蒼天を駆ける野球バカ   作:FAKE MEMORY

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いやぁ……最近えらく忙しくなってきました。
まあ、忙しいことはいいことって言いますもんね。大変ですけど頑張ります。
合間合間で投稿していこうと思います。


今度はこっちかよ

「お兄ちゃん、セイちゃんとのキャッチボールは楽しかった?」

 

「んなもん楽しいに決まってるだろ。俺にとって野球が生き甲斐、野球が人生だからな」

 

「ウマ娘の育成はどこに行ったんですかねー……」

 

「クシャっぽいってした」

 

「しないでくださいよ!?」

 

 いや、勿論俺なりに全力は尽くしてるよ?

 でもさ、高校野球に命掛けてた身としてはさ、突然放り込まれてなんだかなぁって思うんだ。

 

「セイちゃんはどうだった?」

 

「なんか、新鮮な気分だよねー。友達みたいっていうか、やっぱり三浦トレーナーだからこそっていうのを感じたかも」

 

「良いコメントだな。そう言ってくれて俺も嬉し……痛い、カレンチャン? ちょっと腕つまむのやめてくれないかな」

 

「カレン、なんのことか分かんない。……私も配信なんて休んで行けば良かったなぁ」

 

 痛い、そろそろ離してくれても良くない? なんでまだ摘んでくるの? マジ、ちぎれるよ。

 

「……カレンチャン、そろそろ離さないと俺が「そうかそうか、君はそういう奴だったんだな」って言う羽目になる」

 

「それは……カレン泣いちゃうからやめて欲しいかな」

 

 なんなら今涙目だもんな。ごめんね。

 

「……って言っても離してくれないのは何でなのかな」

 

「……しらなーい」

 

 ……赤通り越して紫じゃない? 壊死しない? 大丈夫俺の腕。

 

「辞めなかったらクビな」

 

 流石にイララっと来たのでそう言うと潔く離してくれた。

 とはいえだな……紫なんだよなぁ……。どうしてくれんのかな。

 

「……」

 

 カレンチャンは無口。てか、なんか顔見てすぐわかるんだけど完全に拗ねている。

 こんなわっかりやすいのそうそうないよ?

 

「スカイ、どうなんこれ」

 

「……黙秘します」

 

 つまり、俺に気付けと……そう言うんだな?

 そう言われても、俺わかんないよ? 野球しかやってこなかったやつには分からないよ?

 

「デビュー、控えてんだけどなぁ……」

 

 スカイの次はカレンチャンかよチクショウ!!

 なんのせいでこんなめんどいことになるの? 俺の担当は一体何が起きてるの!? 誰か助けて? 助けてくれない? うん、分かってた。

 つまり、自分で原因を探せと……分かった分かりましたよ。

 まあ正直言うけど原因なんて絶対わかりそうもないんだ。

 だから、少なくとも機嫌を治す方法くらいは考えないとな。またキャッチボール……は安直すぎだし、なんかもうひと捻りするくらいの何かが欲しいな。

 

◇◇◇◇

 

「ていう経緯があって呼んできたって感じかな? 今ので分かったかいトム……じゃねぇマヤノトップガン」

 

「何を間違えたの……?」

 

 取り敢えずトレーナー室に呼んで、カレンチャンが普段どんなことするのが好きなのか聞くことにした。

 流石に拗ねてる人に直接聞いても答えてくれるわけないからな。こういう時は仲良さそうな人に聞いてみるのが1番だ。

 

「ああ、ごめん……間違えるならトムの方じゃなくてネルソンの方がよかったか?」

 

「……マヤ、この人分かんないかも」

 

 理解するんじゃない。感じるんだ。そうすれば全てが見えてくる。

 ……初対面の人に混乱させるのは良くないな。そろそろ本題に入ろう。

 

「カレンチャンって何が好きなんだ?」

 

「カレンちゃんはかわいいものならなんでも好きなんだよ?」

 

 なんで知らないの? みたいに聞かれてもなぁ。

 

「あ、あと……ううん、これは言っちゃ駄目だよね」

 

「おいそれ結構大事なワードなんじゃないか?」

 

 それ絶対知っとかないといけないやつだろ。

 

「でも、これは……カレンちゃんが教えないとダメな事だと思うから」

 

「いや、でもそれっぽく機嫌直して仲直りできるならそれ1番だろ」

 

「本当に言ってる? 仲直りどころか、もうそれゴールインだよ」

 

「……どこに?」

 

 どこにゴールするの? 人生のゴールインってこと?

 ……死んでんじゃねぇか。

 なんでカレンチャンの好きなものを聞いて俺が死ぬの? なに、カレンチャンヤンデレエンドってどういうお笑い?

