星空?なにそれおいしいの?   作:たこ焼き王国

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お待たせしました。


第二話 神様アラワル

 「………っっ、ん?」

 

 目を覚ますと俺はなぜか黒くて固く冷たい石の上にいた。

 

 あたりを見回すと、どこまでも黒い空間が広がっていた。

 

 “暗い”空間ではなく“黒い”空間だった。

 

 なんせ、頭の上では月が煌々と照っているから決して暗い空間ではない。

 

 少しは暗いが。

 

 それでも光源があるのなら少しは表面が白んでもよいはずであるが、下の石は月に照らされてなお黒かった。

 

 そこで俺は、高校の授業で習ったことを思い出した。

 

 エネルギーの放射を受けた物体は、エネルギーの流れを反射・吸収・透過のいずれかをする。

 

 そこで、すべてのエネルギーを反射する素材を白体(はくたい)という。

 

 反対に、すべてのエネルギーを吸収する素材を黒体(こくたい)という。

 

 しかし、この白体・黒体は厳密な意味で同じ物体は地球上には存在していない。

 

 だとすると、この空間が黒いと思える理由は、ここが黒体に相当する物質でできていると考えることができる。

 

 そういう点から俺は、この空間が地球以外の場所であると推測した。

 

 なぜ俺が異空間だと認識できるのかと問われればそういう関連の小説をよくよんでいたからで、いつか自分の身にも起こらないかと思っていた。

 

 所詮は夢物語だと検討をつけていたが。

 

 しかし、異空間だとわかっても事態は、一行に進まない。

 

 そのとき耳にイヤホンでもつけているかのような鮮明な音が聞こえてきた。

 

 それも人の女性の声だった。

 

  「こちらへ、来なさい」

 

 たったその一言だけだった。

 

 だが、こちらとはどこだろうか。

 

 そう思った瞬間、まるで心でも読まれていたかのように疑問の答えが返された。

 

  「光を灯すから、こちらへ」

 

 その声のしたあと俺の見ている方向にぼんやりとだが光がうまれた。

 

 普通なら本当に従って大丈夫かと疑うものと数瞬思ったが、このままここに突っ立っていても仕方がないと割り切り光の灯る方向へと歩き始めた。

 

-------------

 

 歩いてみればそこまで距離は無かった。

 

 着いた、と思ったのは光のある場所の周辺だけが淡い燐光を放っていた。

 

 (いな)、少しだけ反射していたのだ、地球の満月の夜のように。

 

 その時、フッと光が消えた。

 

 あとに残ったのは、また暗闇に戻った空間と、"一人の女性"だった。

 

 その女性は、体に見覚えのある、だが現実では見るはずのない『セレシアのはごろも』に似通った衣服を身に着けていた。

 

 さらにその衣服…いや、体全体から直視出来ないほどではないが光を放っていた。

 

 なんというか神々しいオーラを感じる。

 

 だが、髪色は青色で黒い瞳をしていた。

 

 身長は166cmちょいの俺よりもだいぶ小さく、小学生くらいだ。

 

 なんてことを思いながら目の前に突如現れた女性改め少女は口を開いた。

 

  「ここは、はざっ!?」

 

 が、唐突に喋られたため俺が驚いて素っ頓狂な声をあげてしまい少女は言葉を止めてしまった。

 

 少女と俺との間に微妙な間が空く。

 

 まぁ、会話?を止めてしまったのは俺なのだし、ここは俺から声をかけるべきなのだろう。

 

  「さっき、はごめん。ここはいったいどこなのかな?」

 

 俺は相手が少女という認識で話しかけてしまった。

 

 それもそのはず。

 

 会話を区切られたときから少女から後光といわんばかりに光やオーラがはなたれていたのだが、今はなりを潜めてしまっているからだ。

 

 その少女は現在うつむきがちに何事かをぶつぶつとつぶやいている。

 

 耳をすませてみると。

 

  「ここ・・・、は・・ま。こ・は、・・ま・・・」

 

 同じ言葉を列挙しているように聞こえた。

 

 そこで俺はもう一度彼女に質問することにした。

 

