紹介してくれると言う貴方の知り合いですか?」
「……ああ、紹介予定のお前が狙ってる相手とのつなぎ役だよ。それと人の多い場所でその呼び方はやめろ」
街の中でもコードネームとか馬鹿げている
怪しんでくれと公言している様なもんだろ
幾ら周りが騒がしく、此方が小声だとして
用心しておくに越した事はないんだからな
「それじゃ、安室透に合わせて八幡くんと呼ぶ事にするよ」
コイツからそう呼ばれる事に違和感はある
ものすごく腹が立つが仕方ないことだろう
役に一々文句をつけてちゃ劇は成立しない
役者には文句をつけてやりたい気持ちだが
今はそんな事よりも優先するべき事がある
「この人は宇佐門大西さん。普段はカフェ&バーのマスターをしていて、かなりの情報通だ」
「情報通とまで言われると照れるよ。まぁ、色々と調べ物とかを手伝わせて貰ってるけどね。良ければ店に遊びに来てくれると嬉しいかな。よろしくね」
「なるほど、調べ物となるとぼくの仕事と近いですね。ぼくは探偵をしていまして、安室透と言います。こちらこそよろしくお願いします」
バーボンからしたら考える事が多いだろう
宇佐門を含め、意図的に情報を隠している
俺の紹介ということは組織の関係者なのか
だとしたら幹部である自分への態度は変だ
あくまでフィーヌ個人との協力関係なのか
知らないだけで相手も幹部の可能性もある
だとしたらコードネームを隠す意味がない
綺麗な言葉と顔の裏で頭を回してるだろう
中身を知ってると笑わないのが大変だがな
「それでは約束していた
「ありがとうございます。仕事の都合でお会いしたい方でしたので今から楽しみです」
探偵で社長と知り合う必要性とはいったい
この探偵飽和社会ならおかしくないかもな
まぁ、実際には探偵なんてのは関係なくて
組織の仕事であちこち動き回ってる様だが
色々と繋がりを作るために大変なんだろう
「宇佐門さんと初沢さんはどの様なお知り合いなんでしょうか? 宇佐門さんがバーのマスターと言うと…」
「えぇ、予想されてるかもしれませんが、初沢様も僕のバーのお客様の一人ですね。それと一部の商品は初沢様の会社から仕入れさせていただいてますので逆に僕も初沢様のお客様と言えますかね」
紹介する予定の初沢は俺についてる部下だ
俺の膝元である千葉で会社を運営している
それなりの会社なので調べてると思ったが
俺の予想通り声を掛けたら直ぐ食い付いた
「初沢さんと言えば起業家であり、食品関係で手広く事業を進めているやり手の社長として世間で話題ですからね。そこから商品を仕入れている宇佐門さんのバーも気になってしまいますね」
「ははは、機会があったので取引させて頂いてるだけなんですがね。特別、僕に見る目があるなんて事はありませんよ。ただ、お客様が大成されているのは喜ばしいですがね」
何の警戒も無しという訳ではないだろうが
自分で言うのも何だがフィーヌも謎が多い
身元や本名が割れてるが組織での立ち位置
裏での人間関係なんかはかなりぼかしてる
今はなき同期と仕事を共にしたのは僅かだ
付き合い自体は長いからこそ不思議だろう
俺について探るためにも乗るしかない訳だ
「宇佐門さんのバーは紹介制なんですね。先程お誘いして頂きましたが、いきなり訪れてはご迷惑になりませんか?」
「ご迷惑だなんて、自分のやりたい様にやる為にある店ですから。来ていただけない方が悲しくて泣いてしまうかもしれません」
「そう言われたら訪ねない訳にいきませんね。宇佐門さんのやりたい事はとても宇佐門さんに合っている様ですね。ぼくでは太刀打ち出来ません。降参です」
そして乗ったからにはその分は貸しになる
裏の世界で生きてく上で貸し借りは大事だ
踏み倒す様ならその程度の奴だと知れ渡る
いつ、どんな場面で返して貰うか楽しみだ
「宇佐門さんと八幡くんの付き合いは長いんでしょうか?」
「八幡くんはカフェのお客様ですが、彼が中学生の頃からなのでかれこれ四年近くになりますね。八幡くんと言えば、最近では男の人でも甘いものを食べに来る人が多く、正直売り上げは助かってましてね」
