魔法少年リボルバースバル   作:飛鳥

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ティアナルート 第十三話

ゲンヤたちと別れた二人は少し離れたところを歩く見覚えのある後姿を見つけた。

 

「あれ、なのはさん?」

 

「ん?あ、二人とも!」

 

「スバルお兄ちゃんだ!」

 

「おぉっとヴィヴィオ、楽しんでるか~?」

 

「うん!」

 

二人が見つけたのはなのはとヴィヴィオだった。

後ろから二人に声をかけられたなのはは二人に向かって手を振り、ヴィヴィオはスバルに向かって突進してきた。

スバルは幼女(ヴィヴィオ)の突進を軽く受け止めると彼女を持ち上げその場をぐるぐると回り、ヴィヴィオは嬉しそうに笑い声をあげる。

 

「あはは、ヴィヴィオはスバルに懐いてるね。

 私以上になついてるかも……」

 

「スバルが異常に小さい子供に好かれやすいだけですよ。

 あの性格が原因じゃないですかね?」

 

ティアナはスバルの誰にでも距離を感じさせずに接してくる性格が、小さい子供に限らず彼を慕う者が多い理由だと考えていた。

陸士訓練校然り、以前の部隊然り、機動六課然りと。

 

「あ、ティアナもそこに惹かれたんだね?」

 

「ふぁ!?」

 

ヴィヴィオと戯れるスバルを見ていたティアナはなのはの言葉に驚きの声をあげてしまう。

 

「な、ななななにを!?」

 

「あはは、隠せてると思ってた?

 女の子ってのは自分のこと以上に、他人の色恋には敏感なんだよ?」

 

なのははその視線を人ごみのほうへ向ける。

その視線が向けられた方にいる一人の背中がビクッとしたが、絶賛混乱中のティアナはそれに気付かなかった。

 

「それにね」

 

「……?」

 

「私たちがティアナぐらいの年の時は仕事ばかりで、ティアナたちみたいに青春してなかったから、二人にはしっかりと楽しんでほしいんだ」

 

「なのはさん……」

 

なのはの言葉に対して意外という表情を浮かべるティアナ。

そんな彼女の顔を見たなのはは笑顔でその言葉を投げかけた。

 

「だから、好きな子にはさっさと告白したほうがいいよ?」

 

「な、なのはさん!」

 

ティアナが赤面して叫ぶと、なのはは笑いながらヴィヴィオとスバルのほうへ歩いて行った。

 

「ほら、ヴィヴィオ。

 そろそろ行くよ」

 

「うん!」

 

「なのはさん、フェイトさんは一緒じゃないんですか?」

 

「あ~、うん。

 フェイトちゃんはね……」

 

 

 

 

 

「あぁ!?」

 

キャロの持ったポイに穴が開き、そこから金魚が下に落ちてしまった。

 

「あはは、キャロ、惜しいね」

 

「次は僕が!」

 

「お、ガールフレンドにいいとこ見せな、少年!」

 

店の親父からポイと器を受け取ったエリオはしっかりと狙いを定めて金魚を掬う。

一匹、二匹と順調に掬うことができたエリオだったが、五匹目で水でびちょびちょになったポイがついに破れてしまった。

 

「あぁ、破れちゃった……」

 

「惜しかったね、エリオ。

 おじさん、私にも一ついい?」

 

「おお、いいぞ。

 ほら、頑張りな」

 

二人の後ろで見ていたフェイトは二人が楽しそうにやるので、親父からポイと器を受け取る。

一度深呼吸したフェイトは真剣な目つきで目の前のビニールプールを見つめる。

そして……。

 

「ハァッ!!」

 

一瞬で器いっぱいにこんもりと金魚が盛られた。

目の前の自分よりも年下の年頃の女の子が一瞬でそんなことをしてしまったことに驚いた親父は顔をひきつらせていた。

 

「お嬢ちゃん、さすがに取りすぎだ」

 

「えぇ!?」

 

 

 

 

 

「エリオとキャロと一緒に祭を楽しんでるよ」

 

「あぁ、あの二人と一緒にいるんですか」

 

