「それで、左腕の調子はどうなの?」
スバルとギンガがサカキからの提案を受け入れた五日後、無事に腕の装着を終えたスバルは怪我の完治も相まって病院を退院することになっていた。
病院を出るために廊下を歩いているスバルは、左腕を軽く回しながら答える。
「少しバランスが取りづらいけど、片腕の時よりはマシだな。
それに、いざとなれば体感センサーの調整をすればすぐになれる」
「そう。
ギンガさんは?」
「姉貴は俺よりも怪我酷かったからな。
一応、後二、三日は様子を見るんだと」
スバルはそう言いながら自分の胸に手袋で包まれた左手を持っていく。
だが、そこにはいるべきである彼の相棒はいなかった。
「そういや、修理に出してたんだったな……」
スバルはマッハキャリバーを本局の技術部に出していることを思い出し、小さく呟く。
「結構ボロボロだったものね」
「ハァ~、ダメだな。
いくら頭に血が上ってたとしても、あいつのことをまったく考えなかったからな……」
そう、地上本部での戦闘の際、彼の全力に堪え切れなかったマッハキャリバーはその
そのため、マッハキャリバーは今、本局技術部に預けられているのだった。
「それでも、あんたを最後までサポートし続けてたんだから、ちゃんと謝りなさいよ?」
「わかってるよ」
「酷いな……」
「隊舎をはじめとした施設はほとんど破壊されたわ。
かろうじて寮は無事だったけど……」
病院を後にしたスバルとティアナは機動六課に足を運んでいた。
そして、変わり果てた職場を目にしたスバルは一言、口にした後、何も言葉にすることができなかった。
「ヘリやあんたのバイクがあった格納庫も、デバイスルームも全部やられてた。
幸い、あんたのバイクは修理可能な範囲だったけど……」
「この状況でよく修理可能な状態だったな……。
運がいいというか、なんというか……」
「ヴァイスさんの容体は?」
「意識は戻ってるらしいけど、まだヘリの操縦は無理らしいわ」
ティアナは破棄処分が決定しているヘリを見つめながらそう答える。
「あ、スバルにティアナ。
こっちに来てたんだ」
「なのはさん……」
「お疲れ様です」
瓦礫の山となっている格納庫跡地を前で話す二人になのはが手を上げながら近づいてきた。
「あの、なのはさん。
この間は、すみませんでした。
単独先行して……」
「あれは仕方がないよ。
スバルがトップスピードで行かなかったら、ギンガも攫われていたかもしれないんだしさ。
ギンガが攫われるのを防いだ時点で、単独先行のことは不問です。
でも、次は気を付けてね」
「……はい」
スバルはなのはに頭を下げるが、なのはは彼の頭を優しく両手で挟んで、頭を上げさせた。
「なのはさん、ヴィヴィオのことは……」
「助けるよ、絶対に。
スカリエッティがなんであの子を攫ったのかはわからないけど、絶対に助ける」
なのははそう言って決意の籠った目を二人に向ける。
スバルとティアナはその目を見て、息を飲んだ。
「でも、その前に」
「「?」」
「ごめんな、無理言って」
「まったくだよ……。
いくらはやてからの頼みだといっても、今回のことは骨が折れた」
時空管理局本局の艦船ドッグを見下ろせる通路ではやては一人の男と会っていた。
男―――ヴェロッサ・アコースは、窓の外を見ながら大きくため息を吐く。
そこには次元航行部隊の中でも古株と言ってもいいほどの船がその身体を休めていた。
「廃艦間近のL級艦船、アースラ。
経年劣化により、長期任務に耐えられないってことで近いうちに処分されるからってことで回してもらえたんだけど……」
「これから先は、移動できる本部があった方がええ。
まぁ、まさかアースラが回ってくるとは思っとらんかったけど」
「いやだったかい?」
「ううん。
アースラは私にとってももう一つの家みたいなもんや、嫌なわけない」
ヴェロッサの言葉に対して首を横に振り、はやては窓に近づき手を当てる。
「おやすみ前に、もう一働き頼むよ。
頑張ってな、アースラ」
「そうか、八神はアースラに」
「はい、六課の壊滅を受けて、クロノ・ハラオウン提督が手を回したそうで」
はやてがアースラをその目で見つめているとき、地上本部ではレジアスがそのことについて報告を受けていた。
今、彼女の娘であるオーリスは別件で司令室にはおらず、ここ数週間、オーリスの補佐を務めていた女性が代わりにレジアスに報告書を渡していた。
「まぁ、六課の戦力を無駄にすることは出来んからな。
地上部隊の魔導師はハッキリ言ってAMFの中ではあまり戦えん上に、アインヘリアルなんて大砲の警備に戦力を裂かれてる状態だしな。
あれの維持費にいくらかかるんだ?」
「アインヘリアルの維持費は、一般支給されているデバイスをアップグレードさせたものをほとんどの武装隊に配備させることができるほどですね」
女性の答えにレジアスは大きくため息を吐きながら歩みを進める。
「はぁ……。
まったく、最近は問題が多すぎる。
まぁ、こんな時に脳味噌連中から連絡がないのは助かるが……」
レジアスはここ二週間ほど音信不通になっている最高評議会の三人(?)のことを思い出すが、彼女にとって彼らの存在は邪魔でしかないのですぐに頭の中から消えていった。
レジアスは手に持った資料を見ながら廊下を歩いて行く。
だから、彼女が気づくことはなかった。
彼女の後ろを歩く女性が笑みを浮かべていることに。
「グッ、ゴホッ!!」
「だ、大丈夫かよ、旦那!?」
ミッドチルダから遠く離れた森の奥。
ゼストはそこで身体を休めていた。
だが、彼は木にもたれかかり、激しい咳を繰り返していた。
「……心配するな。
少し休めば治る。
アギト、すまないが薬を持ってきてくれないか……」
「お、おう!
すぐに持ってくるから、座ってろよ旦那!!」
アギトはそう言って少し離れたところに置いてある荷物のもとにまで飛んでいった。
それを見届けたゼストは咳をしたときに口を覆っていた手を見つめる。
「さすがに、無理が祟ったか……。
だが、もう少しだけ……」
彼の掌には真っ赤な血が、べっとりと付着していた。
お久しぶりです。
いや、一人暮らしで熱だしたら、なんとなく寂しいですね。
親の有難味というものをこの年齢になって初めて感じました……。
あと、休んだ講義のノートを友人が持ってきてくれました。
ありがたいんですが、野郎が部屋に大勢くるってのはなんか(女の子がよkry……