魔法少年リボルバースバル   作:飛鳥

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ティアナルート第二話です。
今回は皆さんの大好きなあの人が登場しますよ!
それではどうぞ!


ティアナルート 第二話

「なに、横転事故……?

 どうしてそんな案件が私のところに回ってきたんだ?」

 

地上本部の総指令室でレジアスは娘のオーリスの持ってきた資料に目を通して、そこに書かれた事故のことを尋ねる。

 

「いえ、ただの横転事故ではないらしいです。

 現在108部隊の捜査官からの報告で、事故にあったトラックは缶詰などの日用品を運んでいたそうですが……。

 現場にガジェットと思わしき物体と、生体ポッドの残骸が放置されていたそうです」

 

「生体ポッドだと……?」

 

オーリスの報告にレジアスは眉を顰めた。

生体ポッドとガジェットの残骸。

この二つのものが関わる事柄など数える程度にしか存在しない。

 

「レリックがらみか……」

 

「そう考えるのが妥当かと。

 どうなされます?

 一課の人員を派遣しますか?」

 

「いや、この案件は108に任せよう。

 108の部隊長はナカジマ三佐だったな。

 彼なら六課との協力で何とかしてくれるだろうからな」

 

「では、そのように」

 

「あぁ、頼む」

 

レジアスが書類に必要事項を書き加えオーリスに渡すと、彼女は一礼して部屋を去っていった。

娘が出ていったのを確認したレジアスは机の引き出しからある一枚の資料を取り出す。

 

「聖王教会から盗まれた聖王の聖遺物紛失……。

 なぜ今頃になって地上(こっち)に渡してきた、上層部の老害どもめ……!」

 

レジアスは資料を見ながらそう呟いた。

 

 

 

 

『そうか、そっちもちゃんと楽しんでんだな?』

 

「はい!

 シャーリーさんから渡された『これさえあれば一日楽しめるガイド』にあるところを一つずつクリアしていくつもりです!」

 

『クリアって……。

 まぁ、何か困ったことがあれば連絡してくれ』

 

『そんなに離れてるわけでもないから、すぐに行けると思うわ」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「その時はすぐにでも連絡しますので」

 

『わかった。

 じゃ、しっかり楽しめよ!』

 

街の公園のベンチに座って休憩していたエリオとキャロはスバルたちからの通信が切れたのを確認すると、互いに笑いながらベンチから立ち上がった。

 

「それじゃ、次のところに行こうか……ってアレ……?」

 

「どうしたの、エリオ君?」

 

歩き出そうとしたエリオは何か気になったのか、後ろを振り返った。

キャロはそんな彼にどうしたのか尋ねる。

 

「いや、今スバルさんにそっくりな人がいたんだけど……」

 

「スバルさんに?

 でもさっきまで通信してたでしょ?」

 

「そう、だよね。

 うん、見間違いだと思う。

 パッと見たときの髪の色も違ったし……。

 行こうか」

 

エリオはキャロの指摘に頷き、自分の中でも納得させた。

彼はキャロの手を握って、公園の出口に向かって歩いて行った。

反対側の出口に向かった二人組の少女に気づかずに。

 

 

 

 

「マテリアルはこの街で行方が分からなくなった。

 その現場を見たかったとこだけど、案の定管理局がいたから、このまま私は予定地点に向かう」

 

「あぁ、マテリアルにはレリックも一緒にあったんだろう?

 なら、例の部隊が来る可能性が高い。

 あたしはそっちが目的だからな……。

 ルーお嬢様には?」

 

公園を突っ切り、廃棄都市区画に入っていった二人は周囲に気を配りながら歩みを進めていた。

茶髪の少女―――ディエチは隣を歩ているノーヴェに答える。

 

「レリックの回収はお嬢様とガリューがやるらしい。

 ノーヴェはお嬢様の援護に入れる距離で待機だって」

 

「あまり近くにいすぎるとあの融合騎が喧しいからな……」

 

ノーヴェは協力者の一人である失われた古代ベルカの遺産『融合騎(ユニゾンデバイス)』である少女の顔を思い出しため息を吐いた。

 

「自分で行きたいって言ったのはノーヴェ。

 ちゃんと仕事はやる」

 

「わかってるよ」

 