フェイトが金魚すくいでやらかしているとは全く思ってもいないスバルたちはそう言って笑いあった。

その後、スバルとティアナは去って行った。

それを確認したなのはは近くでイカ焼きを食べていたはやてのもとに向かう。

 

「はやてちゃん」

 

「や、なのはちゃん。

 奇遇やな」

 

「何してるの?」

 

「いやぁ、あのな……」

 

はやてから事の経緯を聞いたなのはは呆れたようにため息をついた。

 

「二人に気づかれるから、程々にしないとだめだよ?」

 

「わかっとる、わかっとる」

 

ほな、とはやてはリインを伴ってその場を去った。

そんな彼女を見ながらなのははひとり呟く。

 

「なんかスバルたちって本当に青春してるな~。

 今度ユーノ君を遊びに誘ってみるかな?」

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、管理局の祭りって結構いろいろやってるんだな」

 

「そうね、さっき広場でやってたショー見た?」

 

綿菓子を片手に歩いていた二人は祭りの規模の大きさに感心していた。

 

「あぁ、魔法使ったヒーローショーか。

 めちゃくちゃ派手だったな、背後の爆発とか」

 

「あれ、幻影魔法を応用してたわ。

 結構高難易度の技術のはずなのに、それをヒーローショーに使うなんて……」

 

ティアナは自分では行使するのが難しい高難易度の魔法をショーに使っている魔導士がいることに対してため息をついていた。

 

「まぁ、魔法なんて使い方次第でどうにでもなるからな。

 そのいい例だな、さっきのショーは」

 

「フェイクシルエットとオプティックハイドを同時使用して、本物は姿を消して、シルエットのほうに砲撃魔法を叩き込んで、爆発のエフェクトと一緒に本物はその場を出ていくって。

 まぁ、子供にはそんなことはわからないんだろうけど、幻影魔法の同時使用って本当に難しい……「お、あれなんだ?」って、スバル!」

 

ティアナが一人でぶつぶつと呟いている途中でスバルが何かを見つけて彼女の手を引いて少し歩く速さを早くした。

 

「せっかくの祭りなんだから、魔法の考察は後にしようぜ。

 ほら、なんか面白そうな食べ物売ってるし」

 

スバルの言葉を聞いたティアナは呆れながらもそのとうりだと考え、彼の視線の先へ目を向けた。

その先には『揚げピザ』と書いた看板が立てられていた。

 

「いらっしゃいませ!

 何にしますか?」

 

「おすすめは?」

 

店員であろう少年が二人に気づき、注文を尋ねる。

メニューの中からおススメを聞くスバルに対して店員はすぐに答え、スバルはそれを注文しようとした。

そんな時、彼に声をかける者がいた。

 

「ナカジマにランスターか?」

 

「「教官!?」」

 

店の奥から顔を覗かせたのは、つい先日再会したキョウであった。

 

「なんで、教官がここに?」

 

「なんでもここは第四陸士訓練校の出してる店だからだ」

 

キョウの言葉を聞いたスバルは看板を見直した。

すると、その看板の隅に確かに彼らの在籍していた訓練校の校章が小さく刻まれいてた。

 

「確かに……」

 

「訓練校は毎年順番で店を出すことになっててな。

 今回は俺たちの番だったってことだ」

 

「あ、あの、教官」

 

「なんだ?」

 

スバルたちと話し込んでいたキョウに店員の少年が恐る恐る話しかけた。

 

「先ほどナカジマと仰いましたか?」

 

「ん、あぁ。

 そうか、お前らは初めて見るんだったな。

 こいつらがスバル・ナカジマとティアナ・ランスターだ」

 

キョウの言葉にその少年だけでなく、店の奥で作業していた訓練生の多くが驚きの声を上げた。

 

「本当ですか!?」

 

「あの”伝説の世代”の!?」

 

その異様な空気にティアナだけでなくスバルまでもが少し引き気味だった。

 

「伝説の世代って?」

 

「お前たち二人をはじめとしたあの時期に在籍していた訓練生のことを第四陸士訓練校ではそう呼ぶようになったんだ」

 

