やはり俺が黒の組織に居るのは間違っている。   作:ひよっこ召喚士

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「お前も祭りに来てたのか…()()

 

そこには目をパチクリさせてる後輩の姿が

 

だが素早く思考を回したのか表情が変わる

 

分かりやすく目的の見え透いた笑みが映る

 

「それは私のセリフですよ〜まさかこんな所で会えるなんて思っても見ませんでした」

 

笑みより後の感情はまったく読み取れない

 

こちらに取り入ろうとしているのだろうが

 

なんとも言えない気味の悪さが胸に痞える

 

「お前は一人か?」

 

打算に満ちた人付き合いをする様な奴だが

 

自分の利にならない我慢もしないタイプだ

 

こいつにとって何が利か分からない以上は

 

個人で動くか集団で動くかも予想がつかん

 

「実はそうなんですよ〜友達にドタキャンされまして…あっ! もちろん女友達なんですけど…ちょうど淋しく思ってた所に先輩と会えるなんて私うれしいです」

 

もちろんの意味は分からんが嘘ではないな

 

と言うことは個人で動いているのは確定か

 

それなら人に囲まれる心配はしなくて良い

 

「ところで、お前()って事は先輩は誰かと一緒にいらしているんですか?」

 

面倒な対人関係より打算的な方が扱い易い

 

楽な分だけ気を抜いてしまっているんだろ

 

「いや、他に複数人で来てる奴を見かけたから気になっただけだ」

 

とりあえず答えるしか無いので返答を返す

 

リハビリは出来てるつもりだったんだがな

 

「それならご一緒させてもらっても良いですか? 私一人で歩いてると声を掛けられる事もあって少し不安で…」

 

楽しみにしてんたんですがと言葉を続けて

 

悲しげで不安そうな顔つきで見つめてくる

 

それを見て上手いなとほんの少し感嘆した

 

言葉に打算は見られるのに嘘では無かった

 

本当にある少しの不安を全面に出してきた

 

嘘まみれのバーボンよりも芸術的と言える

 

取り入ろうとしているのは変わらないのに

 

何処か不思議だが自然と評価してしまった

 

何故かを考えても直ぐには分からなかった

 

だが、その答えは単純と言えば単純なもの

 

こいつは俺に出来ない事が出来ているのだ

人に好かれようと考え、努力して行動する

俺には出来なかった…いや今後も出来ない

 

自ら行う姿すら想像出来ない事だと()()()

 

だからか絶対的に面倒なのは分かっていて

 

「遅くまでは付き合えないからな」

 

そんな言葉を一色に向けて投げ掛けていた

 

「えっ? いや、はい!! それで全然構いませんよ。こっちが頼んでる側なんですから」

 

俺が了承するとは思ってなかったんだろう

 

少し呆けてから慌てて返事をして落ち着く

 

そんな一連の流れをそのまま眺めていると

 

「その…先輩と回れて嬉しいです。ありがとうございます」

 

なんとも言えない痞えが再発した気がした

 

だけど言い表せない気味の悪さは無かった

 


〜Close〜

 

先輩の事は噂が絶えないので知ってました

 

だけど私が惹かれる事はありませんでした

 

全国的に名前を知られる有名人と言う箔で

 

なんでだろうと自分で不思議に思いながら

 

自身の感覚に任せて葉山先輩に目を付けた

 

総合的に見ればトップの位置に居る人です

 

周りに集まっている人の数も桁違いですが

 

それなりの立ち位置に辿り着けた頃でした

 

避けてはいませんが意図せず出会ったのが

 

助っ人としてサッカー部を訪れた先輩です

 

距離感を測る為にと初めは観察に留めつつ

 

先輩のプレイをじっと目で追ってましたが

 

何から何まで異常とすら言える内容でした

 

本人の力量は勿論、周りへの指示も熟して

 

助っ人に来た全ての試合を勝利へと導いて

 

それを当たり前とすら先輩は思ってました

 

