『そちらも忙しいだろうからな、要件を伝えよう』
機動六課の作戦指令室は今までにないほどの緊張に包まれていた。
現場に状況を伝えるオペレーターの手と口は動いていたが、そうでもしないと管理局の女傑と最後の夜天の王の間に広がるプレッシャー的な何かに押しつぶされそうだったからだ。
『先ほど、リニアレールの周辺に配置していた特務一課のものから連絡があってな、ガジェットの他にレリックを狙う者がいたそうだ』
「……ッ!
ガジェットの他にもですか!?」
『あぁ、恐らくガジェットを使っている者の下についている者だろうな。
一課でもやり手の局員が捕縛しようとしたところ、何らかの能力で逃れられたらしい』
「……」
レジアスからの報告を聞いたはやてはその情報を頭の中で整理し、グリフィスに指示を出す。
「グリフィス君、ヴァイス陸曹に連絡をお願い。
ガジェットだけでなく他にも注意するようにと。
あのヘリは新型や、レーダーもここからのものよりも正確に出るやろうから」
「了解です」
グリフィスははやてに敬礼をしてすぐに空いている通信席に座りヴァイスへと連絡を送った。
「それよりも、レジアス中将。
私に連絡も無しに特務一課……いや、あなた直属の部隊を動かした理由が知りたいんですけど……?」
『なに、簡単なことだ。
ロストロギアという人の手には余るものを訓練を受けたとはいえ、ひよっこだけに任せる気はないということだ。
いざというときは一課が処理をする。
そのつもりで彼らを派遣した。
これで十分か?』
「それは、私たち機動六課のことを信用していないということですか……?」
『馬鹿なことを言うな。
貴様らを信用していないというなら最初から六課の設立なんぞ承認しない。
私はミッドチルダの平和を守るためならなんだってする。
そのために六課の設立を後押ししたのだ』
「だったら……!」
『話は最後まで聞け。
いいか、地上の平和は恒久的なものでなければならん。
そのために必要なのは私たちのような年増ではなく、お前たちのような若者だ。
だからもしもの時には一課が貴様ら六課の代わりに犠牲になると言っているのだ。
一課の人間は、良くも悪くも古いタイプの人間ばかりだからな。
もちろん、何もないことには越したことはないがな』
レジアスの考えを聞いたはやては己の浅慮を恥じた。
彼女の覚悟は、己を信用している部下を捨てるほどのものだったということを知っていながら、はやてはレジアスのことを疑ってしまったから。
『まぁ、お前たちのような小娘にはまだまだ地上や世界を任せること気はないがな!』
「んな!?
誰が小娘ですか!?
もうすぐ20です!!」
『甘いな、お前らは私から見ればまだまだ小娘同然だ。
どうせまだ生娘だろう?』
「ッ!?」
レジアスの言葉にはやてをはじめとした女性局員は全員顔を真っ赤に染めた。
その様子を見たレジアスはしてやったりといった表情で笑う。
『ふっ、そういうところがあるからまだまだだというのだ。
女を磨けよ、小娘。
そうしないと生き遅れ……、待てオーリス、その振り上げた人を殺せるような書類の束はなんd……』
「地上本部からの通信、途切れました……」
未だにだんまりのオペレーター陣の代わりにヴァイスへの通信を終えたグリフィスがはやての方を向きながら告げる。
だが、彼は彼女の方を向かない方がよかった。
そこには一匹の化け狸がいた。
「うがぁー!!
なんなんや、あのおばさん!!
自分が男見つけて子供産んで勝ち組のつもりかーーーッ!!」
「なぁ、ティアナ。
なんか六課からの通信が来ないんだけど……」
『知らないわよ、そのうちなんか来るでしょう。
それより、そっちの状況は……?』
場所は移りリニアレールの車両の中。
そこでティアナと別れて車両を進んでいたスバルは一つ大きな影を目の前に相棒に念話を飛ばしていた。
「あー、うん。
なんかデカいのがいる。
だから少し遅れる」
『了解、ならあたしがレリックを回収するわ。
そのデカいのを抜いたらすぐに来なさいよ?』
ティアナからそう言われたスバルは指を鳴らしながら応える。
「わかった。
そうだティアナ……」
『何?』
「抜けなさいと言ったが、別に倒してしまってもかまわんのだろう?」
『それ、言ってみたかっただけでしょ?』
「もちろん」
戦闘中だというのに、ティアナは大きなため息を吐きたくなってしまった。
「キャロ、お願い!」
「うん、エリオ君!!」
一方、ライトニングの二人の方にも、スバルの行く手を阻んだ新型ガジェットが現れた。
キャロはすぐさま強化の魔法をエリオに掛け、キャロの魔法の加護を得たエリオはストラーダの先端に魔力変換資質を生かし電撃を纏わせ新型ガジェット―――ガジェットⅢ型に切りかかった。
「クッ!
