アルビノ美少女にTS転生したと思ったらお薬漬け改造人間状態にされた上にシティーハンターの世界なんですけど? 作:らびっとウッス
基本的には原作準拠で進めていくつもりですが、アニメオリジナルの話なんかも絡めていく予定です。
エンジェルハートの設定は拾いませんので、あしからず。
※もしかしたら一部設定がアニメと漫画で混ざっている部分があるかもしれません。
気づいたことがあればご指摘ください。
巨大麻薬組織ユニオン・テオーペ。
裏社会で名を馳せる秘密組織だ。
その本拠地で、長老と呼ばれる指導者に報告を行う黒服の姿があった。
報告を受けた長老が驚愕に目を見開いている。
「なにィ?
「はい・・・。敗れました。次は誰をやつに・・・?」
問われた長老は顎に手をやり、フ、と笑いを零した。
「将軍すら敗れたとなれば、もはやアレを使うしかあるまい。」
「アレ、と申しますと・・・?」
「デビル、来い。」
長老がパンパン、と手を鳴らすと、いつからそこに立っていたのか黒服の背後から小さな影が現れた。
いきなり気配が湧いて出たことで驚いた黒服が横に飛びのいたことで、照明の明かりが影を照らす。
その影はまだ年端もいかぬ少女だ。
真っ白な髪と肌、赤い瞳はアルビノの特徴のソレだ。
年の頃は10才かそこらに見える。
愛らしい顔立ちをしているが、全くの無表情で人形が立っているように見えるほどの無機質さを感じる。
大き目の白いロングコートに身を包んでおり体のラインはほぼ見えず、袖も手のひらの中ほどまで伸びているため、特徴的な白い肌は首から上しかほぼ見えない。
その姿を見た黒服は、冷や汗を流しながら戦慄したように声を零した。
「ホ、ホワイトデビル・・・!ユニオン・テオーペ最強の暗殺者・・・!」
ホワイトデビルと呼ばれた少女は黒服を一瞥すらせず、ぼんやりと虚空を眺めている。
「デビルよ。日本に赴き冴羽 獠を・・・シティーハンターを殺せ!」
「・・・はい。承知しました。」
鈴が鳴るような声で返答したホワイトデビルは踵を返し、不思議なほど足音を立てぬまま歩いて部屋から出て行った。
それを見送った黒服が、流れたままになっていた冷や汗をぬぐう。
「恐ろしい・・・!最後まで物音はおろか、ろくに気配すら感じなかった。本当に目の前にいたのか、あの女は・・・」
「クク・・・デビルは幼少から暗殺者として育て上げられた生粋の殺人マシーンだ。いくら奴とてひとたまりもあるまい。」
(シティーハンターに勝てるわきゃねえだろおおおおおがあああ!!!どうせなんやかんやあって爆発炎上した俺を背に止めて引いてGETWILDだろうがあああああああ!!!!)
長老の部屋から出て自室に戻った俺は心のうちで絶叫しながら頭を抱えていた。
俺は元々、しがない会社員だった。
ある冬の日の会社帰りに凍った足場で足を滑らせ縁石に倒れこんだところまでは覚えているのだが、次に目が覚めたら赤ん坊でしかも女の子だった。
多分打ちどころが悪くてポックリ逝ったんだと思う。
自意識が芽生えた時には何やらいいつくりのベビーベッドに寝かされており、周りの会話は全部英語。
最初は植物人間にでもなってしまったのかと怯えたが、どうやら自分は赤ん坊のようでそれも女の子、ということに気が付いてからは周りの情報の把握に努めた。
これが噂の異世界転生というやつかと思ったのもつかの間。
冷静に考えれば周りの人間の会話は英語だし、服装から見てもそんなに記憶と相違はない。
ちょっと流行りが遅れているかなと感じる程度で、大きく文化の違いはなさそうだし魔法もなさそう。
部屋にたまにいる黒服とか思い切りホルスターに銃入ってるし。
どうやら記憶を持ったまま同じ世界で第二の人生らしい。
少し落胆もしたが、それはそれでせっかくの生まれ変わりだ。
気を取り直して周囲の情報を集めていたのだが、なにやらきな臭い。
面倒を見てくれる女性がまちまちで変わっていたり、複数人居る雰囲気があったのでいいところのお嬢様に生まれ変わったのかと思っていたのだが。
自分の足で歩けるようになり、自由に行動できる範囲が広がるたびに、自分の置かれている状態が異常なことが分かってきた。
まず大きな屋敷に住んでいるようなのだが、男は悉く強面黒服サングラスのテンプレが揃っており、全く顔が覚えられない。
しかも人の出入りが激しいうえに人数が多い。
どうやら何かの組織の所属する建物のようだ。
しかも俺の名前なんだと思う?
