あなたが(ウマ娘)がコラボするからです……!!
覚悟の準備はしてきました!!
はちみーを買います! クリアファイルも問答無用で貰いに行きます!!
……まあそんな感じです。初日は忙しかったんでスルーしました。
「3日連続でサボってるんだが」
弥生賞まで残りわずかってのに、ここに来てスカイのサボり癖が始まってる。
いや、普段からちょこちょこサボるからサボることは珍しいことでもないんだけどさ。流石に3日連続で訳の分からない理由つけてきたら怒るよ。
どこどこに魚影が……とか、ビッグウェーブに乗るしかないとか……。まあ、自由にやらせてるっていうのもあるし、スカイはなんだかんだ練習してるだろうから止めはしなかったけどさ。
「そろそろ見に行くかぁ……」
「お兄ちゃん?」
「ちょっと、スカイの様子見てくる。カレンの方がレース日程的には先だし、このままメニューどおり練習しててくれ。終わったら自主練するなり帰るなりしてくれればいいから」
「えー……カレン、お兄ちゃんと一緒がいいな〜」
と、急接近してくるカレン。
「汗かいてんのにベタベタすんじゃねぇ。いいか、カレンには最初から時間が無いんだ。お願いだから、練習時間くらいはちゃんとしててくれよ」
「大丈夫! カレン、気は絶対に抜かないから。また走ってくるね!」
うん、頼むからそのままでいてくれよ。
「あ、カレン。あともうひとつ……もし俺を探してる奴がいたら、さっきまではいたけどスカイが来ないのを見兼ねてガチ切れで家に帰ったって伝えといてくれ」
「え? お兄ちゃん、帰ってこないの?」
「帰ってくるけど……これは絶対だからな。破ったら一生デートなんてしねぇ」
「ええ!? うーん、なんだか分からないけど。お兄ちゃんがそういうなら、そう伝えてあげるね」
「頼んだぞ」
やるなら徹底的にだ。
スカイの考えは読めている。なら俺も精一杯乗らせてもらう。仕込みと仕掛け……スカイだけで足りないのであれば、付け足すまでだ。
とはいえ、今回は無断でやりすぎなんだよなぁ。
◇◇◇◇
カチ、とストップウォッチのボタンを押した。
「まだこれじゃ駄目……」
私は、トレーナーさんに釣りに行くと言って大きな運動場に来ていた。
トレーナーさんには何度も何度も1着でなくてもいいって言われたけど……やっぱり私は8割で走ったとしても1着を取りたい。
八割っていうのも、ただ力の入れ方を八割というわけじゃない。そもそも、八割って言うのは感覚的な話で、本当に八割になるわけじゃないんだけどね。
レース運び、作戦の完成度、状況確認、全てを八割、調整程度に済ませてその上で1着を取らなきゃ……スペちゃんに一生勝てずに終わってしまうかもしれない。
今のタイムだけを見れば、勝ち目はある。だけど、今は私ひとりで走っていて相手は誰もいない。その状態でこのタイムというのを考えると……厳しい。
多分、トレーナーさんも同じことを考えるはず。
「仕込みと仕掛けだけは本気だから、それに掛けるしかないのかなぁ」
今回の手札は初めての重賞だからこそ使える手札だ。
1度きりしか使えない手札なら、やっぱり勝ちたいでしょ?
「――ほぼほぼ初めましての状態でのレース。このレースで初めて、お互いを調べ始める。調べて見たら、レース直前に突然練習をサボり始めた。そして、業を煮やした新人トレーナーは、もうやってらんねーと家に帰ってしまいましたとさ。めでたしめでたし」
私の何度も何度も聞いた声。
もうそろそろここを嗅ぎつけるんじゃないかなぁ……って思ってたけど、ほんとに来ちゃいましたね。びっくり。
「スカイ、今台本はここまで進んでるんだけど。続きはどうする?」
「そうですねー。なら、こんなのはどうです? てっきり内部崩壊をしたと皆が思っていた。だが、本当はそうではなかった。セイちゃんは……裏で地道なトレーニングを日々積み重ねていたのでした!」
どやぁ。あと、さりげなくトレーナーさんにはサボってなんかないっていう報告。これが大事です。
「そして、それを知ったトレーナーはそのウマ娘に便乗。タッグを組んで最後の追い込みを始める。しかし……現実は非情で「――ちょちょちょっと待ったぁ!!」うん?」
「トレーナーさん! それ、ダメですよ負けちゃってるじゃないですか!?」
なんでトレーナーさんはいい雰囲気に水を差すかなぁ!?
