第七話になります。よろしくお願いします。
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湖が荒れている。
黄金に輝く魔力の奔流。視界を染めるほどの輝きと魔力のうねり。それが極限まで圧縮され、対峙するナニカに向けて放たれる。
海を照らす巨大な砲撃は、桜色の奔流を思い出させる。
場違いにもソレを見る俺の視界を、舞い上がった塵煙が隠した。
──バイザーが視界をクリアにする。
遠くに映る闇色の真円。
見覚えのある複雑怪奇な魔法陣に、思わず口を開く。
「フォーカス・ブースト!」
『──―Ready, 〝Focus Boost〟!!』
途端、全身を打つ巨大な圧力。常日頃なら気絶して終わるソレを気合いで耐える。
視界は流れ。立ち尽くす騎士を通り越す。
痛みに喘ぐ口を無理矢理開き、言葉を紡ぐ。
「■■■■■・ブーストッ‼︎」
大気の歪む、音が聞こえた。
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変な夢を見て目を覚ます。
夢の内容は覚えていないが、何となく目が覚めたので背筋を伸ばし、灰色リストバンドを腕に巻く。
「……よし」
二人が置いてってくれたらしいサンドイッチを頬張り、武家屋敷の玄関へ。伸び切った雑草を踏み締めると、そのまま住宅街とは逆へ歩き出す。
この冬木には川辺公園の他に、海にも公園がある。
蛍が舞う静かな川辺公園とは対照的に、爽やかな風が吹き、アビが小魚を頬張る。そんな生命を感じられる癒しスポットだ。
「やっぱり、人はいないか……」
人気のない道を歩く。
よく育った木々、適度に置かれたベンチ。
その見慣れた光景は、俺の心に少しばかりの不安を与える。
海の見える道を進む。人の気配のしない海と、公園。
隣人が居ないだけで、こうも変わるのかと驚き、目を伏せる。
……楽観視してたが、もしかしたらこの街は。
公園の中央に着く。
相変わらず足音一つないその様子に、心が痛む。
自分は今どんな顔をしているだろうか……
そう思い、鏡代わりになりそうな噴水へと体を向ける。
そして視線を上げ……
──噴水の端に腰掛け、静かに海を見つめる幼女を見つけた。
赤いリボンを結んだ黒髪に、赤いワンピース。
小学生くらいの少女が、悩ましげに海を眺めている。
まさかの第一村人発見である。
俺は急かす心を落ち着かせ、少女を怖がらせない様に穏やかに声をかける。
「やあ、海でも見てるのか?」
振り向く少女、目尻に浮かぶ涙。
やっぱり目つきが悪いって損だなと、後悔に浸る俺。
次の瞬間、少女が口を開く。
「大樹さん! おじさんを助けて!!」
流れる涙、そして少女の両手は。
俺の手を掴もうとして……。通り抜けた。
○
馬岱さんと和解し、そのまま稽古を少ししたボクは機嫌良く縁側を歩く。
「やっぱり強いね! 馬岱さん。大剣とか使ってみない?」
ボクの提案にいつも通り顔を顰めると、首を振って呆れた様に言葉を返す。
「どこにあんだよ、そんなもん。それに、俺はコイツでいいのさ」
彼は薙刀を軽く揚げてみせた。
朱色に染まる柄は、随所に傷が残り、年季を感じられ。
穂の根元には、馬の尾を彷彿とさせる飾りがつけられており、無骨な槍に芸術性を与えていた。
「そっかぁ、じゃあ仕方ないね」
彼の返しに、笑みをより深くしたボクは機嫌良く襖を開け……。
──もぬけの殻となった布団を視野に入れる。
玄関へ向かう襖は開け放たれ、彼が出て行ったのは確実だろう。
ボクは一瞬呆然とすると、念のため急いで部屋中を探し回る。
布団!
……いない!
押し入れ!
……いない!
タンス!
……いない!
「馬岱さん!! どうしよう! 大輝がいなくなっちゃった!!」
「落ち着け!」
ボクの頭に馬岱さんの手が振り下ろされる。
いたい。
「ガキじゃあるまい。タンスに入るわけねぇだろ」
それはそうだ。ボクは袋棚にかけた手をそっと戻し、馬岱さんに向き直る。
「でも!」
「それに、見て見ろ。用意しといた昼飯がねぇ」
彼の指差す先には、空になったお盆が一つ。
どうやら残さず食べてくれたらしい。
少し嬉しい。
「飯を食うってのは健康の証だ。自暴自棄とかじゃねぇさ」
「だから待ってやろうぜ」と語る馬岱さんはニカっと笑うと台所に向かう。
どうやら、夕食を用意するつもりらしい。
まだ、心配は抜けないが、ワタワタしていて仕事がなくなるのも癪に触る。
急いで立ち上がったボクは、台所へと駆けて行った。
●
「つまり、おじさんが偽物に騙されて、儀式に挑戦していると」
──“そうなの。”
俺の言葉に頷く黒髪リボン少女。名を凛花と言うらしい。
気づいたら、幽霊状態でここに居た彼女は、唯一の肉親であるおじさんが、自分の偽物に騙される所を見たと言う。
──“頼れるのはダイキさんだけなの。お願い! ”
しかし自分では何も出来ず、どうにか出来ないか考えていた所に、運良く見える俺が登場。
もともと知り合いだった俺に、おじさんを助けてほしいらしい。
……人違いじゃないかなぁ……。
心の中でそう呟く。
俺は少女に見覚えも無ければ、死霊術師だと言うおじさんに面識はない。
──“やっぱり、ダメ……? ”
落ち込む少女の姿が見える。弱々しい半透明な少女はやはり見覚えがない。
本当なら断るべきだろう。
義理もなければ、危険が伴う。
──しかし。
今の俺には力がある。『仲間』と言う力が!
それにおじさんは死霊術師と聞く。
であれば、あの時のゾンビが彼の仕業である可能性も0では無い。
よって……
「任せてくれ」
力強く頷く。
打算あり気の他力本願だが、この幽霊っ子を見て、助けたいと思う心もある。
危険極まりないこの町で、戦場に向かう理由はそれだけで構わないのだ。
第七話 いかがだったでしょうか。
今話は、貴重な日常パート。に、なってるといいなぁ。
年が明け、忙しくなる頃合いですが。
無事完結できるように頑張って参ります。
皆様の評価、感想、ご質問など。お待ちしてます。
それでは、次話をお楽しみに!