魔法少年リボルバースバル   作:飛鳥

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ティアナルート 第二十話

地上本部内部

エレベーターシャフトを降りてきたなのはとフェイトは、スバルたちとの集合場所に辿り着いていた。

 

「みんなはまだ来ていないみたいだね」

 

「結構早く行動に移したから、予定よりも早く着いたのは仕方ないよ」

 

二人は周囲の状況を確認しながらスバルたちを待とうとし、彼女たちの名前を呼ぶ声を聴いてそちらを見た。

 

「なのはちゃん、フェイトちゃん!」

 

「無事だったか、二人とも」

 

「ご無事で何よりです!」

 

「はやてちゃん!?」

 

「シグナムとシスターシャッハも」

 

二人は通路を駆け抜けてきたはやてたち三人を見て驚きの表情を浮かべた。

 

「どうやって隔壁を?」

 

「隔壁の方はレジアス中将が切り開いたんや。

 で、今会場は臨時の指令室になっとる」

 

「私たちは中将のお言葉に甘えてここまで来たのだ」

 

「そうだったんですか」

 

状況を把握したなのはとフェイトは、スバルたちがデバイスを持ってくるということを伝える。

その直後、その場所にスバルたちが現れた。

 

「なのはさん、フェイトさん!」

 

「アレ!?

 部隊長とシグナム副隊長、シスターシャッハまでいる!?」

 

集合場所までやってきたスバルたちは、なのはとフェイトがいることに安心し、はやてたちがいることに驚きの声を上げた。

 

「なのはさん、レイジングハートです」

 

「バルディッシュや、シュベルトクロイツ、レヴァンティンも一緒に」

 

「ありがとう、スバル、皆」

 

スバルたちが預かっていた隊長陣のデバイスを渡す。

なのはたちはすぐにバリアジャケットを展開し、デバイスを手に持つ。

 

「通信は?」

 

「ダメや、指令室とは連絡がつかへん。

 ロングアーチの方とは……つながった!」

 

ロングアーチとの通信がつながったことに喜びの笑みを浮かべるはやてだったが、向こう側からの通信の状況が悪いことに違和感を覚える。

 

『……ぶたい……う……』

 

「グリフィス君?

 どないしたん!?」

 

『襲撃……ろ……かの……、いま……応援……ッ!!』

 

「グリフィス君、グリフィス君!?

 ……あかん、切れた」

 

「はやてちゃん、六課がどうしたの!?」

 

はやてと六課の通信の様子を見ていたなのはは顔色を変えてはやてに詰め寄る。

そんな彼女をシグナムとフェイトがはやてから引き離す。

 

「わからへん。

 だけど、何かが起きているのは確かや」

 

「そうだ、姉貴……!」

 

なのはと同じく、はやての様子を見ていたスバルは一人でわかれたギンガの安否を確認するために彼女に通信を繋げようとするが……。

 

「どうしたんだよ、姉貴……!

 無事なら出てくれ……!」

 

スバルの祈るような声を上げるが、彼の通信機からはノイズしか聞こえなかった。

 

「マッハキャリバー、ブリッツキャリバーに直通で繋げろ!」

 

『無理です、通信障害が酷すぎます』

 

「くそっ!」

 

「状況がわからない。

 はやて」

 

「わかっとる。

 みんな、よう聞いて」

 

フェイトの言葉に頷き、はやては目の前にいるフォワードメンバーの注意をひきつける。

 

「これより、隊を分けます。

 足の速いライトニングは六課に戻って。

 スターズはギンガの安否確認と、本部に侵入した敵の排除。

 シグナムはヴィータの方に。

 ヴィータからの反応がさっきからないんや。

 心配やから、応援に行ってくれるか?」

 

「了解だよ、はやて」

 

「わかった」

 

「承知しました、主」

 

隊長、副隊長の同意を得たはやては頷き、彼女たちを送り出した。

 

「姉貴……、無事でいてくれ……!!」

 

 

 

 

 

 

「ておぉぉっ!!」

 

