星空?なにそれおいしいの?   作:たこ焼き王国

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第五話 チートの確認

 かくして俺は二人に喋れることがバレてしまった。

 

 現在、俺は不思議な気持ちで飯を()っている。

 

 普通はこの言葉からは俺が飯を食っているとしかわからないが、それは俺が地球でのおれだったらばだ。

 

 今の俺は生後二日の赤ん坊なわけだ、この情報が入るのと入らないのとでは大きく意味の重要性が変わってくる。

 

 医学的、生物学的に見て人間の赤ん坊に歯が生えているというのはおかしな話だ。だから赤ちゃんにはまず、乳を与え乳離れをしてから離乳食、そして歯が生えそろってきたら普段自分達が食べているような料理を食べることが叶うわけだが、俺の場合は二段階ほどすっ飛ばしてしまっている。

 

 しかし、なぜかそのことに対してこの二人は不思議がらず、普通に受け入れてしまっている。

 

 それと、母と男の関係は夫婦の様だと今はじめて気づいた、冷静な俺だったらすぐに気づけたのだろうが一連の騒動で冷静さを欠いていた。つまり、あの男は俺のこの世界での父親であるということになる。

 

俺達が食事を食べ終わり、母に抱っこされたままベッドに行き横になった母は数分間俺の頭を撫でていたがすぐに眠ってしまった。

 

 母が予想以上に早く眠ってしまったので視線をまだ机に座っているであろう父へと向けると残念なことに机に突っ伏して寝てしまっていた。

 

 ここの世界の人は眠るのが早いのであろうか、と勘繰りたくなるほどの早寝である。丁度日が沈んだあたりであるので電気がないところの生活はこんなものかと思った。

 

 PS.父は短い赤毛のイケメンだった。クソッ・・・

 

 それから二週間ぐらいたった朝、俺は母におんぶされて畑に連れてこられた。見た感じこの村の女性は農作業か機織(はたおり)を中心に行っているようで、初めはおんぶされたまま母が作業しているのを見ていたのだが、それは赤ちゃんが落ちてしまうかも知れないから危ないと、近くにある家の影に入れさせてもらった。

 

 母は作業に集中できていないのかすごく頻繁に俺のほうを見てくるがそれも最初のうちですぐに作業に没頭するようになっていった。

 

 そんななか俺は特にやることもなかったのでだいぶ前に思い出したある事をやろうとしている。

 

 そう、能力(チート)である。

 

 まず、俺がセーレに願ったある能力とは、『ドラゴンク〇ストIX』の全ステ・全アイテムの引継ぎである。その起動方法は、某VR小説で取り上げられたメニューの開き方で『右手の人差し指と中指を立てて下に下げる』というものである。左か右かは曖昧だったが、とりあえず利き手の右にしておいた。

 あとで思い直してみると俺は右利きなので物を持っている際にメニューを開くのは自然と左手だから右手はいけなかったかなとも思ったものの、まぁ慣れればいいかと、開き直ってみた。

 

 そんなわけで早速、右手を掲げて人差し指と中指を立て、タッチパネルを下にスライドさせる感覚で滑らせる。

 

 ピッ、という音をたてて出現したのはまさしくゲームでXボタンを押すと出てきていた白枠で中が半透明の黒でできた画面が出てきた。

 

 ご丁寧にも出現時の音はゲームとまったく同じであった。

 

メニューにはゲーム同様の選択肢が表示されていた、物は試しと『そうび』の文字を指でタッチした。

 

 すると俺の装備はインナー(はだか)の状態でなにも装備していなかった。

 

 ためしに俺が苦心の末()()()()まで作った『ぎんがのつるぎ』を装備すると、ごとりと音をたて剣が現れた。

 

 画面で見るグラフィックでは夜空を思わせるダークブルーの刀身に金がちりばめられた装飾で初めてできたときはそのグラに神々しさを感じていた。

 

 さすがに、カンスト近くなってくるともうちょっと剣がでかい方がカッコイイよなぁ、と思っていた。

 

 が、ゲームではそのグラでバランスの取れた大きさだったのだろう、今現れた剣は正に俺の思い描いていた大きさになっている。

 

 現実で見てみるとかっこいい、素直にそう思ってしまった。

 

 ためしに柄を握ってみると驚くことに剣は縮んでしまったが、それは単に自分の今の身長にあわせた結果なのだと思った。

 

 実際、ゲームの中でも身長の高い仲間と身長の低い仲間に同じ武器そ持たせても必ずバランスの取れた大きさになるのだ、あれ、これってかなりすごくね?

