魔法少年リボルバースバル   作:飛鳥

17 / 89
※注意!
今回の話を読む前に前回のラスト、レイニーとゼストの出会った場面をお読みください。
少し修正しましたので。
恐らくこれを読まなかった場合(。´・ω・)?となる場合がありますので。



第十六話

雲一つない青空のもとで、二つの光が交差する。

槍を振りかぶるゼストとそれをナイフで受け流すレイニー。

そのお返しにと、大降りになったゼストの懐に飛び込みナイフの持ち味である手数でゼストに迫る。

だが、その攻撃をゼストは一瞬で引き戻した槍ですべて捌いた。

 

「槍であの攻撃をッ!?」

 

「いい戦士だ。

 だが、まだまだだッ!」

 

「しまった!?」

 

そして均衡が崩れた。

ゼストの一撃を受け流し損ねたレイニーは大きく後ろへ吹き飛ばされる。

彼が体制を立て直す前にゼストは槍を振りかぶり叩き付けようとする。

 

「ッ!」

 

だが、その槍はどこからともなく放たれた魔力弾に弾かられる。

 

「旦那……ッ!?」

 

二人の戦闘を少し離れたところから見つめていたアギトは彼のもとに飛び出そうとしたが、そんな彼女にも一発の魔力弾が襲い掛かった。

 

「クッ……!

 索敵範囲に反応がねぇ。

 スナイパーか……!」

 

アギトは魔力弾の飛んできた方向を中心に魔力反応を確かめるが、彼女の索敵範囲内にはその反応はなく、舌打ちをするだけにとどまった。

 

 

「バロスか、助かった」

 

『しっかりしろよ、ここで逃すと中将から愚痴を聞かされ(お仕置き)ちまうぞ』

 

 

 

 

 

 

『それはいやだな。

 仕方ない、援護頼む』

 

「任された。

 ナイフ使いのレイニーの腕、見せてやれ」

 

二人が戦っている場所から15km離れた場所で彼はライフル型のデバイスのスコープを覗きながら相棒の援護を行う。

彼の名前はバロス・フレイグ。

特務一課のエーススナイパーであり、一課の中では最年少の前線部隊員だ。

 

「さて、俺も愚痴を聞かされるのは勘弁だな。

 あの人の愚痴は長いから嫌なんだ……。

 今日は弟の誕生日なんだ、さっさと終わらせてもらう」

 

彼はそう呟き、引き金を引いた。

 

 

 

 

 

「スナイパーは厄介だな。

 少なくともかなりの距離からアギトを狙えるほどの腕なら……。

 来い、アギト!」

 

「応よ!

 ユニゾン・イン!!」

 

 

ゼストの呼びかけにアギトは快く答え、キーとなる言葉を叫ぶ。

刹那、アギトはゼストの中に吸い込まれる。

その直後、ゼストの焦げ茶の髪は金色に染め上がり、くすんだ銀色の鎧も鈍い輝きを放つ金に変わった。

 

「ユニゾンデバイスってマジかよ!?

 六課のやつ以外に現存してたのか!?」

 

『バーカ、こうなったらお前らに勝ちなんかねえんだよ!!

 やっちまえ、旦那!!』

 

「……」

 

自分たちの目的が時間稼ぎということを忘れている様子のアギトの言葉にゼストは小さくため息をこぼす。

だが、その意識は常に相対する彼らに向けられていた。

現に、今も彼を狙って放たれた魔力弾を紙一重で躱していた。

 

「ちょ、バロス!

 あたってないぞ!?」

 

『無茶言うな、居場所のばれたスナイパーの弾丸がこっちに意識向けてるやつに当てられるわけないだろうが。

 当ててほしいならお前がかき回せ!!』

 

「あぁ、もうこの役立たず!!」

 

レイニーはバロスにヤケクソ気味に叫ぶとゼストへ向かい飛翔した。

 

 

 

「まったく、役立たずとはひどい奴だ。

 なぁ?」

 

バロスは自分の得物(デバイス)に向かって話しかけるが返事はない。

当たり前でもある。

彼のデバイスは演算処理に特化し、人工知能を搭載していないタイプ、所謂ストレージデバイスと呼ばれるものだからだ。

 

「まぁ、このままじゃ帰ってからレイニーのやつに怒鳴られるな。

 仕方ない、セカンドフォーム」

 

バロスの声に反応し、彼のデバイスの銃身が二つに割れる。

 