燃え盛る炎に囲まれた機動六課の隊舎を背にしたザフィーラの拳が彼の近くで障壁を張り続けているシャマルに近づこうとしていたガジェットを粉砕する。

 

「大丈夫か?」

 

「えぇ、でも……」

 

シャマルは息を荒げながら上空で彼らを見下ろす人物を見上げる。

戦闘機人No.8オットー。

少年のようにも見える彼女は無表情な顔で彼らを見ていた。

 

「はあぁぁっ!」

 

ガジェットを操っているであろうと考えたザフィーラは彼女に向かって跳んだ。

 

「ザフィーラ、後ろ!!」

 

「―――ッ!?」

 

「ISツインブレイズ、発動」

 

だが、その拳がオットーに届こうかという距離で、彼の後ろに現れたロングヘアーの少女―――戦闘機人No.12、ディード―――がその両手に持った二振りの剣を振り上げていた。

 

「ぐおぉぁ!?」

 

シャマルの声を聞いたザフィーラが後ろを見た瞬間、ディードが手にした双剣『ツインブレイズ』を振り下ろす。

間一髪で防御が間に合ったザフィーラだったが、その衝撃は空中では逃がすことなど叶わず、地面に叩き付けられてしまう。

 

「二人でよく防いだ」

 

地面に激突したザフィーラのもとに駆け寄るシャマルを見下ろしながらオットーは抑揚のない声で告げる。

 

「だけど、僕のIS、レイストームの前では無駄」

 

オットーが右手を六課隊舎に向け、その手のひらに緑色のエネルギーが収束する。

 

「―――ッ、防いで、クラールヴィント!」

 

シャマルが隊舎の周囲に障壁を新たに張りなおすが、オットーの放った砲撃に威力に押されてしまう。

 

「しぶとい……」

 

「ッ!!」

 

「……やらせはせんッ!!」

 

シャマルが障壁を張ったのを確認したオットーはさらに左手を彼女に向け、砲撃を放つ。

だが、その砲撃がシャマルに直撃する直前に彼女の前にザフィーラが立ち上がりその砲撃を受け止める。

しかし、彼らの奮戦もそこまでだった。

砲撃の威力を一人で受け止めたザフィーラは弾き飛ばされ、何度も地面と衝突を繰り返し、ようやく身体は止まったが、彼の意識はすでになかった。

そして、ザフィーラを吹き飛ばした砲撃の余波をモロに受け、近くの残骸に叩き付けられた。

彼女が意識を失いかけたことによって、砲撃を防いでいた障壁も消滅し砲撃はすべて隊舎に直撃した。

 

 

 

 

 

「グッ……!

 くそ、外はどうなってんだ!?

 シャマル先生や、ザフィーラの旦那は……!?」

 

隊舎を一際大きな揺れが襲ったとき、通路に築いたバリケードの内側でヴァイスは呻くように声を出した。

彼の前方には多くのガジェットの残骸が転がっている。

 

『マスター、次が来ます』

 

「ったく、少しは休ませろっての!」

 

ヴァイスは手に握ったストームレイダーからの忠告を聞きいれ、視線をバリケードの向こう側に向ける。

そこには先ほどから彼が撃ちぬいているガジェットⅠ型が三機迫っていた。

 

「…………ッ!」

 

だが、その三機はヴァイスが三回、ストームレイダーの引き金を引くことでその役目を果たせずにただの鉄屑と化した。

 

「今の俺は狙撃手(スナイパー)じゃなくてただのヘリパイなんだがな!」

 

『今ごろそのヘリは目の前のゴミと同様の姿になってるでしょうが』

 

「きっついこというなよ、相棒……」

 

ストームレイダーからの言葉を聞いたヴァイスは大きくため息を吐いた。

彼の操縦していた最新型のヘリは、すでに格納庫でガジェットによって破壊されている。

そのことを思い出した彼はやるせない気持ちを抱いていた。

 

「だいたいな……ッ!?」

 

さらに言葉を続けようとした彼だったが、狙撃手としての勘が彼に相棒を構えさせた。

そして、彼が覗くスコープの中に映ったのは、紫色の髪をたなびかせる少女―――ルーテシアだった。

 

「―――ッ!」

 

ヴァイスは、彼女が通路に現れた瞬間にその引き金を引いていた。

ただの子供が戦場に来るはずがない。

ならばあの少女は何者だ?