 

 まぁなにはともあれ無事実験には成功したのだった、次は防具をやってみたところ結果は同じで自分の体にあわせる機能つきだった。

 

 さきほどの『ぎんがのつるぎ』は生成がある条件により非常に難しくなっている。

 

 ある条件とは、素材が入手困難(めんどくさい)・生成確率が非常に低い・まずレシピがゲーム内に存在せず自分で見つけないといけない。

 

 このほかにも最強装備がいくつかあるのだが、それらは追々試す機会にやるとしよう。

 

 さて、次は・・・・・・おっと母の仕事が終わったようで女性がたがこちらに集まってきた。

 

 その後俺は機織をしていたおばさんが作ってくれた料理を食べた。

 

 え? どうして食べられるかについての周りの反応?

 

 母が皆に歯が生えていることを見せたらなんか皆「そんな早い子もいるんだねぇ」とかいって納得してた。やっぱり医学知識の乏しい村なのかなと思った。

 

 

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 それから体感で2~3時間たったころ父が帰ってきて村長のところに行くらしい、なんでも赤ちゃんが生まれてから何日か経過すると神に感謝の意を示す儀式が行われるらしい。

 

 その際、ちょっとしたご神託があるそうでその内容は、「この赤ん坊は強く育つ」とか「この子は将来有名になる」という一言程度だというがそのご神託が外れたことはいままで一度もないそうだ。

 

 そして儀式の様相は、まず赤ちゃんを中央にある台座に仰向けで寝かせる。

 

 次に、台座の周りに白い粉を撒いてから聖水を撒く。

 

 村長が神に感謝を意をしめす呪文を言うと白い粉が消え聖水が赤ちゃんの持つ性質(ステータス)にあわせて光る。

 

 魔力(MP)を持つ者は青く光り、将来財を成す者は黄色く光り、力の強い者は赤く光り、人並みの性質のものは白く光る。

 

 とはいってもこの村の大抵の人間はみな白だそうだ。

 

 多少白に薄い青や黄、赤に光るものはいるそうだが、純色として発現することはないそうな。

 

 まぁ、なんにでも例外というのはあるもので唯一純色で出現するものがある、とんでもない強者になる者は紅に光り、勇者は蒼に光り、神に認められるような者は金に光る。仰々しい単語からもわかるようにこれらの出現率は非常に稀だそうだ。そりゃそうだそんな奴がポンポン出ていたらとっくに魔王なんて倒されているだろう。

 

 しかし、過去この村にたった一人だけ紅が発現した赤ん坊がいたという。ただし、伝承で伝わっていることなのでその人物が誰なのかどのような者になったのか知るものは既にいない。

 

 という遥か昔の人なのにまだまだ伝承として伝わっているレベルで後者3色がいかに稀少なのかがわかったところで、俺はこの世界に勇者として不本意ながらも転生されてきたのでほぼ間違いなく銀色に光るだろう、あるいは転生の影響を考えて紅か・・・。となると俺は遠く後生まで語り継がれることになるのだろうかと思うとあまりの事の大きさに今更ながらに冷や汗がでてきた、あの時創造神に二つ返事で答えてしまった心境が自分でも信じられない。

 

  「どうしたの? ウィット」

 

 俺が頭を抱えてうんうん(うな)っていると母が心配そうな表情で聞いてきた。

 

 その問いに対して俺は親指をしっかりと立てグーサインを出した。

 

 さすがに村長にまで俺がしゃべることを知られては困るからだ。

 

 そんな村長は儀式用なのかそれまで着ていた村民の服装に少し色を足した様な村長らしい格好から更に華美な衣装に着替えている。

 

  そんななか俺が、村長をじろじろと見ていると目が合ってしまい気まずくなったので視線を彷徨(さまよ)わせているとそれを、そわそわしているように思ったのか村長はやや急いで儀式の準備を進めだした。

 

 4~5分程度待っていると儀式の準備が完全に終了したようで俺は母から村長に渡され父と母は部屋から出て行ってしまった。

 

 今儀式を行う部屋には男が二人、そう俺と村長である。

 

 準備が済んだと思われる部屋には祭壇を中心として二重の円が描かれており円の隙間にはなにかよくわからない記号が書かれていた要するにこれは『魔法陣』なのであろう。

 

 そして四隅にはランプと裏白みたいな葉っぱが置かれていた。

 

 それから俺は村長に祭壇っぽいところに仰向けに寝かされ、水をかけられたその後俺の周囲にも液体を撒き村長は部屋から出て行ってしまった。

 

 これでこの部屋には俺以外の人間がいなくなり、寝かされてほっとしたのか急な眠気に襲われ俺はフッと意識を失うように自然と眠った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 お読みいただきありがとうございます。
 遅い更新となりましたが、そろそろ自分専用のPCを買ってもらえましたので
小説をバンバン書いていけると思います。
 ご意見ご感想お待ちしております。

2015/01/26
村長と村民の服装の表現を訂正しました。
   儀式の祭壇周りの説明を追加しました。
 
 (誤) フッ意識を失うように自然と眠った
 (正) フッと意識を失うように自然と眠った。

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