蒼天を駆ける野球バカ   作:FAKE MEMORY

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カレンチャン、キャラが物凄いたってるんで抑え込むの大変ですね。
でも、まあ大分はちゃめちゃにしてくれるんでこれはこれでありです。


カワイイノシンショク

「ふむ……まあ、いいタイムなんだろうな、きっと」

 

 放課後カレンチャンが、模擬レースでこのくらいのタイムだったーって嬉しそうに話しかけてきたのだが、これがまた返事が難しい。

 

「お兄ちゃん、ちょっと冷いとこあるよね。もっと近付いて褒めてもいいんだよ?」

 

「ん? ああ、そうだな」

 

 褒めるも何もないのだがな。

 スカイに関しても、マジでタイムはどのタイムが良いのか分からなかったから、参考のタイムを確認しながら手探りでの測定だった。

 今はレースを何度か見て、何となく中長距離についてはタイムが分かってきたわけだが、あくまでも中長距離についてだけだ。

 カレンチャンは短距離適正が高いらしく、中長は苦手だそう。そうなると、こっちもまた勉強し直しだ。

 要領自体は分かってるから、まあ、良いタイムなんだろーなーくらいには分かる訳だが、それがどれだけ良いのかは分からない。

 だから褒めようがないんだ。

 

「ワースゴイナーサスガカレンチャンダー」

 

「心がこもってないよ……? トレーナーさん、もう一回っ」

 

「流石でやんす! おいら、一生カレンチャンについていくでやんす!」

 

「う、うーん……?」

 

「番長! カレン番長!」

 

「その呼び方はかわいくないからだめ! ちゃーんとカレンチャンって呼んで欲しいなー……」

 

 キラキラ……なんて目で見られると……うん、なんかカレンチャンやりにくいな。

 あと、一周まわってハチマキ学ランのカレンチャンを見てみたいと思わなくもない。

 

「スカイ、俺、普通に話さないといけないのかな」

 

「お願いだから普通に話してください。さっきから何カレンちゃんとバトってるんですか?」

 

「これは重要なんだよ」

 

 主に俺がボケに徹するのに必要な……負けられない戦いがここにあるんだ。

 最初こそちゃんと反応してくれたんだけどなぁ……なんか、流石大人気ウマスタグラマーというべきか、調子を合わせてくるのが上手い。

 というか、なんかやっぱりこっちを飲み込もうとしてくるんだよね。まるで、かわいいの押し売りでもするかのように。

 だからこそ、やっぱ応戦するべきなんだよ。この空気感は俺のもんだ。

 

「トレーナーさん、リピートアフターミー! カワイイカレンチャン!」

 

「川井かれんちゃん」

 

「……? もう一回、カワイイカレンチャン!」

 

「川井かれんちゃん」

 

「むぅ……トレーナーさんは素直じゃないなぁ」

 

「俺ほど素直なやつはいないと思うけど」

 

「寧ろ何でもかんでもすぎて、もう少し落ち着いてくれるとセイちゃんも助かるんですがねー」

 

 何を言うか、落ち着いたら番組終了のお知らせだ。

 

「だからテンションブチアゲアゲフィーバーでしょ」

 

「何をもってだからなのかは分かりませんけど、そういうところですよ? トレーナさん」

 

「そういえば話変わるんだけどさ」

 

「唐突!?」

 

 いや、時間もったいないと思ったからさ。

 もったいなくしてたのは俺なんだけど。

 

「スカイはもうすぐ重賞だろ? それでインタビューの話が何個か来てるみたいな話があってさ……俺も話さないといけないみたいだけど、どうする? 門前払いみたいな……」

 

「しないですよ。ちゃんと受けるに決まってるじゃないですか。いやー私もビッグへの階段を登り始めたんですね」

 

「それって体重のはなぐふぅ」

 

「トレーナーさん、デリカシーってもんを考えた方がいいと思うんですよ」

 

 だからっていきなり殴るのはどうかと思うんですよ。

 

「了解。んじゃあ、取り敢えず承諾はしておくよ。後は……カレンチャンの実力も少しずつ分かってきたことだし、トレーニングも遂に本格的に始まるわけだ。気合い入れていかないとな」

 

「うん! カレン頑張るから、トレーナーさんもどうすればかわいく走れるのか、いっぱい教えてくれるといいなっ」

 

 それってつまり速く走る走り方を教えれば良いんだよね?