 いや、死ぬの俺だから笑えないんよ。俺、死んじゃってるんよ。

 どうしよう、これマジだったらカレンチャン意外とやべっぞ。

 

「実はカレンチャンは俺のことが好きと」

 

「……!!」

 

「そしてヤンデレになって俺が殺されると」

 

「はぁ……。今の聞いてたら泣いちゃうよ?」

 

 泣くっていうか、普通に失礼だから怒ると思うんだ。

 

「ねぇ、もう行っていい? 今からトレーナーちゃんとデートなんだけど」

 

「は? デート?」

 

 何言ってんだこいつ、頭おかしいんじゃないかな。

 なんでトレーナーとウマ娘がデート?

 いや、まあそれはなくもないのとなんだろうなとは思うよ?

 でもさ、他の人にあっさり言っていい訳? 一応、トレーナーとウマ娘っていう関係が表にある訳で、暗黙の了解的な何かがあって裏でって感じじゃないの?

 いや、暗黙の了解もクソもねぇよ。俺てっきり部員とマネージャー的なイメージだったけどこれ違うわ。

 先生と生徒くらいのイメージだよ。俺の年齢で考えてちゃダメだ。他のトレーナーみんな大人だし、なんならじっちゃんとかいる訳だからな。

 

「そう。トレーナーちゃんが、マヤのお買い物に付き合ってくれるんだ〜」

 

 マヤノトップガンのトレーナーさん? 良いんですか? オタクのウマ娘、貴方のいない所でめっちゃ惚気けてますよ。

 こんなオープンにしてていいんですか? 大事になる前にどうにかしないと大変なことになりますよ?

 てか、ただでさえ授業サボってここにいるってのにさらにデートって……スカイのサボり癖然りトレセン学園はどうなってんだ? 学級崩壊してないよね?

 

「カレンちゃんのトレーナーも、カレンちゃんとデートすれば良いのに」

 

 何そのデートすれば良いのにって。

 悪いOBの人が来た時の「一本吸ってみる?」みたいなノリあんまり好きじゃないんだけど。

 あー……めんどいこと言った。

 これは未成年の喫煙を助長しているわけじゃありません。また、タバコは他の人の迷惑にならないように吸いましょう。

 よし、これでいいだろう。

 

「なんか、いつまで経っても進まなそうだから、マヤが送っちゃうね」

 

 業務連絡をスマホですまそうと思って弄ってたらマヤノトップガンにひょいっと摘んで取られた。

 

「あ、おいやめろ」

 

 何とかして取り返そうと試みるが、ウマ娘の反射神経に勝てるはずもなく、上手く手をすり抜けながらポチポチとスマホを打っていた。

 

「えーっと。『カレンちゃん、ボクをデートに連れてってほしーなー!』よし、これで送信!!」

 

 おい、それ絶対俺じゃないってバレるだろ。

 てか、俺の一人称はボクじゃねぇ。その文面的にもテイオー味が強すぎるだろ。

 てか、テイオーは絶対そんなこと言わねー……いや、生徒会長相手なら無くはないか。

 

『カイチョー!! ボクをデートに連れてってよ! 今日さー……』

 

 微笑ましいことこの上ない。

 背伸びしようとしてる感が凄い。

 

「あ、電話掛かってきたよ。カレンちゃんから」

 

 待てカレンチャン、お前も授業中だよな? なんで即掛けてくるんだ?

 とはいえ、出ないわけにはいかないよな。

 

「もしもしドナルドです……あいったぁっ!!」

 

「なんでだろう、電話越しでも何が起こったのか分かっちゃう」

 

 残念ながらそれは分かったふりだ。隣にいるのはスカイではない。

 スカイは珍しくまともに教室にいる。授業を聞いてるのか夢の世界でのんびり釣りをしているのか……後者だろうな。

 

「で、カレンチャン。どしたの?」

 

「さっきトレーナーが送ってきたやつ。カレン、きになっちゃって……。どうしたの?」

 

「んにゃ、なんとなくだよ。暇だし、カレンチャンとなんか出来ればって思っただけ。キャッチボール参加出来なかったしさ、穴埋めみたいで申し訳ないけど……」

 

 なんて言ってみると、結構評価は良かったようで、マイクを伝う息使いが少し嬉しそうに感じられた。

 

「本当? カレン楽しみにしてるから!」

 

「ん? ああ、楽しみにしててくれ」

 

 やけにテンション高かったなぁ……。そんな楽しいものなのかは分からないが、取り敢えずご機嫌取りは出来たようでよかった。

 授業中なのでそんなに長く話すわけにもいかず、二、三言話して電話を切った。

 

「……なんで上手くいったんだ?」

 

「カレンちゃん……本当に可哀想だよ。なんでこの人だったんだろ」

 

 え、ちょっと待てそれ意味は分からないけど酷い言い草だな。




読んでいただきありがとうございます。
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