その頃は同じ人間かと疑ってしまうほどで

 

凄いとはしゃぐ隣人を他所に恐怖を感じた

 

それは乙女の勘なんて可愛いものではなく

 

野生の勘とでも言うべきものが私に忠告し

 

惹かれる事が無かったのだと理解しました

 

それからも見掛ける際は行動を起こさずに

 

最低限の接触だけで済ます様に動きました

 

伝達事項や軽い挨拶程度は出来ていました

 

けれどある意味特別な対応は変わりません

 

代わり映えも手応えもしないままに過ごし

 

いつもの様に葉山先輩に話し掛けた時です

 

葉山先輩から比企谷先輩が感じられました

 

正直その感じたものは比べものにならない

 

ですが葉山先輩に明確な変化がありました

 

表面上は変わりませんが雰囲気が違います

 

だからこそ先輩もある意味同類と気付いた

 

綻びが無ければ気付け無かったでしょうし

 

少しでも話し掛けるのが遅かったとしたら

 

私も変化に気付け無かったかもしれません

 

それからは自分の動き方に少し悩みました

 

意味がない事を続けても仕方ないのですが

 

先輩の近くに居るだけでも影響はあります

 

なので基本的な過ごし方は変えないままで

 

敵を作り過ぎない動きへとシフトしました

 

そのおかげかやっかみは少しうざいですが

 

女子特有の面倒な攻撃までされてませんし

 

あの女王様からの視線も和らぎましたから

 

後は新しい候補を探しながら悠々と過ごす

 

それだけで高校生活は乗り切れそうでした

 

でも先輩が変わったのを見て惹かれました

 

葉山隼人と言う先輩の在り方を変えた先輩

 

話題性と実力においてトップにいる先輩に

 

比企谷八幡と言う謎も多い先輩に惹かれた

 

私の精神に対して少なく無い影響を与えた

 

まさしく劇毒とでも言い表せる存在でした

 

それから先輩のセーフラインを探りながら

 

少しずつ接触する機会を増やし始めました

 

先輩はきっと私の行動の裏も分かってます

 

でも大抵の行動は許容されると知りました

 

人付き合いの少ない先輩の在り方からして

 

敵対しない限りは無関心に近いのでしょう

 

それを利用して面倒に思われる距離に立ち

 

少しでも印象を残すところから始めました

 

名前だけでも覚えて下さいと言う奴ですね

 

それぐらい先輩に対して執着していました

 

もしかしたら自分も変われるのではないか

 

そんな勝手な欲望に根っこを浸しながらも

 

話す内に先輩自身にも惹かれていきました

 

私は()()()()()()先輩に付き纏う後輩です

 

それぐらいの立ち位置がある意味正解です

 

これでも人付き合いは上手い方ですからね

 

先輩に見てもらうのならこれで良いんです

 

演じるキャラも、心の底にある欲望だって

 

先輩の前では見透かされてる気がしますが

 

それは私自身を見てるのと同義ですからね

 

こんないじらしくて可愛らしい後輩の事を

 

しっかりと最後まで見ててくださいね先輩

 


 

面倒な事にならない様に進路は誘導しつつ

 

人が多く喧騒に包まれた会場を練り歩いた

 

「先輩は何か気になるものとかありますか?」

 

そんな事を言われるが気を引く物はないな

 

小町と留美に引っ張られる形で殆ど回った

 

その分の見新しさがないのは仕方がないが

 

それを差し置いても特別祭りに想いもない

 

しいて言うならば色々あって疲れたからな

 

なんでも良いから口に入れておく方が良い

 

だがアイツラと接触した後は色々と不穏だ

 

持ち運び易くて毒物の心配がいらないのは

 

「そこのクレープ屋ぐらいか?」

 

注文を受けてから目の前で作るタイプの店

 

材料に仕込まれない限りは見抜けるだろう

 

「わぁ、良いですね」

 

少し人が並んでいるが混んでる訳でもない

 

人目に触れる機会もあまり増えないだろう

 

