そこそこぶかぶかのメイド服を着たフラワーのイラスト誰か描いてほしい(願望)
・・・最近、スカイさんが妙に疲れている気がする。
今は年末年始休業・・・いわゆる【冬休み】期間で、彼女もわたしも、仕事はお休みなのだ。
つまり、疲れる理由はない・・・という事になるのだが、同居人である彼女はものすごく疲れているように見える。いや、見えるうんぬんの前に、ものすごく疲れている。
反応もやや鈍く、ぼーっとしていることも多い。大きなため息をついた後、そのまま(真昼間なのに)机で寝落ちしてしまうこともしばしば。
・・・長期休暇によって生活リズムが狂ったのか、休み前の疲れがどっど押し寄せてきたのだろうか。休み前まで見せていた余裕ありげな彼女の姿は、今はもう欠片すら感じられない。
・・・え?・・・わたしがスカイさんを疲れさせてる?いやまさかそんな・・・ありうる。
(スカイさんあぁ見えて・・・いや見た目通りなのかも・・・臆病で控えめだからなぁ・・・心の中では本当にそう思っていて、態度に出してないってだけかも・・・)
頭の中をネガティブな思考が埋め尽くしていく。・・・それとなく聞いてみようか?・・・いや、頭の回る彼女の事だ。きっと即座に真意を見抜いてしまうだろう。正直に答えてくれるかどうかはいったん置いておいて。
(わたしはいったいどうすれば・・・今まで通りに振る舞う?いやでもスカイさんの体調をこれ以上悪化させたくないし・・・)
・・・いっそのこと、帰省とか言う適当な理由をつけて、いったん実家に帰ってみようか。・・・もしそれでスカイさんが疲れている理由がわたしじゃないんだったら、すっごく悲惨なことになりそうな気がするが。
(いや、でも、スカイさん前に『わたしにはフラワーしかいない』って言ってたし、さすがにわたしが原因って訳じゃ・・・いや、でも最後にその台詞聞いたの夏休みくらいだからなぁ・・・)
「―――別に、スカイちゃんはフラワーちゃんのこと迷惑がったり、ストレスや疲れの原因になってたりはしないと思うけどな~。」
「そうだとうれしいんですけど・・・うぇ!?」
おかしい、ここはわたし(とスカイさん)の自宅で、ここには今わたしひとりしかいないはずでは・・・?
ばっと慌てて振り返る。・・・タンホイザさんが立っていた。
「・・・なんでいるんですか!!」
ホラーではなかったことに安堵しつつも、ホラー的な登場の仕方にとりあえず悪態をつく。っていうか言葉に出てたのか・・・。
「いや~、部屋の鍵が開いてたから、つい~。ほら、同期のよしみって言うか?」
「まぁレースで対戦したことないですけどね。
・・・それで、なんでそう言い切れるんですか?」
「いや~、なんというかさ。よくネイチャちゃんから、スカイちゃんから送られてきたメールとかメッセージとかよく見せてもらうんだけど、なんかね、もう・・・文章からあふれ出てるんだよね。【フラワーちゃんが好き】っていう感情が。」
「!!」
「だからさ。そんな心配しなくていいんじゃないのかな?きっとスカイちゃんは、フラワーちゃんが思っている以上に、フラワーちゃんのこと、大切に思ってると思うよ?」
すーっと黒い感情が引いていくのが分かった。・・・我ながら単純だな、と、今度は自分自身に悪態をつく。
「あっ、そうそう!!話変わるけど、これ、おみやげ。」
「え?・・・あっ、ありがとうございます・・・」
タンホイザさんから紙袋を受け取る。・・・中身服っぽいけど、何が入って・・・あっ・・・。
「・・・メイド服ぅ・・・?」
「うん!!なんかね、ネイチャちゃん相手に使おうと思って買ったんだけど、せっかくだからフラワーちゃんにもプレゼントしてあげよ~と思って。追加注文したの。きっとごいりようかなと思って・・・」
「いやいやいや・・・いらないですよ!!」
そう即答して、メイド服一式(なぜか猫耳カチューシャもセットだった)をタンホイザさんに押し返す。
「え~?ほんとにいらないの~?いらないんだったら、タイシンちゃんあたりにあげちゃうけど・・・」
・・・たぶん一番要らないと思う、そのひと。ってかサイズ合うんだろうか。
「・・・・・。」
・・・メイド服。メイド服、か・・・・。そういえば着たことないな。・・・似合うだろうか。スカイさん、似合ってるって言ってくれるかな・・・?
「―――やっぱ欲しいんじゃないの?これ。」
「っ!?いや要らないですよ!!本当にいらな・・・」
「ん~?」
「・・・・欲しい、です。ください。」
「おっけ~♪」
「・・・いいですよ。」
「ん・・・。」
夜。わたしのそんな言葉を聞いて、スカイさんがそこそこ顔を紅潮させて振り返る。
「・・・に、似合ってますか・・・?これ・・・。」
・・・とりあえず着てみたはいいものの、これちょっとサイズが大きい気がする。・・・まぁ後半年もすればいい感じに着れるようになるだろう。
・・・似合って無かったらどうしよう。そんなネガティブな感情が一瞬頭をよぎったが、目の前のスカイさんを見たらそんなネガティブな気持ちもどこかへ飛んで行ってしまった。
「・・・すっすごい・・・なんだろう、可愛い以外の形容詞では表現しきれないレベルで可愛い・・・!!」
脳内がオーバーヒートしたのか、すごい早口でスカイさんがそう述べてくる。・・・彼女の額に手を当てた。・・・熱でもあるのかというくらい顔が紅潮している。まぁきっと、それはわたしも一緒だろうけど。
「スカイさん、・・・とりあえず、クールになってください。」
「え?・・・あっ、ごめん・・・」
スカイさんがようやく冷静さ?を取り戻すと、彼女はバツが悪そうに頭をぽりぽりと掻いた。・・・いつも通りのスカイさんだ。
「・・・・。」
「?・・・どうしました?」
と思っていたのもつかの間、何を思ったのか、スカイさんはじーっとわたしの瞳を見つめてくる。
「フラワー、――――ごめん。」
「え?ちょっ・・・スカイさんっ!?」
そんな短い言葉を残して、彼女はわたしを押し倒してくる。
―――ラベンダーの香りがふわっと鼻孔をくすぐった。たぶんお風呂に入れた入浴剤の香りだろう。