魔法少年リボルバースバル   作:飛鳥

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ティアナルート第五話です。
前回の投稿の際に、予約時間を間違えて夜の12時にしていたので、読んでいない方がおられましたら前話からお願いします。



ティアナルート 第五話

「スバルさん、さっきのコンビネーションっていくつかパターンがあるんですか?」

 

ガジェットの集団を撃破した五人はキャロの指示に従ってレリックのあるであろう場所に向かっていた。

その途中で、エリオは先ほどのスバルとギンガのコンビネーションで感じた違和感を尋ねていた。

 

「どうしてそう思った?」

 

「えっと……なんとなくですけど、スバルさんやギンガさんの攻撃の選択肢がいくつか取れるように感じたから、です」

 

スバルはエリオの答えを聞くと、笑いながら彼の頭を乱暴に撫でまわした。

 

「わわっ!?」

 

「よく見てるじゃないか、偉いぞエリオ」

 

スバルはエリオの頭を撫でまわすのを止め、彼の頭を二度ポンポンと叩きながら彼の質問に答えた。

 

「さっきのはVer.38だ。

 ちなみにTNFは108式まである」

 

「えぇッ!?」

 

 

 

 

 

「そんなにあるんですか?」

 

スバルとエリオの少し後ろを走っていたティアナは隣に並走するギンガに尋ねる。

 

「さすがに108はないけど、50くらいはあるわよ。

 お母さんと模擬戦をするようになってだいたい二日に一回は新しいパターンを考えていたから」

 

「けど……」とギンガは苦笑しながら言葉を続けた。

 

「一回も勝てなかったのよね~。

 さっきやったのも、私とスバルの前後からの同時攻撃も軽く捌かれちゃったのよ」

 

「話を聞いて思ったんですけど、ギンガさんとスバルのお母さんってものすごい人なんじゃないんですか……?」

 

ティアナの問いにギンガは嬉しそうに笑いながら「えぇ、すごい人だったわよ」と答えた。

 

 

 

「キャロ、そろそろじゃない?」

 

「はい。

 この先にレリックの反応があります」

 

下水道を駆け抜けてきた五人は少し広い空間に出ていた。

 

「よし、なら手分けして探しましょう。

 この広さの空間でレリックを見つけるとなると大変かもしれないけど」

 

ティアナは周りを見回しながらため息を吐いた。

彼らのいる空間はそれなりの広さの場所だった。

砂漠から特定の砂粒を探すほどの難しさはないが、結構骨の折れそうだということは確かである。

 

「何があるかわからないから、気をつけろよ」

 

「「はい!」」

 

「ふふ、了解」

 

エリオとキャロはスバルの注意に頷き、ギンガは弟の成長を嬉しそうに微笑みながら答えた。

 

 

 

 

「はぁ……。

 なんで休日返上して下水道で探し物してるんだろうな……」

 

「しょうがないでしょ、それが仕事なんだから」

 

二つのグループに分かれてレリックの探索を行っていたスバルたちだったが、暗い下水道という環境で探し物をするというストレスに耐え切れなくなったスバルが愚痴を零した。

 

「探索魔法でも使えれば一発なんだけど……まぁ、無理か」

 

「レリックが反応したらどうなるかわからないから無理ね」

 

「「はぁ……」」

 

二人そろってため息を吐く。

 

「教官たちは今頃家族で楽しんでるんでしょうね」

 

「前から思ってたけど、教官ってどうやってイリョウさんと出会ったんだろうか……」

 

「案外、教官が若いときに入院してそのままゴールインって感じだったりして」

 

 

 

 

 

 

 

「「くしゅん!」」

 

とある店の中で男女が同時にくしゃみをした。

 

「誰か噂でもしてるのかしら?」

 

「イリョウは美人だからな。

 話題に上がっててもおかしくはないか」

 

 

 

 

 

「それより、あんた帰りに研究所によりたいって言ってたけど、どこか体の具合でも悪いの?」

 

「いや、例のパーツが出来上がったって博士から連絡があってな。

 それを受け取りに行く」

 

「それって……」

 

「あ、ありました!」

 

口を開こうとしたティアナだったが、キャロからレリックの発見の知らせが届くのを認めると、口を閉じてキャロの方へ足を運んだ。

 

「ん?」

 

彼女に続いてキャロの方へ行こうとしたスバルだったが、彼の耳に何かが地面を蹴りつける音が聞こえてきた。

 

「なんだ……?」

 

スバルは周囲を見回したが、彼自身はもちろん、ほかの誰一人として飛び跳ねたりはしていなかった。

そして、先ほどよりも一際大きな音が二度聞こえてきた直後、彼の視界の隅、正確にはキャロの背後の空間が歪んだ。

 

「キャロッ!!」

 

「え……きゃぁぁあ!?」

 

スバルが咄嗟に警告を飛ばすが、キャロがそれを理解する前に歪んだ空間から魔力弾が放たれ、彼女のすぐそばに着弾した。

 

「キャロ、大丈夫か!?」

 

「だ、大丈夫です……。

 でも、レリックのケースが……!」

 

キャロの視線の先にレリックのケースが転がっているのを見たスバルは舌打ちをしながらもキャロに攻撃を加えた何かがいる空間を睨みつける。

 

「でやああああっっ!!」

 

エリオが一気に加速し、その空間に入り込みストラーダを一閃。

そのまま距離をとってスバルとキャロの近くに着地した。

 

「クッ!」

 

だが、先ほどの一瞬の間にエリオの頬に一筋の切り傷が走っていた。

 