  「ここは、どこ?」

 

 そのことばを境に彼女は再起動を果たした。

 

  「ここは、ハザマ。」

 

  「はざま?」

 

  「そう、そしてこの場所はわたしの領地(ベイルラ)。」

 

 ここの名前がついにはっきりとした。

 

 『はざま』というらしい。

 

 小説とかでよくみるあたりだと世界と世界の境界の間のことだろう。

 

 すなわち狭間(はざま)だ。

 

 しかし、まだまだ彼女には聞かねばならないことが、たくさんある。

 

 なにせ彼女はこの場所の第一村人だからだ。

 

  「俺から聞きたいことがいっぱいあるんだが、いいかい?」

 

 その投げかけに彼女は、うなずくことで了解の意を示してくれた。

 

  「場所の名前はわかった。ここは地球のどこかなのか?」

 

  「いいえ、ここは『宇宙』という世界とわたしの治める『カラク』との間にある空間」

 

 やはりそうだったか。

 

 しかし、『宇宙』ってのは俺が住んでた世界ってことでいいんだよな。

 

  「『宇宙』っていうのは俺がいたところでいいんだよな?」

 

  「はい。間違いないです。」

 

 いちおう確かめてみたがやはりあっていた。

 

 となると次に気になるのは、彼女の名前は・・・後回しでいいか。

 

 なぜここに俺が呼ばれた、あるいは移動させられたかである。

 

  「なんで俺はこの空間に移動させられたんだ?」

 

  「ええ、実はわたしの世界では現在、人間が平和に暮らしています。」

 

  「ん?ちょっと待て。」

 

  「はい?」

 

  「今、『わたしの世界』っていったよな。」

 

  「はい、それが何か?」

 

  「まさか君、神様かなんかか?」

 

  「ええ、創造神の端くれですが。いちおう」

 

 まぁ、やっぱりな。

 

 こういうことは覚悟してたよ。

 

 しっかし、まさか神様がこんなに小さいとは。

 

 最初に見たときにまさかとは思ったが、本物だったとは。

 

 ふつう神様あいてとかだと敬語で話さなければならないとおもっているので、機嫌をそこねでもして罰をあたえられたりしたらとんでもない。

 

 ただ、その神様が少女ということもあり頭からぬけていた。

 

 神様告白をうけた後たっぷり一分間くらいはかたまっていたが、まぁ彼女が怒ったそぶりをみせないのでいいだろうと、忘れることにした。

 

  「話の腰を折ってすまなかった。続けてくれ。」

 

  「しかし、最近になって魔族が活性化し始めたのです。」

 

  「はぁ」

 

  「そして、魔族は人間を襲いました。」

 

 なるほど、ここまでくれば話しの流れはわかる。

 

 つまり、

 

  「俺が魔族を倒せと?」

 

  「え…あっ、はい。」

 

  「しかしなぜ俺が?」

 

 俺は、ゲーム大好きのTHE もやしっこである。

 

 特技は腕にちからをこめて、筋肉がうきあがるのを利用した、「生骨格模型」である。

 

 まぁ、ようするにガリなのである。

 

 BMI指数は最近とうとう"やせ"の部類の仲間いりをはたしてしまっている。

 

 そんな俺が当然強いはずもなく、ケンカは、幼稚園のころからたった一度たりともやってはいない。

 

 理由は簡単、やっても返り討ちにあうから。

 

  「あなたは、ご自分の強大さを理解されてないのですか!」

 

  「は?なんのことかさっぱりだ。俺は、ゲームが大好きな…」

 

  「そう!そのゲームの方です。」

 

  「ああ、ゲームの方か、それならステータスはゲーム内で出せる最高値にあるな。」

 

 ちなみに『ゲーム内での最高値』とは、通常ゲームをやっていて、得られる訳のない常軌を逸した凶悪なステータスを持っているプレイヤーがいるが、あれはすべてバグ技を駆使して得たものである。

 

 いわゆる、チートとよばれる類のもの。

 

 今回言っている『ゲーム内での最高値』という奴は、それらバグ技を使用せずに辿りついた境地のことである。

 

