やはり俺が黒の組織に居るのは間違っている。   作:ひよっこ召喚士

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初沢(はつさわ)(れん)が優秀な人間である事は間違いない

 

会社のトップに立っている事から分かるが

 

その優秀さが発揮されるのは表の事が多い

 

裏でも最低限の事は出来るが余り目立たず

 

有象無象のネームレス達とそう変わらない

 

ただ、ある時から急に迷う事がなくなった

 

その時から俺に対して忠誠も見せ始めたが

 

目的の為に必要な事を判断し、即座に行う

 

言葉にすればそれだけと思う様な在り方だ

 

怯む事なく、必要な事を()()()()()()()()

 

そう言い直すとその強さが分かりやすいか

 

特筆した能力は無い為に幹部には及ばない

 

それでも部下としてなら一つ頭抜けている

 

時勢を見て判断して舵を取っていく実業家

 

これ程に初沢の能力に合う立場は他にない

 

情報くらいは裏のものを使ってるだろうが

 

それ以外真っ白な会社なのもかなりでかい

 

まぁ範囲は千葉県内と少々小さめになるが

 

裏との繋がりのバレていない表の立ち位置

 

そんなもの幾らでも使いようがあるだろう

 

バーボンも色々と探ろうとしてくる筈だが

 

入り込める範囲にまずい腹は隠れていない

 

だから恩を売る為とはいえこの場が出来た

 

ここまでお膳立てが済めば俺は用済みだろ

 

「それじゃ、俺はこの辺で」

 

裏の内通を知らないバーボンは焦るだろう

 

だが、他の二人はグルな為に止められない

 

最後の成果を得るために有料エリアを進む

 

招待客の枠に入ってるから好きに動けるが

 

こう言った場だと色々と聴こえてくる訳だ

 

取っ掛かりだけでも面白い話があれば良い

 

そこから上手いこと利益を引き出すだけだ

 

普段と違う場だと気が大きくなる奴もいる

 

セクハラなんかはまだ可愛らしいぐらいで

 

明らかに浮気だろうペアもまぁまぁいるな

 

そんなのが世間的にはエリートな立場とは

 

同情する気は全く無いが本当馬鹿げた話だ

 

中には顔を繋げておきたくなる奴もいるが

 

その時はフロント企業の社員としての顔だ

 

比企谷八幡も働いている事にはなっている

 

そうしないと表の生活が破綻する事になる

 

目立つ訳にはいかないから大企業では無い

 

それでも自分自身のネームバリューも使い

 

利用出来る物はとにかく利用させて貰おう

 

企業や有名人との繋がりを幾つも得ていく

 

上手いこと有料エリアを渡り歩いていると

 

何とも見知った顔がある事に()()()気付く

 

向こうとしても会いたい訳ではないだろう

 

だが固まってしまった以上は無視出来ない

 

普通に出来ていれば此方も放っておけたが

 

まぁ、いわゆるトラウマってやつなんだろ

 

俺からしてみればそれぐらいでとも思うが

 

幾ら才があろうと結局はお嬢様ってわけだ

 

中途半端だからこその苦しみに苛まれてる

それを笑うのは俺を嗤うのと変わらないか

ま、顔自体はボランティアでも見掛けたが

 

この人も俺に負けず運に恵まれていないな

だからこそあんな事をしたのかもしれない

「久しぶりですね陽乃さん」

 


〜Close〜

 

基本的に好かれやすい優秀な姿を見せてた

 

それが本当の私かと言われたら分からない

 

それに万人に受ける聖人とは根っこが違う

 

他人からイヤな奴に見られる事も全然ある

 

それを自覚した上で好き勝手したのも私だ

 

まぁ、色々と諦めてたってのも大きいかな

 

薄っぺらい嘘に気付けない馬鹿な人を見て

 

それ以上に空っぽな笑みで楽しいフリして

 

それでも高校時代は少しは楽しかったかな

 

この言葉も本当か嘘か私にも分からないね

 

遊んでられる最後の機会だと思ってたから

 

凡庸な頭で描ける想像以上に好き勝手した

 

はっきり言えばかなり調子に乗っていてね

 

本当に自分の馬鹿さ加減に呆れちゃったよ

 

何でも一人で何とかなるって思い込んでて

 

絶対に突ついちゃいけない藪に入り込んだ

 

始まりはとある人から怪しさを感じた事で

 

家のパーティの出席者にしては見覚えなく

 

何か情報を掴めば利用出来るかもしれない

 

そんな浅はかな考えからそっと後をつけて

 

背中に衝撃が走って私は意識を失っていた

 

