蒼天を駆ける野球バカ   作:FAKE MEMORY

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ガッツリ喉をやってぐったりしてました
原因は不明です。
取り敢えず治ったんで1話だけ。


マックイーン大興奮事件

「親の顔より見た研究所」

 

「……トレーナーさん、実際そんな見てないですよね」

 

「いやでも個人的に行ったりもするからさ、まあなんだかんだ見てるかもしれない」

 

「ちゃんと親孝行してくださいね」

 

 いやでも本当に親の顔より見てるんだよなこれが。

 そもそも、俺はこの世界の親を知らない。ここに来て俺自身は何も変わってなかったし、恐らく親も同じなんだろうけどさ。

 まあだから、親孝行言われてもその通りですねとしか言いようがないんだよな。

 あれ……じゃあ俺の爺ちゃんも会おうとすれば会えるわけか。いや、でもやめとこう。贔屓球団の監督への愚痴を聞くのはもう飽きた。

 

「ここが……スカイさんとカレンチャンさんの強さの秘密……」

 

「まあ、ここには相当世話になってるな。ここには本当に世話になってる」

 

「どこかで聞いた文章の羅列ですわね」

 

 小泉構文ってか? うるせぇわ。

 

「いやー。セイちゃんも最初は不安だったけどー……今となっては親よりよく見た研究所って感じですなー」

 

 やっぱそうだよな。ツッコミながらも結局そうなるんだよ。

 

「……この方たちは一体、普段どんな生活をしているんですの?」

 

 どんな生活って言われても普通の生活だろ。ご飯食って仕事して帰って風呂入って寝る。たまに遊ぶ。しっかりトレーニングする。

 それ以外何があるってんだ。

 てか逆に普通じゃない生活って何? 自給自足的な感じか?

 

「普段、ここでどのようなトレーニングをされるのですか? フォームのチェックというのは分かるのですが、事前に内容は知っておきたいと思いまして」

 

「ああ、まあ動作をデータ上に落とし込んで数値化したりして現状の弱点を洗い出す。それは、ここでロスが生まれてるとかここに負担が集中してるとかそんなところかな。で、理想はこのような数値ですみたいな感じで説明されて、じゃあどういうイメージの走りが1番近いのかってのを探り探り探したり、理想の動きに見合うトレーニングを教えて貰ったりする」

 

「かなり高度なことをされているのですね……」

 

「まあ、この施設は基本プロが使うものだからな。いわゆるスポーツで飯を食べる人っていうのは、それだけ細部までこだわり抜いて完成度を目指すってことだ。流石にそこまでやれとは言わないけど、自分の管理くらいはきっちり出来るようにならないとな。できるか?」

 

「当たり前です。メジロ家たるもの、常に上を目指しその名に恥じぬ結果を残さなければいけませんので」

 

 その意気はよし。とはいえ、なんかちょっと1人で抱え込みそうで怖いところはあるな。

 

「りょーかい。んじゃ俺は別行動になるから、スカイとカレンはマックイーンの事よろしく頼むな」

 

「え? トレーナー、ちょ……」

 

「りょーかいでーす」

 

「よーし、カレン。お兄ちゃんのために張り切っちゃうぞ☆」

 

 カレン? マックイーンのために頑張ってくれよ? 俺のために頑張ってもなんも意味ないから。

 

◇◇◇◇

 

「行っちゃいましたわね」

 

 また……またトレーナーはどこかへ行ってしまいました。

 本当に、自由人というかなんというか……私への配慮が何もありませんわ。

 

「まあ、トレーナーはいつもの事だから。特にここでは私達のこと、ほっとんど見てくれないよ?」

 

 本当にそれでいいんですの? 今チームとして活躍されてる方達は徹底的に管理されていたり、ウマ娘の目線になって寄り添って考えてくださったり……精一杯動こうとしてくださる人がいるというのに、この方は、本当に……。

 

「カレンも確かに寂しいなーって思うかな。でも、お兄ちゃんも何も考えてないわけじゃないと思うし、私はこれでいいと思ってるよ」

 

「そうですの……」

 

「ほらー、時間ないんだし早く準備するよー」

 