魔力変換炉(マギリングコンバーター)、起動。

 魔力収束確認……」

 

バロスの言葉に合わせるように、別れた銃身の間に紫電が迸る。

彼の背後に置かれた巨大な装置が唸りを上げ、周囲の魔力をかき集める。

そして、銃身もとい、砲身に集められた魔力が送られ臨海寸前まで圧縮された。

 

「スナイプバスター、行け!」

 

《Fire》

 

バロスが引き金を引き、溜めこんだ魔力の奔流が解き放たれた。

 

 

 

 

 

「……ッ!」

 

ゼストと切り結んでいたレイニーにバロスから通信が入った。

 

『今砲撃撃ったからな、着弾まで3……2……』

 

「ちょ!?」

 

カウントダウンを聞いてすぐにレイニーはゼストの槍を足蹴にして彼から距離をとった。

 

「アギトッ!」

 

『おう!!』

 

距離をとったレイニーに迫ろうとしたゼストだったが、彼の長年の経験からくる勘が彼に危険を知らせる。

その感覚に従い、アギトに指示をだし、デバイスだからこそ迫りくる魔力の塊にいち早く気づいていたアギトが障壁を張る。

だが、その障壁に阻まれた砲撃はそのまま彼らを大きく吹き飛ばした。

 

『後は頼むぞ、こっちは魔力変換炉(マギリングコンバーター)の冷却待ちだ』

 

「了解!」

 

大きく体制を大きく崩したゼストにレイニーが接近する。

だが、それよりも早くゼストの足もとに紫色の魔法陣が浮かび上がった。

 

『旦那!』

 

「あぁ、こちらの勝ちだ」

 

「なッ!

 くそ!!」

 

その魔法陣が何の魔法を行うためのものなのかに気づいたレイニーは飛行速度を上げたが、その手が届く前に彼らの姿はこの場から消え去った。

 

「……すまん、逃げられた」

 

『これで中将の愚痴を聞かされるのは確定だな……』

 

『「はぁ……」』

 

雲一つない空のもと、二人の男のため息が風に流されていった。

 

 

 

 

 

 

「クロスミラージュ」

 

《Load》

 

ティアナの声とともに、クロスミラージュから三つ(・・)の空薬莢が吐き出される。

 

「砲撃で一掃するわ。

 スバル!」

 

「了解だ、一丁かましてやれ!」

 

先行するスバルに一声かけ、ティアナはクロスミラージュを両手に構える。

 

《Sight Open》

 

ティアナの眼前にオレンジ色の照準が現れる。

その中央に二つのカーソルが合わさったとき、彼女は引き金を引いた。

 

「ターゲットインサイト……!

 ファントムブレイザー、シュートッ!!」

 

《Phantom Blazer》

 

直後、二つの閃光がガジェットを飲み込んだ。

ティアナの捉えたガジェットはそのほとんどが砲撃に巻き込まれ、爆散し破片を撒き散らしていった。

 

「一機抜けた……!」

 

「任せてください。

 フリード、ブラストフレア!」

 

その砲撃を運よく抜けることのできたガジェットもフリードの火球に貫かれ四散する。

なれない砲撃魔法を使用した反動で、息を切らしている彼女の視界の中では残りのガジェットがスバルとエリオによって殲滅されている光景だった。

 

「なんだ、もうほとんど終わってるじゃないか」

 

「あ、ヴィータ副隊長……」

 

「おう、大丈夫か?」

 

その時、空から降りてきたヴィータがその光景を目にして、驚きの声をあげていた。

 

「ガジェットの粗方は片付いたと思いますけど……」

 

「おう、あとはあたしたちに任せとけ。

 なれない砲撃魔法であそこまでできたんだ、誇っていいぞ」

 

ティアナはヴィータの褒め言葉に顔を少しうつむきながら小さく「はい」と返事をする。

空に浮いていたヴィータは、彼女の顔が嬉しそうに唇が上がっていたことには気づけなかった。

 

「よし、スバルとエリオはそのままガジェットをスクラップにし続けろ!