ノーヴェの呟きにディエチは「そう」と答えると、それ以降口を開くことはなかった。

しばらく歩き続けた二人は分かれ道でそれぞれの方向に足を向けた。

 

「じゃぁ、私はこっちだから」

 

「おう。

 またあとでな」

 

「うん、また」

 

ディエチはそう言って背中に担いだ荷物を一度背負いなおしてから去っていった。

ノーヴェは彼女が背を向けたと同時に反対の方向へと足を進めた。

 

「はぁ……」

 

ノーヴェはここに来るまでの経緯を思い返していた。

相棒であるウェンディに本当のことを言えず、話がどんどん大きくなり、終いには自分が一番信頼している姉の一人にも本当のことを言わなかった。

 

「戦いたいってのもある。

 けど……」

 

ノーヴェは右手を一度握り込むと、自分の胸にあてる。

 

「あいつの戦いを見たいって思いが一番大きいんだよな……」

 

彼女の呟きはだれにも聞かれることなく風に流されていった。

 

 

 

 

 

「それにしても、こうのんびりした時間を過ごすなんて久しぶりだな」

 

「そうねー。

 いつも訓練で、休みをもらってもアンタは定期検査、あたしは遠出する手段がないから街に行くことはなかったしね」

 

一通り遊んだスバルとティアナは露店で売っていたフライドポテトをつまみながら多くの人がいる街を眺めていた。

 

「平和だな」

 

「そうね、事件とか起こってなきゃいいけど」

 

家族連れやカップルで楽しんでいる人々を見ながらそう呟く二人。

そんな二人に声をかける者がいた。

 

「まったくだ。

 せっかくの家族サービスの日に事件が起きられては敵わん」

 

「「……」」

 

突然、背後から聞こえてきた声に対して無言で振り向く二人。

二人の後ろに立っていた男性を見て、二人は驚きの声をあげた。

 

「「きょ、教官!?」」

 

「おう、久しぶりだな。

 ナカジマにランスター」

 

してやったりという感じの笑みを浮かべながら男性―――キョウ・カーンは二人の名を呼んだ。

 

「あ、あの。

 なんでここに……?」

 

「さっきも言っただろう、家族サービスだ」

 

「え、じゃぁそちらにいらっしゃる方が……?」

 

ティアナはキョウの言葉に反応し、彼の隣に立つ女性とその女性の後ろに隠れている4歳くらいの子供に目をやった。

 

「あぁ、妻のイリョウと娘のケイだ」

 

「妻のイリョウです。

 あなたたちのことはキョウからよく聞かされてたわ」

 

「ど、どうも」

 

「ほら、ケイも」

 

イリョウは自分の足にしがみついている娘を促した。

母に背中を優しく押された女の子は恐る恐る前に出て小さな声で自己紹介をする。

 

「け、ケイです……」

 

それだけ言うと、ケイは再びイリョウの後ろに隠れてしまった。

 

「あらあら、ごめんなさいね。 

 この子、少し人見知りだから……」

 

「いえ、可愛らしい娘さんですね」

 

「そうだろう、イリョウに似たんだと俺は思ってる」

 

自慢げにそう言ってきたキョウを見てスバルが驚きの声をあげた。

 

「教官が優しい笑顔を……!」

 

「お前は俺をなんだと思ってたんだ……?」

 

「え、あ、あはは……」

 

スバルの呟きを聞いたキョウは、教官としての射抜くような視線を彼に向ける。

三年ぶりのその視線に貫かれたスバルは冷や汗を流しながら目をそらした。

 

「ところで、お前らは確か機動課に配属になってたんじゃなかったのか?」

 

「あ、はい。

 機動六課の実戦部隊として配属になってます」

 

「毎日戦技教導官の訓練でしごかれてますよ……」

 

「機動六課の戦技教導官って言えば……」

 

スバルの言葉にキョウは何かを思い出す様に呟く。

 

「高町なのは一等空尉です。

 確か、教官と隊長は面識があるとか?」

 

「あぁ、思い出した。

 無茶して落とされそうになったあのチビッ子か」

 

キョウはティアナの指摘に手をポンと叩き合わせる。

チビッ子発言にスバルとティアナは苦笑いを浮かべた。

 