固いッ!!」
だが、その巨体に似合った厚い装甲によってその刃は受け止められてしまう。
そして、Ⅲ型の機体から発せられるAMFの出力が引き上げられる。
するとエリオ自身に掛けられた強化の魔法やストラーダの先端に纏った電撃を含んだ魔力が霧散してしまう。
「エリオ君!!」
「クッ、ストラーダ!!」
《Blitz Action》
不利を悟ったエリオはすぐさまⅢ型の触手の範囲から逃れ、キャロの隣に降り立ち、彼女を抱きかかえるとすぐさま後ろへ飛び去る。
直後、その場所を真下からレーザーが撃ちぬき、車両の中からⅠ型が三機飛び出してくる。
「キャロ、アレどうにかできる?」
「うん……、でも……」
エリオの質問に対してキャロは答えを持っていた。
だが、それは未だかつて成功したことのない魔法だった。
竜魂召喚、フリードの真の姿である白銀の竜の姿と力を開放する魔法である。
だが、彼女はこの魔法を使うことに対して未だ少しの恐怖を感じていた。
「大丈夫だよ、僕も、フリードも」
そんな彼女にガジェットを警戒しつつもエリオは優しく話しかける。
その言葉に答えるようにフリードもまた大きく鳴いた。
「だから、君は自分の力を信じて。
なのはさんも、スバルさんも言ってたでしょ?
僕も君を信じる。
だから、君も」
「エリオ君……、うん、わかったよ。
行こう、フリード」
(そうだ、私は
フェイトさんには優しさを、なのはさんには戦い方とその心得を。
そして、スバルさん、ティアナさん、エリオ君には、仲間の大切さを……)
エリオの言葉に頷き、キャロは胸の前に手を組み、祈りをささげるように目を閉じる。
彼女の脳裏には今まで自分に関わってきたすべての者が映った。
ルシエの皆、フェイト、なのは、六課のスタッフ、ティアナ、スバル、そしてエリオ。
(だから、私は守りたい。
みんなを……!)
「
キャロの足もとに一際大きな魔法陣が展開され、その魔法陣から、白銀の飛龍が飛び出す。
「これが、フリードの本当の姿……」
「エリオ君、乗って!!」
「あ、うん!」
キャロにそういわれ、エリオはフリードの背に飛び乗る。
「フリード、ブラストレイ!」
キャロの呼びかけにフリードは口に炎を溜める。
「薙ぎ払えッ!!」
そして、焔が放たれた。
フリードから放たれた炎はⅠ型を跡形もなく消し飛ばし、Ⅲ型をよろめかせる。
「ストラーダ!!」
《Exploxion》
Ⅲ型の隙を見逃さず、エリオはストラーダを構え、カートリッジを二発
《Speerangriff》
ストラーダの穂からブースターがせり出し、エリオは一気に加速する。
「クッ!」
だが、それでもⅢ型の装甲を貫くことはできなかった。
「まだまだぁッ!!」
《
エリオの声に合わせてストラーダにさらに一発のカートリッジが装填され、ブースターから噴き出る炎がさらに増す。
「貫けぇッ!!」
エリオの声とともに、ストラーダがさらに加速する。
そして、その穂先がⅢ型の装甲を貫いた。
「やった……?」
Ⅲ型からスパークが走るのを確認したエリオはすぐに離れ、距離を置いたところで爆発しその機体を四散させた。
「ふぅー」
脅威が去ったことを確信したエリオはストラーダを肩に担ぎ、空を飛んでいるフリードの方へと向かった。
「マッハキャリバー、どうだ?」
《相棒の予想通りです。
やはりAMFの状況下では魔力は四散してしまいますが、消滅するわけではありません。
それに……》
一方、スバルの方はⅢ型の攻撃を躱しながら牽制の魔力弾を放ちながら愛機とある一つの可能性について話していた。
《AMFは魔力の飽和状態になると機能を低下させるようです》
「つまり、その状況なら魔法の使用が容易になるわけだ」
《そうです》
「ならやることは一つだろ!」
《Load cartridge》
リボルバーナックルに二発のカートリッジが送られる。
それと同時にスバルはⅢ型に向け砲撃を放った。
「ディバインバスターッ!」
《Divine Buster》
その砲撃はⅢ型に辿り着く前に霧散してしまう。
だが、スバルはさらにもう一つの魔法陣を展開していた。
「もう一丁ッ!!」
《Divine Buster》
そして、もう一筋の砲撃がⅢ型に向かい、さらに魔力を四散させられる。
その時、マッハキャリバーが声をあげた。
《今です!》
「了解ッ!」
マッハキャリバーの合図とともにスバルはⅢ型に向かい走り出していた。
彼はⅢ型に接近すると同時に右手に魔力を集中さ、さらにそれを螺旋状に形状を変更し、回転させる。
「フィールドを抜けるッ!!」
《Revolver drive》
先の砲撃ですでに周囲の魔力は飽和状態になっており、Ⅲ型の高出力のAMFでさえも無視できない状態だった。
結果、スバルの右手の魔力はほとんど散らされることなくⅢ型に到達。
そのコアを打ち砕いた。
「終わりだ」
スバルの右手から魔力が消えると同時に彼の背後でⅢ型が盛大に火花を散らし、最後に爆発を起こした。
「マッハキャリバー、周囲にガジェットの反応は?」
《ありません》
「よし、ティアナ、こっちは終わった。
そっちはどうだ?」
愛機からの報告を受けたスバルは警戒を解き、相棒に向け念話を飛ばした。
『今レリックを封印したところよ。
できればこっちに来てくれると助かるんだけど』
「了解だ、すぐに向かう」
スバルはちらりと先ほど破壊したⅢ型を見て、すぐにティアナのいる車両へと走って行った。
Ⅲ型のカメラが起動していることに気づかずに。
「ふむ、やはりこの案件は素晴らしい!」
とある場所にある建物の一室に一人の男がいた。
彼は目の前に映るいくつかのモニターを見てそう声をあげた。
「それに……」
彼の視線の先には、フェイトとエリオの二人が映っていた。
「この二人、F計画の遺産がまだ生きて動いているとは。
この二人を手に入れられるチャンスがそのうち来ると考えるだけでわくわくするよ……。
しかし、セインには悪いことをしてしまったかな?
