蒼天を駆ける野球バカ   作:FAKE MEMORY

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すみません……更新遅れました。
最近コロナの猛威が凄くてですね……ついに仕事場ギリギリまで攻め入ってきましてね。
代役代役でバ車ウマの如く働いてます。多分これからもそんな感じが続くので、更新遅れるかもです。
因みに主人公が馬の字を使うのは元の世界に馬がいたからっていうのでそのまま使ってます。


野球式コミュニケーション2

 少しずつ離れるにつれて、放物線もゆっくりと高くなっていく。

 ウマ娘だからなのか、動体視力が凄いな。スカイは割と限界が見えたし手加減して放ってるのだが、トウカイテイオーに関してはビシッと弾道を低く投げても当たり前のように取って、それで普通に強い球を返してくる。

 なんかこう……ここまでマジマジと能力の差を見てしまうと……なんか自信なくなってくるよな。

 俺、まあまあ野球上手い自負はあったんだけどなぁ……。俺、やっぱそんなに上手くないのかな……。

 

「うわぁー……トレーナーナイスボール!! この距離でバウンドしないのすごいねー!!」

 

「ま、一応経験者だしな!」

 

 遠く離れてる分、向こうからは叫ばないと声が届かない。こっちはそんなに声張らなくても向こうには聞こえてるんだろうがな。

 おっと、忘れていたがあんまり普段使わない筋肉を使い過ぎると肩肘のハリの原因だからな。

 ちょっと楽しくなってきたところだが、向こうのことも考えないとな。

 

◇◇◇◇

 

「わお……」

 

 なんとなく、私が参加することになったキャッチボール。

 走ること以外に運動はやってなかったし、そんなに興味があるっていうわけじゃなかったけど、やってみると意外と楽しい。

 それにしても、前見た時よりトレーナーさんの野球をやってる時の風格が変わってきてない?

 前とは言っても、トレーナーさんは研究所に行く度に野球して遊んでいるみたいだし、そんなに期間が空いているわけじゃない。

 ただ、それだけ何度も見ていると、振り返ってみた時にトレーナーさんの雰囲気の変化にびっくりする。

 トレーナーさん……一体何を目指してるの?

 

「それぇー!!」

 

 テイオーちゃんも投げるのがすごく上手い。私は山なりでしかも最後コロコロ転がってようやく届くくらいだけど、テイオーちゃんはワンバウンドもすれば届いてしまう。

 私は釣りくらいしか……というか釣りばっかりしていたからそれ以外はほとんど出来ない。

 テイオーちゃんは運動なら何でも得意だし、初めてでもなんだかんだ出来るようになるし、そういうところは羨ましい。

 

 今度は私の方にボールが飛んできた。

 手加減して投げてくれるとはいえ、距離は離れてるしボールは高い放物線で向かってくる。

 何度かバウンドしたとしても、ちょっと早いから怖い。

 でも、こうしてキャッチボールするのは楽しい。釣りとは違ってずっと体を動かしてるけど、でもちゃんとのんびり出来て日差しも心地いい。

 ……やっぱりちょっと昼寝をしたいかもしれない。

 

「セイちゃんは最近どう? 練習は上手くいってる?」

 

 むむ……スペちゃんと同じチームになったテイオーちゃんがそういう質問をしてくるなんて……もしかしてスパイ?

 テイオーちゃんに限ってそんなことはないか。

 

「まあまあかなー。本当に、可もなく不可もなくっていう感じ」

 

 調整は上手くいっていると思う。

 タイムもしっかり出てるし、フォームがしっくり来ないだとか、そういう違和感も特にない。

 しっかりと練った計画どおりに動いてくれている、最悪を想定した代案も用意してある。だから、絶好調過ぎるだとか調子が悪いとかはない。

 

「そうなんだ! スペちゃん、セイちゃんに勝つって張り切ってるから、そうなると相手に不足なしって感じだね」

 

 ほうほう、スペちゃんは調子がいい……と。

 なら、やっぱり気を付けるべきはスペちゃんかぁ。

 

「セイちゃんは皐月賞を目指すんだよね。てことは、やっぱり三冠狙ってるんだよね?」

 

「うーん、まあそうなるかな」

 

「ならボクと同じだ! ボクはね、カイチョーみたいな無敗の三冠ウマ娘になるのが夢なんだ!」

 

 知ってる。トレセン学園なじゃ知らない人はいないんじゃないかっていうくらい話が広まってるし、本人も何度も何度も言っている。

 本当に、この子とはレースが被らなくてよかった。こんな天才と一緒にいたら、たとえスペちゃんだったとしても敵うはずがない。

 実はセイちゃんの心は燃えているとか、そういうことではなく、本音だ。

 無敗のウマ娘……この子なら本当になっちゃうんじゃないかな。

 

「セイちゃんも、今のところ無敗でしょ?」

 

「まあ、まだ重賞走ってないけどね」

 

「でも、無敗ってことはまだ可能性はあるってことだよね!」

 

 それは……あんまり意味は分からないけど、要するに私に無敗で三冠を取れと?

