蒼天を駆ける野球バカ   作:FAKE MEMORY

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眠たくて眠たくて……目を擦りながらずっと書いてました。仕事の疲れがハイパーマックスなんです。

それと、誤字報告ありがとうございます。推敲する時間あまり無いので非常に助かりました。
誤字報告って、読んでいただけてるんだなぁっていう実感が凄く湧いてきますね。


特別な週

「セイウンスカイ、またも余裕を見せつけゴールイン! デビュー戦に続き、見事ジュニアカップでも結果を残しました!!」

 

 このレースに、スカイの敵はいなかった。

 スピードも、レースの進め方も全ての能力において他のウマ娘を上回っている。スカイ自身が注目されるのも時間の問題だろう。

 そうなれば、次のレースは当然……いや、でも俺が決めていいのかどうか……。

 

「ほえー、明らかに強くなってんな。前のレースからそんなに時間も経ってねぇのに……って言う割には浮かない顔してるな」

 

「んあ? いつも通りだろ」

 

 俺はまたも売り子をしているゴルシちゃんとレースを見ていた。そんと神出鬼没なんだよな。

 てか、こんなことしててレースとかちゃんと出てるのか?

 

「いや、これだけ順調ならもっと喜ぶだろ。てか、喜ぶどころかすっげぇ遠い目だしよ。何かあったのか?」

 

「いんや……なにも」

 

「そうか、なら……良いんだけどな」

 まさか、こんなにレースバリバリに走っているのに絶賛仲違い中なんて思いもしないだろう。

 

 一応、理事長とたづなさんには土下座で謝罪して事なきを得た訳だが、スカイはどうも納得している様子ではない。

 スカイは俺が話しかけても全く反応しないし、練習が終わるや否やすぐに帰る。ちょっと……というかかなり冷たいから俺的にショックだ。

 幸い、レースのことだけはちゃんと聞いてくれるのは助かった。

 だから、トレーニングも滞りなくできたし、レースにも勝つことが出来た。

 このままだと、ただ練習を作りそれをやらせるだけの何ともつまらない関係になってしまう。

 そうなれば重賞なんて夢のまた夢だろうし、トレーナーとしての契約が解消されるのも時間の問題。何とかこの今の状況を打開しなければならない。

 とはいえ、ただ謝るだけではダメなんだ。今回は、ちょっとやそっとのことで機嫌を直して貰えそうにない。いや、どちらかと言うと機嫌が直らないというより、既に機嫌は直ったがスカイが距離感をあらためたという感じか。

 

「信頼は一日でならず壊すのは一瞬、か」

 

「おい、やっぱなんかあったんじゃねぇか」

 

「うん」

 

「折角上手くいってるんだぞ。早めになんとかしろよ」

 

「分かってる……けどなぁ」

 

 なんとか……とは簡単に言うものの、数日間何とかしようと奔走した結果どうにもならなかったのだ。

 日にちかけて何とかなるならそれ以上のことは無いが……スカイはそんなことで許してくれるような人ではないだろう。

 ほんと、どうすっかなぁ……。

 

「ゴルシちゃん、ちょっとトイレ行ってくるわ。因みにでかいほうね」

 

「その情報は余計だ。花も恥じらう乙女になんてこと言ってやがんだ」

 

 花も恥じらう乙女? こいつが?

 ガンプラ買ってめっちゃテンション上がってそうな人にしか見えないんだけど。

 

「いや、花とうんこは別にして考え「おい」すみません」

 

 うう……ゴルシちゃんのアタリが強いよぉ……。

 まあ、恐らくだけどゴルシちゃんはめちゃめちゃ真面目に心配してくれてるんだろうな。

 そりゃ、怒りたくもなるわ。

 

 うん、やっぱりそうだよな。真面目な雰囲気の時におちゃらけるとか良くない。からかうのは良くない。時と場所を考えろってんだ。

 そうとなれば、まずはスカイをどうにかするというよりは俺自身をどうにかした方がいいかもしれん。今日から俺はスーパー親切な真面目ちゃんに生まれ変わっちゃうぜ。

 

「ありがとう、ゴールドシップ。おかげで目が覚めたよ。俺は、トレーナーの矜持をしっかり持って取り組むべきだった……。だから、俺は生まれ変わる。共に邁進しよう。ゴールドシッブホォ!!」

 

「きんもちわりぃ。もうアタシゃしらんぞ」

 

 ゴルシちゃんがどんどん遠くなっていく。

 待てよ……なんで殴ったんだ。俺、めっちゃ真面目だったんだぞ。

 

◇◇◇◇

 

 さて、改めまして心を入れ替えた紳士トレーナー。

 名前はミウラ・シンシ・ユウスケです。

 さて、まあ完璧な紳士になったわけなんだけど、今日トレーニング休みなんだよね。やること無くてさ、どうすりゃいい?

