蒼天を駆ける野球バカ   作:FAKE MEMORY

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レース……全然書けませんね。
次もようやく走りますけどレース……てほどの描写でもないです。
結構レースの中だけでどれだけかけるのか不安だったりします。



合同練習

「久しぶりの定時上がりだ」

 

「1時間残業してますけど……」

 

「いや、俺にとっては1時間の誤差は定時のうちだな」

 

 つまり、1時間早く上がったとしても定時のうちである。

 桐生院さん、ビックリしたんだけど仕事めっちゃ早く終わらすんだよね。

 しかも、時折「これはこうした方が……」とか、効率のいい方法まで色々教えてくれた。お陰で一人でやったとしても今までよりかなり早く仕事が終わりそうだ。

 

「桐生院さん、今日マジ助かりました。正直返せるものって無いですけど……お礼にご飯くらいは奢りますよ?」

 

「いえいえ、そんなお気になさらず。私がしたくてしたことですから」

 

 そう言ってくれるのはありがたいではあるが……。俺的にはこのまま借りを残したままっていうのもモヤモヤするんだよなぁ。

 

「とは言ってもなぁ……」

 

 俺が何でお礼できるか……と考えていると、桐生院さんも何かを考えているようだった。

 

「それなら、お互いデビューも近いですし実戦形式で練習しませんか? 併走でも、レースでも。お互い勉強出来たら、それが一番かと思いまして」

 

「なるほど」

 

 悪くない。というか、そろそろやらんとまずいとか思っていた。そう、俺たちはフォームやら何やら形ばかりにこだわっていたが、肝心な実戦経験がほとんどない。

 スカイは模擬レースに出ることなく俺がスカウトして、結局今の今までレースで何を考えてどんな走りをするのか全く知らない。ある情報といえば、彼女が逃げのウマ娘だということだけ。

 桐生院さんのハッピーミークは聞いたところ万能型だと言うし、これだけ仕事のできる人ならトレーナーとしての手腕も新人とはいえ高いはずだ。

 よし、何から何まで向こうに任せっきりになってしまっているがこの際忘れよう。

 今必要なものを貪欲に取りに行く。今まで俺はそうしてきたろ。

 

「分かりました。それなら、日程を調整してすぐにでもやりますか」

 

「ありがとうございます! 楽しみにしていますね」

 

 こうして、ハッピーミークと1対1レースをすることになった。

 

 ◇◇◇◇

 

「レース……?」

 

 練習前にハッピーミークとレースをすることになったと伝えると、セイウンスカイが首を傾げた。

 

「ほら、模擬レースもほぼ走ってないしかなり実践から遠ざかってるからやった方がいいと思ってな。やり過ぎは怪我に繋がるけど、逆にやらなすぎも慣れないことをして怪我ってのがあるし。それに、デビュー前に反省点を洗い出せるしな」

 

「なるほど……。確かにそれはあるかもしれないですね」

 

「だろ? 相手は既に待ってるみたいだから、俺達も早く行こう」

 

「はーい」

 

 俺たちは桐生院さんの元へ向かった。

 なんか、実践ってなると緊張するな。フォームはどれだけ固めることが出来たのか、作り上げたフォームが崩れてしまわないか、相手との差はどれだけあるのか、考え始めると不安が尽きない。

 

「ところでトレーナーさん。レースの為に準備するのは分かりますけど、ライブの練習はいつやるんです? セイちゃんは、そろそろ焦ってるのですが」

 

「なんだそれ」

 

「いや、なんだそれじゃなくてですね」

 

 ……そういえば、すっかり忘れてたけどなんかレース終わったあとに歌って踊るんだったか?

 よく分からんけど、なぜ歌って踊るんだろうか。ヒーローインタビューみたいに手短で良くないか? あれだけでもファンとの一体感は凄いぜ?

 

「……まあ、勝たないと始まらないわけだしそういうのは勝ってから考えよう」

 

「勝ってからじゃ遅いんですよ!? も、もしかしてトレーナーさん。ライブのこと忘れてたなんてことないですよね……?」

 

 ふっ、んなもん忘れるはずがなかろう。応援してくれたファンへ感謝を届ける大事な作業で……いや作業はおかしいか。

 

「……骨は拾っておいてやる」

 

「……うわーん! トレーナーさんのバカぁ!!」

 

 スカイがぽかぽかと腕を叩いてくる。流石ウマ娘、手加減してるんだろうけどくっそ痛い。

 

「まあ、なんだ。ダンスは自分でなんとかしてくれ、俺は無理だ」

 

「トレーナーなのに投げやり!?」

 

「しょうがないだろ? まあ、東京音頭ぐらいなら教えてやらんでもない。傘さえあれば何とかなるし」

 

「いやいやおかしいですよトレーナーさん!」

 

「歌だったら六甲おろし教えてやんよ」

 

「ああぁぁぁぁぁ!!!」

 

 やばい、適当に返事してたらスカイが荒ぶり始めた。

 

「あの……一体何を……?」

 

「あ、桐生院さん」

 

 おっと、これはお恥ずかしいところを見せてしまった……。

 

「いや、ちょっと忘れてたことがあっただけです。まあそんなことより、早く準備しましょう。準備準備」

 

「は、はい」

 

 今のを掘り返されると俺が悪くなる。なんてったって、ほぼほぼ非があるのは俺だからな。

 

「……トレーナーさん、嫌い」

 

「うぐ……」

 

 結構痛烈な言葉をかけられたが、それは気にしない。仕方ないではないか。勝負事が終わったあとに感謝の気持ちを歌とダンスで伝えるなんて誰が考えるってんだよ。

 とはいえ口に出すのは控えておこう。ウマ娘に蹴られるのはさすがに勘弁したい。

 

「あの、距離はどのくらいにされますか?」

 

「距離か……スカイ、ダートか土か地面どれがいい?」

 

「それ全部同じですから。ていうか、私ダート走れませんからね?」

 

「ミークも芝なので……」

 

「じゃあ芝でいいや」

 

「じゃあってなんですか」

 

 いや、勉強はしたけどなんかまだ理解しとらんのよ。なんならここら辺スカイの方が詳しいんじゃないのか?

 

「距離って言うと……スカイの適性がどのくらいかなんだけど、ぶっちゃけウマ娘って言っても人だし全部行けそうだよな」

 

「適当!? 中距離! 桐生院トレーナーも中距離2400でいいですかっ!?」

 

「え、ええ……」

 

 どうやらスカイは中距離が得意らしい。

 

「トレーナーさん! 私をちゃんと見ててください。それでちゃんと私に合った練習を組んでください! その調子で練習させられたらたまったもんじゃないです」

 

「あ、うん。ごめんね?」

 

 スカイがドスドスと歩いていった。あんまりしつこいとボコされそうだし、一旦控えておくか。

 

「……私、声かける人間違えたかな」

 

 桐生院さん、ご名答。




読んでいただきありがとうございます。
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