蒼天を駆ける野球バカ   作:FAKE MEMORY

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野球、キャンプも始まったんでまた今年が始まるって感じになってきました。
プロ野球ファンってなると、ほっとんど野球中心で生活が回るんですよね。


野球式コミュニケーション

「おーい! セイちゃんのトレーナー!」

 

 グラウンドで残業もといスカイたちの練習を見ていると、トウカイテイオーが声をかけてきた。

 

「なんだ、サボりか?」

 

「違うよ。今日、練習早めに上がるからさ。一緒にキャッチボールしようよ! トレーナー、野球上手いって聞いたから楽しみだったんだ」

 

 誰がバラしたんだ……? あれ、俺が野球経験者って知ってるやつ誰がいたっけか。

 スカイだけだよな。となると……まあ、別にバレたからまずいとかそういうことがあるわけじゃないけど。

 

「そうだな、ならやって見るか。トウカイテイオーって野球好きなのか」

 

「好きだよ。ほら、ボクたちって普段走ってばっかりでしょ? 1番好きなのは勿論走ることなんだけど、たまーに腕を使ったりすると息抜きに丁度いいんだ!」

 

「なるほど、確かにそんなのもありだよな」

 

 いくら好きでやっているとは言っても、そればっかりやってると精神的にも段々と来るものがある。

 別のことをして息抜きする時間を作って、それでまた明日の練習に備える。それがまた結構大事なんだ。

 そこら辺で考えるとスカイは強いよな、釣りが趣味で休日はのんびり釣りをして休むってなればいいリフレッシュになるだろう。

 逆に心配になるのはカレンチャンか……。カレンチャンはちょっとストイックすぎる節がある。かわいいには一切手を抜かないし、それはたとえ練習であっても変わらない。しかも、ウマスタの更新は欠かせないしで毎日忙しいのではないだろうか。

 俺的には、コソコソ自主練をハードにやっているんじゃないかとか疑っているくらいで、そこら辺ちゃんと見ておかないと取り返しのつかないことになりそうだ。

 そういえば、トウカイテイオーが遂にチームに入ったらしい。あんなに渋ってたのに、案外すぐ決まるもんだな。

 

「それにしても、トレーナーってあまり練習させないよね。普通、他のチームとかなら夜までみっちり練習詰め込むのに、トレーナーは今日くらい早く上がるのなんてほとんど珍しくないでしょ? それでいいの?」

 

「ま、これが俺たちのやり方だからな」

 

 何故……とかは敵なので言えない。

 まあ、効率のいい練習をこなしているからこそ無駄を省いた分早く帰れるってことだな。

 さらに、余裕があるなら自由時間で自主練するのもよしだ。練習してくれるなら教えなくてもいいこと態々ここでやんなくてもいいよねっていう。結構、このシステム上手く回ってると思うんだよね。

 言うてもスカイが偶然上手くいったってだけだけど。

 

「ふーん。あ、そういえば粉落とし飲んだよ。なんか、ジャリジャリしてた!」

 

 そりゃあれだけアラザンやら入ってたらジャリジャリするよな。

 

「はちみーって他にも頼み方があるみたいでさー、今度一緒に頼みに行こうよ」

 

 ほう、なんでかは知らないけど俺ははちみーファンみたいなイメージが付いちゃってるみたいだな。あんまり宜しくない。あんなのに付き合わされてたら本当に糖尿病になりかねない。

 が、断る訳にもいかない。

 

「まあ、そのうちな」

 

「やったー!」

 

 グッバイ俺の尿酸値。

 

「……あれあれ? テイオーはもしかして偵察?」

 

 クールダウンを終えて、スカイ達が練習から帰ってきた。

 

「ち、違うよ! ボクはトレーナーと遊ぼうと思って……」

 

「トレーナーさん、今日の練習はいつもと比べて更に上がるのが早かったような……」

 

「それも偶然だな……なんだよ、スカイ怒ってるのか?」

 

 心做しか笑顔が怖いんだが。

 

「どうして怒る必要があるんですかー? 全くトレーナーさん、本当全く……ですよー」

 

 何その意味ありげな『全く』!? 怖いんだけど、何が全くなの!?