「なるほど、ぼくも甘い物は嫌いじゃ無いので初めてはカフェの時間にお邪魔するのも良いかもしれませんね」
紹介するだけなら何も面倒なことはないが
ただ俺の手札を見せるだけでは損しかない
と言うかなるべく繋がりは知られたくない
そこで使えるのが宇佐門大西の名前だった
宇佐門が俺なのを知っている者も少ないが
宇佐門が組織の人間だと知る者すら少ない
正式に言えば宇佐門は組織の所属ではない
だからバーボンも頭を悩ませている訳だな
調べた所で繋がりくらいは見つかるだろう
しかし、明確な証拠が宇佐門にはないのだ
そもそも存在しない人間を探れる訳もない
宇佐門を紹介して、そこから初沢と繋げる
それなら俺と初沢との繋がりもバレにくく
比企谷と宇佐門の関係も割れる理由がない
可能性があるならば裏切られた時だろうが
好かない探り屋より玩具優先と思い込んで
俺はいつも通りの姿勢でいれば良いだろう
「逆にお聞きしたいのですが、安室さんは八幡くんとどの様な関係なのでしょうか? 探偵の守秘義務にあたるものでしたら聞き流して貰えると助かります」
「お恥ずかしい話なんですが探偵業とは無関係でして、仕事が少ない頃は中々食べるのも厳しく、兼業で家庭教師なんかをしていたんですよ。八幡くんはその頃の生徒の一人でして、私も同じくらいの付き合いになりますね」
そこで止まらずに俺はもう一つ恩を売った
バーボンにではなくベルモットに対してだ
ベルモットとバーボンの探り合いは有名だ
何ならバーボンに対する愚痴を聞いている
聞かされるこっちの身にもなって欲しいが
ベルモットは喜んで参加を表明してくれた
「今は探偵業に専念されてると言う事は多くの方から信頼されているのですね。自分も何かあったらぜひ安室さんを頼りにさせて頂きたいですね」
「そんな信頼だなんて、ほくは出来る事をただやってきただけなんですがね。それでも認めて貰えるのは嬉しい事ですからね。ご依頼には全力で当たらせて頂きます」
情報をもとに揺さぶりを掛けるでも良いし
仕事ぶりから次の狙いを潰してやるも良し
気付かれずに探るのを楽しんでいるだろう
ベルモットは意外と義理堅い性格をしてる
玩具である俺相手でもそこらは変わらない
何かあった際に便宜を図ってくれるだろう
それにしてもまぁよく嘘八百並べたてるな
お互いに笑顔で嘘しか話してないんだから
それに俺が話を合わせるの前提の嘘も多い
だけど即興で矛盾がなく詰まらず話すとは
技術だけに限れば素直に感心出来るんだが
腹の底で物を考えてる奴らは心底面倒だな
「あれ、宇佐門さん? それにそっちは比企谷?」
そんな事を考えてると後ろから声が掛かる
俺が仕組んでいた事は他にもあった訳だが
呼ばれた方を向くと水色の髪が揺れている
「あ、連れの人居たんだ。もしかして声掛けたらまずかったですか? ごめんなさい」
総武高校二年生、俺と同じF組所属の女子
浴衣を纏った川崎沙希の姿がそこにあった
『0』
ベル「嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘」
安室「嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘」
八幡「いっそ清々しいな」
ここで登場しますのは水色の髪の乙女。本文で話している通り、八幡が誘導しています。
ずっと花火大会中の出来事で、時間がそんなに進んでないから別視点を挟みにくいな。やるとしても一人くらいしか思いつかないし、たぶんずっと八幡視点でお送りします。
場面変えるのにちょうど良い所で区切っているので今回1Pageが短めですが、まだまだ続くのでお付き合い頂けると幸いです。…見透かす目を除いてもまだ半分いってないくらいです。
それではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。
7/18:初めの八幡のセリフを変更