ホワイトだよ。
苗字はたぶんない。
みーんな俺のことをホワイトとしか呼ばない。
多分この組織の人間の実子とかじゃなく、アルビノだったから捨てられた捨て子とかなんだろうなぁ・・・。
しかも与えられる服も全部白。
白いワンピースとか白いシャツとかズボンとか。
訓練の時だけ迷彩の軍服みたいなの着せられるけど。
明らかに堅気の組織ではないしね、ここ。
何より物心が付くかどうかという頃に始まった教育内容がおかしい。
座学では英語の読み書き計算から始まったが、こちとら中身が会社員だ。
どんどん内容は進んでいき、3歳にして数学の勉強が始まった。
子供だからなのか、それともこの体のスペックが高いのか、前世よりスラスラと理解できた。
そして次に始まったのが薬学だ。
様々な薬の作り方、使い方、効能、用法用量。
ここまではまだ英才教育だと思えばまだ理解できなくもない。
しかし、他に教えられた内容が銃器の取り扱い、整備方法、ナイフの使い方、マーシャルアーツ。
なんなの?こいつらは年端もいかない幼女に何を求めているの?
5歳になるころには、基本的な銃の分解整備・組み立て。
ナイフの整備方法・扱い。
地雷やトラップの作り方・解除方法。
人体の構造及び壊し方・直し方。
むろん俺だってこんな勉強やりたくてやっているわけじゃない。
わけじゃないんだが・・・。
家を飛び出したところでここがどこなのかわからないし、訓練を受けているとはいえ子供の足で行ける範囲に逃げられる場所があるのかもわからない。
つーかぶっちゃけ家がヤベー所過ぎて逃げたところで追手とか来てぶち殺されるのでは?という気がする。
普通にテーブルの上に拳銃とか雑に置いてあるし・・・。
ある程度成長して、一人で生きていける年齢になったらどうにか家を出る。
それを目標にして日々の訓練を耐える。
そんな暮らしを続けているうちに気づけば10才になった。
そんな折、訓練終わりに黒服に連れられて地下室にやってきた俺は軍服のまま椅子に拘束されていた。
基本反抗したりといった素振りを見せないように従順に暮らしてきたが、椅子に座れと言われて指示通り座っていたらあれよあれよというまにベルトでひじ掛けに両手を拘束されてしまった。
軍服を肘までまくり上げた状態でベルトで拘束されているため、白い素肌にベルトが食い込んでいて少し痛い。
これは・・・マズいのでは?
「これからなにをするの?」
「黙って待っていろ。」
あっはい。
取り付く島もねえや。
部屋はせいぜい6畳ほど、壁紙もカーペットもなく床はむき出しのコンクリートだし部屋の中にあるのは中央にポツンとおかれた俺の拘束されている椅子だけ。
何ができるわけでもなく、足をぶらぶらさせてぼーっと時間が過ぎるのを待っていることしかできない。
心なしか、ここに俺を連れてきた黒服も落ち着きがないように見えた。
しばらくすると、ノックもなしに扉が開き白衣の男が入ってきた。
白衣の男は俺を一瞥すると黒服に向かって口を開く。
「ソイツか?」
「はい。抵抗しないとは思いますが、念のため拘束してあります。」
「よし。では早速始めるぞ。」
最低限の会話をしたあと、白衣の男がポケットからステンレス製と思われるケースを取り出す。
中には何やら薬品のアンプルと注射器が入っていた。
アンプルから手慣れた様子で注射器で薬品を吸い出すと、白衣の男が近づいてきて俺の腕に注射器をあてがった。
「・・・それは?」
「気にすることじゃない。ただ、受け入れなさい。」
流石によくわからんものを打たれるのが嫌だったので聞いてみたのだが、
説明するつもりはないようだ。
正体不明の薬打つけど気にするなって無理に決まってるだろ。
まあ、拘束されてるし受け入れるしかないんだけど。
俺の病的に白い腕に注射針が刺さり、ゆっくりと謎の薬が打ち込まれ行く。
それを訝しい顔で見つめていた俺だったが、変化は直後に訪れた。
(ん・・・?なんだ、腕が熱いような・・・?いや、熱いというかこれは・・・これは・・・!)
変化を自覚した途端、体が震えだす。
これは・・・
これは・・・・!
(んぎもちいいいい!!んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!)
あ、これ絶対ダメなお薬じゃん。
辛うじてそんなことを思ったものの、俺の意識はそのまま飛んだ。
それからなんやかんやあって、俺は各地の戦場を転々とさせられた。
定期的にお薬をブチこまれ、意識して動かさないようにしていた表情筋がお薬のせいか完全に機能停止。
しかもこのお薬、どういうわけかキマってる時に体が超人化するのだ。
こんな弱弱しい幼女ボディでも抜き手で人体をぶち破り、蹴りで金属製の扉を吹き飛ばし、銃弾を目視して回避できる。
おまけに多少被弾しても痛みを感じないし身体能力も低下しない。
明らかに腕が折れているのに筋肉だけで無理やり動かせるとかもう・・・改造人間状態だ。
そんでね、最初に俺に注射してきた白衣の男ね。
アイツは定期的に会ってお薬ブチこんでくるんだけど、そいつが零してたお薬の名前聞いちゃったのね。
エンジェルダストだって。
なーんか聞き覚えあるな~とか思ってたらさ。
俺のいる組織の名前、ユニオン・テオーペだって。
シティーハンターじゃん、この世界。
人気漫画シティーハンター、みんなは知っているかな?