 抜けた奴は気にすんな」

 

ヴィータはグラーフアイゼンを肩に担ぎ言葉をつづけた。

 

「あたしが全部片っ端から潰しやる」

 

その顔を見たスバルは、後に”すごく頼りがいのある笑顔だった。”と語ることになるが、此処にはそのことを知るものは一人もいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

『すまないな、一課の者を配置したことを事後報告にしてしまって』

 

「いえ、あの時はこちらもいろいろと立て込んでましたから」

 

オークションの終了後、はやては地上本部にいるレジアスと通信でやり取りをしていた。

 

『そういってもらうと助かる。

 それで、そちらの被害はどうなのだ?』

 

「建物に被害はありません。

 副隊長とフォワードの四人が頑張ってくれたおかげで、正面玄関が少し散らかった程度です」

 

はやては「ですが……」とつづける。

 

「どうやら会場の中で密輸されていたロストロギアの一つが紛失したそうです。

 おそらく……」

 

『スカリエッティの手の者だろうな。

 そちらに関しては六課には責任はないだろう。

 ロストロギアの密輸の関係者に連絡をこちらから入れておく』

 

「……」

 

『どうした、何か気になることがあるのか?』

 

レジアスの問いにはやては一度咳払いをして口を開く。

 

「一つ教えてもらえないでしょうか。

 特務一課の目的というものを。

 こちらとしても、自分たちの仕事の場所に不確定要素を持ち込みたくないので……」

 

『……そうだな、お前には教えてもいいかもしれないな。

 特務一課の設立目的はある人物の拘束だ』

 

「ある人物……?

 凶悪犯、ということですか?」

 

はやての質問にレジアスは首を横に振り否定する。

彼女は一度深いため息を吐き、答えた。

 

『いや、ある事件のことに対する重要参考人だ。

 名をゼスト・グランガイツ。

 陸のストライカー級魔導師であり、私の夫だった者だ』

 

「……だった?」

 

レジアスの過去形の話し方に違和感を持ったはやては尋ねる。

 

「あの、どういうことですか?」

 

『ゼストはかつてある事件の際に作戦中行方不明(MIA)と認定された。

 だが、この数年、奴の目撃情報が何件か上がってきてな。

 もしかすると、というわけだ』

 

「……」

 

『……恐らくは、お前が考えている通りだろう。

 この件には、あの男が絡んでいる可能性が高い』

 

「ジェイル・スカリエッティ……」

 

 

 

 

 

 

 

「うん、後片付け終了。

 みんな、お疲れ様」

 

「ちゃんと帰ったら体休めとけよ。

 明日酷いことになるからな。

 特にティアナ、お前は一度医務室行っとけよ」

 

戦闘が終わり、なのはとヴィータの監督のもと、ガジェットの残骸の処理などの戦闘跡の修復を行っていたフォワード四人に対して彼女たちは労いの言葉をかけた。

 

「あぁ、そうだ。

 ティアナはこの後時間いいかな?」

 

「あ、はい」

 

「うん、じゃあみんなは先にヘリに行ってて」

 

「おう、こっちは任せとけ。

 おら行くぞ」

 

ヴィータがスバルたちを連れて離れたのを確認したなのははティアナの方を向いた。

 

「さて、ティアナ。

 あなたに話があります」

 

「は、はい」

 

なのはの改めた雰囲気を察して背筋を伸ばすティアナ。

 

「なんであの場で砲撃魔法を選択したのかな?

 砲撃は身体に負担のかかる魔法だってわかってるはず。

 現に今も身体中が痛むでしょ?」

 

なのはの言葉の通り、ティアナはただ立っているだけだというのに、彼女の体中の筋肉は悲鳴を上げていた。

 

「あの時は、ああするのが最適だと考えました。

 誘導弾(クロスファイヤー)を使ってガジェットをある程度の数まで減らすにははカートリッジは最低でも四発はロードしないといけません。

 でも、今のあたしにはそこまで魔力の運用は不可能です。

 三発でやったとしても、必ず打ち漏らしが多く出てしまう。

 なら、誘導弾ではなく、狙いをつけて打つだけだと考え、カートリッジを三発使った砲撃を使用しました」

 

「でも、ガジェットを減らさなくても耐えるだけでよかったんだよ?」

 

「ヴィータ副隊長があたしたちの場所に着いた時間を考えると、恐らくガジェットに突破されてました。

 あたしは、あの時の判断が間違っているとは思いません」

 

ティアナの視線を真正面から受け止めたなのはは、一度大きく息を吐いた。

 

「スバルもスバルだけど、ティアナも大概だね……。

 やっぱりコンビ組んでると、思考まで似通るのかな……?」

 

「な、あいつと思考が似ているなんてありえません!!」

 

「でも、二人とも見てると、『一撃必殺!』みたいな感じなんだけど?」

 

「うっ!」

 