  「わたしは、ゲームの中でのあなたを発見しました。」

 

  「それで?」

 

  「はい、その力で是非私の世界『カラム』を救っていただけないでしょうか?」

 

  「ええ、わかりました。喜んで引き受けましょう。」

 

 とたんに少女の顔には喜色が浮かんだ。

 

  「では、早速転移に移りましょう。」

 

  「あっ、ちょっと待って。」

 

  「なんでしょう?」

 

  「俺の家族は……」

 

  「ああ、それでしたら問題ありません。『宇宙』の時間を止めておけばいいだけです。」

 

 ええ…。

 

 さすが神と、言いたいところだが、さっき端くれとか言ってなかったか?と思いつつあらためて神の強大さを感じた。

 

  「あっ、はい。」

  

 そして、呆然と頷くしかできなかった。

  

  「それと、転移をはじめるまえにやらなければならないことがあります。」

 

  「なんでしょう?」

 

 そのとき俺は早く異世界に行きたいという願望に心を埋め尽くされていて完全にあたまからすっぽ抜けていたことがあった、それは?

 

  「せっかく、わたしの世界を助けにいかれるのですから、加護つまりは能力を授けなければなりません。」

 

 能力を授けるだって!?

 

 それってつまり……『チート』?

 

 チートとは、祐樹が地球で読んでいた異世界転移系に小説には必ずといっていいほどの確率で転移するまえになんらかの神様に出会い、異端な能力つまり本来普通の人間が持ちえていないような特殊な能力を神様より授かる。

 

 というような流れが存在していた。

 

 すなわち今この状況こそ祐樹が待ち望んでいた瞬間なのであった。

 

  「キタ━(゚∀゚)━!」

 

 おもわず心の奥に思っていた言葉が飛び出してしまった。

 

 そしてまたも俺が急に叫びだしてしまい、少女は一瞬ひるんだものの多少戸惑いながら話しかけてきた。

 

  「どっ、どうされましたか?急に」

 

  「ん?ああ、ちょっと長年の願望が叶ったのさ」

 

  「願望?」

 

  「ああ…いやちょっとしたことさ、それよりも能力とか加護って具体的にはなんなんだ?」

 

  「ええと、具体的に。ですか、例を挙げるならば人よりも数段身体能力(ステータス)を上げたり、深い知識を得るとかですね。」

 

  「例が挙げられるってことは、過去にも加護ってやつをやったことがあるのか?」

 

  「ええ、異世界人はあなたがはじめてですが、わたしの世界のもので特にすごい功績を残した者には簡易的ですが行ったことはあります。」

 

  「へぇそうなのか」

 

  「ではいまからあなたに加護を授けます。望む能力(チカラ)をわたしにおっしゃってください。」

 

  「ああ、************だ。」

 

  「はい、ではそのような加護でよろしいですね?」

 

  「OKだ。」

 

 その瞬間、少女から一時は失われていた後光のようなものが体を包みはじめた。

 

  「セーレが創造神、汝に加護を授ける。受け取るがよい」

 

 セーレ、というのが彼女の名前であるのだろうか。

 

 すると、彼女の左手の人差し指の先にソフトボールほどの大きさの光の玉が瞬時に形成された。

 

 その後、彼女は右手の人差し指で自分の額に手をあててなにかを引き抜くように指を離し、そのまま指を光の玉の表面へと触れた。

 

 そして、とうとう転移の儀式が始まった。

 

  「それでは、祐樹よ。我が世界『カラム』へと行くがよい。」

 

 その言葉を最後に俺の意識は再び遠のいていくのであった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 




お読み頂き有り難うございます。
ご指摘、ご感想等ありましたら、是非お寄せ下さい。
 
2014/6/10/光の玉の表現を訂正しました。
      今の祐樹君にはまだ見えていませんが、指の先っちょには細長い糸くずのような
     物が付着しています。イメージはハリーポッターの校長先生がやったようなあれ。
2014/6/21/光の玉には、『カラム』側の基本的な言語などの知識が含まれています。
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