「じゃぁ、今日はオフってところか?」

 

「はい、ここのところ休みがなかったからって」

 

キョウの疑問にティアナが答える。

すると、意外な人物が爆弾を放り投げてきた。

 

「あら、じゃぁ二人は休みを利用してデートしに来たってところかしら。

 お邪魔しちゃったかしらね?」

 

「「で、デートッ!?」」

 

「あら、違ったの?」

 

爆弾を放り込んだイリョウは腕の中で眠ってしまったケイを抱きながら首を傾げていた。

デートという言葉に顔を真っ赤にするティアナとスバル。

特にスバルはティアナの女性としての特徴を先ほど(故意じゃないとしても)味わった感触を思い出して、頭の中の回路が一気にショートしてしまった。

 

「す、スバルとはただの仕事のパートナーで、べ、別に恋人とかじゃ!!」

 

「あら、予想外に食いついてきたわね。

 そんなに反論するってことは、彼のこと少しは意識してるってことじゃないの?」

 

「だ、だから!!

 あーもう!

 スバル、あんたからも……って!!」

 

「こいつなら今使いもんにならんぞ」

 

イリョウのからかいに翻弄されたティアナはスバルにも何か言うように彼の方を向いたが、先ほどのショートから未だに立ち上がっていないスバルを見て頭を抱えた。

 

「イリョウ、これ以上俺の教え子をからかわんでくれ。

 特にこいつは生真面目だから」

 

「あら、それじゃあ仕方ないわね」

 

キョウからの注意に本当に残念そうにイリョウはそう言った。

 

「えっと、ティアナちゃん?」

 

「……はい」

 

「そうブスッとしないの。

 せっかくの可愛らしい顔が台無しよ?

 はい、これ」

 

イリョウは頬を膨らましていたティアナに一枚のメモ用紙を渡した。

 

「これ、なんですか……?」

 

「私の連絡先。

 何か困ったことがあったら連絡ちょうだい。

 相談ぐらいなら乗ってあげられるから」

 

「じゃあさっそくお願いできますか?」

 

「あら、何かしら?」

 

「ここでショートしてるスバル(バカ)を再起動させたいんですけど、何かいい案ありませんか?」

 

ティアナはぶっきらぼうにそう尋ねた。

イリョウは「あら、そんなの簡単よ」と答えてケイをキョウに預けてスバルに近づき、

 

「おばあちゃん直伝。 

 斜め45度からのチョップ!」

 

「え……」

 

チョップした。

言葉通りにきれいな45度の角度から彼の頭に向かって軽い打撃を与えた。

 

「あ、アレ?

 俺何してたんだ?」

 

「うそ、あんなので治るの……?」

 

「案外人ってのはこうすることで正気に戻ったりするのよ。

 キョウが結婚式の時にフリーズしたときもそうだったし」

 

「ちょ、イリョウ。

 その話をこいつらの前で……」

 

まさかの妻から自身の恥ずかしい話をされるとは思っていなかったキョウはイリョウを止めようと彼女に近づいたとき。

 

『こちら、ライトニング4。

 緊急事態につき、現場の方向をします。

 サード・アベニューF-23路地裏にてレリックらしきケースを発見、ケースを持っていた5、6歳の少女を1人保護。

 少女は現在意識不明。目立った外傷は無し、指示をお願いします』

 

マッハキャリバーとクロスミラージュから緊急事態を告げる連絡が届いた。

 

「サードアベニュー……。

 ここから近いな」

 

「すぐに向かわないと。

 教官たちは……」

 

「俺たちのことは気にするな。

 自分たちのやるべきことをしっかりこなせ」

 

「二人とも、ケガしないようにね」

 

キョウは教官や父親としての顔ではなく、歴戦の戦士の顔で二人に告げる。

その横でイリョウは心配そうな表情で二人を見ていた。

 

「「はい!」」

 

スバルとティアナは二人に一礼するとすぐにその場から走り去っていった。

機動六課の短い休日は終わりを告げた。

 




はい、教官とその奥様と娘さんに登場してもらいました。
奥さんの方の名前はすんなりと決まったのですが、娘の方は中々決まりませんでした(笑)。
だってあの流れでつけられる名前って少ないんですもの。
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