 まあ、それならそれで良いんだけど。

 

「まあ、やることは変わらずか。先ずはフォームを解析してもらって1番適性のあるフォームを落とし込むのと……」

 

「してもらう……? トレーナーさんが見るんじゃないの?」

 

「まあ俺も近くで見るには見るけど……本当に走りに詳しいのは俺じゃないわけだし、そこら辺はプロに任せるのが1番だからな」

 

「? お兄ちゃんはプロじゃないの?」

 

「そこら辺は難しいっていうか、なんというか……」

 

 まあ、肩書きは確かにプロではあるんだ。

 だが、中身は空っぽなのだよ。高校野球児な俺がウマ娘と走りについて完璧だったらそれはそれで怖いだろ。

 あと、学生に教えるレベルのプロと、それで金を稼いでいるプロに教えるプロとではまたレベルも変わるんだ。

 トレーナーが生半可な努力でなれる訳では無いのと同様に、法人でスポーツという概念において圧倒的な信用信頼を勝ち取るのも生半可な努力では出来ない。

 で、俺は新人な上に知識はない。普通であれば、どんなウマ娘と契約してもろくな結果も残せず終わるちんちくりんだ。

 となれば、肩書きになんの意味もない。俺ができることといえば、嘘と何ら変わりない肩書きを使って、実力で信頼を勝ち取った人と組んで、最適なトレーニングを導き出すという、ただそれだけだ。

 だから、プロかといえば俺は絶対にプロなんかではない。

 

「お兄ちゃんに教えて欲しいのに……」

 

「これも教えてるようなものだろ? この施設で走り方を自分で改めて作りだして欲しい。それが、今回のミッションってことだ。言っとくけど、向こうの人もこう走りなさいとは言わないからな。ここが効率悪い、ここに負担がかかっている。原因はここら辺が考えられます。じゃあ、カレンチャンはどうする? ってなるんだ。だから自分で、答えを見つけて欲しい」

 

 向こうにいるのはトレーナーでも先生でもない。ただこちらと契約を結んだ社会人達だ。

 ウマ娘、学生という立場上普通より親切に教えてくれるし助けてもくれるだろうが、俺たちよりよっぽど冷たい。

 

「そうなんだ。それなら、カレンの得意分野だよ!」

 

 まあそうだろうな。ウマスタグラマーやってるくらいだし、分析して挑戦してってのは慣れっこだろう。

 成長は案外早いのかもしれない。

 

「なら良かった。そんじゃ、こっちはこっちでインタビューの準備とかもしないとな……。なんて答えるか……あ、そうか台本でも作ればいいのか」

 

 俺は、メールで事前に送られていた質問内容についてを確認して模擬的な質問への答えを書いておいた。

 一応、深堀されるのも対応済みだ。

 

「スカイ、これを読んでみてくれ」

 

「はぁ……。あばばーべべべげちょげげげ……ってなんじゃこりゃああ!!!」

 

 スカイは俺が渡した紙をぐっしゃぐしゃにした上にまた広げてびりっびりに破いてゴミ箱にぶちこんだ。

 

「あっはっはっは!! 最っ高……!! くくっ、いやー今のスカイは本当に……ごふぁ!!」

 

「私をっ……なんだとっ……思ってるんっ……ですかあ!!」

 

「せ、セイちゃん……ちょっとやりすぎ……」

 

 めっちゃ蹴られてる。俺めっちゃ蹴られてるから!!

 

「いったぁ……。今回ばかりは三途の川でサンズが「おいらと来ないか?」って誘ってた」

 

「……お兄ちゃんのメンタル、凄いね」

 

 だいぶ引かれてない? 俺、カレンチャンに引かれてるよね。

 

「そもそも、トレーナーさんに作ってもらうのがおかしな話なんですよ。それくらい、私が準備すればいいだけの話です」

 

 いや、全くもうその通りで。

 

「ぐすっ、スカイがいじめる……」

 

「あはっ。今のトレーナー、ちょっとだけかわいかったかも! よーしよし、セイちゃんは悪い子だねー」

 

「ちょっとー、なーにトレーナーさんを甘やかしてるの?」

 

「別に甘やかしてるわけじゃないよ? 私はただ、かわいいものが大好きっていうだけ。勿論、セイちゃんも……」

 

「うわぁ! 言わなくていい、言わなくていいから!」

 

 形勢逆転……? だろうか、なんか、本格的に侵食され始めている気がする。もう止められない止まらない。

 まあ、スカイが押されてるのを見るのは退屈しないし、これはこれでありだな。




そういえば、前のピックアップで理事長代理何とか2凸……石全部使い果たしました。
当分貯金にまわりますか。

読んでいただきありがとうございます。
感想、評価ありましたらよろしくお願いします。
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