やはり俺が黒の組織に居るのは間違っている。   作:ひよっこ召喚士

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川崎が祭りに来る様に誘導するのは簡単だ

 

花火大会開催当日までは数日の猶予がある

 

元々不定期だから急な開店も怪しまれない

 

怪我が治ってから呼び出す事もあったしな

 

店で働いてる時にそれとなく話題に出した

 

行きたくなる様にしっかりオマケ付きでな

 

そして誘った経緯について共有も済んでる

 

「姿が見えてつい声掛けちゃいましたけど、もしかしなくてもタイミング悪いですよね?」

 

「そんな事は無いので安心して下さい。まさか広い会場で会えるとは思ってませんでしたが、()()()()()はお役に立っていますか?」

 

川崎の胸元に紐でさげられたカードがある

 

一応だが宇佐門の店も協賛している扱いだ

 

そのパスを見せれば色々と得になっている

 

それを貰っておいて使わない選択肢はない

 

特に金で苦労した経験を持ってる川崎はな

 

「はい、これのおかげでイベント会場のお店とは思えないくらい安く楽しませて貰ってます」

 

「今日は大志君と景華ちゃんはお留守番かな?」

 

姿が見えない時点で分かりきってる事だが

 

全く話題に出さないと違和感があるだろう

 

そこら辺の話題選びは任せきりで問題ない

 

「流石に帰りが遅くなり過ぎちゃうので…お祭り自体はもっと家の近所で行ってたのでお土産買ってくる約束で我慢してくれてます」

 

「そっか、景華ちゃんまだ小さいのに本当に賢くて偉いね。一緒に留守番してる大志君もね」

 

川崎との会話はベルモットに任せておこう

 

その間に面倒だが知りたがりを相手しよう

 

「彼女は宇佐門さんのお知り合いですか? 貴方の名前も呼んでいましたが…」

 

「川崎沙希、宇佐門さんが雇ってるバイトで俺と同じ総武の生徒だ」

 

「と言うことは一般人ですか、なるほど…」

 

そこで微かに目が泳ぐ当たりが怪しいんだ

 

何かに利用できないかと考えるのとは違う

遠ざけようとしておいて未だに中途半端な

俺なんかとは違う何かを護ろうとする目だ

 

とは言え俺の感覚だけで組織は動かせない

 

それこそ尻尾を掴みでもしない限りはだが

 

これから忙しくなる奴に出来る事はないか

 

「所で自然に名前が出てたけど沙希ちゃんと八幡くんは仲が良いのかな?」

 

やりやがったな…この人の悪癖が顔出した

 

「え、いや…少し話した事があるぐらいで、でも大志と比企谷の妹は仲が良いみたいですけど」

 

他人の人間関係に口出して何が楽しいんだ

 

「友達の友達は友達みたいな勘繰りは止めてくれませんか?」

 

「僕のこと友達と思ってくれてるのかい?」

 

()()()()と言ったでしょう」

 

宇佐門に距離が近い奴を揶揄う設定はある

 

だが、これは確実に俺に対してのお遊びだ

 

それを観ていた川崎の小さな笑い声が響く

 

「はは、宇佐門さんと比企谷ってそんなやり取りするんだ。なんか意外かも」

 

そりゃそうだろうな本当なら出来る訳ない

 

する意味だって無いやり取りなんだからな

 

()()()()()()()()()()()()()()からさ。沙希ちゃんも気に掛けてくれると嬉しいよ」

 

心配…今更、何を、どうして、貴女がする

悪意は無い、同情でもない、それはなんだ

本当に要らない、余計な事をやってくれる

 

()()()()()()()()()()西()()()()()()()()()

 

それだけの状況を作れば良いだけの話だろ

そう言う約束だ…あんたは()()()()()()()

そうだろうが、そうじゃないとダメだろう

だから、だから、だから、そんな事はもう

「…止めてください。用があるんだからとっとと行きますよ」

 

返事を待たずに目的地へ足を動かし始める

 

既にこの場所でやる事なんて無いんだから

 


〜Close〜

 

逃げ道なんて何処にもありゃしないガス室

 

何処のどいつが逃がしたのかは知らねぇが

 

鍵が閉まってた以上は手引きした奴が居る

 

あの女と距離の近かったフィーヌは外れた

 

他に幹部の中にめぼしい奴は思いつかねぇ

 

研究班の連中とはお世辞にも仲は良くない

 

蜜蝋で羽ばたいたのか足跡一つ無いとはな

 

上手いこと囚われの迷宮から抜け出したが

 

光に近付いた所でどうなるかは分かるだろ

 

墜落する前に撃ち落としてやるのが情けだ

 

宮野明美の伝手からウォッカに当たらせる

 

鼠狩りも良いが、虫も燻してやらないとな

 

赤く染まってやる義理は何処にもねぇんだ

 

「逃亡者を狩るには手は抜けねぇな」

 

面倒なコアントローしか置かれてなけりゃ

 

オレンジだとしてもアイツはごめんだがな

 


〜Open〜

 

早足で進んでいるが足音は後をつけている

 

なら問題はないだろうと振り返りはしない

 

そのまま有料エリアの方へと向かっていく

 

招待客も含めて金を持ってる奴が居る場所

 

そこでバーボンの目当ての初沢が待ってる

 

俺も直接会うのはかなり久しぶりになるが

 

顔合わせと手土産が終わって余裕があれば

 

()()()についてだけは訊ねておかないとな

 

「ここらは人通りが少ないですね」

 

「有料エリアの利用者は限られますから、協賛者の方々はもう少し先の辺りに…あぁ、見えましたね」

 

区切られたエリアの一角に会社を示すロゴ

 

その中に立っていた男もこちらに気付いた

 

近くに付き従う様に社員らしき姿も見える

 

「ああ、君たち客人が来たので少し外してくれるかな。どうぞ皆さん、此方へお掛けください」

 

事前にやり取りして決めた筋書きはあるが

 

簡単に纏めれば親しい関係なのは宇佐門で

 

俺と初沢は顔見知り止まりと言う事になる

 

宇佐門が保証した俺が保証した安室の紹介

 

言葉に直すとぱっと見へたくそな詐欺だな

 

俺はただの付き添いだと言った方がマシか

 

「比企谷君は久しぶりだね。それで…そちらが宇佐門君が紹介したいと言っている方で合っているだろうか?」

 

「ええ、私立探偵をしている安室さんです」

 

宇佐門が紹介すると一礼し安室が前に出る

 

「ご紹介に与りました安室透と申します」

 

人好きのする笑顔を浮かべて挨拶してるが

 

「黒蓮食品の社長をしている初沢蓮だ。名前通り食品関連事業に幅広く携わっている。話に聞いた優秀な探偵に会えて嬉しいよ」

 

罠と知ったらどんな顔を浮かべるだろうか

 






『4』


更新が少し空きましたが一話が少し短めですみません。ちまちま書いていくのでもうしばらくお待ちください。

読んでくれている方々に多大なる感謝を。
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