「なんで?」

 

スバルが首を傾げたとき、店員の一人が声を上げた。

 

「それはいくつもの伝説を刻み込んだからですよ!!」

 

「その伝説って?」

 

「曰く、初めての訓練の際の壁上りで相方を壁のはるか上まで投げ飛ばした」

 

その言葉にスバルとティアナはピクリと反応する。

それ、俺(私)たちのことだ、と。

 

「曰く、射撃魔法のシミュレータがカンストした」

 

「曰く、格闘訓練の際に相手を壁にめり込ませた」

 

「曰く、訓練校始まって以来最高額の修理費を叩き出した」

 

「曰く、一人の女を巡って男子訓練生全員で殴り合いの大乱闘に発展したとか」

 

他にもいろいろありますよ、という店員の言葉を聞いた二人は頬を引きつらせていた。

 

「ま、まぁバイクを女と見立てれば間違ってないな」

 

「確かにカンストさせてたわね」

 

自分たちのやらかしたことがまさか伝説になっていたとは思っていなかった二人はそう呟くことしかできなかった。

 

「まぁ、お前らは今日はお客さんなわけだが。

 おい、できてるか?」

 

「はい!」

 

頃合いを見て話を終わらせたキョウが奥にいる一人に尋ねると、袋に入れられた出来立てを持ってきた。

 

「それ食って、二人で楽しんで来い」

 

「あ、じゃぁお金を……」

 

ポケットから財布を取り出そうとしたスバルをキョウは手をかざすことで止めた。

 

「あぁ、金は要らねえよ」

 

「え、でも……」

 

「俺の奢りだ」

 

キョウのその言葉にスバルとティアナは胸を貫かれた。

 

「これが大人の格好よさなのか!?」

 

「やだ、なんかこの間の子煩悩な父親とは全然違う」

 

二人はキョウに頭を下げる。

 

「気にするな、日ごろ頑張ってる教え子にちょっとしたご褒美ってところだ。

 遠慮せずに食え」

 

「「はい!」」

 

「あぁ、熱いから……「「熱ッ!!」」……気をつけろよって言おうとしたんだが遅かったか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、俺は少し休憩するがお前ら、ちゃんとやれよ?」

 

「はい!」

 

「任せてください!」

 

「サボってたら今度の模擬戦は倍の量やってもらうからな」

 

スバルとティアナが揚げピザを平らげて去っていった後、しばらくしてキョウは店にいる訓練生たちにそう告げた。

 

「おら、お前ら気合入れろ!!」

 

「模擬戦倍はいやだろう!?」

 

「おぅ!!」

 

「やぁぁあってやるぜ!!」

 

訓練生たちの気合が上がったことを確認したキョウは店の裏側へ向かった。

 

「ふぅ……」

 

「なんだ、意外と先生姿も似合ってるじゃないか」

 

店の裏側で一息つこうとした彼にとある人物が声をかけてきた。

 

「意外とは余計ですよ、レジアス中将閣下」

 

「ふん、お前にそう言われるのはなんか変な感じだ。

 以前と同じで構わん」

 

「変わってませんね、部隊長殿」

 

キョウの前に姿を現したのは、ミッドチルダでは知らない人はいないといっても過言ではない人物であるレジアスだった。

管理局の制服ではなく、普通の一般市民が着るような服を着ていたが、彼女自身のプロポーションがモデル並で、かつその身からにじみ出ているオーラで存在感を出していた。

 

「それで、今回は何のようで?」

 

「何、管理局主催の祭りだ。

 お忍びで楽しんでも構わんだろう?」

 

レジアスの楽しそうな表情を見たキョウはため息を吐く。

 

「相変わらずですね、オーリスさんがかわいそうだ」

 

「あと、もう一度だけ尋ねに来た。

 カーン、特務一課に来る気はないか?」

 

「……」

 

レジアスの勧誘にキョウはもう一度ため息。

 

「以前も断りを入れた上で、申し訳ありませんが、俺は特務一課にはいきませんよ」

 

「そうか」

 