俺の提案に乗り気な一色と共に列に並んだ

 

「私はベリー系のにしちゃいます。先輩は何にするんですか?」

 

「…バナナだな」

 

クレープ屋でまず見ない事はないメニュー

 

それならば万が一にもハズレは無いだろう

 

予想通りそれほど待たずに前の客は捌けた

 

それぞれが頼んだ物も注文して直ぐに出た

 

「美味しいですね」

 

「あぁ…」

 

甘味だけわざわざ買うなんて普段はしない

 

あまり慣れない味だが糖分補給にはなるか

 

最悪捨てれば良いが手が塞がるのは不味い

 

黙々と食べ進めていると直ぐに食べ終わる

 

そんなにサイズも大きなものでは無かった

 

とは言え隣の一色はまだ半分も進んでない

 

「先輩食べるの早いですね」

 

感嘆の声を吐きしみじみ俺の方を見ている

 

その視線は手元のクレープにも向かってる

 

そして何かを迷う素振りをしてかぶりつく

 

「ベリーも美味しいですよ」

 

なんて食べている物の感想を言って笑った

 

なんなんだと思いながらも短く相槌を返す

 

周囲の警戒をしていて直ぐに気が付いたが

 

目玉である花火がもう終わりに差し掛かり

 

最後を飾るように次々と夜闇に打ち上がる

 

その彩りで侘び寂びを感じる事もなければ

 

きゃあきゃあはしゃぐような立場でもない

 

発砲音を誤魔化せそうだなんて感想が湧く

 

そんな奴の横で澄ました顔を装いながらも

 

視線を釘付けにしたまま声を零して笑って

 

「キレイですね先輩」

 

なんて子供の様に嬉しそうにしている一色

 

あぁ、何処まで普通なんだろうかコイツは

 

裏がある、狙いがある、嘘と本当が混じる

 

だからこそ当たり前な姿をキレイに感じた

 

「あぁ、そうだな」






『1』


一色「葉山先輩から
   比企谷先輩が
   感じられました」
海老名「えっ!?」
三浦「はいはい、落ち着いて帰っといで」

果たして八幡が感じていた痞えは相手のどの感情に対してなのか、そこが問題ですね。

八幡側からの何かは無いが、向こう側が勝手に脳を焼かれてる状況……よく考えなくても怖いのかも?

とまぁ少し内容に触れたあたりでお久しぶりです。だいぶ更新が空いてしまいましたがいかがお過ごしでしょうか?

他の作品を書き始めたのに加えて11月の初めにインフルに掛かって色々と回らなくなり、年末まできてしまいました。

そこいらへんは活動報告をみてくれている方はご存知ですかね。久々に40度近い熱が出ましたよ。皆さんも体調にはお気をつけください。

一度病気になると全部が止まってしまうので、どうしても趣味の再開は遅れてしまうのですが、それを踏まえても遅くなりました。(新しい趣味でAI作曲を始めてそれで半月潰したのは内緒、12月入ってからはM次元ラッシュが楽しかったのも内緒)

正直書くのも難しかったですけどね。自分で候補あげて、勝手にダイスを振ったのでそれを理由にするのはえらく格好悪いのは承知の上で、思ってたより書き出しから悩んだ。

何か特徴的な接触があれば関係性の変化や心情の吐露なんかを含められますが、この2人直接的な関わりは実は少ない。

この小説における一色の設定は特に変わってない。この八幡相手ならこうなるかなで組み上げたけど、途中の視点はなんか濃くは感じますね。

上に続く形で30分くらい書いてた後書きがあったけど、語り過ぎになっちゃったので自分の執筆用のメモにコピペしてから消しました。

一色いろはさんの視点は今回の話を書く上での前提条件として入れただけなのでね。他の人ほど特別な意味はなかったりする。ある意味それが珍しいけど。

更に蛇足にならない内に挨拶にいきます。
それではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。

追記:この後6時にもう一話投稿されます。
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