「エリオ君!」

 

「大丈夫」

 

エリオは駆け寄ったキャロを止めるように手を広げる。

スバルはエリオたちから少し離れたところでエリオが切りつけた空間に視線を向ける。

すると、歪みが次第に薄くなり、人型の何かが立っていた。

 

(スバル、少しでも動きを見せたら一撃決めるわよ)

 

(わかった)

 

人型の反対側にいるであろうギンガからの念話にスバルは了承の意を伝えた。

人型が姿を現してから数十秒、どちらも動かずに互いの動きに注視していた。

スバルとギンガは人型から発せられる気配を警戒し、人型は前後を挟んでいる二人を警戒していた。

 

だが、その均衡は崩れた。

 

「あッ!」

 

キャロがレリックのケースに近づく足音に気づき、そちらに駆け寄ったのだ。

レリックのケースに手を伸ばしたのは、キャロやエリオと変わらないであろうほどの年の紫の長髪の少女。

その少女は彼女の足もとにあるレリックのケースに手を伸ばそうとしていたキャロに手を向けた。

 

「邪魔……」

 

「ッ、きゃあぁあ!?」

 

単純な魔力放出。

だが、不意を突かれたキャロは咄嗟に障壁を張るが、圧倒的な魔力の奔流は障壁ごとキャロをたやすく吹き飛ばした。

 

「キャロッ!?……うあぁっ!!」

 

「ッ!」

 

「スバルッ!!」

 

吹き飛ばされたキャロを受け止めようとしたエリオだったが、衝撃を逃がすことができずにそのまま近くの柱に叩き付けられた。

 

そして、スバルは二人の方へ意識を傾けてしまい、その隙を人型が逃すはずがなかった。

人型がスバルに接近し、その腕から伸びる突起がスバルに迫る。

 

「こなくそッ!!」

 

「ッ!」

 

スバルの腕にめがけて突き出された突起を人型の懐に飛び込むことで、狙いをずらし逆にスバルの攻撃範囲に人型を捉えた。

 

「姉貴ッ!!」

 

「タァアッ!!」

 

突起が肩を霞めながらスバルは人型の腹に拳を叩き付ける。

スバルの拳をもろに受けた人型は後ろに吹き飛ばされ、さらに後ろから迫っていたギンガに壁際まで蹴り飛ばされた。

 

 

 

 

 

キャロとエリオを吹き飛ばした少女は足元に落ちているレリックの入ったケースを手に取ってその場を去ろうとした。

 

「ごめんね、乱暴で」

 

だが、彼女の首に橙色の魔力刃が突きつけられ動きを止めざるを得なかった。

少女が魔力刃の発生源を目で追うと、背後からティアナが現れた。

 

「でもね、これ本当に危ない物なの。

 渡してもらえるかな?」

 

ティアナは少女の動きに気を配りながら、そのように告げた。

何があってもすぐに取り押さえられるように。

 

「スターレンゲホイル!!」

 

刹那、彼女の視界は白く染まった。

突如として放たれた妨害魔法によってティアナをはじめとしたフォワードメンバーは視覚と聴覚を潰された。

 

「きゃぁ!?」

 

そして、視界を潰され、状況の把握すらも困難になったティアナは壁際から一気に接近してきた人型に蹴り飛ばされ少女との距離を離されてしまう。

ぼやける視界の中、クロスミラージュを構え魔力弾を少女に放つも、人型が身を挺して防いでしまい、その肩の甲殻を砕くだけという結果になってしまった。

 

「ティアナ、大丈夫か!?」

 

いち早く回復したスバルとギンガがティアナのそばに駆け寄る。

 

「えぇ、大丈夫よ。

 でも……」

 

ティアナはよろよろと立ち上がり、目の前の少女と人型に視線を飛ばす。

 

 

「ったくもー。

 あたし達に黙って勝手に出かけちゃったりするからだぞ、ルールーもガリューも」

 

その時、天井付近からの声とともに小さな影が降りてきた。

 

「アギト……」

 

「ホントに心配したんだからな」

 

ルールーと呼ばれた少女はその小さな助っ人の名前を呼ぶ。

小さな影―――融合騎アギトはスバルたちに背を向けて少女たちに話しかける。

 

「ま、もう大丈夫だぞルールー。

 何しろこのあたし!

 烈火のぉ、剣精!

 アギト様が、来たからな!!」

 

アギトの掛け声とともに彼女の周囲に縮小版の花火が上がる。

ただでさえ暗い下水道の中で光らせるものだから、スバルたちの方からでもその模様がきれいに見えていた。

 

「芸が細かいな、おい……」

 

スバルの言葉に突っ込むものは誰一人としていなかった。

 

「オラオラぁ!

 お前らまとめて、かかってこいやぁぁっ!」

 

「じゃぁ、遠慮なくそうさせてもらうわ」

 

アギトの威勢のいい啖呵の直後、ティアナが指を鳴らす。

刹那、アギトたち三人(?)の周囲に数十を超える魔力弾が姿を現した。

 

「備えあればなんとやら。

 さて、動かないでね?

 うっかりレリックに当たったりしたらこっちも洒落じゃすまないから」

 

ティアナはとても素晴らしい笑顔でそう告げた。

 

 

 




ティアナルート第五話をお送りしました。
最後にルーテシアたちを取り囲んだ魔力弾のネタはなのは戦でティアナがやったものと同様です。
一応補足として書いておきます。

この話書いてて、キョウとイリョウの出会いという番外編のネタが浮かんできてしまった(笑)
希望があればいつか書きたいと思います。
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