「えぇ。

 今の俺は訓練生(あいつら)を育て上げることが一番の生きがいになってるんですよ。

 あいつらがどんなふうに育ち、活躍するのか。

 それを人づてに聞くのが楽しいんです」

 

キョウはそれに、とつづける。

 

「一課にはあいつがいるんです。

 俺は必要ないでしょう」

 

「まぁ、第四陸士訓練校最大の問題児コンビの片割れだからな」

 

「それは言わないでください。

 今でもそれで校長には弄られるんですので」

 

キョウの言葉にレジアスは声を上げて笑う。

一通り笑うと、レジアスはその場から背を向けた。

 

「もう行かれるので?」

 

「ここにはお前の言葉を聞きに来ただけだからな。

 それに、そろそろ帰らねばオーリスから怒られるからな」

 

「部隊長も、娘には勝てないのですね」

 

「まぁな」

 

レジアスはそう言ってその場を後にした。

そんな彼女を見送ったキョウは立ち上がり、店の方へと歩みを進める。

祭りを訪れている人々にとって夕食時のピークが迫っており、店員たちの罵声にも似た声が彼のもとにまで聞こえていた。

 

「さて、俺も一仕事頑張りますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらく、一通り祭りを楽しんでいたスバルとティアナは休憩所ともなっている広場で一休みしていた。

 

「いやぁ、いろいろ珍しいものがあって面白かったな」

 

「そうね~。

 はぁ、今日だけで結構カロリーとってしまった……」

 

広場にあるベンチの一つに座っている二人は既にだいぶ暗くなってきた空を見上げる。

そこには雲一つない星空が広がっていた。

 

「きれいだな」

 

「そうね」

 

二人は短く言い合う。

しばらく二人はお互いに口を開かずに祭りの喧騒をBGMにして星空を眺めていた。

その後、スバルがベンチから立ち上がる。

 

「何か飲み物買ってくる。

 ティアナは何かいるか?」

 

「じゃぁ、紅茶でも頼もうかしら」

 

「了解。

 すぐに戻るから」

 

そう言って去っていくスバルの背中を見送ったティアナは再び星空の観察という暇つぶしを再開した。

 

「ん?」

 

スバルがその場を去ってから数分後、ティアナは自分の方に歩いてくる人影に気づく。

彼女にはその人影に見覚えがなかった。

 

「よぉ、お嬢ちゃん。

 少し俺と遊ばないか?」

 

ティアナは露骨に嫌な顔をする。

見るからに関わり合いになりたくない人種である。

 

「お生憎様、人を待ってるの。

 わかったらどこかに行ってくれないかしら」

 

ティアナは不機嫌な表情を隠しもせずに言い放つ。

だが、男はまったく意に介さず彼女に近づく。

 

「そんなこと言わずに。

 君を待たせるようなやつ放っておいて、楽しいことしようぜ?

 いい子にしてたらちゃんと楽しめるからよ~」

 

男の顔が浮かべる笑みに背筋をこわばらせるティアナはベンチから立ち上がろうとしたが、此処で彼女にとって着慣れない浴衣という服装が仇になった。

うまく体制を整えることができずに尻餅をついてしまったのだ。

 

(しまっ……!)

 

「ほら、逃げるなよ~」

 

「……ッ!」

 

尻餅をついて咄嗟に動き出すことができなかったティアナに男の一人が手を伸ばす。

今の彼女にとって、それは今まで味わった以上の恐怖を抱かせるのには十分だった。

思わず悲鳴を上げそうになったが、何とかこらえたのは彼女の意地の成せる技だったのかもしれない。

 

(スバル……ッ!)

 

ティアナは目を閉じ顔を背ける。

その時、彼女の脳裏に浮かんだのは、相棒(スバル)の顔だった。

 

「捕まえ~た」

 

男の手がティアナに触れようとする。

 

「はい、そこまで」

 

だが、その手がティアナの身体に触れることはなかった。

横合いから伸びてきた手にその腕を掴まれたのだ。

 

ティアナはその声を聴いて目を開く。

そこには今まさに彼女が望んだ存在がいた。

 

「なんだ、てめぇ?