決まっている、目の前に広がっているガジェットの残骸(これ)と同じ敵だ。

刹那の間にそう結論付けた彼の判断は間違ってはいなかった。

 

「何ッ!?」

 

唯一の失敗は、彼女が一人ではなかったということ。

ヴァイスの放った魔力弾は、彼女の傍らに現れたガリューによって弾かれた。

ガリューが弾いた魔力弾に気づいたルーテシアはその手をヴァイスに向ける。

 

「邪魔……」

 

「ぐあぁッ!?」

 

彼女の手から放たれた魔力の塊に吹き飛ばされたヴァイスは背後の壁に叩き付けられ、バリケード代わりに立てていたロッカーが彼の足を挟み込んだ。

意識が途切れかけていた彼は、足から響いた何かが折れるような音と、直後に襲ってきた痛みによって意識を何とか保たせていた。

だが、ルーテシアの放った魔力の塊は彼の他にもガジェットの残骸までも吹き飛ばしており、彼の周囲は瓦礫に埋もれていた。

すなわち、機動六課における残存戦力のほとんどが無効化された瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

「ぬぅッ!!」

 

「ハァァッ!!」

 

地上本部直上、空という広大な空間を使って、二人の男は互いの武器を叩き付けていた。

ゼストの持った槍と、ミルズの腕に嵌めた籠手。

二つの武具は、持ち主を勝利に導かんと相手に迫るが、互いに決定打を打ち込めないでいた。

 

「やるようになったな、ミルズ」

 

「貴方が俺を拾ってくれたからですよ」

 

互いに距離をとり、デバイスを構える。

そんな中、ミルズは小さく、だがしっかりとした声でゼストに語り掛ける。

 

「ストリートチルドレンだった俺を、貴方は拾ってくれた。

 今の俺は、貴方がいたからだ。

 その恩を、今返します」

 

ミルズは籠手を嵌めた手を握りしめる。

その籠手に魔力が満たされると同時に、その籠手の形がぐにゃりと、液状に変化した。

 

「来るか……!」

 

「ブレード」

 

『コピー、レヴァンティン』

 

次の瞬間、ミルズの手には一振りの剣が握られていた。

その姿は、シグナムの愛剣『レヴァンティン』そのものだった。

 

(武器が変わった……!?)

 

「来るぞ」

 

ゼストは自分の中で驚きの声を上げるアギトを落ち着かせ、目の前のミルズを警戒する。

 

「行きます……!」

 

「――――ッ!」

 

刹那、ゼストの槍とミルズの剣が交錯する。

互いに相手の攻撃を得物で弾き、その隙を何とか詰めようとする。

 

「ハンマー」

 

『コピー、グラーフアイゼン』

 

何度かの衝突の後、ゼストの攻撃の一瞬のスキを突いたミルズは再びその得物の姿を変えた。

 

(また変わった!?

 どうなってんだよ、あいつのデバイスは!?)

 

「あれがあいつのデバイス、『パラディン』だ。

 そう言うものだと考えなければ負けるぞ、アギト」

 

ミルズのデバイス『パラディン』。

それの正体は特殊な液体金属を用いた高性能デバイスだ。

デバイスの形態変形の礎となった技術を用いたデバイスであるが、液体金属の操作、コスト、出力調整の常時変化などの様々な要因から一機のみ製作された幻のデバイス。

それを彼は己が手足のように使いこなしていた。

 

「ふんッ!」

 

「グッ……!」

 

(くっそーッ!!)