スタンガンでも喰らわせられたんだろうね

 

目が覚めたら腕も脚も縛られて転がってた

 

怪しい男は一人でなく仲間も合わせて五人

 

しかも拳銃やナイフ等の武器を持っていた

 

あーあ、私の人生はここで終わりかなんて

 

達観出来れば少しは様にもなったんだけど

 

騒ぐ事は無くてもただただ恐怖に震えてた

 

お母さんや雪乃ちゃんの名前を零しながら

 

何も出来ない小娘と言われても仕方がない

 

そんな状態に陥ってようやく自分を見れた

 

そこから助かったら反省して更生していく

 

物語ならそんなハッピーエンド未満だけど

 

中途半端に賢い頭に浮かぶのは最悪ばかり

 

これからこの身に降り注ぐであろう結末に

 

ポロポロと子供のように涙をこぼしていた

 

救われる様な人間じゃないのは自覚してる

 

そんな私の前に現れたのは目の前の悪人も

 

霞んで見えなくなってしまう様な黒を纏う

 

社会の闇よりも深い所に巣食う悪魔だった

 

パーティ会場から少し離れたホテルの一室

 

学校の屋上よりは高い階だったと思うけど

 

突然の停電とほぼ同時に窓硝子を突き破り

 

彼は私と彼らが居た部屋へと侵入してきた

 

暗がりの中で何が起こってるのか見えない

 

身体を満足に動かせず音だけを拾っている

 

そんな状況でも一つの事は確かに分かった

 

私を縛った彼らの命が容易く失われた事が

 

怒声を上げ、悲鳴を上げる前に訪れた静寂

 

私にも少しは運が残ってたいたんだろうね

 

それを直接目にしていたらどうなってたか

 

いま以上に精神がやられて狂ってたかもね

 

彼らは県内の有力者を貶める為に動いてて

 

本当は会場全体に被害を出すつもりらしく

 

当然だけど私の存在自体想定外の出来事だ

 

それは彼らを始末した彼にとってもその筈

 

居てはいけない現場を見てしまった一般人

 

その存在を認識して近付く彼と目があった

 

それだけで私はより明確に知るべきでない

 

この世界の闇と言える物に触れてしまった

 

成長期における三年の差は大きい筈だった

 

男女の差を考えても本来障害にもならない

 

三歳も下の男の子に恐怖を植え付けられた

 

あれはとにかく私の中でトラウマになった

 

嘘も本当も関係なく、ただ格の差を感じて

 

自分が下であると言う事を思い知らされた

 

相手が変わるだけできっと死ぬと思ってた

 

恐怖は過ぎ去って一周回って覚悟が出来た

 

そんな壊れちゃった私に言い渡されたのは

 

見聞きした全てに対する口止めだけだった

 

脅されずとも絶対に話す気は起きないけど

 

どうして私が生かされたのかは分からない

 

理由を聞く気も考える気にもならなかった

 

ただ何処にあるのか分からない龍の尻尾を

 

誤って踏み付けぬ様に身の振り方は変えた

 

お父さんや雪乃ちゃんにはバレてないけど

 

きっとお母さんは薄々気付いてるだろうな

 

偽りだらけでも確かにあった牙が抜け落ち

 

ボロボロの仮面に縋る事しか出来ない私に

 

中身の無い張りぼてと成った雪ノ下陽乃に

 

ははっ、これじゃ雪乃ちゃんを笑えないや

 

だって今だって彼を前に震えが止まらない

 

ねぇ、なんで私はこうなっちゃったのかな

 

君なら教えてくれるのかな比企谷八幡(私のトラウマ)くん

 


〜Open〜

 

「久しぶりだね比企谷くん」

 

何処までも、身体の芯まで恐怖に染まって

 

それでいながら体裁を整えていられるのは

 

今まで生きてきたと言う意地の様なものか

 

周りへは隠しているが俺には分かりやすい

 

負の感情、その視線がただただ通り抜ける

 

俺を通して理解してしまった暗い暗い闇に

 

自身では理解しきれない黒い世界の存在に

 

確かめる事も出来ないが故に怯えてしまう

 

だからこそ目に見える俺にその恐怖が向く

 

彼女にとって俺は本当のトラウマ(力の及ばない世界)の象徴だ

 

結果的に救けられた事も踏まえてもこれだ

 

しっかりと根を張って雁字搦めの状態では

 

黒に近い雰囲気を纏う社会の上澄みの中で

 

生きていく事はもう彼女は出来ないだろう

 

そう思うとこの場に立ち続けている事実も

 

彼女の事情を知り得る者なら賞賛する筈だ

 

祭りの空気に助けられつつ独りで立ってる

 

もしかしたら分かった上でやってるのか?