 スカイさんはせかせかと動き始めました。

 普段のんびりしているというのに、この場所に来てからはそのような素振りが感じられません。

 それどころか闘志すら感じられます。ここに来た時点で、スカイさんに何かしらのスイッチが入ったということでしょうか……それだけ、ここでの練習が重要になるということなのでしょう。

 私も、集中しなければいけません。トレーナーにばかり振り回されていては、見えるものも見えなくなってしまいますから。

 そして、移動したのは広い芝の練習場。スカイさんいわく、以前よりも設備がパワーアップしているらしいです。

 お相手方もメジロ家の人が来ると聞いていつも以上に張り切っているらしく、設備も大幅に改善したとのこと。

 改善前でスカイさんがあれだけのレースを見せてくれたと考えると、私がトレーニングを開始するタイミングとしては絶妙だったのかもしれません。

 スタッフとの挨拶を短く済ませて、この施設の説明を受け、トレーニングが始まりました。

 

「ここで負担が掛かっているね。ある程度看過できるものなら無視してもいいんだけど……これはそうもいかなそうだな」

 

「怪我……それは、深刻になる可能性が?」

 

「そうだね、ここは私共としても直した方が……安心できると思いますよ。もっと自然に加速し、カーブでも踏ん張れる走り方はありますし。例えば……」

 

 自分のフォームの弱点をいとも簡単に見つけ、すぐに修正案を出してきました。

 それも、かなり的確なアドバイス。勿論、その動きを自然とこなすには時間が掛かりそうですが、それでもデビューまで十分な時間があります。

 そう考えると、やはりここに来てよかったというもの。

 

「ですが……正直理解するのに時間がかかりそうですわね」

 

「分かるよー。私だって、今でも何言ってるか分からないことあるし。それで言うと、カレンちゃんは凄いよね。ちゃんと向こうの人と話通じてるし、伸びもすごい。もしかしたら本当にトリプルティアラ狙えちゃうかもしれないね」

 

 トリプルティアラ……。てっきり、あくまで目標というだけで本気で狙っているとは思ってもいませんでしたが、本当にそちら路線なのですね。

 デビュー戦の短距離はかなりのもの。適正で言えば圧倒的に短距離なはずなのに……。それを実現させようとするトレーナーは一体……。

 

「はっ……!?」

 

「……? マックイーン、どうかしたの?」

 

「い、いえ。何か良く聞き覚えのある音がした気がしたので……」

 

「そりゃー、ウマ娘が走る音は学園でずっと聞いてるもんね。学園とレース場以外の場所で聞くのはちょっと新鮮かも」

 

「は、はい。そうですわね」

 

 いえ、そうではなくて……もっと遠くから……。

 耳を澄ませてよく聞いてみますと、乾いた甲高い音が響いてきます。

 これは、ウマ娘とは全く関係のない音のはず。でもどこか気になります。

 心の底から魂が震え沸き立つような、熱くなる感覚。

 その音がした瞬間、何故か歓声が聞こえていると錯覚してしまう……歓声、乾いた音……何かを打つ音……カキーン。

 

「カキーンですわっ!!」

 

「……課金?」

 

「違います! この音は間違いないはず。このどこかで、誰かが練習をしている……恐らく、これだけの施設ならばアマチュア選手はごく少数のはず……そして開幕前のこのシーズンなら……なら……」

 

 私の直感が……間違うわけがありませんわ!

 

「これは間違いなくプロ! 野球で生計を立てている方々……行かなければなりませんわ!」

 

「どーどーどー、落ち着いてマックイーン。練習を邪魔したらダメだからねー」

 

「でも……でも少しだけ……ほんの少しだけですから、お花をつみに……いえ、小石を拾いに行ってきますわ」

 

「どこの高校球児!? ここ芝、人工芝だから小石拾う必要は無いんだよ!」

 

「あら、スカイさんも詳しいのですね」

 

「……トレーナーがね」

 

 やはりあの方は同志……。

 

「スカイさん、小石を拾いに「ダメだからね?」むぅ……」

 

 仕方ありませんわ。メジロ家たるもの、ここは冷静にちょっとだけ……いえいえ、心を動かさず練習に集中しましょう。




パクパクよりカキーンの方が言いそうな気がしたのでカキーンを使いました。
パクパクは使わないかもしれないです。
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