蒼天を駆ける野球バカ   作:FAKE MEMORY

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すみません……めっちゃ遅れました……。
忙しいっていうのは言い訳に過ぎないですが、忙しいです。県またいであっちゃこっちゃ飛ばされてます笑
時間を作るって難しいことなんだなぁって思い知らされますね。


路線変更

 言った通り、カレンは得意の前めにつく走りは封印し後ろで状況が動くのを待っていた。

 

「カレンちゃん、いい位置に付きましたね」

 

「そうですね。得意な作戦ではないというのに、手馴れていますわね」

 

「へー、あそこら辺がいい位置なのか。なるほど」

 

「「……」」

 

 おい、2人してそのジト目はなんなんだ。やめてくれよ。

 ……まあ、作戦通りかつこの2人がいい位置だと判断するのであればかなり順調と言えるだろう。

 それならば、あとの問題はペース配分と最後のスパート。これは相手の出方を伺う必要があるわけだが……それは心配することは無いだろう。

 

「まあ、いい位置とは言っても追い込みで行くのであれば……の話ですけどね。トレーナーさんの話だと差しって感じをイメージしてますよね」

 

「あれ差しじゃないのか」

 

「後方2番手って考えれば……あの場所は充分追い込みって言っていいんじゃないですか? マックイーンが手馴れているって言ったのも、多分経験豊富のように見えると言うよりかは余裕そうに見えるの方が近いかもです」

 

 つまり、この位置が意図した場所なのか分からないということか。

 とはいえここから作戦を伝えられる訳でもない。何かが分かったところで、俺はただ見るだけしか出来ないわけだ。

 

「サインとか出せないかね。取り敢えず口触ったらバントな」

 

「必死に走ってるのに何させようとしてるんですか」

 

 走りながらバントするんだよ。セーフティバントだよ。

 そしてセーフティバント(してない)で華麗にスタートを決めたカレンはコーナーに入る。

 あんなスピードで走ってるのに良く遠心力で飛んでいかないよね。こう……体制とかに秘密があるのだろうか。

 力技でって訳でもないだろうし……尻尾でバランスをとるみたいなのもワンチャンあるんじゃなかろうか。

 いや待てよ……。

 

「その時、ふと閃いた! このアイディアは、ベースランニングに活かせるかもしれない!」

 

「コーナリングじゃなくて!?」

 

「三浦トレーナーの成長に繋がった!」

 

「私達は!?」

 

「塁間が早く……それならTAKESのスーパーカートリオとして――」

 

「ちょ……ちょちょマックイーンは便乗しちゃダメ!」

 

 いいねマックイーン。ボケとツッコミ、両方使える二刀流。

 いや、結構この学校そういう人多いよな。

 サイレンス……サイレンス……シズカみたいな名前の人がスペシャルウィークに振り回されてて大変だなーとか思ってたら次の日なぜかその場でグルグル回ってたり……。

 うん? この学校大丈夫なのかな?

 

『さあゆっくりと動き出しました、カレンチャンはまだ動かない、じっくりと脚を溜めています』

 

「ほら、トレーナーさん。そういう変なことしてるうちにレースも終盤ですよ? マックイーンに何か見せたかったんじゃないんですか?」

 

「ああ。丁度、ここからが本番ってところだ」

 

 瞬間、カレンがスパートを掛けた。

 途端に戦況は変わり、他のウマ娘のペースが徐々に乱れていった。

 カレンが他のウマ娘達に対して何かをしているわけじゃない。ほかのウマ娘たちがカレンのがむしゃら走りを見て動揺しているのだ。

 もちろん、レースでも可愛くなんて言ってるだけあり誰もが魅了されるような走りをしている。ただ、必死なんだ。

 カレンがここまでトリプルティアラに賭けているなんて誰が思うだろうか。

 そして、その気持ちを突然目の前で見せられたら動揺を隠すなんて不可能だ。

 

「やあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 カレンの叫び声がレース場に響いた。

 更にスピードを上げて先頭へ突き進んだ。

 

『カレンチャンがするりと抜け出し……ゴールインッ!! 1着はカレンチャン!』

 

「ふぅー。取り敢えず、これで無事2人とも切符を手にしたわけだ」

 

 よかった。よかったってか、まじ心臓に悪い仕事だ。

 なんなら胃にも悪いまである。

 