ハードボイルドなシリアスパートとモッコリなギャグパートがおりなすテンポのよいストーリーが魅力の大人気漫画だが、アニメの1期エンディングテーマが凄い有名だから聞いたことがある人も多いんじゃなかろうか。
どんな内容か説明すると、舞台はバブル期の日本の新宿で、主人公冴羽 獠がシティーハンターという通り名でスイーパーとして名を馳せる。
初代相棒の槇村の妹、槇村香とのタッグで活躍する話ね。
そんで、大体のお話は一話完結形式というか、ショートストーリーが連続していって、一部キャラが準レギュラーに昇格するコナンみたいなシステムで進んでいくんだけど。
一話一話の内容をザックリいうと大体が次のようになる。
「スケベな獠ちゃんが美人から依頼を受けて、香が嫉妬してハンマーを振り回し、なんやかんやあって悪党を超技術の射撃で獠ちゃんが倒して、香と仲直りした後に獠ちゃんがカッコイイポエムを囁いた後に止めて引いてGETWILD」
つまり、何が言いたいかというと獠の前に敵として立ちはだかってしまうとほぼ詰みなのだ。
この主人公、作中通して苦戦する描写が殆どない。
大体の敵は余裕で瞬殺。
銃を持ったヤクザ程度なら鼻歌混じりに素手で倒してのけるし、新宿の雑踏の中でも撃鉄の上がる音を的確に聞き分けるなど、超人的な身体能力を持っている。
おまけに射撃の腕も超人。
得意技はワンホールショット。
これに勝つのは不可能というか関わらないのが間違いなくベスト。
なのだが・・・
俺の居るこのユニオン・テオーペという組織。
アニメ版には登場しない組織だが、漫画版では初代相棒である槇村の死因となり、ラスボスもユニオン・テオーペと、100%敵対する組織なんだなぁこれが。
そして俺に投与されているエンジェルダスト。
これもヤバイ。
打たれた人間は超人のようになり、おまけに簡単にマインドコントロールを受ける状態になる。
そして獠は割とエンジェルダスト打たれた人間ぶっ殺すマンな一面がある。
やべえよやべえよ・・・
幸い、俺はエンジェルダストを打たれて超人状態にはなっているものの、マインドコントロールを受けている自覚はない。
エンジェルダストを打たれると、打たれた後半日ほど意識が飛んでその間は操り人形状態のようだが、意識が戻るとその間のことも覚えているし、そこからは自由意志で行動ができている。
といってもユニオン・テオーペの子飼いという立場+エンジェルダストの禁断症状が恐ろしいため組織に反抗したりとかは全くできてないんだけども。
ともかく、当面の目標としてはシティーハンターと遭遇したら全力逃走。
これで行こう。
あと海坊主とかな。
あいつもシティーハンターと互角らしいし。
他にも気を付けるべきキャラは居るはずなんだが、何分この世界に生まれてだいぶ経っているため主要キャラしか思い出せん。
なんにせよ、なるべく日本に近づかないのがベターだな。
・・・とか思ってたんだけど。
シティーハンターを殺せと来たかぁ。
どうしようかなぁ。
この展開は覚えている。
物語の序盤、相棒である槇村を殺された獠がブチ切れて同じく命を狙われている槇村の妹、香と共にユニオン・テオーペが手を引かざるを得ないくらいの損害を与えて休戦に持ち込もうとする話だ。
実際、原作だとユニオン・テオーペは親衛隊を率いる将軍が殺された時点で一時休戦を選択。
しばらく獠には手を出さなかったわけだが・・・。
この世界だと俺にお鉢が回ってくるんだなぁ。
そっかあ。
ここから俺が生き残るための方法を考える。
①組織を裏切って逃亡。
→単独で逃げ切れる気がしない。組織外に伝手もないし、お薬切れて禁断症状出てるうちに捕まって連れ戻されるかその場でアボン。
②任務拒否、あるいは獠を生かすメリットで長老を説き伏せる。
→無理。無口キャラで通してる俺がベラベラ喋りだすだけでも不自然なのに、命令無視とかどうなるかがわからん。最悪殺されるかもしれないし、なんならエンジェルダストブチこまれた後の12時間の間に無理やり戦わされる可能性がある。
③シティーハンター?野郎オブクラッシャー!
→勝てない。現実は非情である。
・・・こうなれば仕方がない。
俺が生き残る方法はもはや一つだ。
④なんとかして獠の保護対象になり、そのショートストーリーが終わったらその後登場しないタイプのキャラとしてストーリーからフェードアウトする。
これしかねえ。
ユニオン・テオーペの追手とか禁断症状とかいろいろ問題はあるが、最強主人公の獠の脛にかじりつく。
あわよくばそのまま穏便に退場!
これ以外に俺が生きる道はねえ!
できればバブル期の日本国籍を手に入れて安穏と暮らしてえ!
助けて冴羽大明神!
助けてください!なんでもしますから!