流石にこれで打ち止めです。
これ以降はいつも通りのペースで投稿していきたいと思います。
「さて、今日の最後の訓練は私との模擬戦ということだが、用意はいいな?」
「はい!」
いつもの如く、日課となっている早朝訓練最後の模擬戦。
この日のスバルの相手はシグナムだった。
スバルの返事を聞き、シグナムは愛剣『レヴァンティン』を構える。
「いい返事だ。
では、来い!」
「行きます……ッ!」
掛け声とともに、スバルはその剣の間合いに飛び込んだ。
「はーい、今日の訓練はここまで!
みんな、お疲れ様!」
「「「お疲れ様でした……」」」
「お、お疲れ様……でした……」
訓練後のミーティングで、なのはに返事をするフォワード四名だったが、みな疲れ切っており、返事にも元気がなかった。
特にひどいのはスバルだった。
彼の場合は、身体中小さな切り傷だらけで、膝はガクガクと震えており、今にも倒れてしまいそうな様子だった。
「ちょっとスバル、大丈夫なの……?」
「し、シグナムさん、パネェ……。
こっちの攻撃全部切り払うし、逆に攻撃はこっちの防御ごと切り裂いてくるんだもん……。
マジ死ぬかと思った……」
「なんというか、ご愁傷様?」
「「お、お疲れ様です」」
「あ、あはは……。
シグナムさん、いったい何本模擬戦やったんですか?」
四人の中では一番体力のあるスバルがここまでへばっているのを不思議に思ったなのはは後ろに控えていたシグナムに尋ねる。
「ん?
だいたい三本ほどだが?」
「シグナム相手に三本はきついよ……。
スバル、よく頑張ったね……」
「相変わらず容赦ないな、お前」
「何を言う、私は二本目で止めたんだが、スバルがあと一本と言ってな、仕方なしに三本目をやったんだ。
ちなみに、最後の模擬戦の時、中々いい一撃を喰らわせてもきたがな」
フェイトやヴィータの言葉に反論しつつも、シグナムはスバルのことをほめていた。
「とりあえず、スバルはもちろんだけど、みんな。
今日の訓練は厳しくしたんだけど疲れたかな?」
「え、えぇ」
「実は言ってなかったんだけど、今日の訓練が第二段階の見極めのテストだったんだ」
なのはの告白に四人の顔は驚愕に染め上げられた。
「で、どうだったかな?」
「合格」
「「はやっ」」
なのはの問いかけに即答するフェイト。
あまりにもの即答ぶりにスバルとティアナは声をあげた。
「ま、これでダメならそれも問題なんだけどな」
「その時は、また私たちが鍛えなおすだけだが」
「「あ、あはは……」」
ヴィータとシグナムの言葉にエリオとキャロは苦笑い。
「というわけで、訓練の第二段階終了!
みんな、よく頑張ったね」
「デバイスのリミッターも、一段階解除することになるから、あとでシャーリーのところに行ってきてね」
「明日からはセカンドモードでの訓練を中心にしてやっていくからな」
「はい!」
「って、明日……?」
ヴィータの言葉にキャロが首を傾げた。
「あぁ、訓練再開は明日からだ。
まぁ、第二段階終了の褒美みたいなものだな」
「今まで一人一人の休みはたまにあったけど、みんなでの休みはなかったからね
今日は私たちも隊舎で待機だから」
「今日はこの後はフルでオフだよ。
街にでも行って遊んでくるといいよ」
教官たちからの言葉に新人四人が喜んだのは語らずともわかるだろう。
こうして、機動六課の休日は始まったのだった。
「ティアナ、あれとってくれ」
「はい、これね」
「サンキュー」
「あぁスバル、それ貸して」
「はいよ」
「ん、ありがと」
ヴァイスは目の前の光景を歯ぎしりをしながら見ていた。
あれやそれという言葉でレンチやドライバーを貸し借りしているスバルとティアナを見て彼は、"お前らどこの夫婦だ!"と叫びたい気持ちにかられた。
「これで良しっと。
ヴァイスさん、工具貸してくれてありがとうございました」
「お、おぉ。
しっかし、いつ見ても見事なもんだよな。
そのバイク、お前が自分で作ったんだろう?」
ヴァイスは目の前に置かれているスバルのバイクを見ながらそう尋ねる。
「正確には俺たちですけどね。
訓練校時代に皆で部品代出し合って一台作り上げたんです」
「それで、最後に所有権巡っての大乱闘。
参加者はみんなまとめて教官の鉄拳喰らって沈黙しましたけど、スバルがそれを勝ち取ったってところです」
「ある意味ホラーだな、それって」
たった一つのバイクを求めて全員が敵のロワイヤル、B級映画も真っ青な状態である。
「いや、あの時の教官の拳骨はめちゃくちゃ痛かった。
全員が一撃でやられたからな~」
「あたしは参加してなかったけどね」
「な、なんというか、すごい人だな。
お前らの教官ってのは。
まぁ、お前らの昔話はいつでも聞けるからいいとして、早く行かねえと時間なくなっちまうぞ」
ヴァイスは手を振って二人を早く行くようにせかした。
二人は彼の言葉に従ってバイクにまたがり、そのまま六課の出入り口に向かって走っていった。
そんな二人の背中が見えなくなるまで見ていたヴァイスは一言。
「青春しんてんなぁ……。
対して、俺には誰一人……。
いいもんね、俺にはラグナがいるから!」
シスコン此処に極まれりといった感じの一言だった。
「二人とも、ハンカチは持った?