 邪魔すんなよ……!」

 

男たちは邪魔した存在―――スバルを睨みつける。

スバルは彼のことなど最初から認識していないかのように振る舞い、ティアナに話しかける。

 

「大丈夫か、ティアナ?」

 

「スバル……」

 

ティアナは目の前にスバルがいることに安心し、スバルもまたティアナがまだ何もされていなかったことに安堵の息を吐く。

 

「無視すんなよ、オラァッ!!」

 

そんな彼に無視されたと考えた男はスバルに掴まれていない方の手で、彼に拳を振るう。

だが、普段管理局員としてなのはの訓練を受け、一人の格闘家としてかなりの腕を持つスバルにとってチンピラの放つ拳は避けるにも値しなかった。

 

「なっ!?」

 

スバルは視界の外から放たれた拳を造作もなく掴み取る。

男はありえないものを見たといった感じに驚愕に顔を染めた。

 

「……ッ!」

 

スバルはその一瞬で男を地面に叩き付け、さらに腕を背中に回し身動きをとれないようにする。

 

「痛ぅッ!?」

 

「悪いな、俺って相棒が乱暴されそうになったからって許せるほど心広くないんだ。

 それに、お前みたいなやつがいると誰かが不幸になるからな。

 ここで逮捕してもいいんだぞ」

 

スバルは静かに、しかし確実に怒気を含んだ声で男に語り掛ける。

 

「す、すまなかった!

 もうしねぇから許してくれ!!」

 

スバルの言葉を聞いた男は大きな声でスバルに謝罪の言葉を投げかける。

 

「もうしないと約束するか?」

 

「する、するから!!」

 

男の言葉を聞いたスバルは少し考えた後、男の上から降りる。

スバルは男に背を向けて「もう二度とするんじゃないぞ」と言ってティアナを立ち上がらせようとした。

 

「へ、馬鹿がッ!!」

 

「ス、スバル!!」

 

その時、男が懐からナイフを取り出し、スバルに向かってその腕を伸ばし、それを見たティアナはスバルの名前を叫ぶ。

 

「……ッ!!」

 

「ガッ!?」

 

だが、男のナイフはスバルどころか、彼の服すらも切り裂くことはなかった。

ティアナがスバルの名前を呼ぶのと同時に、スバルは男の腕の下に肩を入れ、男の身体を背中で持ち上げ、そのまま地面に叩き付けた。

所謂、背負い投げである。

さらに彼は男の上に自分の身体を落とすことで、男の意識を完全に断ったのだった。

 

「馬鹿だな、お前みたいなやつが素直に帰るなんて思ってるわけないだろうが」

 

とりあえず現行犯逮捕ッと、といいながら男にバインドをかける。

その後、騒ぎを聞きつけた管理局員に男を引き渡すスバルの背中をティアナはじっと見ていた。

 

(こいつの背中って、こんなに大きかったっけ……)

 

「ティアナ?」

 

気が付くと、ティアナはスバルの背中に頭を当てていた。

彼女の行動を感じたスバルは疑問の声を上げたが、ティアナは「なんでもない」と言って口を閉じる。

 

「もう少しだけ、こうさせて」

 

「あいよ」

 

周囲から人がいなくなった広場で、二人はしばらくじっとしていたのだった。

そんな彼らを星空の光が優しく照らしていた。

 

 

 

 

 

「まったく、ヒヤヒヤものやな」

 

「スバルが間に合ってよかったですね」

 

「まぁ、飛び出そうとはしたけどな。

 でも……」

 

二人から離れたところでじっと二人のことを見ていたはやては彼らを見て言葉を続ける。

 

「なんや、心配いらんかったかもなぁ」

 

「いい雰囲気です~」

 

「ほな、うちらも戻ろうか。

 若いお二人の覗き見はここまでや」

 

はやてとリインはそっとその場を去っていった。

祭りは次第に終わりに向かっていた。

 

 




フラグを立てては回収していくスバル君。
今回のは危険なところを助けてもらうというベターなものですね(笑)。
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