 

ハンマーでの一撃は先ほどまでの攻撃とは違い、ゼストを防御ごと弾き飛ばした。

直後にミルズはさらにパラディンの形態を変更させる。

 

「バスター」

 

『コピー、レイジングハート』

 

ハンマーの形態から、杖に変わったパラディンの先端に真紅の魔力が収束される。

 

(あれはやべぇ!!

 旦那ッ!!)

 

「わかっている」

 

それを見たゼストは、アギトの力も借りて障壁を張る。

そして、閃光は放たれた。

 

 

 

 

「強くなったな、ミルズ」

 

「いえ、まだまだ未熟者です」

 

砲撃と障壁の衝突によって起きた閃光が晴れると、そこには互いの得物を相手に突きつける二人の姿があった。

ゼストの言葉にミルズは首を横に振りながらそう答える。

その時、ゼストは地上本部から大きな魔力反応のいくつかが出てくるのを感じた。

 

「ここまでか、悪いが引かせてもらうぞ」

 

(ちょ、旦那!?)

 

「構いません、自分の今の任務は貴方をここで止めることでしたので。

 それと……」

 

互いにデバイスを下げる二人。

去ろうとするゼストの背中にミルズは言葉を続ける。

 

「レジアス中将からの伝言です。

 すべての決着がつく日にすべて話す、と」

 

「……わかった、と伝えてくれ」

 

ミルズの言葉にゼストは静かにそう答えてその場を去っていった。

ミルズは去っていくその背中をいつまでも見続けていた。

 

 

 

 

 

「姉貴……!」

 

はやてからギンガの安否の確認の任務を言い渡されたスバルは全速力でギンガの信号が途絶えたポイントに向かっていた。

 

『スバル!

 先行しすぎよ!!』

 

「悪い、だけどッ!!」

 

ティアナからの通信に対しても碌に答えずにひたすら前に進む。

そして、彼の視線の先に通路を塞ぐ隔壁が映った。

 

「マッハキャリバー!」

 

『Load cartridge』

 

スバルの右腕から一発の空薬莢が排出される。

そして、青色の砲撃が隔壁を撃ち抜いた。

 

「姉貴ッ!」

 

隔壁にあいた穴からその中に飛び込んだスバルはギンガの姿を探す。

そして、彼の視線の先にそれは飛び込んできた。

 

「あね、き……?」

 

ひび割れた壁の下に倒れ込むギンガ。

その右手は粉砕されており、頭部からの流血によって、彼女の周囲は血で赤く染め上げられていた。

そして、彼女の周囲にいる三人の少女。

その三人の顔はどれも驚愕に染まっていた。

 

ガシャン……

 

その時、スバルは自分の中で何かが外れる音がしたのを感じた。

 

「――――ッ!!」

 

直後、スバルの周囲にある瓦礫を彼の身体からあふれ出すエネルギーの奔流が吹き飛ばした。

ゆっくりと下を向いていた彼の顔が上を向く。

 

「姉貴から、離れろ……」

 

その瞳は静かに金色に輝いていた。




機動六課襲撃と、ゼスト(&アギト)対ミルズでした。
この小説では、ザフィーラは通常時はともかく、戦闘時は人型がデフォです。
だっていn……狼の時のメリットがあまり感じられないので……。
いいじゃない、銭湯の時に人型になるザフィーラがいる小説でも(笑)
ミルズのデバイス『パラディン』についての補足を。
レイジングハートやバルディッシュといった代表的なデバイスは変形しますが、あまり原型を崩さないほどのものです。(バルディッシュは最後の方は二刀流になってますが……)
それを関係なしにやってしまおうという考えの元で生まれたデバイスがパラディンです。
これを扱うには、変形する形態の戦い方をある程度知っておかなければなりません。
なので、このデバイスを扱えるミルズは、それぞれの形態での戦い方を知っているということになります。
まぁ本物よりは弱いですけど。
使い手によっては器用貧乏となってしまうキワモノデバイスです。

もう一つ補足を。
最後のゼストとミルズの攻防は、ミルズが砲撃を撃った直後にゼストに接近、対するゼストはそれを予測していたというところです。
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