「初めてにしては……上出来すぎますね。トレーナーさん、もしかして人生3周目くらいじゃありませんか? こんなの新人トレーナーじゃありませんよ」

 

「いや、まともなやつなら今頃30冠くらいだろ」

 

「そんなに走ったら死んじゃいますって。ていうか、そんな馬鹿げたタイトルないですからね?」

 

 いや、真面目にまともに走ってたらもっと楽に勝たせてあげられるんだろうなーとか思う。

 誰かに頼るとか、余計な労力を使わなくて済むから時間も余裕持てるし。

 そこら辺は根性論様々というかなんというか……根性が先行してるからこそ理論が際立つみたいな、そんな感じがあると思う。

 

「……やってみる?」

 

「えっと……一応聞きますけど本気で言ってます?」

 

「冗談に決まってるだろ」

 

「冗談に聞こえないんですよ。全く、トレーナーさんはもう少し女の子の扱い方というのを勉強してきた方がいいと思いまーす」

 

 性別じゃないんよ。ボケかツッコミか、ただそれが会話において最も重要だ。

 

「てかそもそもさ、スカイは見た目可愛いけどキャラ的に半分男みたいなもぐふぉっ……」

 

「色々余計なんですよ……っ」

 

 ほら、そういうすぐ手を出すところだぞ。

 

「お二人共何をなさってるのですか……早くカレンちゃんの所に行きましょう」

 

「「あ、はい」」

 

 マックイーンはいい子だな。このまま茶化しあってたら忘れてたかもしれん。

 カレンがこっちに来るまで動かなかったんではなかろうか。

 

「お腹痛い」

 

「誰のせいだと思ってるんですか? ちょっとは反省してくださいよ」

 

「反省はしてる。俺の今回のPDCAサイクルはこうだ。Pがふざけてみよう。Dがふざけてみる。Cがふざけたら殴られた。Aはじゃあ今度はもっとふざけてみよう。て具合だ」

 

「それ、何も進歩してないですからね?」

 

 何を言ってるんだ。ちゃんと進歩してるでは無いか。ノリと勢い、力こそパワー。これをちゃんと実践しているんだ。

 違うやめろ俺は脳筋じゃない。

 関係者入口の前で待っていると、満足そうな顔をしたカレンが出てきた。

 ウッキウキで笑ってるとかではない。なんか、顔に隠しきれてないみたいなそんな感じだ。

 

「お兄ちゃん。カレンの走り、可愛かった?」

 

「ぶっちゃけダイオウグソクムシの方が可愛いけどな」

 

「ダ……?」

 

 いくらみんなのアイドルなカレンでも水族館のアイドルには疎いようだ。

 

「なんでもねーよ。まあ、ライバルはいっぱいいるってこった」

 

「カレンより……可愛いの?」

 

「……勝ちたいか」

 

「カレン、お兄ちゃんのためならもっともっと可愛くなれるよ」

 

「……何の話ですか?」

 

 いや、俺もよくわからん。

 

「それは置いといてだな。お疲れ様。ほんと、まず1歩目って感じだけど凄かった。マジでさ、トレーナーって目の前で頑張ってるところ見てるからさ。こういうの普通に嬉しいよな。スカイが勝った時も俺風呂の中でヘドバンしてたからさ」

 

「お兄ちゃん……ヘドバンするのはよく分からないけど嬉しいな」

 

「な……なんか、私を巻き込むのやめてくれませんか? ヘドバンはよく分からないですけど」

 

「……トレーナーも、そういうところがあるのですね。ヘドバンは……私にはよく分からないですけど」

 

 おいなんだよ、みんなして同じこと言いやがって。

 ヘドバンされるのそんなに嫌か? 別に、突然人の前でヘドバンはしないよ? でもさ、なんか家ん中でテンション上がったらしない? 俺はするね。

 ヘドバンは置いといて、今気づいたけどこの子達キャラバラバラだね。なんかさ、人が集まったら個性ありつつもなんだかんだ雰囲気が纏まってるイメージあるけど。

 

「これが御三家ってやつか……」

 

「はい?」

 

「いや、こっちの話」

 

 割と使えるやつが集まるのが御三家。いや、あんま種族値とか知らんからわからんけどさ。ダイパのが結構強いんだっけか?

 

「まあ、いいや。取り敢えず、祝勝会でもするか。スカイ奢りで」

 

「なんでですかっ!?」




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