台無しだよ! せっかく積み上げてきたものが全部台無しになってるよ!
「なんだよ、盛り上がる展開だろ? 心をぐっと掴む展開だろ?」
「心をぐっと掴むバッドエンドなんですよ!」
こっちは勝つために練習してるの! 集中を邪魔しないで欲しいです!
「ごめんな、俺、受験シーズンの時も自ら消しゴム落としに行く主義の人間だからさ。そんで、『わー! 消しゴム落ちたぁ!!』とか叫んでた人間だからさ」
「最低だよ!?」
何その最低な性格は!
「因みに中学受験の時かな? それで隣の女の子にガチ切れされてさー。マジ殴ってやろうかと思ったのよ。でもその人、試験中消しゴム落として分からなかった問題を偶然隣の人が解いてるのを見て……見事受かったと」
「カンニングだよ!? その女の子も性格悪いですね!」
「それから俺は勝利の神として崇められたんだよね。その時のあだ名が『秘技消しゴム落とし』って名前」
「まんま!! トレーナーさんも小学生の時はちゃんと小学生してたんですね!」
小さい頃のトレーナーさんをしれてちょっと嬉しい。嬉しいけど、なんか残念な過去を知ってしまった気がする。
「消しゴム落とした時に閃きが〜なら分かるんですよ? カンニングって、ガッツリ不正行為じゃないですか。不正で入学してますよその子」
「落としたら閃くってニュートンかよ。万乳引力ってやつだな」
「よくそんな発想を……ん? なんて言いました?」
「……いや、なんでもない」
まてまてまて。今絶対良からぬ言い方したでしょ。えちぃ何かを口走ったでしょ。
ダメですよトレ……。
…………。
…………。
…………。
……もしやトレーナーさん、私に喧嘩売りましたね?
「私、ない訳では無いですから」
「何が? 頭のネジ?」
「殴りますよ」
「うんごめん」
むぅぅぅぅぅ!! なんなのトレーナーさんの態度は!!
毎度毎度飄々としながら平気で弄ってくるし、たまに結構酷いこと言ってくるし! 私だって傷つかないわけじゃないんですからね。
そもそも、傷つかないんだったらトレーナーさんを蹴ったりしないし。
「まあ、そんなことはいいや。どう? 練習は進んでる? 今のタイムでどれだけやるのかってところが気になるんだよな」
やっぱり、トレーナーさんもそこが1番気になるよね。
答えなら、もう決まってる。
「トレーナーさん通りの順位以内だったら大丈夫だと思うけど……、1着は取れるのかどうか」
「まあ……そんな感じになるよなぁ。でも、1着になるかどうかなんて気持ち次第だろ」
「えー? 今まであれだけ理論派だったのに、今更根性論ですか?」
「ちげーよ。8割だと分からないって言ってるのなら、本気で走れば1着になれるんだろ? それなら、最後に1着取れるかどうかなんて気持ちでいくらでも変わるだろ」
う……ん? もしや、トレーナーさんは別に本気で走っても構わないと、そういうことを言ってる?
いや、少し違う。それなら、こんな回りくどい言い方なんてしなくてもいいはず。だから、8割で走れっていう命令は継続した方がいい。
なら……今の言葉は一体。
「言っとくけど、今の言葉は考えたって仕方ないからな。むしろ考えたら考えただけ遠回りになる。今言った言葉を全て無かったことにするのが一番効果があるかもな」
「それなら、何も変わらないのでは?」
「そうだな、何も変わらないかもしれない。まあ、なんだ。ヒントを与えるとするなら……ほら、8割りで走るってなれば重賞とはいえ余裕はいくらかできるだろ? なら、その余裕を何に使うのか考えてみるといい」
……分からない。トレーナーさんは一体、私に何をしろと……?
もういいや、トレーナーさんに言われた通りヒントだけ貰って、後は全部忘れよう。
気の向くままに、ローペースで、そうですよね?
牛丼のM屋行くと忘れちゃいますね。
別に贔屓はしてません。S屋もY屋も行きます。クーポンがあっただけです。