 

「カレンチャン、押さえ込んでて」

 

「えー? そんなことしたら、セイちゃんが怒っちゃうよ……」

 

「ぬぅ……」

 

「もしかしてボク、選択を間違えた……?」

 

 不穏な空気を察したトウカイテイオー。

 うん、今回ばっかしはタイミングが悪かったな。

 もしくは、約束だけ取り付けてさっさと先に帰ってればよかった。そうすれば、何も起こらず平穏にいけたのだろうな。

 だが安心してくれ、俺には超有能な必殺技がある。なんて言っても、あのスカイに通用する必殺技だ。

 

「脱兎ッ!」

 

「あ、待ってよトレーナー!!」

 

 トウカイテイオー、さすがウマ娘……俺に簡単に追いついてくるとは……ってあれ、スカイが追いかけてこないな。

 と、後ろを見てみるとちょっと寂しそうなスカイが。うん、調子狂うなー……なんか、どうしたんだ最近のスカイは。

 カレンチャンが来てからというもの、なんか変な感じだ。カレンチャンと話してるとなんか機嫌悪そうなのを必死で隠してるように見えるし、今なんか完全に負のオーラダダ漏れだったし。

 

 ふむ……まあ、1人2人人数が増えてもキャッチボールは面白いよな。

 

「スカイ! すぐグラウンドこいよ! 待ってるから!」

 

 ピクっとスカイの耳が動いた。

 距離は離れているが、ちゃんと届いているだろう。ウマ娘の耳は相当いいはずだからな。

 

「てことだけど、トウカイテイオーは問題ないか?」

 

「うん! 遊ぶなら人が多い方が楽しいよね!」

 

 うん、この子は偉い。

 

◇◇◇◇

 

 最近、キャッチボールが出来るような公園は少なくなっている。

 元々野球グラウンドがくっついていて、それが無料開放されているのなら別だが、基本的にそういう公園はごく僅かでどこも野球……どころか場所によってはサッカーだとか他の球技も禁止しているなんてとこがあっても不思議ではない。

 理由は簡単で、ボールという、体から離れてしまえばコントロールの効かなくなるものを使うのが危ないからだ。

 だから、無許可でグラウンドを借りてキャッチボールすることにした。

 

「ということで無許可でグラウンドを借りることにしましたとさ」

 

「ボク、それ借りたって言わないと思うんだけど気のせいかな」

 

「気のせいじゃない。だが安心しろ、トレーナーが混じっている以上悪いのは全部トレーナーだ。全部、トレーナーのせいだ」

 

「そんな、冬のせいだみたいに言われても……」

 

「嫌なら全部トウカイテイオーのせいだってルドルフさんに言っとくけどいいか?」

 

「ワケワカンナイヨー!! ダメに決まってるでしょ!?」

 

 バシッバシッと、トウカイテイオーがグラブにボールを当てている。

 流石ウマ娘はいい音鳴るな。文字通り馬力が違う。

 

「トレーナーさん、セイちゃん……グローブ持ってないんですけど」

 

「俺のあるから貸すよ」

 

 ひょいっとグラブを投げて、スカイが受けてる。

 それをマジマジと見つめるスカイ。そんな珍しいものでもないのだが。

 

「なんか汗臭い」

 

「言うなよ傷付くだろ」

 

 一説では人が1番傷つく言葉は馬鹿とかうんことかじゃなくて臭いらしいからな。うんこは別に言われても傷つかないか。

 不思議なことにお前うんこみたいだな、うんこうんこ〜はガキがちょっかい出してるだけみたいに聞こえるけどお前ウンコクセェ……は普通にイラッとくる不思議。

 

「カレンチャンは来なかったのか」

 

「配信があるってさー。あの子も大変みたいですよー?」

 

 ふむ……今からでもって思ったが、まあ無理に呼ぶのは良くないか

 

「取り出したは最新の軟式球……初めて使うんだけど面白いなこれ」

 

 流石に無許可な上に未経験者に硬式なんて使えない。

 家には古い軟式球はあったのだが、いつの間にか試合球が別のものに変わっていたらしく、せっかくだしこっちを買ってきた。

 

「んじゃ、早速始めるか」

 

 ぽーんとゆっくりな放物線でトウカイテイオーに飛んでいく。それが今度ビシッと強い球で返される。

 

「ボクはもっと速くても取れるから、遠慮しなくていいよ!」

 

 慣れてるな。てか、これ未経験者の女子が投げる球じゃねぇ。女子プロもびっくりな快速球だ。

 

「私はー……あまり慣れてないので。軽く投げてくれるとありがたいですねー」

 

「分かった」

 

 またゆっくり投げてスカイがボールを目とグローブのふたつで追いかけて取る。

 取り方は確かに、初心者……って球が速い!? 

 

「おい、お前ほんとに初心者かよ」

 

「やだなー。慣れてないって言いましたよ? やるの初めてですから」

 

 初めての投げ方じゃないんだよなぁ……。

 

「なら、なれたらちょっとずつ離れてみるか」

 

 果たしてウマ娘は初心者でどのくらい遠投ができるのか、ちょっと楽しみになってきた。




キャッチボール出来るとこほんっとに少ない。
今はキャッチボールする暇がないって言うのが本音ですけどね。

読んでいただきありがとうございます。
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