 無理無理、ただでさえ三冠は難しいし、そもそもレースだってそれだけしか出ないわけじゃない。他にもいくつかレースは出る。それで、1度も負けずに三冠を取るなんて……もう神の領域なんじゃないかな。

 いや、神だね。生徒会長なんて、もうカリスマってるからね。

 

「でも、そうはさせないよ? なんて言っても、スペちゃんもすごい強いからね! 弥生賞はスピカが貰っちゃうから!」

 

 弥生賞なら……譲っちゃっても構わないかな。

 でも、皐月賞は絶対に渡さない。

 ……いや、違う。これは私の本音じゃない気がする。

 やっぱり、負けず嫌いはいつまで経っても治らないものですなー。弥生賞も、絶対に譲りたくない。

 勝つのは私だ。次のレース、本気で走るなって言われてるけど……それでも1番になってやる。

 私は、今日一番に力を入れてボールを放った。

 

◇◇◇◇

 

「さっすがウマ娘の球威は凄いかったな。もう阪神もびっくりな脳筋ゴリッゴリのゴリラパワ……ぐふぅっ」

 

「まさか、こんなところで喧嘩を売ってくるとは思いませんでしたねー」

 

 いや、でもこの球威はほんとに……おっと睨まれてしまった。これ以上おちょくるのはやめておくか。

 キャッチボールを終えてみての感想は、まあさっき言った通りだ。ウマ娘の出力はどうやらレースに限らず様々なスポーツにも適用されると。

 まあそうは言っても、初めてのキャッチボールで取り方が変だったりボールをちょっと怖がったりと、そこら辺の反応は変わらないらしい。

 キャッチボールしてて忘れそうになるけど、一応女の子だもんな。そう、一応。

 おっと寒気が。

 

「ボク、これだけ痛い目にあってるのに懲りない人、初めて見るよ」

 

「ハッ、懲りる懲りないじゃない。――やるか、やらないかのどっちかなんだ」

 

「いい事風に言ってるけどそれわけわからないからね!?」

 

 知ってる。俺も言っててよく分かんなかった。

 

「本当に、色んなトレーナーがいるんだね。特に変なトレーナー。ボクのトレーナーはスペちゃんの太もも触ったりしてたし」

 

「それこそ訳分からないだろ」

 

 そういえば、いいトモしてんなーってのは筋肉がしっかり付いてて速く走れそうっていう意味じゃなくてエロい意味で言ってるのか?

 いや、そんなわけないか。多分、そのまんま速く走れそうかどうかを自分の感触で調べるとかそんなとこなんだろうな。

 変態だよ。

 エロい意味を持たせないで太ももを触ってくるのが逆に変態だ。なんだよ、馬と混同してんじゃねーか。この世界の人権は一体どうなってるんだ。

 なるほど、性欲のない聖人も行き過ぎると奇人変人なわけだ。

 

「おや〜? もしかして、トレーナーさん。私でちょっと想像してました?」

 

「ヴェ!? もしかして、ボクのトレーナーと同類?」

 

 同類? てめぇぶっ飛ばすぞ。

 

「誰が雑魚で想像……ああ痛い!! 痛い痛い!!」

 

 頭グリグリしないで!!

 

「本当、2人は仲良いね。トレーナーと友達の距離感か……それ、案外悪くないかも」

 

 おい、いい感じに締めようとしてるんだろうけど全然いい感じじゃねぇからなこっちは!!

 ふぅ……どうやら、トウカイテイオーの言葉のお陰でスカイは解放してくれたらしい。

 トウカイテイオー、お前最高の締めだよ。

 

「……私はヒラメですから」

 

「は? なんだそれ」

 

「だってさっき……いや、やっぱりなんでもないでーす」

 

 スカイ、お前ヒラメはマジ訳わかんないよ。




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