 そんなの考える間もなく決まっている。ウルトラマンのように広い心を持って愛する人間を助けるのだ。

 ということで、適当に誰かを助けることにしよう。学園の中だから規模は小さいが、人助けに規模は関係ない。

 おっと、あんなところにぼっちのウマ娘が。

 

「Heyそこのポニーちゃん。迷子かい?」

 

「ひっ!?」

 

 なんか見た事ない馬娘がいたから声かけてみたんだけどすっごい怯えてる。どしたの?

 

「迷子だから怯えてるんだね。大丈夫、僕が助けてあげよう」

 

 なんて言って手を伸ばすが距離を取られる。

 

「ふ、不審者ですね!? お母ちゃんか言ってました! 都会では勝手に家に入ってくる怖い人がいるから気をつけなさいって!!」

 

 ああ、やっぱりそうだ。何となく訛っているイントネーション……田舎から出てきたということだろうか。

 可哀想に、見知らぬ土地で本当にやっていけるのか不安で仕方ないというのに、こうして迷子になってしまうなんて……。

 

「落ち着くんだ……大丈夫、大丈夫。僕が助けてあげよう」

 

「や、やめてください!! これ以上近付いたら……い、痛いことしますよ!?」

 

 優しい子なんだね。痛いこと……というなんとも不慣れな表現をふるえる声で……。 ちょっとスカイとゴルシちゃんで痛い目にトラウマがあるが……テンプレ的には痛い目に遭いながらも心を変えず接することによって信頼が産まれるところだ。

 

「大丈夫〜大丈夫〜……あっぶね!?」

 

 やっべぇこいつ。ビンタとか、酷くても殴るくらいで済むと思ってたよ。

 全然違ぇ、思い切り後ろ蹴りしてきやがった。

 

「あ、ご、ごめんなさい……お怪我は……」

 

「大丈夫だよ。仮に当てられたとしても、俺は君を許してるだろう。何度も何度も蹴られても、俺は絶対に君を許そう。俺はただ、ポニーちゃんを助けぐほぉ……」

 

 当ててきやがったぞ。

 

「てめぇ、許さねぇかんな」

 

「言ってることが違う!?」

 

「転入生、遅くなっちゃってごめんね」

 

「むっ」

 

 どうやら、この子は迷子でもなんでもないようだった。

 でも転入生……ってことは田舎からは当たりっぼいな。

 

「あれ、セイちゃんのトレーナーじゃん。転入生ともう仲良くなったの?」

 

「ああ。蹴られるぐらい仲がいい」

 

「それ、ほんとに仲良いのかなぁ……」

 

 俺基準的にはかなり仲がいい。

 

「あ、あの……トレーナーさん、だったんですか?」

 

「うむ、その通りだ」

 

「す……すみません!! そうとは知らずに大変なことを……」

 

「は? 一生許さん」

 

「ええ!?」

 

「あはは……、何となくセイちゃんのトレーナーが余計なことしたのは分かったよ。あんまり、転入生をからかわないでよ?」

 

「からかってなどない。助けたんだ」

 

「何も助けて貰ってないです!」

 

 少し前の俺をぶん殴ってやりたいな。何がおちゃらけるなだよ。

 やめだやめやめ。無理なものはどう頑張っても無理。んな直ぐに変われないっつーの。

 

「トウカイテイオーは何をしてるんだ?」

 

「ボク? ボクは転入生をに学校の案内をしてるところだよ。この学校広いから」

 

「ああ、なるほどな」

 

 あまり学校案内を転入生にする所は聞いたことがないが、ここまで広いとなると必須なのか。

 

「因みに、転入生。名前は?」

 

「す、スペシャルウィークです」

 

 特別な日ならぬ特別な週……不思議な名前だな。

 

「うむ。俺は三浦悠介だ。よろしく頼む」

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

「よし、じゃあ転入生。続きいくよ。セイちゃんのトレーナーもまたね」

 

「おう。いつかまた会う時まで」

 

 トウカイテイオーはスペシャルウィークの手を引っ張ってどんどん先行ってしまった。

 俺は、もうめんどいから帰ろう。




読んで頂きありがとうございます。
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