 

いや、関係無い他所の事情に何をしてんだ

 

イライラし過ぎてろくに頭が回ってねぇな

 

まぁ良い、周りにそれらしい目は無い様だ

 

「家の仕事ですか、大変ですね」

 

思ってもない訳では無いがどの口が言うか

 

「まぁ、そうだね…でもやらないといけないもんだからさ仕方がないよね」

 

リハビリ…いや試験だろうか、容赦がない

 

果たして合格で無ければ彼女はどうなるか

 

そして不合格の影響は何処まで及ぶかだな

 

取り繕った笑みが寒々しくて笑えやしない

 

仮面すら使えなくなった道化は見てられん

 

「まぁ、俺に出来る事は無いでしょうから、勝手ですが応援だけしておきますよ。それじゃまた機会があったら」

 

「うん、ありがとね。また会えたら、ね…」

 

その表情が何を思ってなのかは分からない

 

ただ、目の前から消えるだけでも良いだろ

 

それだけであの人の負担は減る筈だからな

 

試験だとしたら及第点は今まで通りだろう

 

それを下回る様だったら落第では済まない

 

ならば成果の一つでも出せたならば合格か

 

そんな単純な話なら苦労はしないだろうが

 

「雪ノ下のお嬢さんとお知り合いでしたか?」

 

「何でここにいるんだ…話し合いは終わったのか?」

 

気配に気付いてはいたが何をしているんだ

 

バーボンとベルモットはどうしたんだ初沢

 

そんな風な意味を持たせて視線を投げると

 

「離れるタイミングがありましたので宇佐門くんに場をお願いしてきました」

 

バーボンの足止めはベルモットがしてるか

 

話し合いの内容は後で幾らでも確認出来る

 

だが、顔を見ながら確認したい事があった

 

だからある意味ちょうど良いタイミングだ

 

「五月の事は覚えてるか?」

 

「えぇ、あの事件の事でしたらしっかりと記憶しています」

 

今年の五月、森谷帝二が起こしたあの事件

 

運悪く俺が大怪我をする羽目になった日だ

 

犯人である森谷帝二が何故か撃ち殺された

 

俺の面子を潰した奴が処分されたって訳だ

 

別に狙われた訳じゃ無ければどうでも良い

 

小町が巻き込まれたりしたら話は別だがな

 

「対処の早さが異常だった」

 

「あの時に正確な情報を得ているとしたらうちくらいのもんでしょうね」

 

あの時のアレは確実に俺の分の報復だった

 

頼む暇も余裕もない状態で勝手にやられた

 

そして誰がやったのか未だに判明してない

 

疑うとすれば部下の中ではお前が一番だろ

 

「一応聞いておくけどあんたじゃ無いんだよな?」

 

少しこの場には合わない話し方になったが

 

周りの喧騒なら聞き取られやしないだろう

 

「えぇ、私が貴方の仕事に直接手を出す事はありません。私は私の不出来さを自覚してますので」

 

表情を、視線を、脈拍さえ捉える気持ちで

 

情報を逃さない様に目を合わせて数秒経つ

 

だが、俺の感覚でも怪しさは見つからない

 

ならばコイツは白で置いても間違いないか

 

「それは私も探った方が良い事でしょうか?」

 

「いや、気になってるだけで害はない。他の事を優先で良いだろ」

 

下手に動かして失う事になれば正直痛手だ

 

今は普通に会社経営に集中させとけば良い

 

ホームでの影響力はあればあるだけ役立つ

 

「可能ならもう少し手を広げても良い頃合いじゃないか?」

 

無理する事はないがやっときたい事がある

 

その為にも少し目と根は広くして困らない

 

「動かす必要がある訳ですね…指示を頂ければ可能な限り」

 

絡め取る罠にも、逃さない包囲網としても

 

より強固な物に変えて備えるべき時だろう

 

幸いと言ったら何だが旭が死んだのも良い

 

あの影響で幾つか関わりのある店が潰れた

 

食品関係からなら手を出しやすい位置だろ

 

系列店や提供店は既に関東圏内に複数ある

 

全体的に広げながら千葉内の密度を高める

 

その為の土地の確保も並行してやっていく

 

全部が全部、裏で使うって訳じゃないんだ

 

一部を除いては表の企業に依頼しても良い

 

「ちょうど雪ノ下建設の関係者が居るんだ。後でそれとなく話くらい持っていったらどうだ」

 

