蒼天を駆ける野球バカ   作:FAKE MEMORY

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どうも、大島です。
2話目です。
なんかこう、なんも考えずに書くとこうなるんだなぁと思いながら書いてます。


スーパースター

 どうやら、落ち込んでいる俺をからかってきやがったのはセイウンスカイとかいうウマ娘らしい。

 宇宙なのか空なのかどっちかにして欲しい。

 

「それで、M78星雲スカイさんが何の用ですかねぇ」

 

「ちょっと〜前に余計なのついてるんですけど〜?」

 

「は……はぁ!? 余計とかいうんじゃねぇ!! お前なぁ、M78星雲は……ウルトラマンが住んでんだからなぁ!?」

 

 歴代のウルトラマン達が人を愛し身を呈して地球を守ってくれていたんだ。その方達の故郷を余計だァ? 戯言もいいとこだ。

 

「え……セイちゃんなんで怒られてるの?」

 

「たりまえだぁ!! ウルトラマンはみんなの夢だ! 勇気だ! ロマンだァァ!!」

 

「え、えぇ……?」

 

 戸惑ってるなぁ、分かるよ。俺だったらこんなこと言われたら困るどころかドン引きして逃げるもん。

 うん、よし。そろそろ真面目にやるか。

 

「……なんていう茶番はほっといてだな。俺に話しかけてくるってことは、なんか話があるんじゃないのか?」

 

「なんなのその変わりみの速さは……ふっ、勘のいいトレーナーさんは嫌いだよ。なんてね」

 

「あ、ごめんなさいこっから真面目なんで」

 

「え……あ、それはすみません」

 

「うむ、続きをどうぞ」

 

「それ、真面目なんですか? ……それでですね、トレーナーさん、さっきここに来るウマ娘は誰でも同じだって言ってましたよね。それ、セイちゃん的になんだかな〜と思いまして」

 

 ふーん……あれ? このセイウンスカイさん、ちょっと怒ってらっしゃらない?

 地雷踏んだ? いや、でも大丈夫。絡んできたのはそっちだっていえば俺は言い逃れできる立場……俺最悪だな。

 

「君が特別ってこと?」

 

「逆だよ。私は、あの子みたいにはなれないってこと」

 

 視線の先には……さっき1着になった子がいる。たなびく長い髪。勝ってもなお落ち着いた表情。正しく強者の風格だ。

 

「なるほど……ワンダーボーイだったか」

 

「グラスワンダー。やっぱり、トレーナーさんちょっとふざけてません?」

 

 セイウンスカイはまだ笑っているが、のんびりとした口調にほんのり怒気を含んでいる気がした。そんでもって心做しか威圧感を感じる。

 やっべぇよもっち……めっちゃ怒ってらっしょっしゃっしゃりっしゃい。ごめん俺焦ると滑舌悪くなるんだ。

 

「いや、ふざけてなんかない……けどぉ……?」

 

 やっべ、これまじやっべ。大丈夫か? クビか? やっぱ俺クビなのか?

 それだけは……勘弁して欲しいなぁ。

 

「……ぷっ。もう、そんなしょんぼりしないで? トレーナーさん、あんな見栄張ってたのに……」

 

「あれ……? 怒ってないの?」

 

 なんだよ怒ってないの? って。マジ気持ち悪いかよ。

 

「もう怒ってないよ……ほら、トレーナーなんだからもっとシャキッと」

 

 もうってことはやっぱさっき怒ってたんだよね。マジごめん。

 

「そりゃあ、トレーナーさんの言うことは、少しは分かりますよ。でも……一緒に走った人の方が、もっとよく分かる」

 

「あ……」

 

 先程までとはまた違う表情、声。怒っているでもないし、吹き出したりとかでもないし、軽口を言ってる感じでもない。

 これは……俺はこれを知ってる。どんな時にこんな表情になるか知ってる。

 というか、だいぶ前の俺があんな表情で、こんな声色で弱音を吐き出していた。

 あれは確か、少年野球をしていた頃だ。あの頃はピッチャーで、エースで4番。調子に乗って、高飛車で滅茶苦茶やってた時だ。

 でもそれは、夏の引退試合で全てが崩れた。

 俺の何割増も速い球を投げて、打つ方も俺とは比べ物にならない程遠くへ飛ばす奴がいて……プロなんて余裕だと思っていた俺はもっと上がいることを知って泣いた。ギャン泣きだ。

 そこからなんやかんやあって中学は一緒になる訳だが、結局中学は俺がエースも4番も奪うことが出来た。

 簡単な話だ。俺が勝手にライバルだと思っていた人は、怪我して野球が出来なくなって部活を辞めた。怪我の理由は、オーバーワークだそうだ。成長期で、体が耐えられなかったらしい。

 それから俺は、全ての時間を割いて野球の練習をした。家で寝る時間は勿体ないから授業中に寝た。

 その結果、俺のライバルが負けてしまうようなチームや人ともなんだかんだそれっぽく渡り合うことも出来た。

 そこで、俺は思った。

 

「自分より上の人を才能なんて言葉で片付ける。それは、ただの思考停止に他ならない」

 

「……」

 

「さっきは戯言こっちは俺の本音だ。人は、能力のある人をパッと見ただけですぐ才能だなんだという。確かに、俺の身長はこれ以上は伸びないし、どれだけご飯を食べようと体重は増えない。最悪だよ。でも、武器は別にあったし作ることも出来た。やりようはいくらでもあったんだ。考えて考えた、努力した。そしたら、才能がないと思ってた俺でも才能あるって言われたんだ。そして、元々才能あるって言われてた人は気付いたらその道にいなかった。これってつまり、そういうことだろ?」

 

 ……柄にもないことを言ってたな。スイッチが入ると暑くなるのは俺の悪い癖だ。そのうち直そう。

 やべ、トイレ行きたくなってきた。こりゃ実が出そう……。

 

「……なーんだ。私と同じかぁ」

 

「ん?」

 

「なんでもないですよ〜」

 

「なんでもないならトイレ行ってくるわ……ちょっとヤバい」

 

「え、あ、ちょっと!」

 

〜数分後〜

 

「すまなかった。ちょっと水戸黄門さんの紋所が出てきそうになってな」

 

「それ水戸黄門さんに怒られません? もう、言うタイミング完全に失っちゃいましたよ」

 

「ん、なんかまだ用あんのか」

 

「なんでそんな高圧的に……。えっとですね、さっき言ってた誰でも同じって言う言葉。それが本当だったら、あの子と比べて平々凡々な私でも勝てちゃうってことじゃないですか。それって、セイちゃん的には凄く面白そうなわけです」

 

「成程、下克上……それは確かに面白いな」

 

 ペナントレースも突然覚醒した選手とかめっちゃかっこいいし、日本シリーズで3番手ピッチャーが無双してMVPなんてのもロマンの塊だ。もし俺が……て考えたらニヤける案件だな。

 

「なら、決まりですね。よろしくね、トレーナーさん」

 

 あれ、なんで勝手に決まっちゃってんの?




見ていただきありがとうございます。
暇な時に書き進めてくので止まる時あるかもです。
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