忘れ物はない?
困ったことがあったらすぐに連絡入れるんだよ?
あと、お小遣いは大丈夫?」
「あ、あの、フェイトさん」
「私たちも、もうお給料もらってますので……」
「あ、そうだったね」
「まったく、テスタロッサの過保護ぶりもすごいものだな」
「あぁ、まったくだ」
隊舎の玄関でエリオとキャロの身だしなみのチェックを行っていたフェイトに背後から声をかけたのはシグナムとヴィータだった。
「あ、二人ともどうしたの?」
「いや、私はこれから聖王教会の方へな」
「あたしは108部隊の方へな。
ナカジマ三佐が合同捜査の捜査本部を敷いてくれるって話でな。
あと、108の魔導師連中の教導。
まったく、教導官の資格なんて取るもんじゃねぇな」
「でも、いやってわけじゃないでしょ?」
面倒くさそうに言うヴィータに、外から戻ってきたなのはがそう尋ねた。
その問いにヴィータはそっぽを向きながら「ま、まぁな……」と答えた。
「あ、なのは。
スバルたちはもう行ったの?」
「うん、スバルの運転するバイクにティアナが後ろに乗ってね。
まぁ、あの二人だから大丈夫だとは思うけど、ちょっと心配かな」
主にスバルがティアナに何か言って途中で事故ったりしないかという方面で、となのはは心の中でつづけた。
そんななのはの胸の中にしまっている言葉には気づかないフェイトはエリオとキャロを送り出した。
「ひゃっほうッ!」
「やっぱり気持ちいいわね!
こうガツンと飛ばすってのは」
人っ子一人通っていない道を、スバルたちを乗せたバイクは制限速度ギリギリオーバーで走っていた。
その速さで感じられる風をスバルとティアナは存分に浴びていた。
「なんかこのままずっと走っていきたい気分ね」
「なんならこのまま走っていくか?
別にそれでも構わないぞ?」
「んー、今日はいいかな。
久しぶりに買いたいものとかあるし」
「そうかい、なら少しスピード上げるぞ!
しっかり捕まってろよ!!」
「ちゃんと止まれるスピードでね!!」
そしてスバルがスピードを上げたために、ティアナは体制を崩さないようにスバルの背中に密着する。
その時、彼の背中にとても柔らかい二つのものが感じられたが、今はバイクの運転に集中することにしたのだった。
それから、約三十分走り続けたスバルたちは、目的の街へとたどり着いていた。
「うーん、やっぱりツーリングってのは最高ね。
ねぇ、あんたもそう思うでしょ?」
バイクから降りてヘルメットを外したティアナは大きく伸びをしながらスバルに尋ねる。
「あ、あぁ」
それに対してスバルは少し顔を紅くしながら答えた。
少し様子が変だと思ったティアナは彼に尋ねる。
「スバル、あんた体調でも悪いの?」
「いや、ちょっとな」
ティアナの問いにはぐらかす様に答えるスバル。
そんな彼に少し心配したティアナは彼に近寄る。
「ホントに大丈夫なの?
本当のこと言いなさい」
「わかったよ……」
ティアナの問い詰めに観念したスバルは一度ため息を吐き、そして思っていたことを言い放った。
「ティアナってさ、着やせするんだな」
その直後、ティアナの顔が真っ赤に染まり、スバルの頬を思いっきり抓った。
「あんたは!
なんで!
そんなセクハラ発言を!
こんな公衆の面前でするの!!」
「い、痛い痛い!!
すまん!
謝るから抓るのやめてー!!」
そんな会話を周囲の人々は暖かい目で見ていたそうだ。