なのはの言葉を聞き、否定できないティアナは口ごもった。

 

「まぁ、さっきの戦闘に関しては私からは以上です。

 これからはあんな無茶はしないように」

 

「はい……。

 ご心配おかけしました」

 

ティアナは少ししょんぼりした表情でなのはに頭を下げる。

そんな彼女の頭の上からある言葉が聞こえてきた。

 

「はぁ~、帰ったら訓練メニューの練り直しかなぁ~。

 砲撃を少しは経験できるようなメニュー作らないと……。

 今日は残業かな」

 

「……ッ!」

 

ティアナが顔を上げると、なのはの嬉しそうで、どこか悲しそうな相反する表情で彼女を見ていた。

 

「あ、ありがとうございます!

 あ、あの、お手伝いします!」

 

「ダメ、ティアナは明日は一日オールで休み。

 無茶すると、取り返しのつかないことになるんだから」

 

なのはは「ペシッ!」とティアナの額にデコピンを喰らわせ、ヘリポートに向かい歩みを進めた。

指に魔力を纏わせたデコピンで地味痛いモノだったため、ティアナは涙目になり、額を押さえながらなのはの後を追っていった。

 

 

 




前書きをお読みにならなかった方へ。
ぜひ前話のラストをお読みください。
アギトがちゃんと出てますので(笑)

さて、ホテルアグスタも今回で終了。
結局ティアナは無茶しました。
まぁ、誤射しないでなれない砲撃を撃って全身の筋肉が悲鳴を上げるということになりましたが(笑)。
そしてヴィータやなのはがしっかりとほめます。
彼女にとって隊長たちに褒められることは最高なことだと自分は考えているのであのような表現になりました。

さて、特務一課のメンバーですが、何気に元ネタを知ってる人がいてビックリです。
今回新たに出てきたバロスとレイニー、あと一課の戦闘部隊長の一人は『redEyes』という漫画に出てくる人物をモチーフとしています。
少なくとも十年前から今現在までずっと続いている漫画なので、みなさんの中にも本屋で見たことあるという方がいらっしゃるのではないでしょうか?

今回の人物紹介は先ほど話に上がったレイニー&バロスです。
それでは!

名前 レイニー・アイオス
性別 男
年齢 25
最近の悩み 相棒のバロスから聞かされる弟自慢がしつこいこと

特務一課戦闘隊の切り込み隊長。
ナイフ型のデバイス『ゼブラ』を使用した近接戦闘のスペシャリスト……だったのだが、ゼストに比べるとまだまだ経験が浅いため今回は軽く受け流されている。
だが、実際には一般局員が相手なら敵う者はいないほどの強さを誇る。
六課のリニアレールでのレリック回収任務の際に、リニアレールに近づこうとしていた戦闘機人No.6『セイン』に手傷を負わせたのは彼である。


スパロボ風精神コマンド
「集中」「ひらめき」「加速」「鉄壁」「気合」「直撃」

スパロボ風特殊能力
「ナイフ使い」:気力110以上で発動。格闘属性の攻撃力15%アップ

「苦労人」:気力130以上で発動。援護防御発動時に切り払いが発生。

スパロボ風エースボーナス
「ナイフ使い」の攻撃力アップが30%に上昇

名前 バロス・フレイグ
性別 男
年齢 24
最近の悩み 弟の誕生日に何を送るかということ

特務一課一のエーススナイパー。
かつては武装隊に所属し、ヴァイスとエーススナイパーの称号を奪い合っていた。
その腕前はデバイスの補助ありで11キロ先の直径115mmの穴を射抜くほど。
ヴァイスが武装隊からヘリパイロットになった際、怒りのあまり彼を殴り飛ばしたが、その理由を聞いてヴァイスに自分を殴らせたという話がある。
両親を幼いころに亡くし、たった一人の肉親である弟を大事に思っている。
恐らく女ならヴァイスと対になる存在だっただろう。
だが、男だ。

スパロボ風精神コマンド
「必中」「偵察」「狙撃」「集中」「直撃」「熱血」

スパロボ風特殊能力
「死神」:気力130以上で発動。射撃武装の攻撃がクリティカルになる。

「同類の友」:ヴァイスに対する援護攻撃時、攻撃力が50%アップ

「スナイパーの意地」:気力150以上で発動。撃墜されたとき、攻撃してきた敵ユニットを破壊。

スパロボ風エースボーナス
「死神」発動条件が気力110以上に低下
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。