そこから関係を繋げるなら悪くもないだろ

 

ただ、今だとバーボンが少し面倒だろうが

 

そこは初沢の采配でやらせとけば問題ない

 

「それでは、その件も踏まえると余り時間もありませんのでこの辺で失礼します」

 

純粋な利益としても成功すれば大きくなる

 

楽する為に成果を出していたってのになぁ

 

色々と忙しく成りそうで面倒で仕方がない

 

「とりあえずは抗争……いや殲滅か…」

 

地盤を念入りに固めてからが本当の勝負だ

 

それまでは別の意味で眠れなくなりそうだ

 

ため息を吐き、もう良いと有料席を離れる

 

今日だけで必要なタスクを熟したのも含め

 

成果は十分過ぎるほど集まっているからな

 

後は残りの休みの間に纏めれられるだろう

 

余裕が出来た分だけ本当に休むのもありか

 

そんな事を考えながら祭りの群れを眺める

 

その行動が良くなかったのか視線が合った

 

お互いを目で捉えて認識してしまった訳だ

 

はぁ、今日はこう言うのばっかで嫌になる

 

無視しても良かったが残業だと考えておく

 

今後の面倒を減らす為だと思って口を開く

 

「お前も祭りに来てたのか…」

 

声が相手に届き何とも言えない笑みが返る

 

この祭りの日はまだ終わってくれない様だ






『2』


八幡「貴方は深い闇に繋がる濁った目を見せた。目を見てしまった人はSAN値チェックです」
留美「SAN値チェック失敗、アイデアロール失敗、気絶」
陽乃「SAN値チェック失敗、アイデアロール成功、激しい恐怖症」

賢すぎたが故に不定の狂気にまで入った陽乃さんと、初手は気絶で済んだけど、起きてから何故か狂信まで入ったルミルミ。

と言う訳で少しばかり遅くなりましたが、更新させて頂きました。いや、暑いし、忙しいし、まだ届いてないけどSwitch2当たったし、コロナになったしと中々に幸せと不幸せの温度差が激しい日々を送っております。気温は常に高いんですけどねぇ人生はそうもいきませんねなんて詰まらない話をしちゃいまして。

怪我をして任務出来なかった分を取り戻して、次の期間の分のノルマも達成して、自分のホームの影響力も高めて、他の幹部に貸しも作って、いったん働き過ぎじゃないか八幡。

黒の組織に入ろうと結局は社畜と化すのが八幡クオリティ、後で自分が楽をする為だとか、理由を付けてそうなのも何処か八幡っぽい。いや、そもそも自分から動き回ってる時点で微妙にズレてるか?

まぁ、何はともあれやる事は全部片付いて、色々と次へと繋げる為の仕込みも済んで、最後の最後に青春パートと言っても良いのかな?

八幡が誰かと出会って、会話をするのか、祭りを回るのか、それとも殺伐としてしまうのか、行動次第で八幡の方のSAN値に影響がありそうなパートです。

祭りの間に既に出会ってる人は除外になりますので、ルミルミ、小町、ベルモット、川崎、陽乃は残念ながら予選敗退ですね。

正直シーンとしては誰でも良いから本当にTRPGみたいにダイスで決めても良いかもね。除外される人を除いた択の中であれば誰でも良いから、私の贔屓を出さない為にもアリだな。

何処まで入れるかだなぁオリキャラ無しとコナン側も場所的に無理かな。雪ノ下、由比ヶ浜、平塚、一色、折本…広げられるだけ広げてもこれが現時点での択の限界かな……(戸塚?……いや無しと言うか、今回は女性陣で、はい)

アンケート…いや、アンケートは面倒だからしない。喧嘩のもとになるし、書きたいものがブレる。

ダイスでぱぱっと決めちゃいましょう。誰になったかは次の投稿をお楽しみにと言う事で、ダイスの女神に微笑まれたヒロインの話を書いて、その次に見透かす目を書いたらFile8が終わります。

その次が何かと絡めるか、それともオリジナルに近い何かになるかは分かりませんがもう少し俺ガイル側が続くと思う。途中途中で全く繋がりなくて良いならコナン側も入れても良いけど、一方その頃あちらではみたいな感じになるのは確かかな。

正直その方が更新頻度的には良くなりそうだよな。いやでも、何か賛否両論ありそうだなぁ…話に集中したい派とそれぞれ気になる派とダークライ。

まぁ、とりあえずは目の前のFile8を終わらせるとしましょうかね。何か前回が語ること及び語れる事が少なかったせいか、後書きが長くなっちゃった。そろそろいつものに参りましょう。

それではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。
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