人は意識が回復したら目を開けようとするだろう、自分がどこにいるのかを判断・確認するために。
しかし、祐樹の場合は意識は取り戻したのだが、目を開けようとはしなかった。
否、できなかったのである。
(なっ、なんだ? 目が開かない!?)
(これはもしかすると金縛りというやつだろうか…?)
熟考のためしばらくじっとしていた祐樹だがそんな時間はなかった。
いきなり体が上へ、上へと引っ張られた。
そして無意識的に体がくねくねと身を
それから頭が管を抜けたと思ったのは僅か数秒後だった。
その直後、視界を閃光が襲った。
その閃光に対して俺は顔を背ける事によって回避に成功したが、襲ってきた感覚はそれだけで終わりではなかった事に気づいた。
時間にして2~3分後だろうか、腹部に激痛が走った。
その痛みで俺はなぜか泣いてしまっていた。
しかも大声でだ。
だが、自然と痛みは以外にも早く引いていった。
その後、体をなにかざらざらしている物に包まれた。
今俺の体を包んでいる物体は正直言って痛い。
乾布摩擦でもこんなに痛くはないだろう。
まるで、使い古した
なぜ、そんな特殊な感覚を知っているかというと、目の中にシャンプーの泡が入ってしまったとき、手を伸ばした先にあった俺愛用のフェイスタオルで、目の端を思いっきり拭ってしまい泡による痛みは消えたが、代わりに水をあまり吸わなくなってしまったタオルによる痛みがジーンと残ってしまった失敗によるものである。
閑話休題。
かつての失敗をおもいだしていると今度はまた液体の中に浸かった。
液体というか、ぶっちゃけ
そして、少しの間、湯に浸かっていると話し声が聞こえてきた。
「おばさん、どっちだった?」
「男の子だよ。」
「そっかぁ、男の子かぁ名前どうしよっかな。」
その時、バンッと大きな音が鳴った。
いきなりのことだったので
だがそんなことよりも、と急に入って来たのであろう声からして男性は、切羽詰ったような
「ベラ! 子供は?子供はどうなった?」
その問いかけに答えたのは先ほどの話し声の主たちの内、女性にしては少し低いような気のする女性のなだめるような言葉だった。
「こらっ、急に入ってくんじゃないよ年甲斐もなく…。」
この会話からここは、どこかの部屋の中だと判断がいく。
さっきバンッといったのは、部屋に設けてある戸《ドア》であろう、聞いた感じおばちゃん風の声の主は男性に入ってくるなとか言っていたはずである。
「ルーテ、男の子だったよ。」
その声にテンションがあがったのか、男性はヒャァッホーと声で最上の喜びを表していたかのようだった。
それから俺は誰かはわからないが、運ばれシーツの上に寝かされた。
寝かされた俺はすぐさま睡魔に襲われた。
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