まさか特務一課という生きた万国ビックリ人間博物館みたいな連中が出張ってるとはね……」
男がそう呟いているとき、部屋に一人の女性が入ってくる。
「ドクター、刻印ナンバー9、護送体制に入りました。
追撃戦力を出しますか?」
「いや、やめておこう。
……あぁ、ウーノ、一つ聞いていいかな?」
ウーノと呼ばれた女性は男の言葉を待つ。
「なんでしょうか?」
「タイプゼロセカンドの少女はどこにいるのかな?
この映像には彼女にそっくりな少年が映っているだけなのだが……?」
「……ドクター、タイプゼロセカンドの性別は女ではなく男です」
「…………」
ウーノの言葉にドクターと呼ばれた男はぴたりと動きを止める。
そして油の切れたロボットのように首を動かし背後を向き口を開いた。
「マジ……?」
「マジです、ドクター。
てっきり彼のことを知ったうえでノーヴェを女性型にしたのかと思っていましたが、違ったのですか?」
「あ……」
その時彼は思い出した。
彼は大人である。
そして、大人である彼には研究以外にも趣味が一つあった。
それは酒を嗜むことである。
そして、その日彼はスバルの遺伝子データを見る前にお気に入りのワインを一杯飲んでいた。
たかが一杯、されどいっぱい。
大事な作業前に酒を飲んだ彼は一つだけだが決定的な失敗(?)を犯したのだった。
「……テヘペロ」
「…………」
「……うん、なんかごめん」
ウーノにゴミを見る目で見られた彼は素直に謝った。
だが彼は「おかしい、確かこういえば大抵は許してもらえるか怒るかの何らかのリアクションがあると書いてあったのに……」と呟いていた。
ドクター、またの名をジェイル・スカリエッティ。
稀代の天才科学者は一生に一度の大失敗を犯してしまっていたのだった。
さて、この小説書いていて改めて思ったことを書かせてもらいます。
戦闘描写、なんであんなにムズイのか……。
はい、愚痴はこの程度で終えましょうか。
今回、最後に黒幕(笑)が出てきました。
皆さんも酒を飲んで作業するのはやめておきましょう。
取り返しのつかないことになりますので。
今回の人物紹介はレジアス中将です。
それではまた次回!
名前 レジアス・ゲイズ
性別 女性
年齢 【暗証番号を入力してください】
役職 管理局地上本部総司令
最近の悩み 娘のオーリスが婚期を逃しかけていること
この作品でスバルとは関係なしにTSなさったお人。
原作とは違い、美人さんである。
もう一度言う、美人さんである。
自分の容姿が優れていることを自覚し、自分の好きになった男と大恋愛を繰り広げたが、此処では省かせてもらう。
地上に勤務するものとして、地上の平和を守り抜くことを第一としており、そのためなら本部や教会とも協力することを厭わないという原作とは違う面を持ち合わせている。
彼女自身は魔力を持ち合わせないが、その身体能力だけで陸戦AAランクの魔導師を無力化することができるという出鱈目なお人である。
ミッドの地上で起きた大事件をたまたま居合わせた彼女が解決したことにより、『生きた英雄』と呼ばれるようになった。(リアルダイ・ハードである)
また、圧倒的なカリスマを持ち、彼女に心酔したものが多く所属する特務一課というほぼ彼女の直属の戦力も地上には存在している。
スパロボ風精神コマンド
「必中」「鉄壁」「気迫」「激励」「魂」「覚醒」
スパロボ風特殊能力
「生きた英雄」:気力130以上で発動。すべてのステータスに50%のボーナス
スパロボ風エースボーナス
「生きた英雄」が常時発動状態となる。